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自給自活を目指してる。
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この2カ月、帰ることをあきらめてはいなかったが、望みが低いと思っていた。
だから、あのおとぎ話の伝承のような話を聞いてもそれほどショックはなかった。
であれば、京達のすることは一つである。
あの地で生きていくこと。
周りは海で一人ではないことは、不幸中の幸いだと思っている。
まずは島での自給自足を目指すところではあるが、早急に議会を進めているところだ。
ここに来て確信したが、トシマ区民にはお世辞にも治安が良いようには見えなかったからだ。
だが、交流断絶と言うのも考えていない。
そんな理由から、京は様々なこと話し合いたいところなのだが、・・・相手の不躾な視線が気になってしまう。
それなりの立場にいたため視線を浴びることは慣れたものの筈なのだが、ここまで露骨なのは久しぶりである。
異国の服や大分骨格が違うとは言え、不躾な視線は不愉快に感じながらも、態度には出さないようにしていた。
異世界からの人間に敵意を感じるのは当然だ
むしろ彼らが手を出さないことは救いなのかもしれない。
必要以上に考えないようしていた時だった。途端にその視線がなくなる。
え?
逆に気になって見回したくなりたくなるが、対話相手のルボミールに視線を合わせる。
そういえば、ルボミールにはそういう視線がないな。と思っている問いかけられる。
「なにか助けが必要であれば力になる」
力強く言ってくれるそれは、人となりを知らなくても安心感をもてるから不思議である。
「1番は地球に街ごと帰れることです」
「・・・。気持ちはわかるが、それは難しいだろう」
「えぇ。お話を伺いそう思っていたところです」
「なんでも力になろう。そうだな。そちらはざっとどれくらいの人間が来ている?受け入れの準備をしよう」
「!・・・ありがとうございます」
異世界転生してきた赤の他人に、よくそこまで親切に出来るものだと感心してしまう。
「大変ありがたいお申し出なのですが、もう少しこちらで頑張ってみようと思います」
「それは、・・・大丈夫なのか?」
「我々の課題として、まずはこの土地の言語を覚える事です。私はこれが(イヤフォン)あるのでお話が出来ますが」
そう言いながら、京はイヤフォンを指差した。
言語が満足に使えない者達をバラバラに住まわせるのは心配である。
なにより、サバイバルをし慣れていない自分達を考えたら野放しに受け入れられない話であった。
「言語か・・・」
「言葉を教え垂れる先生はいらっしゃいますか」
「難しいな・・・」
ハカセの作ったこのアプリは翻訳しているが、周囲の会話を聞き取り常にデーター収集をしているらしい。
この2ヶ月で集めてきたと誇らしげに言っていたが、どうやって集めたのかは聞いてない。
ハカセはよくこう言う事をするのだが、毎度驚くがそこで詳しく聞いてしまうのは地雷である。
もう要らないと言っても止まらぬ勢いで話してくるのだ。アレは説明じゃ無い。自己満足の領域だ。
なので、語学は現地の人間に教わりたいのである。
「偏見がなく幼子を教えている者を探そう」
「ありがとうございます」
こちらは、大人が多いのだがそれでも子供に教えるような教師が良いだろう。
その需要風景を録画し繰り返し見させよう。
「語学を覚えたらどうするつもりだ?」
上手くいく未だはないのだが、一つ構想はある。
もちろん、このことはトシマ区の区民に票をとり過半数を取ったうえでの話しだ。
一緒にこの世界に来たトシマ区民は、責任などは嫌うが、結構協力的で保守的すぎない人物が多いようだ。
そんな彼等と決めたのはトシマ区の一部観光地化である。
ここに来てより確信したのだが、文化に大きく違いがある。だがそれだけでメリットがある。
資源と言えるものがなくても、それが大きな資金を生み出すだろう。
「ハカセ。駅前辺りの動画はあるか」
「あるよ~。イケブクロがいい?」
「あぁ。そこら辺がメインになるだろうからな」
そういうとハカセはきょろきょろとした後、良い場所を見つけたのか胸ポットから映写機を取り出す。
「そこ退いて~」
屈強な男たちをしっしっと仕草で退けるハカセに苦笑した。
叱ってはいるが、この男は毎度のことにこう言うことはなかなか聞いてくれず諦めている。
代わりに京がそちらを見て詫びる。
「うちの者が失礼を。
ただいまご説明に重要な者を準備しておりますので」
「構わない。それでどう言ったことをしようと思っているのかな?」
しかし、答えたのはルボミールである。
もしかしたら発言権がないのかもしれない。
「はい。私達の装いですでにお分かりかと思いますが、・・・文化に大きく違いがあるようです。
ですので、それを街の収入減にしようかと」
「なるほど。・・・旅行目的と言うわけか」
「えぇ。・・・ハカセ」
「いつでも、どーぞ」
その言葉にコクリと頷くと、ハカセは壁に画像を映し出す。
そして映し出した動画に部屋の中の全員が息を飲んだ。
「こ、・・・これは」
「いや、それよりもこの城、・・・ん!?なんで城がこんなに密集しているんだ」
ざわめく声に、こっそりとしたり顔をする。
トシマ区で一番栄えている駅と背景に高層の建物を見せると全員が息を飲んだ。
正直いまこれほどのものを建設するのは難しいが、相手にはそんなこと関係が無いだろう。
「トシマ区を見てみたくはありませんか?」
そう、京はニコリとほほ笑んだ。
「これは・・・すごいな」
「これはほんの一部です。それとアレは城塞と言うわけではなく、商用施設です」
戦争を仕掛けると思われても困るので前もって言っておく。
「俺も見てみたいものだ。今度見せては頂けないか?」
「えぇ。是非」
「それで、食料のほうは大丈夫なのか?」
「・・・。それは課題の一つです。」
「・・・なに?それは語学や資金よりも先のことではないか」
厳し声に京は苦笑を浮かべる。
「正確に言えば、数年は持つのです。・・・ですが保存食だけなので、新鮮な食物を入手したいのですよ」
その言葉に眉を顰めるルボミール。
「私達、トシマ区民は新鮮な食べ物食べないと死んでしまうのです」
なんて、冗談を言ったのだが。
真顔になった後に、ルボミールが口を開く。
「具体的に何を必要なのだ」
「・・・。あの、いえ、今のは冗談ですので」
異世界人に相手には冗談を選ばなければならないようだ。
「保存食は味が濃いものが多いですので、ずっと取り続けるには体にわるく短命になりやすいというのはあります。
なので、なるべく早く生鮮食品を自活でいるようになりたく」
「すぐに手配しよう。島で作物をと言う事であれば、農民を準備しよう」
「あ・・・えぇ。ありがとうございます」
「なんでも言ってくれ」
だから、あのおとぎ話の伝承のような話を聞いてもそれほどショックはなかった。
であれば、京達のすることは一つである。
あの地で生きていくこと。
周りは海で一人ではないことは、不幸中の幸いだと思っている。
まずは島での自給自足を目指すところではあるが、早急に議会を進めているところだ。
ここに来て確信したが、トシマ区民にはお世辞にも治安が良いようには見えなかったからだ。
だが、交流断絶と言うのも考えていない。
そんな理由から、京は様々なこと話し合いたいところなのだが、・・・相手の不躾な視線が気になってしまう。
それなりの立場にいたため視線を浴びることは慣れたものの筈なのだが、ここまで露骨なのは久しぶりである。
異国の服や大分骨格が違うとは言え、不躾な視線は不愉快に感じながらも、態度には出さないようにしていた。
異世界からの人間に敵意を感じるのは当然だ
むしろ彼らが手を出さないことは救いなのかもしれない。
必要以上に考えないようしていた時だった。途端にその視線がなくなる。
え?
逆に気になって見回したくなりたくなるが、対話相手のルボミールに視線を合わせる。
そういえば、ルボミールにはそういう視線がないな。と思っている問いかけられる。
「なにか助けが必要であれば力になる」
力強く言ってくれるそれは、人となりを知らなくても安心感をもてるから不思議である。
「1番は地球に街ごと帰れることです」
「・・・。気持ちはわかるが、それは難しいだろう」
「えぇ。お話を伺いそう思っていたところです」
「なんでも力になろう。そうだな。そちらはざっとどれくらいの人間が来ている?受け入れの準備をしよう」
「!・・・ありがとうございます」
異世界転生してきた赤の他人に、よくそこまで親切に出来るものだと感心してしまう。
「大変ありがたいお申し出なのですが、もう少しこちらで頑張ってみようと思います」
「それは、・・・大丈夫なのか?」
「我々の課題として、まずはこの土地の言語を覚える事です。私はこれが(イヤフォン)あるのでお話が出来ますが」
そう言いながら、京はイヤフォンを指差した。
言語が満足に使えない者達をバラバラに住まわせるのは心配である。
なにより、サバイバルをし慣れていない自分達を考えたら野放しに受け入れられない話であった。
「言語か・・・」
「言葉を教え垂れる先生はいらっしゃいますか」
「難しいな・・・」
ハカセの作ったこのアプリは翻訳しているが、周囲の会話を聞き取り常にデーター収集をしているらしい。
この2ヶ月で集めてきたと誇らしげに言っていたが、どうやって集めたのかは聞いてない。
ハカセはよくこう言う事をするのだが、毎度驚くがそこで詳しく聞いてしまうのは地雷である。
もう要らないと言っても止まらぬ勢いで話してくるのだ。アレは説明じゃ無い。自己満足の領域だ。
なので、語学は現地の人間に教わりたいのである。
「偏見がなく幼子を教えている者を探そう」
「ありがとうございます」
こちらは、大人が多いのだがそれでも子供に教えるような教師が良いだろう。
その需要風景を録画し繰り返し見させよう。
「語学を覚えたらどうするつもりだ?」
上手くいく未だはないのだが、一つ構想はある。
もちろん、このことはトシマ区の区民に票をとり過半数を取ったうえでの話しだ。
一緒にこの世界に来たトシマ区民は、責任などは嫌うが、結構協力的で保守的すぎない人物が多いようだ。
そんな彼等と決めたのはトシマ区の一部観光地化である。
ここに来てより確信したのだが、文化に大きく違いがある。だがそれだけでメリットがある。
資源と言えるものがなくても、それが大きな資金を生み出すだろう。
「ハカセ。駅前辺りの動画はあるか」
「あるよ~。イケブクロがいい?」
「あぁ。そこら辺がメインになるだろうからな」
そういうとハカセはきょろきょろとした後、良い場所を見つけたのか胸ポットから映写機を取り出す。
「そこ退いて~」
屈強な男たちをしっしっと仕草で退けるハカセに苦笑した。
叱ってはいるが、この男は毎度のことにこう言うことはなかなか聞いてくれず諦めている。
代わりに京がそちらを見て詫びる。
「うちの者が失礼を。
ただいまご説明に重要な者を準備しておりますので」
「構わない。それでどう言ったことをしようと思っているのかな?」
しかし、答えたのはルボミールである。
もしかしたら発言権がないのかもしれない。
「はい。私達の装いですでにお分かりかと思いますが、・・・文化に大きく違いがあるようです。
ですので、それを街の収入減にしようかと」
「なるほど。・・・旅行目的と言うわけか」
「えぇ。・・・ハカセ」
「いつでも、どーぞ」
その言葉にコクリと頷くと、ハカセは壁に画像を映し出す。
そして映し出した動画に部屋の中の全員が息を飲んだ。
「こ、・・・これは」
「いや、それよりもこの城、・・・ん!?なんで城がこんなに密集しているんだ」
ざわめく声に、こっそりとしたり顔をする。
トシマ区で一番栄えている駅と背景に高層の建物を見せると全員が息を飲んだ。
正直いまこれほどのものを建設するのは難しいが、相手にはそんなこと関係が無いだろう。
「トシマ区を見てみたくはありませんか?」
そう、京はニコリとほほ笑んだ。
「これは・・・すごいな」
「これはほんの一部です。それとアレは城塞と言うわけではなく、商用施設です」
戦争を仕掛けると思われても困るので前もって言っておく。
「俺も見てみたいものだ。今度見せては頂けないか?」
「えぇ。是非」
「それで、食料のほうは大丈夫なのか?」
「・・・。それは課題の一つです。」
「・・・なに?それは語学や資金よりも先のことではないか」
厳し声に京は苦笑を浮かべる。
「正確に言えば、数年は持つのです。・・・ですが保存食だけなので、新鮮な食物を入手したいのですよ」
その言葉に眉を顰めるルボミール。
「私達、トシマ区民は新鮮な食べ物食べないと死んでしまうのです」
なんて、冗談を言ったのだが。
真顔になった後に、ルボミールが口を開く。
「具体的に何を必要なのだ」
「・・・。あの、いえ、今のは冗談ですので」
異世界人に相手には冗談を選ばなければならないようだ。
「保存食は味が濃いものが多いですので、ずっと取り続けるには体にわるく短命になりやすいというのはあります。
なので、なるべく早く生鮮食品を自活でいるようになりたく」
「すぐに手配しよう。島で作物をと言う事であれば、農民を準備しよう」
「あ・・・えぇ。ありがとうございます」
「なんでも言ってくれ」
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