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第4怪「残酷な真実」
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ものもけがひゅるると、腕を伸ばして来て、るなを掴もうとした。
彼女は、顔に恐怖の色を浮かべた、が。
刹那、猫がものもけの手に飛び掛かり、噛みついた。
『ギャッ!痛てえ!』
「猫ちゃん!」
猫が、作ってくれたチャンスを活かし、痛がりひるんでいる。怪異を尻目に。
るなは、猫をものもけの腕から引きはがすと、ふたたび抱いて空き家から逃げ出した。
◆
しばらく、走っていると猫がフーッと威嚇の声を出した。
るなが前をふたたび見ると、何と彼女の行く手に、真っ赤になって怒っているものもけが立ちはだかっていた。
「あっ、ああっ……」
後ずさりする彼女、逃げる間もなく捕まったるなは、顔面蒼白になった。
その時、ものもけがるなの胸ポケットに入っているある物に気が付いた。
それは、ものもけにはもっとも、忌み嫌うものだった。
ものもけは、顔をゆがめて思わず、るなから手を放す。
るなが気が付いて胸ポケットを見ると
それは、るながいつも肌身離さず、持ち歩いていた母の形見のお守りだった。
その瞬間、ものもけの身体が光り始めた。
『ぐお、出て来るな!』
苦しみだす、ものもけ。
ものもけの中から、聴き覚えのある声が、聴こえて来た。
『るな、るな……。早く逃げて』
それは、るなの母親の声だった。
「お母さん!?どういうこと。なんで、こいつの中から、お母さんの声が」
すると、ものもけは、にやりと笑い言った。
『げはげは、お前の母親の魂はおらが、喰ってやったからさ。お前の兄と姉もな!』
「どういうことなの」
すると、ものもけは、自慢げにおぞましい真実を語り始めた。
ものもけは、結月るなの家族に目を付けていて。
最初は、るなの母に憑いて病死させ、それだけでは飽き足らず兄、姉共に取り憑き取り殺した。
そして、その魂をおのれの私利私欲の為に腹の中に閉じ込めていた。
そのせいで、彼女の家族は、成仏出来ない状態におちいっていたのだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
次回は、最終話です。
彼女は、顔に恐怖の色を浮かべた、が。
刹那、猫がものもけの手に飛び掛かり、噛みついた。
『ギャッ!痛てえ!』
「猫ちゃん!」
猫が、作ってくれたチャンスを活かし、痛がりひるんでいる。怪異を尻目に。
るなは、猫をものもけの腕から引きはがすと、ふたたび抱いて空き家から逃げ出した。
◆
しばらく、走っていると猫がフーッと威嚇の声を出した。
るなが前をふたたび見ると、何と彼女の行く手に、真っ赤になって怒っているものもけが立ちはだかっていた。
「あっ、ああっ……」
後ずさりする彼女、逃げる間もなく捕まったるなは、顔面蒼白になった。
その時、ものもけがるなの胸ポケットに入っているある物に気が付いた。
それは、ものもけにはもっとも、忌み嫌うものだった。
ものもけは、顔をゆがめて思わず、るなから手を放す。
るなが気が付いて胸ポケットを見ると
それは、るながいつも肌身離さず、持ち歩いていた母の形見のお守りだった。
その瞬間、ものもけの身体が光り始めた。
『ぐお、出て来るな!』
苦しみだす、ものもけ。
ものもけの中から、聴き覚えのある声が、聴こえて来た。
『るな、るな……。早く逃げて』
それは、るなの母親の声だった。
「お母さん!?どういうこと。なんで、こいつの中から、お母さんの声が」
すると、ものもけは、にやりと笑い言った。
『げはげは、お前の母親の魂はおらが、喰ってやったからさ。お前の兄と姉もな!』
「どういうことなの」
すると、ものもけは、自慢げにおぞましい真実を語り始めた。
ものもけは、結月るなの家族に目を付けていて。
最初は、るなの母に憑いて病死させ、それだけでは飽き足らず兄、姉共に取り憑き取り殺した。
そして、その魂をおのれの私利私欲の為に腹の中に閉じ込めていた。
そのせいで、彼女の家族は、成仏出来ない状態におちいっていたのだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
次回は、最終話です。
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