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第一章

入学!グランシス学園

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「あれがグランシス学園・・・しかしでかいな。」

俺は制服姿で学園へと続く一本道で1人そう呟く。

学園から結構な距離が離れているがそれでも学園の全貌をしっかりと見ることができる程にでかい。

王都の西側に学園は位置していて初等部から高等部まであるらしいがそれを差し引いても大きい、第二の王城と言っていいほどだ。

ゴォーン!ゴォーン!

あまりの学園の大きさにうつつを抜かしていると鐘の音がなった。

「おっとまずいな遅れてしまう」

俺は身体を前に少し傾ける。

瞬間、俺は凄まじいスピードで移動する。《縮地》を使い一本道を駆け抜ける。

「これなら間に合いそうだ」

何とか間に合いそうで安堵していると、前方で馬車が走っているところに脇道から小さな男の子が1人飛び出てきてしまった。

「おわぁーー!?」
「レイっ!」
「え?」

ヒヒィーンっ

男の子の母親らしき人が必死に名前を呼ぶが間に合いそうに無い。

御者も何とか馬を止めようとしているが無理そうだ。

「ふっ」

俺はスピードを上げて子供のところへ一気に駆け抜ける。

そして男の子に飛びつき抱き込むような形で救出する。

俺は男の子を降ろして「大丈夫か?」と問いかける。

「レイっ!」

そこに母親らしき人が来て子供を抱きしめる。

「レイ、ああよかった。ありがとうございます」
「お兄ちゃんありがとう」
「いえ、当然のことをしただけですよ」
「そんなせめてものお礼を」

ゴォーン!ゴォーン!

「あっ!まずい遅れてしまう。すいません今急いでるんです」

俺は母親の言葉を聞く暇もなく学園へ走り始めた。

「あの!せめてお名前を」

そう男の子の母親は叫ぶも俺は《縮地》を使いその場から一瞬にして消えてしまった。

「消えたっ!」

母親は驚いていたがすぐに冷静になり、

(あの制服はグランシス総合学園の学生さんね、このお礼はまたいつか)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「次は学園長より挨拶をしていただきます」

そう声が会場に響くとグランシス学園、学園長であるエターナル・ワイズ・サファイアは立ち上がり舞台の中心へと立った。

年不相応のその見た目と容姿は威厳に溢れている。

「諸君まずはこのグランシス学園へようこそと言っておこう。私からいうことはただ一つ、努力を怠るな。そして勘違いするな、努力が実るのは、実るまで努力を続けたものだけだ。日々の小さな積み重ねだけが己を成長させ遠くまで連れて行ってくれるのだ。そして初等部中等部からいるものは知っているかもしれないがこの学園は実力主義だ才能や血筋に胡座をかくものはこの学園には必要ない。以上だ。」

エターナル・ワイズ・サファイアは賢者でありこの国が始まってから存在する魔術を極めた存在。

初代国王と剣聖と共にセイズ王国を興し初代国王の腕として働き、国王の死後はこのグランシス学園の学園長をしている。

「続きまして新入生代表挨拶です、シニー・ワイズ・サファイア!」
「はいっ!」

そうして舞台の中心に立つのはシニー・ワイズ・サファイア、その名の通り彼女は賢者エターナルの孫である。

彼女はエターナルと同じさらりとした水色の長い髪をしておりかなりの美貌を持ちエルフの特徴である長い耳は少し短ち。

そう彼女は人間とエルフの混血であるハーフエルフである。

彼女は学生とは思えないほど肝の据わった目をしていた。

「新入生代表のシニー・ワイズ・サファイアです。厳しい試験を乗り越え今日この日このグランシス学園に入学できたことを非常に嬉しく思います。しかし私は今日は始まりの日だと思っています。先程学園長が仰られた通り努力を怠らず日々邁進することこそが己を先へ導くと。そして、努力をする過程で私たちは数多の壁にぶつかることでしょう。しかしそこで諦めず地道に上り詰めたその先に己の信じた光が眠っていると私は信じています・・・」

そう彼女が言い終えた瞬間会場には盛大な拍手で溢れかえった。

そして彼女は安堵した顔で舞台を後にした。

「ありがとうございました。次に、、えっ!?」

何か司会が慌て始める。そしてそこにエターナルが赴き司会の耳にコソコソと何かを伝え始める。

「は、、はあ、分かりました」

伝え終わったエターナルは自席へ戻り司会は眼鏡をクイっとかけなおした。

「では気を取り戻しまして推薦入学者挨拶メッシュ・ブレイブ!」

会場全体がざわつき始める。

それもそのはずグランシス学園は実力主義、あくまで入学試験を突破し入学するのが原則。
そのため今まで推薦入学者など1人もいなかった。

これにはシニーも驚いた様子で目を見開いていた。

(推薦入学者だって?)
(ここはグランシス学園だぞこの実力主義の学園で推薦入学するやつなんてどんな奴だ?)

ヒソヒソと隣同士でやり取りをする者がいる中1人の少年が立ち上がった。

「はいっ」

その少年は静かに移動し舞台の中心へと立った。

そしてそこには黒髪で毛先が紅蓮に染まっており整った容姿を持った少年がいた。

「推薦入学者のメッシュ・ブレイブです。私は推薦によってこの学園に入学しました。この実力主義の学園にです。しかし推薦だからと言って私は手を抜いたりは決してしない。恐らくみなさんは私に対して疑問を持っている者がほとんどでしょう。それでも私は皆さんと共に高め合い競い合いたいと思っています。剣士、魔術師、魔剣士など多くの分野が存在するこの学園での生活を楽しみにしています。以上です」

シーンと会場が静まり返る。

「ありがとうございました、次は閉会の儀です・・・」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

入学式のあと俺は学園長室に来ていた。

「まあ、取り敢えずお疲れ様と言っておこうかな。どうだいうちの学園は?」
「はい、最初に見た時あまりの大きさにうつつを抜かしてしまいました」

エターナルさんは椅子に腰掛けており机を挟む形で俺は立っていた。

「そうだろう何だってうちの学園はこの王都で二番目に大きな建造物だからな、それに私と2人きりの時はそこまで固くなる必要はないぞ。呼び方もエターナルでいい」
「いや、学園にいる間は学園長とお呼びします」
「君はお堅いなまああいつに似なかっただけマシか、それはそうと明日からの説明をしないとな」

そう俺は明日からこの学園に通う。

俺を推薦したのはエターナルさんなのだが今日まであまりしっかりとした説明はまだしてもらっていなかった。

「君は明日からこの学園に特待生として通ってもらう。前に推薦入学者は君が初めてだと言うことは話したな?」
「はいっ」
「入学式の反応を見ればわかるが君は多くの生徒の反感を買っているだろう。本来ならば厳しい入学試験があるのだがそれを君はスルーしているからね、まあ君の実力ならそれも簡単だとは思うが。友人を作るには少し難しいかもしれないがちょっとずつ馴染んでいけばいい」

「はいっ、まあ地道にやっていきます」

その話が終わった途端エターナルは少し真面目な顔して机に肘をつき手を合わせ握り込んだ。

「後、できるだけ学園内では怪眼を使わないでほしい。この事が公になると非常に面倒な事になる。やむをえない時以外は使用を控えてくれ。いつか信じられる友人が出来ればその時明かすといい」
「分かりました」
「いい返事だ。まあとにかく学園生活を楽しんでくれ、そしてあとは君の寮のことだが・・・」

バンっ!

エターナルさんが寮について話し始めた時学園長室の扉が勢いよく開かれたそこには水色の長髪を輝かせた少女が立っていた。
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