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4.なんで浮気相手に順位つけさせられる?
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さて、リリーのことをつらつらと説明したけれど、私は結局元夫の謝罪など何も受け入れず、ぱぱっと元夫を追い出した。
元夫の要求など理解できるはずありませんものね。
とはいえ、まぁそうやって夫をあっさりと突き放してみせた私だったけれど、しかし実際は心の中はモヤモヤしていた。
浮気で離婚しておいて、リリー目当てに復縁を願うだなんて、馬鹿にしているとしか思えないではないか!
それで、私はすっきりしないこの気持ちをリリーにまた埋めてもらおうと思った。
しかし、呼べども呼べども、リリーは来ない。
侍女たちにリリーを見かけたかと聞いても、みんな首をかしげるばかりである。
なんてことだ! リリーが行方不明!?
確かに昼、元夫の訪問時に退屈そうに部屋を出て行ってから、姿を見ていない。気まぐれな猫のことだしどっかに遊びに行ってるんでしょうと思っていたけど、夕方なっても帰らないことはこれまでなかった。
「もう、どこに行ったのよ」
と言いかけて、私はピンときた。
元夫か!? あの人が盗んだんじゃないかしら!
だってあの人は今日この邸を訪れていたもの。そしてその日にリリーがいなくなるなんて、タイミングが合いすぎるわ。
きっとうまいこと隙を見て連れて行ったのよ。
何ならこの邸を訪問したのは、謝罪のためなんかではなく、はなからリリーを盗むためだったんじゃないかしら?
私はさすがにいらいらした。
「浮気しておきながら、リリーを理由によりを戻そうとして。そしてついにはリリーを盗むなんて。どこまで人の道を逸れたら気が済むのかしら!」
私は、もう夜が近づいている時間だったけど、翌日まで待てばどんな隠蔽工作をされることかと心配して、元夫の邸に押しかけた。
一応使いの者は先に出しておいたけど、勢い任せの私の馬車は思ったより早く着いて、ほぼ突撃した形になっていた。
「ちょっと! ご用件があるんですけど!」
離婚した元嫁が押しかけて来たとなって、元夫の執事が顔色を変えて飛び出してきた。
「すぐに元夫に取り次いでちょうだい」
と私が言うと、執事は畏まって、すぐに下男に指示を出すと、自身は気を落ち着かせて、私を最上級の応接室に通した。
私はちょっと感慨深いものがあった。
ちょっと前までこの屋敷の女主人だったのに、今は応接室に通される身分になったなんて、なんだか変な気分ね。本当に離婚したんだわね。というか、結婚してたんだ。
私が応接室に入るかどうかのタイミングで、元夫がひどい形相で息せき切って応接室に飛び込んできた。
「リリーちゃんが行方不明だと!?」
私は元夫のその様子を見て、犯人は元夫じゃないことを悟った。
「あ、違うのね。じゃあいいです」
「何がじゃあいいです、だ! 状況を説明しろ! いつからいないんだ!」
「昼間はいましたよ。それはあなたもご存じでしょう?」
「そのあといなくなったのか?」
「みたいですね」
私はあんまり元夫と話すと疲れるので、さっさと切り上げたいオーラを前面に出して答えた。
元夫は、何か言いたげだったが、ぐっと口を噤んだ。
そのとき私はようやく元夫の姿をまじまじと見つめた。
もう夕刻で、この後の予定はないのだろう、寝間着は着ていなかったが、だいぶ寛いだ恰好をしていた。ガウンの前が少しはだけている。
髪の毛は相変わらず魔王みたいだったので、私は思わず苦笑した。
私たちは見つめ合っていた。
一体、夫婦やりながら何回こんなふうに目を見た事があったろう? 私は少し残念に思った。
「じゃ、探さなくちゃいけないので」
私はお暇しようとした。
すると元夫が慌てて口を開いた。
「ちょっと待て。心当たりがある」
私は驚いた。
「心当たりがあるならもっと早く言ってちょうだいよ」
「今、思いついたんだ。マリネットに違いない」
「マリネットさん? 何で?」
「嫉妬だろう。私が邸から追い出したものだから」
「マリネットさんはリリーのことは知ってるの?」
「知っていると思う。ストーカー行為も平気な人だから。これも見ているだろう」
そういって元夫は胸元からロケットのペンダントを取り出した。
かっこつけてぱちんとロケットを開くと、中にはリリーの姿絵が入っていた。しかも両面。
「ああ、これは……ねえ」
私は呆れて何とも言えない返事をした。
そしてこのロケットの中身を見ただろうマリネットさんに思いを馳せた。ストーカーかあ。つくづく、マリネットさんってアレな方だと思う。でも中身が猫で、彼女どんな風に思ったかしら?
「リリーちゃんは世にも稀な姿かたちをしている(※いや、ぱっと見は普通の白い長毛種……)。すぐに特定され、捕まってしまったに違いない!」
「じゃあすぐに取り戻して……」
と言いかけて私はやめた。
元夫が取り返したら、元夫はそのまま猫糞すると思ったから。
「ああ、もういいです。あとは私が……」
と私が言いかけると、元夫は私の考えが分かったらしい。
「あ、今、私がリリーちゃんを返さないと思っただろう」
「ええ、そう思いましたよ。その通りでしょ。返すと思える理由がどこにも見当たらない!」
私がつんとして言い返すと元夫もむっとした顔をした。
「なんだと!? 私を愚弄するのか」
「しますよ。3人もの方と浮気しくさって離婚したのに、猫を理由に復縁しようとして。あなたちょっと自由過ぎやしませんか」
「ん? おまえ、私の浮気を知っていたのか?」
「知っていましたとも。というか、バレてないと思ってらした?」
「いや、私に興味があったとは知らなかった」
「なんですって!? 仮にも夫婦だったのに!?」
「夫婦だと思っていてくれたのか?」
「夫婦じゃなかったら、じゃあ何なんですかー!」
私は呆れ返って思わず大声をあげてしまった。
元夫は驚いて、それから目をぱちぱちさせた。そして、気まずそうに答えた。
「……紙切れ一枚の、入籍」
「はい? ……えっと、入籍に違いはありませんけれども」
私は大声を出したことを少し恥ずかしく思いながらふいっと横を向いた。
元夫が黙ったまま私の方を眺めているのが分かった。私はそれを少し居心地悪く感じていると、不意に元夫が口を開いた。
「おまえが私の歴代恋人を知っていたとはね。で、誰が一番いい女だと思った?」
私はパッと元夫を振り返った。
「は? あなた気が狂っているの? なんで元妻に浮気相手の品定めをさせるんですか!」
「聞いているんだよ」
元夫は心なしか目を輝かせながら繰り返した。私が誰の名前を言うか興味があるようだった。
私は心底ばかばかしいと思った。こちらを舐めている元夫なんかに構う必要はないと思った。そう、今はリリーを探しに行かねばならないのだから!
「一番いい女はどう考えたって私ですよ。私は浮気女なんかじゃなくて正妻だったんですからね。心ある人間としてあなたは私を大事にすべきでした」
私はずっと言いたかった一言を言った。
そして言ってしまってから少し後悔して、慌てて口を噤むとくるりと背を向けた。
「……もう離縁した後ですから言っても意味がありませんけど。では、ごきげんよう」
元夫はまさか私に「私ですよ」と返されるとは思っていなかったようだ。
「待てっ」
と声をあげた。
とその時。
応接室に元夫の執事が駆け込んできた。扉が勢いよく開かれたので、元夫と私は驚いた。
この執事は普段は人形かと思うくらい感情を押し殺しているのに、だ。
元夫は驚きの色を隠しもせず
「どうした?」
と聞いた。
執事は、驚かせてしまったことで自分の取り乱しように気付いたらしい。ごくんと一息飲み込むと、また取り澄ました顔をした。
「すみませんでした。あの……旦那様、マリネット様が自殺未遂なさったようで」
こんな時分になんという知らせか。マリネットさんが自殺未遂だなんて!?
元夫の要求など理解できるはずありませんものね。
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浮気で離婚しておいて、リリー目当てに復縁を願うだなんて、馬鹿にしているとしか思えないではないか!
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しかし、呼べども呼べども、リリーは来ない。
侍女たちにリリーを見かけたかと聞いても、みんな首をかしげるばかりである。
なんてことだ! リリーが行方不明!?
確かに昼、元夫の訪問時に退屈そうに部屋を出て行ってから、姿を見ていない。気まぐれな猫のことだしどっかに遊びに行ってるんでしょうと思っていたけど、夕方なっても帰らないことはこれまでなかった。
「もう、どこに行ったのよ」
と言いかけて、私はピンときた。
元夫か!? あの人が盗んだんじゃないかしら!
だってあの人は今日この邸を訪れていたもの。そしてその日にリリーがいなくなるなんて、タイミングが合いすぎるわ。
きっとうまいこと隙を見て連れて行ったのよ。
何ならこの邸を訪問したのは、謝罪のためなんかではなく、はなからリリーを盗むためだったんじゃないかしら?
私はさすがにいらいらした。
「浮気しておきながら、リリーを理由によりを戻そうとして。そしてついにはリリーを盗むなんて。どこまで人の道を逸れたら気が済むのかしら!」
私は、もう夜が近づいている時間だったけど、翌日まで待てばどんな隠蔽工作をされることかと心配して、元夫の邸に押しかけた。
一応使いの者は先に出しておいたけど、勢い任せの私の馬車は思ったより早く着いて、ほぼ突撃した形になっていた。
「ちょっと! ご用件があるんですけど!」
離婚した元嫁が押しかけて来たとなって、元夫の執事が顔色を変えて飛び出してきた。
「すぐに元夫に取り次いでちょうだい」
と私が言うと、執事は畏まって、すぐに下男に指示を出すと、自身は気を落ち着かせて、私を最上級の応接室に通した。
私はちょっと感慨深いものがあった。
ちょっと前までこの屋敷の女主人だったのに、今は応接室に通される身分になったなんて、なんだか変な気分ね。本当に離婚したんだわね。というか、結婚してたんだ。
私が応接室に入るかどうかのタイミングで、元夫がひどい形相で息せき切って応接室に飛び込んできた。
「リリーちゃんが行方不明だと!?」
私は元夫のその様子を見て、犯人は元夫じゃないことを悟った。
「あ、違うのね。じゃあいいです」
「何がじゃあいいです、だ! 状況を説明しろ! いつからいないんだ!」
「昼間はいましたよ。それはあなたもご存じでしょう?」
「そのあといなくなったのか?」
「みたいですね」
私はあんまり元夫と話すと疲れるので、さっさと切り上げたいオーラを前面に出して答えた。
元夫は、何か言いたげだったが、ぐっと口を噤んだ。
そのとき私はようやく元夫の姿をまじまじと見つめた。
もう夕刻で、この後の予定はないのだろう、寝間着は着ていなかったが、だいぶ寛いだ恰好をしていた。ガウンの前が少しはだけている。
髪の毛は相変わらず魔王みたいだったので、私は思わず苦笑した。
私たちは見つめ合っていた。
一体、夫婦やりながら何回こんなふうに目を見た事があったろう? 私は少し残念に思った。
「じゃ、探さなくちゃいけないので」
私はお暇しようとした。
すると元夫が慌てて口を開いた。
「ちょっと待て。心当たりがある」
私は驚いた。
「心当たりがあるならもっと早く言ってちょうだいよ」
「今、思いついたんだ。マリネットに違いない」
「マリネットさん? 何で?」
「嫉妬だろう。私が邸から追い出したものだから」
「マリネットさんはリリーのことは知ってるの?」
「知っていると思う。ストーカー行為も平気な人だから。これも見ているだろう」
そういって元夫は胸元からロケットのペンダントを取り出した。
かっこつけてぱちんとロケットを開くと、中にはリリーの姿絵が入っていた。しかも両面。
「ああ、これは……ねえ」
私は呆れて何とも言えない返事をした。
そしてこのロケットの中身を見ただろうマリネットさんに思いを馳せた。ストーカーかあ。つくづく、マリネットさんってアレな方だと思う。でも中身が猫で、彼女どんな風に思ったかしら?
「リリーちゃんは世にも稀な姿かたちをしている(※いや、ぱっと見は普通の白い長毛種……)。すぐに特定され、捕まってしまったに違いない!」
「じゃあすぐに取り戻して……」
と言いかけて私はやめた。
元夫が取り返したら、元夫はそのまま猫糞すると思ったから。
「ああ、もういいです。あとは私が……」
と私が言いかけると、元夫は私の考えが分かったらしい。
「あ、今、私がリリーちゃんを返さないと思っただろう」
「ええ、そう思いましたよ。その通りでしょ。返すと思える理由がどこにも見当たらない!」
私がつんとして言い返すと元夫もむっとした顔をした。
「なんだと!? 私を愚弄するのか」
「しますよ。3人もの方と浮気しくさって離婚したのに、猫を理由に復縁しようとして。あなたちょっと自由過ぎやしませんか」
「ん? おまえ、私の浮気を知っていたのか?」
「知っていましたとも。というか、バレてないと思ってらした?」
「いや、私に興味があったとは知らなかった」
「なんですって!? 仮にも夫婦だったのに!?」
「夫婦だと思っていてくれたのか?」
「夫婦じゃなかったら、じゃあ何なんですかー!」
私は呆れ返って思わず大声をあげてしまった。
元夫は驚いて、それから目をぱちぱちさせた。そして、気まずそうに答えた。
「……紙切れ一枚の、入籍」
「はい? ……えっと、入籍に違いはありませんけれども」
私は大声を出したことを少し恥ずかしく思いながらふいっと横を向いた。
元夫が黙ったまま私の方を眺めているのが分かった。私はそれを少し居心地悪く感じていると、不意に元夫が口を開いた。
「おまえが私の歴代恋人を知っていたとはね。で、誰が一番いい女だと思った?」
私はパッと元夫を振り返った。
「は? あなた気が狂っているの? なんで元妻に浮気相手の品定めをさせるんですか!」
「聞いているんだよ」
元夫は心なしか目を輝かせながら繰り返した。私が誰の名前を言うか興味があるようだった。
私は心底ばかばかしいと思った。こちらを舐めている元夫なんかに構う必要はないと思った。そう、今はリリーを探しに行かねばならないのだから!
「一番いい女はどう考えたって私ですよ。私は浮気女なんかじゃなくて正妻だったんですからね。心ある人間としてあなたは私を大事にすべきでした」
私はずっと言いたかった一言を言った。
そして言ってしまってから少し後悔して、慌てて口を噤むとくるりと背を向けた。
「……もう離縁した後ですから言っても意味がありませんけど。では、ごきげんよう」
元夫はまさか私に「私ですよ」と返されるとは思っていなかったようだ。
「待てっ」
と声をあげた。
とその時。
応接室に元夫の執事が駆け込んできた。扉が勢いよく開かれたので、元夫と私は驚いた。
この執事は普段は人形かと思うくらい感情を押し殺しているのに、だ。
元夫は驚きの色を隠しもせず
「どうした?」
と聞いた。
執事は、驚かせてしまったことで自分の取り乱しように気付いたらしい。ごくんと一息飲み込むと、また取り澄ました顔をした。
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