12 / 14
12.あいつは許しておけまい 中編
しおりを挟む
「ああ、分かった。分かったよ。そうさ、この結婚は愛だけじゃあない。俺は、俺たちは、マリアンヌを王太子妃にしてやる必要があったのさ。でもな、それの何が悪い! 王族の結婚なんて政略結婚が基本だ、それを何で今更」
アシェッド王太子は開き直った。
「えー? いやいやいや!」
メリーウェザーは不平の声をあげた。
「何だ」
「何だじゃございませんでしょう? 私、殺されかけてるんですけど!? 一方的な婚約破棄の口封じだとか言って! いやいやいや、一方的な婚約破棄っていうのも相当な礼儀違反だと思いますけど、それ以上に、殺すとか何? せめて相談して下れば、私が同意すれば婚約の解消だって十分に穏便に行けたかもしれませんよ。殺人を何だと思っているのです。私も自分ができた人間だとは言いませんけれど、処刑されるほどの罪は犯していないつもりです」
メリーウェザーは真っすぐにアシェッド王太子の顔を見た。
あの日崖の上で言わせてもらったけど、あっさり無視されて海に突き落とされたから、ここは観客の前できちんと言ってやらなくちゃ!
アシェッド王太子は冷や汗を流して顔を背けた。
「あ、ちょっと。だんまりですか? ずるいじゃないですかーっ」
メリーウェザーは不満たっぷりに地団太を踏んだ。
が、アシェッド王太子もマリアンヌも無視するので、しょぼんとなってぷうっと頬をふくらませた。
「じゃあもう言っちゃいますけど、マリアンヌさんが私を殺すよう主張なさったのかしらって思っているのですけれど」
メリーウェザーは、アシェッド王太子の横でふてぶてしく腕組みをしているマリアンヌの方を見た。
マリアンヌは首を軽く傾げて見せた。
「何のことかしら」
メリーウェザーはキッと真面目な顔でマリアンヌを睨んだ。
「あなたは賢い方だから、将来の不安の芽を摘んどこうと考えたのかなって。マリアンヌさんは商家の娘さんですから、貴族が将来にわたっていつまでも自分の味方で居続けてくれるとは考えていない。マリアンヌさんが口を出せば出す程、貴族が敵に回る可能性も出てくるでしょう。そうなれば、敵性貴族に真っ先に担ぎ出されるのは私でしょうからね。一方的な婚約破棄で王室乗っ取りだなんて、マリアンヌさんを断罪するいい理由になりますもの。そんな悪い将来を見越して、私に事故死してもらった方が都合がいいと思ったんじゃないかなって」
マリアンヌの額を汗がつーっと流れた。
が、マリアンヌ嬢は取り澄ましたまま首を軽く横に振った。
「さっきからいったい何のことかしら」
メリーウェザーはいい加減腹が立ってきた。殺そうとした上に、それを決して認めないなんて。謝ってほしいのに。
そして息を吸い込んだ。
「あくまで白を切るつもりなんですね。でも無駄ですよ。実は、私を海から突き落とした男の一人を身柄確保しているんです」
「は?」
マリアンヌの眉がピクリと動いた。
が、また涼しい顔をする。
「またまた冗談を。そんな人いませんけど」
メリーウェザーは「そりゃ信用しませんよね」とちょっとがっかりした顔をした。
「まあそうですよね。あなたに不利な証言なんてするまいと思っているんでしょう。でもねえ、白状しましたよ、その男は。なんならはっきりと命令書まで見せてくれました。……意外でしたよ、あなたが犯罪の証拠を文書なんかに残すなんてね」
が、マリアンヌはぷいっとよそを向いた。
「う、嘘よ。私を揺さぶっているのね。証拠を得たなんて嘘。そうやって私を騙して、私を自白させようって魂胆なんでしょうけど、おあいにく様。そんな手にはのらないわ。そんな男は知らないし。もしそんな男がいたとしても、あなたには下手人を脅すカードなんて持ちあわせちゃいないはずよ」
メリーウェザーはその言葉に心外だといった顔をした。
「いえいえ、とんでもないです、男の自白は簡単でしたよ! だってあなたの正体をばらしてやったもの!」
「!!!」
ついにマリアンヌは露骨に顔色を変えた。
「正体ですって! なぜ……!」
メリーウェザーはそこまで言ってからマリアンヌから視線を外し、アシェッド王太子の方を見た。
「アシェッド王太子様もねえ、マリアンヌさんの正体を知ったら結婚やめろって言う意味が分かると思いますけど」
アシェッド王太子は目を丸く見開いて聞き返した。
「マリアンヌの正体だと? おまえは何を言っているんだ。結婚をやめろという理由?」
メリーウェザーは頷いた。
「ええ。マリアンヌさんの正体はねえ、さすがに私もちょっと見過ごせませんでした。私はなにも身分のことを言っているわけではありません。マリアンヌさんのご実家は外国でお爺様の代で爵位を金で買った家柄ですが、そんな身分だからと頭ごなしに結婚を否定したりはしません。そりゃ王族の結婚と思うと、マリアンヌさんの実家のような身分だとちょっと斬新だなあとは思いますけど。まあ本人が好き合っていたりそれなりの理由がございましたら、その身分でも可能な場合もあるかと思います。しかし、マリアンヌさんという人選に限ってはちょっと受け入れられません。国民をバカにしているとしか思えませんもの!」
「バカにしているだと?」
アシェッド王太子は本当に思い当たる節がないようできょとんとしている。
「メリーウェザー様! あんまり突飛な嘘はつかないことよ!」
マリアンヌが牽制した。
マリアンヌの語調が強いので、メリーウェザーはちょっとタジタジとしたが、恐る恐る口を開いた。
「えっと、嘘じゃあございません。マリアンヌさんのお爺様は海賊でしたでしょう?」
「か、海賊!?」
アシェッド王太子は驚きすぎて声がかすれていた。
アシェッド王太子は開き直った。
「えー? いやいやいや!」
メリーウェザーは不平の声をあげた。
「何だ」
「何だじゃございませんでしょう? 私、殺されかけてるんですけど!? 一方的な婚約破棄の口封じだとか言って! いやいやいや、一方的な婚約破棄っていうのも相当な礼儀違反だと思いますけど、それ以上に、殺すとか何? せめて相談して下れば、私が同意すれば婚約の解消だって十分に穏便に行けたかもしれませんよ。殺人を何だと思っているのです。私も自分ができた人間だとは言いませんけれど、処刑されるほどの罪は犯していないつもりです」
メリーウェザーは真っすぐにアシェッド王太子の顔を見た。
あの日崖の上で言わせてもらったけど、あっさり無視されて海に突き落とされたから、ここは観客の前できちんと言ってやらなくちゃ!
アシェッド王太子は冷や汗を流して顔を背けた。
「あ、ちょっと。だんまりですか? ずるいじゃないですかーっ」
メリーウェザーは不満たっぷりに地団太を踏んだ。
が、アシェッド王太子もマリアンヌも無視するので、しょぼんとなってぷうっと頬をふくらませた。
「じゃあもう言っちゃいますけど、マリアンヌさんが私を殺すよう主張なさったのかしらって思っているのですけれど」
メリーウェザーは、アシェッド王太子の横でふてぶてしく腕組みをしているマリアンヌの方を見た。
マリアンヌは首を軽く傾げて見せた。
「何のことかしら」
メリーウェザーはキッと真面目な顔でマリアンヌを睨んだ。
「あなたは賢い方だから、将来の不安の芽を摘んどこうと考えたのかなって。マリアンヌさんは商家の娘さんですから、貴族が将来にわたっていつまでも自分の味方で居続けてくれるとは考えていない。マリアンヌさんが口を出せば出す程、貴族が敵に回る可能性も出てくるでしょう。そうなれば、敵性貴族に真っ先に担ぎ出されるのは私でしょうからね。一方的な婚約破棄で王室乗っ取りだなんて、マリアンヌさんを断罪するいい理由になりますもの。そんな悪い将来を見越して、私に事故死してもらった方が都合がいいと思ったんじゃないかなって」
マリアンヌの額を汗がつーっと流れた。
が、マリアンヌ嬢は取り澄ましたまま首を軽く横に振った。
「さっきからいったい何のことかしら」
メリーウェザーはいい加減腹が立ってきた。殺そうとした上に、それを決して認めないなんて。謝ってほしいのに。
そして息を吸い込んだ。
「あくまで白を切るつもりなんですね。でも無駄ですよ。実は、私を海から突き落とした男の一人を身柄確保しているんです」
「は?」
マリアンヌの眉がピクリと動いた。
が、また涼しい顔をする。
「またまた冗談を。そんな人いませんけど」
メリーウェザーは「そりゃ信用しませんよね」とちょっとがっかりした顔をした。
「まあそうですよね。あなたに不利な証言なんてするまいと思っているんでしょう。でもねえ、白状しましたよ、その男は。なんならはっきりと命令書まで見せてくれました。……意外でしたよ、あなたが犯罪の証拠を文書なんかに残すなんてね」
が、マリアンヌはぷいっとよそを向いた。
「う、嘘よ。私を揺さぶっているのね。証拠を得たなんて嘘。そうやって私を騙して、私を自白させようって魂胆なんでしょうけど、おあいにく様。そんな手にはのらないわ。そんな男は知らないし。もしそんな男がいたとしても、あなたには下手人を脅すカードなんて持ちあわせちゃいないはずよ」
メリーウェザーはその言葉に心外だといった顔をした。
「いえいえ、とんでもないです、男の自白は簡単でしたよ! だってあなたの正体をばらしてやったもの!」
「!!!」
ついにマリアンヌは露骨に顔色を変えた。
「正体ですって! なぜ……!」
メリーウェザーはそこまで言ってからマリアンヌから視線を外し、アシェッド王太子の方を見た。
「アシェッド王太子様もねえ、マリアンヌさんの正体を知ったら結婚やめろって言う意味が分かると思いますけど」
アシェッド王太子は目を丸く見開いて聞き返した。
「マリアンヌの正体だと? おまえは何を言っているんだ。結婚をやめろという理由?」
メリーウェザーは頷いた。
「ええ。マリアンヌさんの正体はねえ、さすがに私もちょっと見過ごせませんでした。私はなにも身分のことを言っているわけではありません。マリアンヌさんのご実家は外国でお爺様の代で爵位を金で買った家柄ですが、そんな身分だからと頭ごなしに結婚を否定したりはしません。そりゃ王族の結婚と思うと、マリアンヌさんの実家のような身分だとちょっと斬新だなあとは思いますけど。まあ本人が好き合っていたりそれなりの理由がございましたら、その身分でも可能な場合もあるかと思います。しかし、マリアンヌさんという人選に限ってはちょっと受け入れられません。国民をバカにしているとしか思えませんもの!」
「バカにしているだと?」
アシェッド王太子は本当に思い当たる節がないようできょとんとしている。
「メリーウェザー様! あんまり突飛な嘘はつかないことよ!」
マリアンヌが牽制した。
マリアンヌの語調が強いので、メリーウェザーはちょっとタジタジとしたが、恐る恐る口を開いた。
「えっと、嘘じゃあございません。マリアンヌさんのお爺様は海賊でしたでしょう?」
「か、海賊!?」
アシェッド王太子は驚きすぎて声がかすれていた。
2
お気に入りに追加
395
あなたにおすすめの小説
どうやらお前、死んだらしいぞ? ~変わり者令嬢は父親に報復する~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「ビクティー・シークランドは、どうやら死んでしまったらしいぞ?」
「はぁ? 殿下、アンタついに頭沸いた?」
私は思わずそう言った。
だって仕方がないじゃない、普通にビックリしたんだから。
***
私、ビクティー・シークランドは少し変わった令嬢だ。
お世辞にも淑女然としているとは言えず、男が好む政治事に興味を持ってる。
だから父からも煙たがられているのは自覚があった。
しかしある日、殺されそうになった事で彼女は決める。
「必ず仕返ししてやろう」って。
そんな令嬢の人望と理性に支えられた大勝負をご覧あれ。
エリナの物語
シマセイ
ファンタジー
マリウス王国デュラン公爵家の三女エリナは、側室の娘として虐げられてきた。
毎日のように繰り返される姉妹からの嫌がらせに、エリナはただ耐えるしかなかった。だが、心の奥底では、いつかこの屈辱を晴らす日を夢見ていた。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
悪役令嬢を陥れようとして失敗したヒロインのその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
女伯グリゼルダはもう不惑の歳だが、過去に起こしたスキャンダルが原因で異性から敬遠され未だに独身だった。
二十二年前、グリゼルダは恋仲になった王太子と結託して彼の婚約者である公爵令嬢を陥れようとした。
けれど、返り討ちに遭ってしまい、結局恋人である王太子とも破局してしまったのだ。
ある時、グリゼルダは王都で開かれた仮面舞踏会に参加する。そこで、トラヴィスという年下の青年と知り合ったグリゼルダは彼と恋仲になった。そして、どんどん彼に夢中になっていく。
だが、ある日。トラヴィスは、突然グリゼルダの前から姿を消してしまう。グリゼルダはショックのあまり倒れてしまい、気づいた時には病院のベッドの上にいた。
グリゼルダは、心配そうに自分の顔を覗き込む執事にトラヴィスと連絡が取れなくなってしまったことを伝える。すると、執事は首を傾げた。
そして、困惑した様子でグリゼルダに尋ねたのだ。「トラヴィスって、一体誰ですか? そんな方、この世に存在しませんよね?」と──。

下級兵士は断罪された追放令嬢を護送する。
やすぴこ
ファンタジー
「ジョセフィーヌ!! 貴様を断罪する!!」
王立学園で行われたプロムナード開催式の場で、公爵令嬢ジョセフィーヌは婚約者から婚約破棄と共に数々の罪を断罪される。
愛していた者からの慈悲無き宣告、親しかった者からの嫌悪、信じていた者からの侮蔑。
弁解の機会も与えられず、その場で悪名高い国外れの修道院送りが決定した。
このお話はそんな事情で王都を追放された悪役令嬢の素性を知らぬまま、修道院まで護送する下級兵士の恋物語である。
この度なろう、アルファ、カクヨムで同時完結しました。
(なろう版だけ諸事情で18話と19話が一本となっておりますが、内容は同じです)

エヴァの輝き 〜追放された公爵令嬢の逆転劇〜
ゆる
恋愛
婚約破棄、爵位剥奪、そして追放――。
公爵令嬢 エヴァ・ローレンス は、王太子 レオポルド によって舞踏会の場で婚約を破棄され、すべてを失った。
新たに聖女として迎えられたのは、平民出身の少女 セシリア。
「お前には愛がない」と罵られ、実家も没落し、絶望の底に突き落とされるエヴァ。
しかし、彼女は決して屈しなかった。
残されたのは、彼女自身の 知識と才能 だけ――。
宝石加工と魔法の技術を頼りに、商業都市 オルディア へと旅立ち、そこから 新たな人生 を切り拓いていく。
やがてその名は「オルディアの宝石姫」として広まり、隣国 エルヴァンの若き皇帝アレクサンドル との運命的な出会いを果たす。
一方、エヴァを追放した王国は、セシリアの偽りの聖女としての正体が暴かれ、経済の崩壊、貴族の動揺、民衆の不満によって没落の一途を辿る。
「エヴァを追放したのは誤りだったのでは…?」
後悔に苛まれた王太子レオポルドは、エヴァを取り戻そうとするが、時すでに遅かった。
「私はもう、王国の民ではありません」
過去の栄光にすがる者たちを振り切り、エヴァが選ぶのは 新たな人生と未来。
アレクサンドルと共に歩む決意をし、皇后として国を導く道を進んでいく――。
「これは、運命に抗い、自らの輝きを取り戻す物語。」
悪役令嬢エリザベート物語
kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ
公爵令嬢である。
前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。
ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。
父はアフレイド・ノイズ公爵。
ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。
魔法騎士団の総団長でもある。
母はマーガレット。
隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。
兄の名前はリアム。
前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。
そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。
王太子と婚約なんてするものか。
国外追放になどなるものか。
乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。
私は人生をあきらめない。
エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。
⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる