8 / 14
8.王妃にふさわしくない
しおりを挟む
そのとき、
「その女をどうする気だ」
と声がした。
「誰だ」
アシェッド王太子が振り返った。メリーウェザーも思わず声のに目をやると、そこにはリカルドが燃えるような目で立っていた。
「その女性は私のものだから君がどうこうする権利はない」
リカルドは威圧的に言い放った。
アシェッド王太子はカッとなった。
「なんだと? 俺がこの女を買うと言っているのだ」
「買うとか以前の話だ。彼女は私のものだったが、盗まれたのだよ。そして知らぬ間に売られていた。騙された奴隷商には不本意ながら金を払ってやるつもりだが、もともとの所有権は私のものだから。ねえ?」
リカルドはこそっとメリーウェザーにウインクする。話を合わせろという意味だ。
「は、はいっ」
メリーウェザーはこくこくと頷いた。
メリーウェザーはぼーっとなっていた。リカルド殿下が助けに来てくれた。そりゃこの場を収めるためだけど、『私のもの』と言ってくれた。このままリカルド殿下のものになりたい。
アシェッド王太子はそんなメリーウェザーの表情を見逃さなかったようだ。
イラっとした様子で、
「おまえのもの? ではもっと遡って言おう。こいつはもともとは俺の婚約者だった。だから俺のものだ」
とぶっきらぼうに言い返した。
「婚約は破棄したんだろう? 君の方から。彼女がそう言っていたよ。というか、婚約ごときでおまえの所有物扱いというのは少々ひどいな」
「ひどい? おまえだって所有物扱いしてるじゃないか」
「ああ、そうか。ははは」
リカルドは軽く笑って見せた。
「が、まあ、とりあえず、彼女は私のものだ。その手を離したまえ」
しかしアシェッド王太子はキッとリカルドを睨むと、メリーウェザーの腕を余計に強く握り、ぐっと引き寄せた。
「嫌だ。元婚約者の令嬢を夜伽の奴隷にさんざん使ってやるんだ。こんな楽しみはない」
リカルドは呆れたようにため息をついた。
「おまえの性癖ってどうなっているんだ?」
「そうよ。マリアンヌ様がかわいそうだわ!」
メリーウェザーも心底気持ち悪いと思い、アシェッド王太子の腕を振り払った。
リカルドの方もその一瞬でメリーウェザーをさっと抱き寄せる。
「こんなのと婚約を破棄できてよかったな、メリーウェザー」
とリカルドが言うので、メリーウェザーは大きく頷いた。
そのとき階下がざわつく音が聞こえてきた。
何事だろうか、大勢が押し掛けてくるような気配がした。
メリーウェザーが緊張して入って来る者をじっと待っていたら、入ってきたのはリカルドの婚約者のガーネットだった。
「あ、リカルド殿下の婚約者様……」
メリーウェザーが委縮する。
そうだ。助けに来てもらって嬉しかったメリーウェザーだけれど、リカルドにはこの婚約者がいた! 状況はあんまり進展していないのだった。
「ガーネット。こんなところまで追いかけてきたのかい」
リカルドがため息をついた。
その様子にガーネットは激昂した。
「リカルド殿下! 何、こんな小娘を追ってわざわざヒトの国まで? しかも私との婚約を破棄してってどういうことですの?」
ガーネット様と婚約を破棄? メリーウェザーは驚いた。あれ? 状況が進展している?
リカルドはふうっと大きく息を吐いた。
「それは君があまりにも常識を逸していたからだよ。気に入らないからと無実の娘を攫って女奴隷として売り払うとか、悪いけど正気とは思えない。無実の者を奴隷だなんて、何の正当性があって身体の自由を奪う権利があるんだ? 君は、自国民の娘にも同じことをするのか?」
「あ……」
ガーネットはたじたじとなった。
リカルドはさらに続けた。
「そんなことを平気でできる女なんて、とてもじゃないが王妃にはできない。国民が危険すぎる。それはきちんと説明したはずだ」
ガーネットは目に涙を溜めてリカルドの足元にひれ伏した。
「私がこの娘を攫って売っただなんて、どこに証拠があるというのです……濡れ衣ですわ」
しかしリカルドはガーネットを冷たい目で見降ろした。
「濡れ衣だと? ここに来ているではないか。私は侍従にも行先を言わなかった。君は私をどうやって追えるのだ? 私が助けにいくはずのメリーウェザーの居場所、自分の手下に聞いたのだろう?」
「そんなの知りません! 手下って何ですか? 私はあなたの後を追っただけです!」
ガーネットは言い張った。
リカルドは悲しそうな目をした。
「ガーネット。君の手下の一人をな、私はすでに捕えているんだ」
「あ……」
ガーネットは言葉を失った。だがしばらくの沈黙の後、ガーネットは恨めしそうな顔をして叫んだ。
「わ、私はあなたを愛していたのに……だから許せなかったの。公衆の面前で他の女とまるで痴話げんかでもしているかのように振舞って……。こうさせたのはあなたではありませんか!」
「痴話げんかって何だ? 私とメリーウェザーは誓って何もないぞ! そんな誤解で奴隷として売り飛ばしていいと思っているなら、ガーネット、やはり君は王妃には向いていないよ。君は権力を持ってはいけない」
リカルドは族長として断じた。
ガーネットは唇を震わせた。
リカルドは続ける。
「断じて私は不貞な行為はしていないよ。愛してくれてありがとう、ガーネット。しかし、被害妄想からあっさりと人身売買に手を染めたのは看過できない」
ガーネットはついに泣き出してしまった。
「にしても」
リカルドはアシェッド王子の方を向いた。
「私の国では奴隷のような人身売買は許されていないのだがな。君の国はそういった事が平気と見える。しかもそれを王族が、下世話にも密かな楽しみとして自ら買おうというのだからな。良識を疑う」
アシェッド王太子は顔を赤くした。
リカルドは続ける。
「それどころか婚約者だった女をそういう目的に使おうというのだから。君には人の心がないのか? 上に立つ者としての素質が疑われる。そんな国はさっさと滅びるだろう」
「貴様……!」
アシェッド王太子はあまりの侮辱の言葉に拳を握りしめた。
しかしリカルドはそんなアシェッド王太子の顔は無視して、部屋の売られた女たちを見渡した。
「私は海竜の一族だが、こんな気の毒な立場に追いやられたヒトを見ると心が痛むね。ここの女性たちが望むのなら私の国で保護するが」
「はいっ」
売られていた女たちはイマイチ話を理解していなかったものの、保護という言葉に食いついてパッと顔を輝かせた。
その様子を見て、リカルドはさらに眉間にしわを寄せた。
「見ろ。この解放を喜ぶ顔を。自国民が何を望んでいるのか、これでも君には理解できないか」
リカルドはアシェッド王太子の顔を冷たく一瞥した。
「その女をどうする気だ」
と声がした。
「誰だ」
アシェッド王太子が振り返った。メリーウェザーも思わず声のに目をやると、そこにはリカルドが燃えるような目で立っていた。
「その女性は私のものだから君がどうこうする権利はない」
リカルドは威圧的に言い放った。
アシェッド王太子はカッとなった。
「なんだと? 俺がこの女を買うと言っているのだ」
「買うとか以前の話だ。彼女は私のものだったが、盗まれたのだよ。そして知らぬ間に売られていた。騙された奴隷商には不本意ながら金を払ってやるつもりだが、もともとの所有権は私のものだから。ねえ?」
リカルドはこそっとメリーウェザーにウインクする。話を合わせろという意味だ。
「は、はいっ」
メリーウェザーはこくこくと頷いた。
メリーウェザーはぼーっとなっていた。リカルド殿下が助けに来てくれた。そりゃこの場を収めるためだけど、『私のもの』と言ってくれた。このままリカルド殿下のものになりたい。
アシェッド王太子はそんなメリーウェザーの表情を見逃さなかったようだ。
イラっとした様子で、
「おまえのもの? ではもっと遡って言おう。こいつはもともとは俺の婚約者だった。だから俺のものだ」
とぶっきらぼうに言い返した。
「婚約は破棄したんだろう? 君の方から。彼女がそう言っていたよ。というか、婚約ごときでおまえの所有物扱いというのは少々ひどいな」
「ひどい? おまえだって所有物扱いしてるじゃないか」
「ああ、そうか。ははは」
リカルドは軽く笑って見せた。
「が、まあ、とりあえず、彼女は私のものだ。その手を離したまえ」
しかしアシェッド王太子はキッとリカルドを睨むと、メリーウェザーの腕を余計に強く握り、ぐっと引き寄せた。
「嫌だ。元婚約者の令嬢を夜伽の奴隷にさんざん使ってやるんだ。こんな楽しみはない」
リカルドは呆れたようにため息をついた。
「おまえの性癖ってどうなっているんだ?」
「そうよ。マリアンヌ様がかわいそうだわ!」
メリーウェザーも心底気持ち悪いと思い、アシェッド王太子の腕を振り払った。
リカルドの方もその一瞬でメリーウェザーをさっと抱き寄せる。
「こんなのと婚約を破棄できてよかったな、メリーウェザー」
とリカルドが言うので、メリーウェザーは大きく頷いた。
そのとき階下がざわつく音が聞こえてきた。
何事だろうか、大勢が押し掛けてくるような気配がした。
メリーウェザーが緊張して入って来る者をじっと待っていたら、入ってきたのはリカルドの婚約者のガーネットだった。
「あ、リカルド殿下の婚約者様……」
メリーウェザーが委縮する。
そうだ。助けに来てもらって嬉しかったメリーウェザーだけれど、リカルドにはこの婚約者がいた! 状況はあんまり進展していないのだった。
「ガーネット。こんなところまで追いかけてきたのかい」
リカルドがため息をついた。
その様子にガーネットは激昂した。
「リカルド殿下! 何、こんな小娘を追ってわざわざヒトの国まで? しかも私との婚約を破棄してってどういうことですの?」
ガーネット様と婚約を破棄? メリーウェザーは驚いた。あれ? 状況が進展している?
リカルドはふうっと大きく息を吐いた。
「それは君があまりにも常識を逸していたからだよ。気に入らないからと無実の娘を攫って女奴隷として売り払うとか、悪いけど正気とは思えない。無実の者を奴隷だなんて、何の正当性があって身体の自由を奪う権利があるんだ? 君は、自国民の娘にも同じことをするのか?」
「あ……」
ガーネットはたじたじとなった。
リカルドはさらに続けた。
「そんなことを平気でできる女なんて、とてもじゃないが王妃にはできない。国民が危険すぎる。それはきちんと説明したはずだ」
ガーネットは目に涙を溜めてリカルドの足元にひれ伏した。
「私がこの娘を攫って売っただなんて、どこに証拠があるというのです……濡れ衣ですわ」
しかしリカルドはガーネットを冷たい目で見降ろした。
「濡れ衣だと? ここに来ているではないか。私は侍従にも行先を言わなかった。君は私をどうやって追えるのだ? 私が助けにいくはずのメリーウェザーの居場所、自分の手下に聞いたのだろう?」
「そんなの知りません! 手下って何ですか? 私はあなたの後を追っただけです!」
ガーネットは言い張った。
リカルドは悲しそうな目をした。
「ガーネット。君の手下の一人をな、私はすでに捕えているんだ」
「あ……」
ガーネットは言葉を失った。だがしばらくの沈黙の後、ガーネットは恨めしそうな顔をして叫んだ。
「わ、私はあなたを愛していたのに……だから許せなかったの。公衆の面前で他の女とまるで痴話げんかでもしているかのように振舞って……。こうさせたのはあなたではありませんか!」
「痴話げんかって何だ? 私とメリーウェザーは誓って何もないぞ! そんな誤解で奴隷として売り飛ばしていいと思っているなら、ガーネット、やはり君は王妃には向いていないよ。君は権力を持ってはいけない」
リカルドは族長として断じた。
ガーネットは唇を震わせた。
リカルドは続ける。
「断じて私は不貞な行為はしていないよ。愛してくれてありがとう、ガーネット。しかし、被害妄想からあっさりと人身売買に手を染めたのは看過できない」
ガーネットはついに泣き出してしまった。
「にしても」
リカルドはアシェッド王子の方を向いた。
「私の国では奴隷のような人身売買は許されていないのだがな。君の国はそういった事が平気と見える。しかもそれを王族が、下世話にも密かな楽しみとして自ら買おうというのだからな。良識を疑う」
アシェッド王太子は顔を赤くした。
リカルドは続ける。
「それどころか婚約者だった女をそういう目的に使おうというのだから。君には人の心がないのか? 上に立つ者としての素質が疑われる。そんな国はさっさと滅びるだろう」
「貴様……!」
アシェッド王太子はあまりの侮辱の言葉に拳を握りしめた。
しかしリカルドはそんなアシェッド王太子の顔は無視して、部屋の売られた女たちを見渡した。
「私は海竜の一族だが、こんな気の毒な立場に追いやられたヒトを見ると心が痛むね。ここの女性たちが望むのなら私の国で保護するが」
「はいっ」
売られていた女たちはイマイチ話を理解していなかったものの、保護という言葉に食いついてパッと顔を輝かせた。
その様子を見て、リカルドはさらに眉間にしわを寄せた。
「見ろ。この解放を喜ぶ顔を。自国民が何を望んでいるのか、これでも君には理解できないか」
リカルドはアシェッド王太子の顔を冷たく一瞥した。
1
お気に入りに追加
395
あなたにおすすめの小説
どうやらお前、死んだらしいぞ? ~変わり者令嬢は父親に報復する~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「ビクティー・シークランドは、どうやら死んでしまったらしいぞ?」
「はぁ? 殿下、アンタついに頭沸いた?」
私は思わずそう言った。
だって仕方がないじゃない、普通にビックリしたんだから。
***
私、ビクティー・シークランドは少し変わった令嬢だ。
お世辞にも淑女然としているとは言えず、男が好む政治事に興味を持ってる。
だから父からも煙たがられているのは自覚があった。
しかしある日、殺されそうになった事で彼女は決める。
「必ず仕返ししてやろう」って。
そんな令嬢の人望と理性に支えられた大勝負をご覧あれ。
エリナの物語
シマセイ
ファンタジー
マリウス王国デュラン公爵家の三女エリナは、側室の娘として虐げられてきた。
毎日のように繰り返される姉妹からの嫌がらせに、エリナはただ耐えるしかなかった。だが、心の奥底では、いつかこの屈辱を晴らす日を夢見ていた。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
悪役令嬢を陥れようとして失敗したヒロインのその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
女伯グリゼルダはもう不惑の歳だが、過去に起こしたスキャンダルが原因で異性から敬遠され未だに独身だった。
二十二年前、グリゼルダは恋仲になった王太子と結託して彼の婚約者である公爵令嬢を陥れようとした。
けれど、返り討ちに遭ってしまい、結局恋人である王太子とも破局してしまったのだ。
ある時、グリゼルダは王都で開かれた仮面舞踏会に参加する。そこで、トラヴィスという年下の青年と知り合ったグリゼルダは彼と恋仲になった。そして、どんどん彼に夢中になっていく。
だが、ある日。トラヴィスは、突然グリゼルダの前から姿を消してしまう。グリゼルダはショックのあまり倒れてしまい、気づいた時には病院のベッドの上にいた。
グリゼルダは、心配そうに自分の顔を覗き込む執事にトラヴィスと連絡が取れなくなってしまったことを伝える。すると、執事は首を傾げた。
そして、困惑した様子でグリゼルダに尋ねたのだ。「トラヴィスって、一体誰ですか? そんな方、この世に存在しませんよね?」と──。

下級兵士は断罪された追放令嬢を護送する。
やすぴこ
ファンタジー
「ジョセフィーヌ!! 貴様を断罪する!!」
王立学園で行われたプロムナード開催式の場で、公爵令嬢ジョセフィーヌは婚約者から婚約破棄と共に数々の罪を断罪される。
愛していた者からの慈悲無き宣告、親しかった者からの嫌悪、信じていた者からの侮蔑。
弁解の機会も与えられず、その場で悪名高い国外れの修道院送りが決定した。
このお話はそんな事情で王都を追放された悪役令嬢の素性を知らぬまま、修道院まで護送する下級兵士の恋物語である。
この度なろう、アルファ、カクヨムで同時完結しました。
(なろう版だけ諸事情で18話と19話が一本となっておりますが、内容は同じです)

エヴァの輝き 〜追放された公爵令嬢の逆転劇〜
ゆる
恋愛
婚約破棄、爵位剥奪、そして追放――。
公爵令嬢 エヴァ・ローレンス は、王太子 レオポルド によって舞踏会の場で婚約を破棄され、すべてを失った。
新たに聖女として迎えられたのは、平民出身の少女 セシリア。
「お前には愛がない」と罵られ、実家も没落し、絶望の底に突き落とされるエヴァ。
しかし、彼女は決して屈しなかった。
残されたのは、彼女自身の 知識と才能 だけ――。
宝石加工と魔法の技術を頼りに、商業都市 オルディア へと旅立ち、そこから 新たな人生 を切り拓いていく。
やがてその名は「オルディアの宝石姫」として広まり、隣国 エルヴァンの若き皇帝アレクサンドル との運命的な出会いを果たす。
一方、エヴァを追放した王国は、セシリアの偽りの聖女としての正体が暴かれ、経済の崩壊、貴族の動揺、民衆の不満によって没落の一途を辿る。
「エヴァを追放したのは誤りだったのでは…?」
後悔に苛まれた王太子レオポルドは、エヴァを取り戻そうとするが、時すでに遅かった。
「私はもう、王国の民ではありません」
過去の栄光にすがる者たちを振り切り、エヴァが選ぶのは 新たな人生と未来。
アレクサンドルと共に歩む決意をし、皇后として国を導く道を進んでいく――。
「これは、運命に抗い、自らの輝きを取り戻す物語。」
悪役令嬢エリザベート物語
kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ
公爵令嬢である。
前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。
ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。
父はアフレイド・ノイズ公爵。
ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。
魔法騎士団の総団長でもある。
母はマーガレット。
隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。
兄の名前はリアム。
前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。
そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。
王太子と婚約なんてするものか。
国外追放になどなるものか。
乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。
私は人生をあきらめない。
エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。
⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる