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6.海竜殿下の一癖ありそうな婚約者 後編
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ガーネットは傍にいた取り巻きの令嬢たちに
「リカルド殿下の隣にいるあの女は何?」
と刺すような声で聞いた。
取り巻きの令嬢たちは、
「何やらヒトの国から迷い込んだ女のようですよ。国に帰すまでリカルド様が面倒を見るって噂が流れているではありませんか」
「何やらリカルド殿下の邸でいろいろ学んでいるようです。領地経営とか? 視察にもついて行ったと聞きましたよ」
「視察に同行した話は私も聞きましたね。ヒト族の居候ですから、まさかガーネット様を差し置いてどうこうというわけではないと思いますが、領地経営って何のために学んでいるんでしょうね。邪推してしまいますわ」
「まさかガーネット様にとって代わろうとか思っていないでしょうね」
と口々に不穏な噂話をガーネットに聞かせた。
ガーネットはとても不機嫌になった。
「私にとって代わるですって? リカルド殿下が親切心でヒト族の死にかけ女を保護しているという話は聞きましたわ。でもその女がまさかそんな悪行を企んでいたとはね」
取り巻き令嬢たちもうんうんと大きく頷いた。
「本当ですわ。見てご覧なさいましよ、あのヒト族の女の不自然な挙動。リカルド殿下に特別な感情がある事が透けて見えますわ」
「リカルド殿下もリカルド殿下よ。毅然とした態度をお取りになればよいのに。あんな中途半端に狼狽えた態度。ヒト族の女がつけあがるわけですわ!」
ガーネットはむらむらと怒りが湧いてきた。
「ヒトの国に帰すまで? の割には、リカルド殿下はかなりご執心のようね。いいわ。私があの女をヒトの国に帰してやろう。じゃまくさい」
取り巻き令嬢たちは何かが起こるんじゃないかと期待の目を向けた。
さすが我らのガーネット様。
こういうときの行動力はピカイチだから見ていて楽しいわ!
ガーネットはリカルドに足早に近づいた。
「殿下。私をお忘れじゃございません?」
「あ、これは、ガーネット」
リカルドはいきなりの婚約者の登場に少し焦ったようだった。
ガーネットはリカルドの焦りっぷりに何か邪な感情があるのではないかと疑惑が膨らんだ。
ガーネットがものすごい勢いで睨むので、メリーウェザーは縮こまった。
「もしかして、こちらがリカルド殿下の婚約者様?」
メリーウェザーは呟いた。
リカルドはコホンと咳払いをした。
「あ、ああ、そうだ。メリーウェザー。こちらは私の婚約者のガーネット・オーウェルズ嬢だ。ガーネット、こちらはヒト族の娘でメリーウェザー・クーデンベルグ嬢。訳があってこちらの国に来ているが、ヒトの国に帰れるようになるまで私が保護している」
メリーウェザーは改めてガーネットの顔を覗き見る。
華美な衣装に身を包んだ、たいそうな美人だ。威厳もある。
これがリカルド殿下の婚約者。
メリーウェザーはすぐに深々とお辞儀をした。
「失礼いたしました、ガーネット様。婚約者様に馴れ馴れしくいたしまして」
「そうね」
ガーネットは身の程を弁えよとばかりの冷たい声で肯いた。
「そうね、ではないよ。馴れ馴れしくなんかしていないではないか」
リカルドが慌てて仲裁に入った。
ガーネットはリカルド殿下に一瞥を与える。
リカルドはガーネットのこういう視線は苦手だ。
ガーネットは、メリーウェザーにこれ見よがしに、すっとリカルドに手を差し伸べた。
「リカルド殿下、私と踊ってくださいまし。あんまり婚約者を恥ずかしい目に遭わせるもんじゃありませんことよ」
リカルドはガーネットには何を言っても無駄とばかりに無言で頷き、しぶしぶガーネットの腕をとった。
リカルドは申し訳なさそうにメリーウェザーを見たが、メリーウェザーの方はこういうときの身の振りようをよく弁えていたから、リカルドには何も返事をせずに黙って下を向き、丁寧にお辞儀をしながら人ごみの中へ姿を消した。
「あ……」
リカルドはメリーウェザーの後ろ姿を心配そうな目で追ってしまう。
そのリカルドの腕をガーネットが強く引っ張った。
メリーウェザーは黙って身を引きながら、哀しさで胸が張り裂けそうだった。
自分の愚かさを呪った。
リカルド殿下は婚約者がいるからちっともその気はないのに、勝手に慕って、そして勝手に傷ついている。
自分だって婚約者がつい最近までいたというのに。
男性にフラフラしているからこんな気持ちになるのよ。ばかね!
メリーウェザーは会場の隅の柱にもたれかかって盛大なため息をついた。
いったい私は何をやっているのかしらね。
その横に見知らぬ男が近づいた。
手には何やら持っているがメリーウェザーは気づかない。
その男はリカルドとガーネットがダンスの群れの向こう側に行ったのを見計らうと、目にもとまらぬ素早さで持っていた手拭いでメリーウェザーの口元を覆った。
「え!? な、何!?」
メリーウェザーは突然のことに驚いたが、口元を覆われている状況ですぐに身の危険を感じ、男の腕を振り払おうとしたり体を押し退けようとしたり必死で抵抗したが、男の腕っぷしが強くて手が離れない。
口元に当てられた布には気絶薬が入っていたのだろう。
メリーウェザーはやがて目の前が真っ白になり、意識が失われていくのを感じた。
「悪いな。ガーネット様がおまえをヒト族の国へ帰すようにってサ……」
男の声が遠く耳の向こうに聞こえた気がした。
「リカルド殿下の隣にいるあの女は何?」
と刺すような声で聞いた。
取り巻きの令嬢たちは、
「何やらヒトの国から迷い込んだ女のようですよ。国に帰すまでリカルド様が面倒を見るって噂が流れているではありませんか」
「何やらリカルド殿下の邸でいろいろ学んでいるようです。領地経営とか? 視察にもついて行ったと聞きましたよ」
「視察に同行した話は私も聞きましたね。ヒト族の居候ですから、まさかガーネット様を差し置いてどうこうというわけではないと思いますが、領地経営って何のために学んでいるんでしょうね。邪推してしまいますわ」
「まさかガーネット様にとって代わろうとか思っていないでしょうね」
と口々に不穏な噂話をガーネットに聞かせた。
ガーネットはとても不機嫌になった。
「私にとって代わるですって? リカルド殿下が親切心でヒト族の死にかけ女を保護しているという話は聞きましたわ。でもその女がまさかそんな悪行を企んでいたとはね」
取り巻き令嬢たちもうんうんと大きく頷いた。
「本当ですわ。見てご覧なさいましよ、あのヒト族の女の不自然な挙動。リカルド殿下に特別な感情がある事が透けて見えますわ」
「リカルド殿下もリカルド殿下よ。毅然とした態度をお取りになればよいのに。あんな中途半端に狼狽えた態度。ヒト族の女がつけあがるわけですわ!」
ガーネットはむらむらと怒りが湧いてきた。
「ヒトの国に帰すまで? の割には、リカルド殿下はかなりご執心のようね。いいわ。私があの女をヒトの国に帰してやろう。じゃまくさい」
取り巻き令嬢たちは何かが起こるんじゃないかと期待の目を向けた。
さすが我らのガーネット様。
こういうときの行動力はピカイチだから見ていて楽しいわ!
ガーネットはリカルドに足早に近づいた。
「殿下。私をお忘れじゃございません?」
「あ、これは、ガーネット」
リカルドはいきなりの婚約者の登場に少し焦ったようだった。
ガーネットはリカルドの焦りっぷりに何か邪な感情があるのではないかと疑惑が膨らんだ。
ガーネットがものすごい勢いで睨むので、メリーウェザーは縮こまった。
「もしかして、こちらがリカルド殿下の婚約者様?」
メリーウェザーは呟いた。
リカルドはコホンと咳払いをした。
「あ、ああ、そうだ。メリーウェザー。こちらは私の婚約者のガーネット・オーウェルズ嬢だ。ガーネット、こちらはヒト族の娘でメリーウェザー・クーデンベルグ嬢。訳があってこちらの国に来ているが、ヒトの国に帰れるようになるまで私が保護している」
メリーウェザーは改めてガーネットの顔を覗き見る。
華美な衣装に身を包んだ、たいそうな美人だ。威厳もある。
これがリカルド殿下の婚約者。
メリーウェザーはすぐに深々とお辞儀をした。
「失礼いたしました、ガーネット様。婚約者様に馴れ馴れしくいたしまして」
「そうね」
ガーネットは身の程を弁えよとばかりの冷たい声で肯いた。
「そうね、ではないよ。馴れ馴れしくなんかしていないではないか」
リカルドが慌てて仲裁に入った。
ガーネットはリカルド殿下に一瞥を与える。
リカルドはガーネットのこういう視線は苦手だ。
ガーネットは、メリーウェザーにこれ見よがしに、すっとリカルドに手を差し伸べた。
「リカルド殿下、私と踊ってくださいまし。あんまり婚約者を恥ずかしい目に遭わせるもんじゃありませんことよ」
リカルドはガーネットには何を言っても無駄とばかりに無言で頷き、しぶしぶガーネットの腕をとった。
リカルドは申し訳なさそうにメリーウェザーを見たが、メリーウェザーの方はこういうときの身の振りようをよく弁えていたから、リカルドには何も返事をせずに黙って下を向き、丁寧にお辞儀をしながら人ごみの中へ姿を消した。
「あ……」
リカルドはメリーウェザーの後ろ姿を心配そうな目で追ってしまう。
そのリカルドの腕をガーネットが強く引っ張った。
メリーウェザーは黙って身を引きながら、哀しさで胸が張り裂けそうだった。
自分の愚かさを呪った。
リカルド殿下は婚約者がいるからちっともその気はないのに、勝手に慕って、そして勝手に傷ついている。
自分だって婚約者がつい最近までいたというのに。
男性にフラフラしているからこんな気持ちになるのよ。ばかね!
メリーウェザーは会場の隅の柱にもたれかかって盛大なため息をついた。
いったい私は何をやっているのかしらね。
その横に見知らぬ男が近づいた。
手には何やら持っているがメリーウェザーは気づかない。
その男はリカルドとガーネットがダンスの群れの向こう側に行ったのを見計らうと、目にもとまらぬ素早さで持っていた手拭いでメリーウェザーの口元を覆った。
「え!? な、何!?」
メリーウェザーは突然のことに驚いたが、口元を覆われている状況ですぐに身の危険を感じ、男の腕を振り払おうとしたり体を押し退けようとしたり必死で抵抗したが、男の腕っぷしが強くて手が離れない。
口元に当てられた布には気絶薬が入っていたのだろう。
メリーウェザーはやがて目の前が真っ白になり、意識が失われていくのを感じた。
「悪いな。ガーネット様がおまえをヒト族の国へ帰すようにってサ……」
男の声が遠く耳の向こうに聞こえた気がした。
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