4 / 14
4.残念令嬢ですけど頑張らされています
しおりを挟む 殿下とのお茶会当日――――
フィーリアは普段着ない色のドレスを身に付けていた。
普段は王族の婚約者であり大公家の令嬢という地位に見合った気品あるドレスを選んで着るように心がけていたが、今日のお茶会は普段とは違う事をコンセプトに挑む為、普段のフィーリアなら選ばない淡いレモン色のドレスを選んだ。
シフォン素材の軽やかなドレスは、袖口と裾にレースとフリルが施してあり、甘い砂糖菓子のような令嬢が着るようなドレスである。
しかし、首回りは露出が大きくなっており、フィーリアの細い鎖骨は勿論のこと、胸元ギリギリの見えそうで見えない部分まで開いていた。
前日にそのドレスをフィーリアが選んだ事を知った出来る侍女達がコレはけしからんと鎖骨より下の部分に薄いレース地の布を縫い付けたのだが、それがまたフィーリアの豊かな部分に艶めかしさを添えていた。
可憐で甘い黄色いドレスに艶めかしいフィーリア。
侍女達は目線で語り合う。
『これって外に出していいフィーリア様じゃない気がするわ』と。
普段は露出が殆どなく、公の場では首元まで詰まった襟のドレスを着ることもある。
それはそれで禁欲的な姿に妄想を捻らす殿方の注目の的であるのだが。
体に沿ったドレスを着ない為、フィーリアのメリハリのある体型は外部に漏れていないが、実は――――なフィーリア。
「フィーリア様、今日ドレスにはこの純白のレースのショールがお似合いですわ。」
侍女はフィーリアの肩に繊細な総レースのショールをかける。
「ありがとう。」
フィーリアはにっこり微笑んで侍女のアドバイスを受け入れた。
侍女は、フィーリアの艶めかしさが少し薄らぎホッと息を吐いた。
色んな噂を訊くが、最近になって女遊びを覚えたらしい殿下が婚姻前に何かやらかしても困るのだ。
自衛といえる自衛でもないが、しないよりマシである。
今日は愛らしさ満載のフィーリア様である。
艶やかな髪を緩く編み込み左側に流し、右耳には殿下から送られた藤の花を模したイヤリングが見えるように右側をスッキリとさせている。
その右側に申し訳程度に後れ毛を残しているのだが、その後れ毛が首筋を滑る様が何とも……
フィーリア様の美貌は有名で、指摘しようとすればアレコレとなるので、侍女たちはこれ以上は言うまいと口を閉じた。
「では、いってくるわね」
フィーリア様は送り出しに現れた使用人たちに笑顔を向け、淑やかな仕草で馬車に乗り込んで王宮へ向かった。
「フィーリアは……来てくれるだろうか。」
フィーリアとのお茶の時間を少しでも長く捻出する為に、シリウスはせっせと書類を捌いていく。
それでも時々ポツリと独り言を口にしていた。
「あー、どうですかねー、こないかもしれませんねー」
朝から両手の指では数えきれない程に独り言を訊く羽目になっているルークは段々と受け答えが雑になってきている。
とうとう「こないかもしれませんねー」と嫌味も言いたくなるほど。
「なっ!? お前、不吉な事を言うな!」
カッと目を見開いてこちらを凝視するシリウス。
美貌の男がそんな顔をするとちょっと怖い。
「朝から何度目ですか殿下。フィーリア様からは楽しみにしていると了承のお返事を頂いたのでしょう? いくら殿下の日頃の行いが悪いからといって一度了承したものを撤回なさるような方ではないでしょうに。」
「うう……」
側近のルークの容赦ない攻撃にシリウスは胸を押さえる。
「悪手だと申し上げましたでしょう。何度も。嫉妬されたいが為と他の令嬢と仲良くする姿を見て男として好きになって貰えるとかどうやったら思えるのですか。
殿下の美貌と地位と名誉に群がる令嬢と違うんですよ、フィーリア様は。
あのように高潔な方に今までのような振る舞いを見せ続けていれば、むしろ嫌われて然るべきかと思います。」
「……そうだよな。」
ズーーンと暗く堕ちていくシリウスを見遣り「あ、やべ、言い過ぎた」と気付くルーク。あまりにもバカに振り切れた振る舞いをフィーリアにしているのを見続けていた鬱憤が漏れ過ぎてしまったと反省した。
幾度も幾度も強く諫めても聞き入れて貰えなかった八つ当たりも。
「それでも、まぁ……手遅れかもしれませんが、今、気付いてどうにかしようとしているのですから。まだ挽回できる余地はほんの少しあります。
今日のお茶会で素直になることです。
まずは謝罪、そして、気持ちを打ち明けるんですよ?
あ、その重たい愛すべてを話したら逃げられますからね?
一般的な量の愛をお伝えくださいね。」
ぐっと何かを堪えるように口を引き結ぶシリウス。
重たい愛の自覚はあるようだ。
「しっかり謝罪はする。
愚かな私の振る舞いを反省し、平身低頭で謝罪する。
赦して貰えるかは分からないが、罵られてもいいから婚約だけは続けて貰えるよう請うつもりだ。」
「最近、不穏な噂が出てますからね……。
侯爵の動きも何となく怖いですし。
救いがあるとしたら、あれだけいちゃいちゃしていた令嬢たちとは肉体関係がないというだけですね。
口付けもしてないですよね?」
「肉体関係がある訳ないだろう! 私にはフィーリアがいるんだぞ!!
他の女と口づけもするものか! フィーリアともしてないのに!」
「…………いやしてなくて良かったですけど。
フィーリア様としてたら他の方ともしてるってことですか?」
「はぁ!? しない、絶対に、しない!
私の初めては全てフィーリアに捧げると決めているんだ。
閨教育ですら実地は拒否した。
では見るだけでもと勧められたのを拒否したのもお前なら訊いていただろう?」
「ああー、まあ、はい。」
あの時はシリウスが大騒ぎして面倒くさい感じになったのを覚えている。
王妃様が呆れて、陛下が怒って見るだけてもって強制的にしようとしたら、殿下は胃にあるもの全て嘔吐したという。
それも、実地に呼び出した娼婦と男娼が裸になる前の状態で吐いていた。
騒然とした現場には当然のこと箝口令が敷かれ、殿下は講義と書物で異例の閨教育を済ませたのだった。
「フィーリア様に万が一婚約破棄されたら、国の一大事になることだけは分かっていますよ。殿下、死ぬ気で頑張って下さいね。」
「……ああ。」
シリウスは苦悶に満ちた顔で頷く。
そこまで分かっていて、何であんな馬鹿な振る舞いを試してみようと思ったんだろうなぁ。
ホントにこいつフィーリア様関連になるとポンコツ過ぎだわ……と幼馴染であり側近であるルークは思うのだった。
扉がノックされ入室を許可された侍従が執務室に入って来る。
「レイゼンベルグ大公令嬢が到着致しました。今、庭園にご案内中です。」
「ああ、今向かう!……ぐっ」
ガンッと強かに机に脚を打ち付けたシリウス。
フィーリアの到着に嬉しさに飛び上がるように立ったせいである。
その姿にため息を零すルーク。
侍従が不安そうにルークとシリウスを交互に見つめている。
退室のタイミングを失したようだ。
ルークは侍従に無言で行っていいと指先で扉を指してやる。
侍従は不安気になっていた表情をパっと明るくして、コクコクと頷き退室した。
「殿下、痛みが引いたら参りましょうね。」
手のかかるシリウスに冷静に告げるルークであった。
フィーリアは普段着ない色のドレスを身に付けていた。
普段は王族の婚約者であり大公家の令嬢という地位に見合った気品あるドレスを選んで着るように心がけていたが、今日のお茶会は普段とは違う事をコンセプトに挑む為、普段のフィーリアなら選ばない淡いレモン色のドレスを選んだ。
シフォン素材の軽やかなドレスは、袖口と裾にレースとフリルが施してあり、甘い砂糖菓子のような令嬢が着るようなドレスである。
しかし、首回りは露出が大きくなっており、フィーリアの細い鎖骨は勿論のこと、胸元ギリギリの見えそうで見えない部分まで開いていた。
前日にそのドレスをフィーリアが選んだ事を知った出来る侍女達がコレはけしからんと鎖骨より下の部分に薄いレース地の布を縫い付けたのだが、それがまたフィーリアの豊かな部分に艶めかしさを添えていた。
可憐で甘い黄色いドレスに艶めかしいフィーリア。
侍女達は目線で語り合う。
『これって外に出していいフィーリア様じゃない気がするわ』と。
普段は露出が殆どなく、公の場では首元まで詰まった襟のドレスを着ることもある。
それはそれで禁欲的な姿に妄想を捻らす殿方の注目の的であるのだが。
体に沿ったドレスを着ない為、フィーリアのメリハリのある体型は外部に漏れていないが、実は――――なフィーリア。
「フィーリア様、今日ドレスにはこの純白のレースのショールがお似合いですわ。」
侍女はフィーリアの肩に繊細な総レースのショールをかける。
「ありがとう。」
フィーリアはにっこり微笑んで侍女のアドバイスを受け入れた。
侍女は、フィーリアの艶めかしさが少し薄らぎホッと息を吐いた。
色んな噂を訊くが、最近になって女遊びを覚えたらしい殿下が婚姻前に何かやらかしても困るのだ。
自衛といえる自衛でもないが、しないよりマシである。
今日は愛らしさ満載のフィーリア様である。
艶やかな髪を緩く編み込み左側に流し、右耳には殿下から送られた藤の花を模したイヤリングが見えるように右側をスッキリとさせている。
その右側に申し訳程度に後れ毛を残しているのだが、その後れ毛が首筋を滑る様が何とも……
フィーリア様の美貌は有名で、指摘しようとすればアレコレとなるので、侍女たちはこれ以上は言うまいと口を閉じた。
「では、いってくるわね」
フィーリア様は送り出しに現れた使用人たちに笑顔を向け、淑やかな仕草で馬車に乗り込んで王宮へ向かった。
「フィーリアは……来てくれるだろうか。」
フィーリアとのお茶の時間を少しでも長く捻出する為に、シリウスはせっせと書類を捌いていく。
それでも時々ポツリと独り言を口にしていた。
「あー、どうですかねー、こないかもしれませんねー」
朝から両手の指では数えきれない程に独り言を訊く羽目になっているルークは段々と受け答えが雑になってきている。
とうとう「こないかもしれませんねー」と嫌味も言いたくなるほど。
「なっ!? お前、不吉な事を言うな!」
カッと目を見開いてこちらを凝視するシリウス。
美貌の男がそんな顔をするとちょっと怖い。
「朝から何度目ですか殿下。フィーリア様からは楽しみにしていると了承のお返事を頂いたのでしょう? いくら殿下の日頃の行いが悪いからといって一度了承したものを撤回なさるような方ではないでしょうに。」
「うう……」
側近のルークの容赦ない攻撃にシリウスは胸を押さえる。
「悪手だと申し上げましたでしょう。何度も。嫉妬されたいが為と他の令嬢と仲良くする姿を見て男として好きになって貰えるとかどうやったら思えるのですか。
殿下の美貌と地位と名誉に群がる令嬢と違うんですよ、フィーリア様は。
あのように高潔な方に今までのような振る舞いを見せ続けていれば、むしろ嫌われて然るべきかと思います。」
「……そうだよな。」
ズーーンと暗く堕ちていくシリウスを見遣り「あ、やべ、言い過ぎた」と気付くルーク。あまりにもバカに振り切れた振る舞いをフィーリアにしているのを見続けていた鬱憤が漏れ過ぎてしまったと反省した。
幾度も幾度も強く諫めても聞き入れて貰えなかった八つ当たりも。
「それでも、まぁ……手遅れかもしれませんが、今、気付いてどうにかしようとしているのですから。まだ挽回できる余地はほんの少しあります。
今日のお茶会で素直になることです。
まずは謝罪、そして、気持ちを打ち明けるんですよ?
あ、その重たい愛すべてを話したら逃げられますからね?
一般的な量の愛をお伝えくださいね。」
ぐっと何かを堪えるように口を引き結ぶシリウス。
重たい愛の自覚はあるようだ。
「しっかり謝罪はする。
愚かな私の振る舞いを反省し、平身低頭で謝罪する。
赦して貰えるかは分からないが、罵られてもいいから婚約だけは続けて貰えるよう請うつもりだ。」
「最近、不穏な噂が出てますからね……。
侯爵の動きも何となく怖いですし。
救いがあるとしたら、あれだけいちゃいちゃしていた令嬢たちとは肉体関係がないというだけですね。
口付けもしてないですよね?」
「肉体関係がある訳ないだろう! 私にはフィーリアがいるんだぞ!!
他の女と口づけもするものか! フィーリアともしてないのに!」
「…………いやしてなくて良かったですけど。
フィーリア様としてたら他の方ともしてるってことですか?」
「はぁ!? しない、絶対に、しない!
私の初めては全てフィーリアに捧げると決めているんだ。
閨教育ですら実地は拒否した。
では見るだけでもと勧められたのを拒否したのもお前なら訊いていただろう?」
「ああー、まあ、はい。」
あの時はシリウスが大騒ぎして面倒くさい感じになったのを覚えている。
王妃様が呆れて、陛下が怒って見るだけてもって強制的にしようとしたら、殿下は胃にあるもの全て嘔吐したという。
それも、実地に呼び出した娼婦と男娼が裸になる前の状態で吐いていた。
騒然とした現場には当然のこと箝口令が敷かれ、殿下は講義と書物で異例の閨教育を済ませたのだった。
「フィーリア様に万が一婚約破棄されたら、国の一大事になることだけは分かっていますよ。殿下、死ぬ気で頑張って下さいね。」
「……ああ。」
シリウスは苦悶に満ちた顔で頷く。
そこまで分かっていて、何であんな馬鹿な振る舞いを試してみようと思ったんだろうなぁ。
ホントにこいつフィーリア様関連になるとポンコツ過ぎだわ……と幼馴染であり側近であるルークは思うのだった。
扉がノックされ入室を許可された侍従が執務室に入って来る。
「レイゼンベルグ大公令嬢が到着致しました。今、庭園にご案内中です。」
「ああ、今向かう!……ぐっ」
ガンッと強かに机に脚を打ち付けたシリウス。
フィーリアの到着に嬉しさに飛び上がるように立ったせいである。
その姿にため息を零すルーク。
侍従が不安そうにルークとシリウスを交互に見つめている。
退室のタイミングを失したようだ。
ルークは侍従に無言で行っていいと指先で扉を指してやる。
侍従は不安気になっていた表情をパっと明るくして、コクコクと頷き退室した。
「殿下、痛みが引いたら参りましょうね。」
手のかかるシリウスに冷静に告げるルークであった。
5
お気に入りに追加
395
あなたにおすすめの小説
どうやらお前、死んだらしいぞ? ~変わり者令嬢は父親に報復する~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「ビクティー・シークランドは、どうやら死んでしまったらしいぞ?」
「はぁ? 殿下、アンタついに頭沸いた?」
私は思わずそう言った。
だって仕方がないじゃない、普通にビックリしたんだから。
***
私、ビクティー・シークランドは少し変わった令嬢だ。
お世辞にも淑女然としているとは言えず、男が好む政治事に興味を持ってる。
だから父からも煙たがられているのは自覚があった。
しかしある日、殺されそうになった事で彼女は決める。
「必ず仕返ししてやろう」って。
そんな令嬢の人望と理性に支えられた大勝負をご覧あれ。
エリナの物語
シマセイ
ファンタジー
マリウス王国デュラン公爵家の三女エリナは、側室の娘として虐げられてきた。
毎日のように繰り返される姉妹からの嫌がらせに、エリナはただ耐えるしかなかった。だが、心の奥底では、いつかこの屈辱を晴らす日を夢見ていた。
乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?
シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。
……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
悪役令嬢を陥れようとして失敗したヒロインのその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
女伯グリゼルダはもう不惑の歳だが、過去に起こしたスキャンダルが原因で異性から敬遠され未だに独身だった。
二十二年前、グリゼルダは恋仲になった王太子と結託して彼の婚約者である公爵令嬢を陥れようとした。
けれど、返り討ちに遭ってしまい、結局恋人である王太子とも破局してしまったのだ。
ある時、グリゼルダは王都で開かれた仮面舞踏会に参加する。そこで、トラヴィスという年下の青年と知り合ったグリゼルダは彼と恋仲になった。そして、どんどん彼に夢中になっていく。
だが、ある日。トラヴィスは、突然グリゼルダの前から姿を消してしまう。グリゼルダはショックのあまり倒れてしまい、気づいた時には病院のベッドの上にいた。
グリゼルダは、心配そうに自分の顔を覗き込む執事にトラヴィスと連絡が取れなくなってしまったことを伝える。すると、執事は首を傾げた。
そして、困惑した様子でグリゼルダに尋ねたのだ。「トラヴィスって、一体誰ですか? そんな方、この世に存在しませんよね?」と──。

下級兵士は断罪された追放令嬢を護送する。
やすぴこ
ファンタジー
「ジョセフィーヌ!! 貴様を断罪する!!」
王立学園で行われたプロムナード開催式の場で、公爵令嬢ジョセフィーヌは婚約者から婚約破棄と共に数々の罪を断罪される。
愛していた者からの慈悲無き宣告、親しかった者からの嫌悪、信じていた者からの侮蔑。
弁解の機会も与えられず、その場で悪名高い国外れの修道院送りが決定した。
このお話はそんな事情で王都を追放された悪役令嬢の素性を知らぬまま、修道院まで護送する下級兵士の恋物語である。
この度なろう、アルファ、カクヨムで同時完結しました。
(なろう版だけ諸事情で18話と19話が一本となっておりますが、内容は同じです)

エヴァの輝き 〜追放された公爵令嬢の逆転劇〜
ゆる
恋愛
婚約破棄、爵位剥奪、そして追放――。
公爵令嬢 エヴァ・ローレンス は、王太子 レオポルド によって舞踏会の場で婚約を破棄され、すべてを失った。
新たに聖女として迎えられたのは、平民出身の少女 セシリア。
「お前には愛がない」と罵られ、実家も没落し、絶望の底に突き落とされるエヴァ。
しかし、彼女は決して屈しなかった。
残されたのは、彼女自身の 知識と才能 だけ――。
宝石加工と魔法の技術を頼りに、商業都市 オルディア へと旅立ち、そこから 新たな人生 を切り拓いていく。
やがてその名は「オルディアの宝石姫」として広まり、隣国 エルヴァンの若き皇帝アレクサンドル との運命的な出会いを果たす。
一方、エヴァを追放した王国は、セシリアの偽りの聖女としての正体が暴かれ、経済の崩壊、貴族の動揺、民衆の不満によって没落の一途を辿る。
「エヴァを追放したのは誤りだったのでは…?」
後悔に苛まれた王太子レオポルドは、エヴァを取り戻そうとするが、時すでに遅かった。
「私はもう、王国の民ではありません」
過去の栄光にすがる者たちを振り切り、エヴァが選ぶのは 新たな人生と未来。
アレクサンドルと共に歩む決意をし、皇后として国を導く道を進んでいく――。
「これは、運命に抗い、自らの輝きを取り戻す物語。」
悪役令嬢エリザベート物語
kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ
公爵令嬢である。
前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。
ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。
父はアフレイド・ノイズ公爵。
ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。
魔法騎士団の総団長でもある。
母はマーガレット。
隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。
兄の名前はリアム。
前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。
そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。
王太子と婚約なんてするものか。
国外追放になどなるものか。
乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。
私は人生をあきらめない。
エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。
⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる