平安学園〜春の寮〜 お兄ちゃん奮闘記

葉月百合

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八 中間テスト結果発表~聖一の豹変!

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 はち 中間ちゅうかんテスト結果発表けっかはっぴょう聖一せいいち豹変ひょうへん



 中間ちゅうかん試験しけん 結果発表けっかはっぴょう

主席しゅせき 藤原ふじわら 桃代ももよ
次席じせき 藤原ふじわら ひかる
参席さんせき 九条くじょう 聖一せいいち

 このまえはじめて試験しけんがあった。
 ぼくは、学年がくねん二番にばん成績せいせきをおさめた。
 桃代ももよはなんと、一番いちばんだ。

「さすが桃代ももよちゃん、ひかるくんもすごいっすね」

 掲示板けいじばんていると、よこから健誠先輩けんせいせんぱいこえがしてびっくりした。

「どうして、せんぱいが一年生いちねんせい掲示板けいじばんにいるんですか!」
「ちょっとになって。いや~、もも花言葉はなことばどおりですね。」
はなことば?」
「そう、『天下無敵てんかむてき』のももはな

 天下無敵てんかむてきいもうと
 すぐにめそめそするおにいちゃん。
 ・・・・・・。
「もうぼく、クラスにきますから!先輩せんぱいもどってくださいっ!」





 

 結果発表けっかはっぴょうがおわった教室きょうしつは、いつもとちがった。
 聖一せいいち様子ようすが、まえとはくらべものにならないほどわっていた。
 はなしかけても、そっぽをいて、ほかの男友おとこともだちのはいってしまう。
 その放課後ほうかご聖一せいいちはぼくにった。

「うそつき。ひかる、きみはおおうそつきだな!」
なに、とつぜんどうしたのせい?」
気安きやすばないでくれないか」
「えっ?いまなんて」
気安きやすぶなってったんだ。試験しけん点数てんすうがまあまあ?勉強べんきょうあんまりしてないとか、まっなうそじゃないか!」
「いや、そんなつもりでったんじゃ・・・・・・」
「それなら、一生懸命勉強いっしょうけんめいべんきょうしたぼくは、あんまり勉強べんきょうしなかったきみにけたのか?」
けって・・・・・・」
ぼくはきみに見下みくだされてたのか?きみはこころのなかではぼくをばかにしていたのか?」
「そんなことない!」
「もういい」





 

 つぎのから、ぼくの学園生活がくえんせいかつがおかしくなった。
 わってしまったのは聖一せいいちだけではなかった。

「ぼくの教科書きょうかしょみなかった?」
「ぼくのふでばこ、ちてないかな?」
「ぼくと実験じっけんのペアになってくれないかな?」
「つぎの授業じゅぎょう、いっしょにこう?」
「ねえ、このむずかしい宿題しゅくだい、どうやってく?」

 おなじクラスのおとこ子達こたちはみんな、ぼくをけるようになった。

ひかるくん、よかったらくしたノートと、おな教科きょうかのノートすわ」
教科書きょうかしょ先生せんせい報告ほうこくしたほうがいいよ」
「これ。ふでばこだとおもうんだけど。ひかるくんのかな?」

 おんな子達こたちは、親切しんせつにしてくれる。

「ありがとう・・・・・・」

 仲間外なかまはずれくらい、大丈夫だいじょうぶ
 桃代ももよだって、えた。
 ぼくは、おにいちゃんだ。
 いもうとに、格好悪かっこうわるいところなんて、せたくない。
 ぼくは、たれづよいから、こんなの平気へいき
 何度なんどだって、『仲間なかまれて』ってえる。
 だから、きっと、そのうちみんなも。
 聖一せいいちだって、ねつがさめてちついたら、まえみたいにもとどおりさ!

『ごめん、ひかるいすぎた!』

 そうわらって、あたまをかくにまってる。
 だいじょうぶ。だいじょうぶ。





 

 何日なんにちたっただろう。
 どうしてだろう。
 仲間外なかまはずれは、わらないまま。

せいって!どうしてぼくをけるの?」 

 ける聖一せいいちに、ぼくはおもいきってはなしかけた。
 聖一せいいちく。
 ぼくをは、こおりのようにつめたい。

ぼくはきみをライバル、いや、てきだとおもっている」
「え・・・・・・」
「もう、仲良なかよくなるつもりはない」
「そんな・・・・・・。あんなにふたりいっしょで、まいにちたのしかったのに」
「もうわったんだ。ぼくがきみをいたら、また仲良なかよくしてもいいよ?」
「・・・・・・成績せいせき原因げんいんなんて・・・」
「それまではありえないね。もう、ぼくはなしかけないでくれるかな?」

 聖一せいいちのぼくをすようなするどこわい。
 あたまなかが、がんがんする。
 ぼくのあたまいしたたかれたんだ、きっと。
 からだじゅうがいたい。
 はやかえらなきゃ。
 りょうにもどって、はやねむろう。
 たくさんきたら、きっといつもどおり。
 そうだ!元気げんきなぼくにもどるんだ!
 だいじょうぶ!
 こんないたみ、へいきさ!


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