ぬくもりのキャンディー

葉月百合

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ぬくもりのキャンディ

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「これは『ぬくもりの キャンディー』です。さあ、ひとつ、おためしあれ」

 さしだされたキャンディーを ほおばる おとこのこたち。

 くちのなかで ほんのり あまいあじが とろけます。

 こわばっていた あたまも こころも やわらいでいくようでした。

 おとこのこと おんなのこは にこにこわらい、しょうじょと しょうねんからは しぜんな えみが こぼれました。

「このキャンディーは、あなたたちの やさしさを かたちにしたものです」

「こころのなかは やさしさで いっぱいニャー」 

「その やさしいこころを、まわりのひとへ たくさん あげていたピー」

「しらず しらずのうちっキュ」

 まじょたちも まほうつかいも うれしそうに ほほえみました。

「すこしだけ まわりの みんなに あげすぎて しまったんだワン」

 けんじゃは、おとこのこたちの あたまを ぽんぽん やさしく なでました。

「さあ、みんな。 われわれの せかいへ しょうたいするワン」

 けんじゃが そういうと、こうえんの きが ぽーっと あかるく ひかりました。

 きと きの あいだに きらきらひかる みちが あらわれました。

 その みちのおくには おおきな おおきな とびらがあって、ゆっくりと ひらいていきます。

 けんじゃと まじょたちと まほうつかいは、また しろい こいぬや ちょうちょ、こねこや ことり、りすとなって、とびらのおくに さきにはいって いってしまいました。

 とびらのほうから はしゃぐこえが きこえてきます。

 どうやら けんじゃたちは こどもたちと なにをするか、たのしく そうだんしているようです。

 とびらのおくには いったい なにが あるのでしょう。

 おとこのこも おんなのこも しょうじょも しょうねんも どきどき わくわくしてきました。

 よにんは てをつないで あかるくひかる とびらのなかへ いっしょにいっぽ、ふみだしました。

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