宝石少年の旅記録

小枝 唯

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【宝石少年と芸術の国】

石の導く先

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 フロゥはずっと、濃霧の中を歩いているかのような気分だった。まるで雲の中に居るかのようで、どこが右で左か、もはや上か下かも分からない。
 ジオードが居た気がする。彼にアルナイトを頼むと言われた。2人はどこだ? こんな暗闇、アルナイトはとても怖がってしまう。霧の中を彷徨うフロゥは覚束ない足取りで進み、やがて足は階段に差し掛かった。

「フロゥ!」

 アルナイトは鉛のように重たい体に鞭を打ち、ベッドから這い出ると、彼を抱きしめて止める。異性の格好や振る舞いをしていても、成人近い男をアルナイトが止めるのは、ひと苦労だ。しかし体の力が入っていなかったのが幸いし、フロゥはアルナイトと共に、階段から少し離れた所に倒れ込む。

「う、ぅ……」
「フロゥ、しっかりしろよ!」

 フロゥに筆は無い。見たところ、他にアヴィダンから買った道具は無いが、どうして意識が混濁しているのか。普段の青と緑が混ざるフロゥの目は、煙のように濁って面影がない。

(これ、なんだ?)

 フロゥの手元を確認した時、アルナイトは見慣れない物を見つけた。それは指輪。綺麗な黒と朱色が混ざり合う石。見覚えがある。確か、顔料としても使うシナバークオーツだ。しかしフロゥはこんな物を持っていなかったはず。まさかこれも、アヴィダンから買ったアクセサリーか。
 ならば呪いに侵食される前に外さなければいけない。そうしなければ、自分と同じ苦しい目に遭う。しかし急いで伸ばした手を、薄青い手がそっと止めた。

『触っちゃ、ダメ』
「ルル……!」

 静かに止める声に、アルナイトは振り返る。ルルの姿を収めた目が、水面のように歪んだ。思わず抱き付く彼女を咎めず、ルルは優しく背中を撫でる。
 マリンを助けに動いたルルだが、異様な力と穢れの匂いを感じ、ここに来た。それは間違いなく、フロゥが身に付けている指輪が原因だ。アルナイトが触る前で良かった。少しでも遅れていれば、呪いを残した彼女に大きな影響があっただろう。
 シナバークオーツ。彼の名前を刻んだ石。本来ならば癒しを与える石だが、おそらくはシナバー自身の血が混ざっているだろう。人は生まれた時、加護を受けられるように石の名前を貰う。自分の名前となった石を持つのは、国石よりも強い加護を受けられる。そんな石に血を混ぜたら、他の呪術師や、魔法使いでも解けない強さになるだろう。しかし世界の王にはむしろガラスより脆い。それはシナバー自身が、世界の王に反感を持つからこそだ。
 ルルはアルナイトを、リッテとファルベに預ける。仮面を外し、指輪が嵌められたフロゥの手の甲に、自分の手を添えた。それだけで、手元からパキパキと指輪に亀裂が走る音が聞こえる。
 しかし彼の意思が混濁しているのは、これだけが原因ではない。指輪はあくまで、フロゥの命を削るための道具。混濁の根本ではない。

(シナバーは、こうなるのを、考慮したんだ)

 思ったよりも彼は頭がいい。シナバーはおそらく、フロゥが道具を手放す場合も考えていたのだ。
 画材は持っていれば持っているだけ、持ち主の魂を縛り付ける。だから他人が強制的に引き剥がすと同時、本人の意識に影響があるようにしたのだ。最も近くに居た手駒だから、正気に戻ったらシナバーにとって不利になるから。きっとフロゥ本人の思考で手放せば、少しは違っていたかもしれないが。
 ルルは世界の色を踊らせる虹の瞳で、ぼんやりと虚ろな目を見つめる。不思議と、一際眩しく、美しく見える。

『フロゥ、君の意思は、ここにある。帰っておいで』

 暗闇の中で座り込み、煙のような霧が体を絡めとる。そんな世界で息苦しさを覚えていたフロゥは、突然聞こえた声にそっと手を伸ばした。導くのがルルの声だと分かった瞬間、右手にしていた見知らぬ指輪が弾ける。

「ルル……?」

 ざあっと暗闇が突風に押されるように消え去り、目の前に広がる美しい虹色に、驚いたように唖然とする。ルルは微かに口元を緩ませ「おかえり」と言った。

「フロゥ……!」
「うわっ!」

 状況が分からず混乱したフロゥに、アルナイトが堪らず飛びつく。軽く頭を打ったようだが、アルナイトは気付かず「良かったぁ!」と言って泣き出した。一体何がなんなのか、フロゥはぽかんとしながら彼女の背中を撫でる。リッテは仕方なさそうにため息を吐き、ファルベはほっと安堵した。

『フロゥ、これ、新しいお守り。あげるね』
「あ、ありがとう」
『アルナイトも』

 受け取ったのは、ラピスラズリとフローライトが抱き合うように合わさった宝石。アルナイトのは、同じように彼女の名前の鉱石とラピスラズリが混ざった物が渡された。
 アルナイトにお守りを渡しながら、彼女に体調はどうかと尋ねるルルを、フロゥは困惑気味に見つめる。無理に動かしたからか、体が目覚めてくれたような感覚でもう大丈夫だと胸を叩くアルナイトに、安心したような表情をしている。
 2人をこのままにしておくのも心許ない。体調が安定したのなら、このままマリンを助けに行こう。そのために2人へ、これまでの事を説明しようとしたルルは、フロゥからの視線がいつもと違うのに気付いた。しかし驚きはない。王だと分かった時の驚愕と困惑だ。あえて、ルルは何も知らないふりで首をかしげる。
 フロゥは促されるように、恐る恐る尋ねる。

「君は、世界の王……なのか?」
『うん。友達じゃ、なくなる?』
「そ、それは」

 そこでフロゥは、出会った頃のルルの様子を思い出していた。触れても消えないし汚れないという言葉は、なんだか一縷の望み賭けるかのよう。ルルが対等を望んでいるのは分かった。しかしフロゥは真面目な青年だ。立場をわきまえているためか、すぐ否定できない。
 元に戻った緑と青の2種類が混ざる瞳が、伺うような視線をリッテたちに送る。世界の王は、オリクトの民にとってとても大切な存在。彼らがもし許してくれるのなら……。
 ファルベは微笑み、リッテは目を閉じる。どうやらお咎め無しのようだ。

「……君がいいなら、僕は友達でいたい」
『うん』

 ルルは嬉しそうに、煌めく虹の目を少し細めた。すぐその視線は鋭くなると、地面に散らばった指輪の残骸に落とされる。フロゥもそれに導かれるように目線を落とし、訝しそうな表情をした。まるでどうして身に付けていたのかと、自分に疑問を持っているかのようだ。

『ねぇフロゥ、今までの事、どれくらい覚えてる?』
「……正直、曖昧なんだ。他人の夢を見ていたかのようで」

 フロゥは眉間を寄せて、必死に記憶を辿る。しかしすぐ「あ」と顔をあげた。最初に鮮明に思い描けたのは、苦しげな師の顔。

「ジオード様が、あの筆を持っていったんだ」
『ジオードが?』
「ああ。たしか……アルナイトを頼む……って、言っていた気がする」
『…………ジオードは、どうしてもアルナイトに、国宝を渡したく、ないみたいだね』
「え、なんでだ?」

 訳がわからず首をかしげたアルナイトには答えず、ルルはリッテに【ルルの石】を渡した。

『リッテ、ジオードを探して。彼はきっと、終わろうとする。見つけたら、これを壊して』
「畏まりました」

 終わろうとする。その言葉が比喩でないのを、フロゥとアルナイトは青ざめた顔で見合わせる。リッテを追おうとするアルナイトを、ルルの手が止めた。

『今、君に会ったら、ジオードはまた、間違える』
「でも……っ」
『大丈夫。誰も死なせない。彼にも罪がある。けれど、こんな裁かれ方は、違うから』

 アルナイトはまた泣き出しそうに、顔をぐっと歪めた。確かに、ジオードの元へ行ったとしても、止められないだろう。あの筆によって、普段の彼と違って会話ができない。ならば必要なのは、物理的に止める力。しかも無理やり引き剥がせば、先ほどのフロゥのようになる。
 ルルは不安に灰色の目を揺らすアルナイトをそっと抱きしめる。

『信じてくれる?』
「……うん。ルルたちを信じる」

 2人はまだ万全とは言えない状態だ。しかしここに残していかない方がいい。手駒であったフロゥが無事であると、シナバーに何かしらの形で伝われば、始末しに来るだろう。そしてアルナイトは、人質として都合がいい。だから一緒にマリンの救出へ連れて行く。ルル1人ならば不安な策だが、今はファルベもいてくれるから、この判断を下せる。
 マリンの救出と聞いて、アルナイトとフロゥは顔を見合わせた。そしてファルベが居る理由もなんとなく理解する。ルルは2人へ、簡単にこれまでの事を、かいつまんで説明した。

「でもこの国には、誰かを閉じ込めておく檻みたいなのは無いぜ?」

 アルティアルは、旅人同士が作り上げた国だ。それに比較的平和。だから他の国には色濃く残っている奴隷制度が無く、それ用の檻や罪人を閉じ込めておく場所も必要なかったのだ。しかしマリンが行方をくらませ、自力で脱出できない場所に居るのは事実だ。
 ルルは3人に、ふた粒の宝石を見せる。これはシナバーが人形を操るために、使用した宝石だ。これが来た道を辿れば、自ずとマリンとの距離を縮められるだろう。

『あまり無茶は、させられないけど……2人も、協力してくれる?』
「もちろん!」
「ああ。むしろ、協力させてほしい」

 ルルは嬉しそうに2人へ頷き返すと、持っていた人形の目をその場で口に放り込む。同族であるファルベには意図が分かったようだが、まさか敵が作った宝石を食べると思っていなかったフロゥとアルナイトは、揃ってぎょっとする。魔法や呪術が施されていても、ルルの体には効かない。そして石が導いてくれるのだとファルベが言っても、あまりにも大胆だ。
 ルルは特に説明する事もせず、立ち上がると「行こう」と言って1人足早に家を出た。新しい靴はまだ馴染んでいないのか、少し硬い。しかし軽い素材だからか、迷いのない足取りを邪魔しない。声が頭の中に響いてくる。石の企みの声が。

「……ルルの目は、本当に見えていないんだろうか」

 その背中や、一切揺らがない視線を追っていると、そんなふうに錯覚する事がある。確かに、今の状況のルルを盲目だと言っても、説得力の欠片もない。

「見えていないよ。でも、私たちよりももっと、見えるものは多いと思うんだ」

 ファルベのまだ綺麗なローズクオーツの瞳が、まっすぐルルを見つめる。世界の王は特別、盲目ではない。それはルルが歴代の世界の王よりも、幼くして旅に出たから。それらが全て偶然ではなく、悪意による筋書きだとしても、ルルにとって特別で唯一の味方でもある。
 ファルベはふっと、女性のように柔らかな笑顔になった。

「他の同族はどうか知らないけど、私はルルになら、忠誠心を誓うよ」

 それは見ているだけという忠誠心ではなく、共に戦う意志だ。ルルだからこそ許される。
 それまでまっすぐ進んでいたルルは、まるで壁に当たったかのようにぴたりと止まる。仮面越しに辺りを見渡し、ファルベたちに振り向いた。何かあったのだろうか。

『石の声が、消えた』

 展望台に辿り着いた頃だった。それまで導いてくれる糸だった石の音が、ナイフなんかで切り離されたみたいに、プツリと途絶えてしまった。この近くであるのは間違いない。しかし頼みの綱はもう無かった。
 ここをしらみ潰しに探すか。そんな時間も惜しいが、選択肢は他にない。とにかく急ごうとしたが、フロゥの様子が少しおかしかった。なんだかさっきから、辺りをキョロキョロと見渡している。まるで何かを確かめるかのように。

『どうしたの?』
「……少しずつ、思い出してきたんだ。僕はここに来ていた。そしてアヴィダン、いや、シナバーに会っていたんだ」

 思い出すと、自分のしでかした事に吐き気がする。罪悪感に駆られながらも、これが相手に辿り着く唯一の望みだ。そう言い聞かせ、なんとか記憶のピースを探して嵌めていく。
 植物の血を採取したフロゥは、その足ですぐには工房に戻らなかった。どうしてかは思い出した今も分からないが、彼の足が向いたのはこの展望台の道。命令された覚えはないが、そこでシナバーと会い、血の半分を渡していた。そこは──。

「ここだ。ドアがあって、そこを通ったはず」
「見た所、それらしい痕跡は見当たらないけれど」
「んん~?」

 案内でたどり着いたのは、展望台の中に入ってさらに地下にある資料室。フロゥが記憶を頼りに足を止めたのは、様々な本が敷き詰められた本棚を抜けた先にある、ただの壁だ。何かをしてドアが開いたそうだが、壁は無機質で冷たい。平らで、仕掛けになりそうなところは無さそうだ。
 世界の様々な色が見えるアルナイトの目で見ても、特に変哲がない。押しても叩いても、うんともすんともしない。しかし壁を撫でていたファルベの薄桃色の手が、ふとした所で止まる。

「ここ、石の鼓動がする」

 頭の中で、ここだけ異なる音が聞こえた。それはオリクトの民だから感じる音。ファルベのローズクオーツの瞳に、石が反応しているのだ。純粋な鉱物であるからこそ気付けた。他の生き物が触っても、ただの壁にしか思えないだろう。
 やはり仕掛けがあったのだ。きっと選ばれた石をかざせば、フロゥが過去に通ったドアが現れる。しかしそれは一体なんの石か。国石であるラピスラズリ? それでは誰でも開けられる。だがフロゥは何か特別な石は持っていない。

『……シナバークオーツ』
「え?」
『さっきまで、持っていた石』
「僕、そんな石を持ってたのか……?」
「あそっか! さっきと今のフロゥで違うって言えば、あの指輪を持ってるか持ってないかだ!」

 シナバークオーツならば、他の侵入者も防げる。しかしただのシナバークオーツではない。血が混ざっていた。
 ルルは一つのシナバークオーツを生むと、そこにナイフで自分の血を吸わせた。急に、当たり前のような行動に、3人はギョッとする。

「わぁルル! 何してんだ⁈」
『あのシナバークオーツ、血が染み込んで、いたから』
「だ、だとしても、そんな躊躇せずやらなくても」

 ルルは何かまずかったのかと、不思議そうに首をかしげる。確かに必要な過程かもしれないが、肝が座りすぎている気がする。あわあわするフロゥとアルナイトと違って、ファルベは少し苦笑いすると、傷ついたルルの手を取って傷口に軽くキスをする。オリクトの民にとっての手当だ。光を無しにキラキラする真っ赤な血は、それ以上流れなかった。
 ルルは壁にシナバークオーツをかざす。しかしこれは賭けでもあった。あの指輪にはシナバーの血。もしかすれば異なる血は意味がないかもしれないから。だから世界の王の血であれば、上回って開くのではないかと考えた。
 数秒置いて、地面が揺れた。塔全体が揺れている。かと思えば、シナバークオーツが反応するように輝き、壁の中央から亀裂が走った。亀裂は双方に開かれ、暗闇に続く階段が現れる。

「うおぉ……アルティアルに、こんな所があったんだ」
「そうだ、この階段を下った先に、シナバーの部屋があった」
『行こう』

 階段はラピスラズリで作られている。4人は暗闇の中ぼんやり光る階段を降りて行った。
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