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【宝石少年と霧の国】
美しき毒
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ご機嫌な鼻歌に誘われた小さな鳥が、アガットの肩に止まる。特別な事があったわけでは無いが、いつもと変わらない朝日を浴びれただけで、彼女にとってはいい日なのだ。
「今日もいいお天気ですわね。お一ついかが?」
朝食用の果物が、腕に抱える籠の中で転がる。アガットはそのうち、一番小さな木ノ実を小さなクチバシに咥えさせた。
小鳥を見送り、アガットもその場から離れる。帰る最後、絶えず家の前を流れるキラキラした川の水を、持ってきた水差しへたっぷり溜めた。
ジプスたちは、順調にいっていれば明日帰って来る。お疲れ様の気持ちを込めて、少し手の込んだ料理でも作るつもりでいた。昨日からメインの肉や果物を仕込んだり、スープをじっくり煮込んだりと精を出している。今日は足りない食材を調達しに行く予定でもいた。
そんな先の事を考えながら川を渡り、ドアの前に足を付いた。その時、背後で羽ばたく音が聞こえて振り返る。眩しいくらいの純白の鳥が、彼女の目の前で器用に止まっていた。
「あら、ジプスからのお手紙。近状報告かしら?」
指で止まり木を作ると、鳥はそこで羽根を休めた。家へ入り、鳥を肩に移動させてから籠と水差しをテーブルに置く。食料庫へしまうのはあとにして、アガットはアンブルの部屋のドアをノックした。おそらく彼女宛だろうし、急ぎだったらいけない。
返事を聞いてから中を覗くと、アンブルの背中は作業机にあった。
「ジプスからお手紙が参りましたわ」
「あぁ、ありがとう」
アンブルは作業机から振り返り、指を差し出す。新しい止まり木に移った鳥の足に、見覚えの無い蔓が絡まっているのに気付いた。
「これは……」
「元々結んでありましたのよ。見た事無い植物ですわ」
アンブルはまじまじと蔓を見つめるアガットに頷き、鳥と額同士を合わせる。頭に流れ込む断片的な映像と、添えられたジプスの言葉に眉根を寄せた。心配そうに首をかしげたアガットの頭を優しく撫でながらも、アンブルの顔からは険しさは抜けない。
彼も驚きに戸惑っているようだったが、彼女も頭を悩ませていた。予想よりも汚染の進み具合が早い。違和感を覚えるほどのスピードだ。自然的に起きたものを、第三者が利用してこちらに敵意を示していると考えていい。そうなると、ただ尻尾を待っているだけにはいかなくなった。個体にまで影響を出し、住人を傷付け弄ぶのを黙って見ているのはもうできない。
アンブルは役目を終えた羽根を机の引き出しに入れ、立ち上がる。
「アガット、三人を労うのはもう少し先になりそうだ。私たちにも、やる事が増えたよ。例の件だ」
「まあ、残念ですわ。でも仕方ありませんものね」
「ああ。迎え入れる準備をしよう。お前の力も、頼りにしているからね」
「お任せくださいな、アンブル様」
アガットはいつも通りの華やかで可愛らしい笑顔で頷き、部屋を出たアンブルの背中を追った。
おそらく相手はこちらが女だけだからと言って、油断しているだろう。しかし売られた喧嘩は、倍に返す。それができるだけの力を、彼女たちは充分に持っているのだ。
~ ** ~ ** ~
妖精たちが暮らしている巣まで行くには、目の前の地面で口を明けている洞窟の奥へ行く必要がある。ここは、イリュジオンに数ある洞窟の中で代表した四つのうち、一つの水の洞窟だ。
妖精は入り口の前で、無意味に彷徨うように飛んだ。その姿は、怯えているようにも見える。
「大丈夫ですよ。みんな一緒です」
その言葉に、人よりも大きな水色の目が一度左右に揺れる。だが妖精は意を決したように頷き、アウィンとルルの間に並んだ。
「灯りは無くていいのか?」
「大丈夫ですよ。最初は暗いですけど、すぐ見えるようになるので」
確かに少しすれば、目は暗闇に慣れる。それでもこの地下への口の黒さは、少し不安を感じさせた。素直にその言葉を飲み込むのは難しく、三人は入り口を下ったジプスの背を意気込んで追った。
入ってしばらくは、真夜中をさらに霧で満たしたように視界が奪われた。ジプスの白い衣服と体がまだ光を含んでいて、ぼんやりと道を示している。吸って吐く息や、肌を撫でる風が冷たい。寒いのではなく冷たいのだ。その温度は、水の中を彷彿とさせる。
ルルは周囲を不思議そうに見渡す。
『何か、動いてる』
這うような……いや、これは泳ぐようと言った方がしっくりする。四人分の足音と妖精の静かな羽音以外、何十と数えきれない他の音が鉱石の耳だけを刺激した。
音の主を知っているであろうジプスと妖精が、ルルの言葉に特に反応しないのを見ると、敵じゃないと判断できる。
「そろそろ、太陽が登りきりますね」
「え? ええ、おそらく」
振り向かずに言うジプスの声は、少しだけ弾んで聞こえた。アウィンとコーパルは顔を見合わせて首をかしげる。洞窟の中で太陽の場所なんて、どう関係あるのだろうか。
浅い段差を注意しながら下り、さらに進んでいく。その時、アウィンたちは奥に目を凝らした。海のような青い煌めきが遠くに見える。それは歩を進めるように、青い光の足跡を残してこちらへやってきた。光の歩みはとてもゆっくりに見えたが、瞬きを二、三回繰り返した頃には全員をまたぎ終えていた。
ジプスが改めるように足を止めて振り返った。
「ここが、水の洞窟です。ね、明るいでしょう?」
二人は思わず無言のままで頷いた。太陽を気にしていたわけが理解できた。見れば高い天井の所々、厚さが無い場所がある。そこから太陽の光がさして、洞窟全体を明るくするのだ。深海のような辺りは一変し、真昼間の浅瀬を思わせる眩しさだ。まるでここは、歩ける海底。
二人が見惚れるように天井からの光を眺めている中、ルルだけは手の平を上にして不思議そうにした。
『冷たいけど、光なの?』
「あ、そうなんです。この洞窟の石自体が冷たいので、それを通した光も、必然的に冷たいんですよ」
光も見た事が無いから、今まで暖かいものだとばかり考えていた。通過する物体によって温度を変えるのかと、ルルは納得したのか大きく頷く。
進み出そうとしたコーパルの視界の端で、ふと何かが動いた影が映った。彼は突然の事に驚き、その場から飛び退く。
『どうしたの?』
「い、今何か」
体を硬直させた彼に、妖精が地面へ指をさす。その先に居たのは、翼のようなヒレを持った魚。影の正体だ。まるで空を飛ぶように、石の中をスイスイと泳いでいる。
「石の中で、動いている?」
「よく見たら……中は水ですか?」
上ばかりに気を取られていたせいで気付かなかった。踏んでいる地面は、ただの石で出来た階段ではない。そこを靴が叩くと、水面にできるような波紋が広がった。水は不思議と絶え間無く動き、それによって青、紫、緑と変化させている。
飛ぶように泳ぐ魚も、見た事ない種類だ。数えきれないほどの彼らは、視線で追えば地面や壁、天井すら自由に泳ぎまわっている。
『さっきも、この音した』
鉱石の耳が聞き取ったのは、石の中で動き続ける水と魚の動く音だったのだ。
美しく鮮やかなこの液体は、ただの水ではない。この魚以外には触れられない猛毒だ。美しい物ほど棘があるとはよく言ったもので、誘われた生き物は触れた途端に痺れを起こし、呼吸困難に陥る。
「時々水溜りがありますから、触らないように気をつけてくださいね」
さらっとそんな忠告を受けると、次の一歩が重くなる。しかしそれはジプスのちょっとした冗談だった。確かに水溜りはあるが、それは遠くから見ればすぐ分かる。しかもこの液体は空気に触れると数秒で固まるため、触れるという自体になる事もほとんど無い。
石が壊れるという事も無いと言う。洞窟を作る鉱石はダイヤモンドよりも数倍硬く、たとえ同じ石同士でぶつかっても、ヒビが入るくらいだ。それを知ったアウィンとコーパルは、一瞬止めた息を安堵に吐く。
ルルは説明を片耳で聞きながら、もう片方を別の音に澄ませていた。それは国宝の音ではない。シャラシャラと、綺麗で落ち着く音だ。
進む列から途切れないようにしつつ、ルルは音を辿ってそっと壁に触れた。この奥から聞こえる。音がするのは、分厚い石の壁の向こうで魚が優雅に泳ぐ水からだった。
それは、魚だけが知っている秘密。洞窟内を冷たくも美しく見せているこの色彩。それは、正確に言えば液体の色ではなかった。真実は、水に紛れた数ミリとない石の欠けら。それらが魚の動きによって舞い、太陽の光に晒される事で無限に色を変える。石が擦れ合い、輝く時、シャラシャラと涼やかな音が鳴るのだ。肉眼でも目を凝らせば石は見えるが、もっと明るくしなければ難しいだろう。
リンと鈴が転がるような音が、真横からした。ルルはハッとして我に変える。足を動かしているつもりが、思わず音に無中になって立ち止まっていた。不思議そうに首をかしげた妖精に首を振り、先を行く三人の背中を追った。
「今日もいいお天気ですわね。お一ついかが?」
朝食用の果物が、腕に抱える籠の中で転がる。アガットはそのうち、一番小さな木ノ実を小さなクチバシに咥えさせた。
小鳥を見送り、アガットもその場から離れる。帰る最後、絶えず家の前を流れるキラキラした川の水を、持ってきた水差しへたっぷり溜めた。
ジプスたちは、順調にいっていれば明日帰って来る。お疲れ様の気持ちを込めて、少し手の込んだ料理でも作るつもりでいた。昨日からメインの肉や果物を仕込んだり、スープをじっくり煮込んだりと精を出している。今日は足りない食材を調達しに行く予定でもいた。
そんな先の事を考えながら川を渡り、ドアの前に足を付いた。その時、背後で羽ばたく音が聞こえて振り返る。眩しいくらいの純白の鳥が、彼女の目の前で器用に止まっていた。
「あら、ジプスからのお手紙。近状報告かしら?」
指で止まり木を作ると、鳥はそこで羽根を休めた。家へ入り、鳥を肩に移動させてから籠と水差しをテーブルに置く。食料庫へしまうのはあとにして、アガットはアンブルの部屋のドアをノックした。おそらく彼女宛だろうし、急ぎだったらいけない。
返事を聞いてから中を覗くと、アンブルの背中は作業机にあった。
「ジプスからお手紙が参りましたわ」
「あぁ、ありがとう」
アンブルは作業机から振り返り、指を差し出す。新しい止まり木に移った鳥の足に、見覚えの無い蔓が絡まっているのに気付いた。
「これは……」
「元々結んでありましたのよ。見た事無い植物ですわ」
アンブルはまじまじと蔓を見つめるアガットに頷き、鳥と額同士を合わせる。頭に流れ込む断片的な映像と、添えられたジプスの言葉に眉根を寄せた。心配そうに首をかしげたアガットの頭を優しく撫でながらも、アンブルの顔からは険しさは抜けない。
彼も驚きに戸惑っているようだったが、彼女も頭を悩ませていた。予想よりも汚染の進み具合が早い。違和感を覚えるほどのスピードだ。自然的に起きたものを、第三者が利用してこちらに敵意を示していると考えていい。そうなると、ただ尻尾を待っているだけにはいかなくなった。個体にまで影響を出し、住人を傷付け弄ぶのを黙って見ているのはもうできない。
アンブルは役目を終えた羽根を机の引き出しに入れ、立ち上がる。
「アガット、三人を労うのはもう少し先になりそうだ。私たちにも、やる事が増えたよ。例の件だ」
「まあ、残念ですわ。でも仕方ありませんものね」
「ああ。迎え入れる準備をしよう。お前の力も、頼りにしているからね」
「お任せくださいな、アンブル様」
アガットはいつも通りの華やかで可愛らしい笑顔で頷き、部屋を出たアンブルの背中を追った。
おそらく相手はこちらが女だけだからと言って、油断しているだろう。しかし売られた喧嘩は、倍に返す。それができるだけの力を、彼女たちは充分に持っているのだ。
~ ** ~ ** ~
妖精たちが暮らしている巣まで行くには、目の前の地面で口を明けている洞窟の奥へ行く必要がある。ここは、イリュジオンに数ある洞窟の中で代表した四つのうち、一つの水の洞窟だ。
妖精は入り口の前で、無意味に彷徨うように飛んだ。その姿は、怯えているようにも見える。
「大丈夫ですよ。みんな一緒です」
その言葉に、人よりも大きな水色の目が一度左右に揺れる。だが妖精は意を決したように頷き、アウィンとルルの間に並んだ。
「灯りは無くていいのか?」
「大丈夫ですよ。最初は暗いですけど、すぐ見えるようになるので」
確かに少しすれば、目は暗闇に慣れる。それでもこの地下への口の黒さは、少し不安を感じさせた。素直にその言葉を飲み込むのは難しく、三人は入り口を下ったジプスの背を意気込んで追った。
入ってしばらくは、真夜中をさらに霧で満たしたように視界が奪われた。ジプスの白い衣服と体がまだ光を含んでいて、ぼんやりと道を示している。吸って吐く息や、肌を撫でる風が冷たい。寒いのではなく冷たいのだ。その温度は、水の中を彷彿とさせる。
ルルは周囲を不思議そうに見渡す。
『何か、動いてる』
這うような……いや、これは泳ぐようと言った方がしっくりする。四人分の足音と妖精の静かな羽音以外、何十と数えきれない他の音が鉱石の耳だけを刺激した。
音の主を知っているであろうジプスと妖精が、ルルの言葉に特に反応しないのを見ると、敵じゃないと判断できる。
「そろそろ、太陽が登りきりますね」
「え? ええ、おそらく」
振り向かずに言うジプスの声は、少しだけ弾んで聞こえた。アウィンとコーパルは顔を見合わせて首をかしげる。洞窟の中で太陽の場所なんて、どう関係あるのだろうか。
浅い段差を注意しながら下り、さらに進んでいく。その時、アウィンたちは奥に目を凝らした。海のような青い煌めきが遠くに見える。それは歩を進めるように、青い光の足跡を残してこちらへやってきた。光の歩みはとてもゆっくりに見えたが、瞬きを二、三回繰り返した頃には全員をまたぎ終えていた。
ジプスが改めるように足を止めて振り返った。
「ここが、水の洞窟です。ね、明るいでしょう?」
二人は思わず無言のままで頷いた。太陽を気にしていたわけが理解できた。見れば高い天井の所々、厚さが無い場所がある。そこから太陽の光がさして、洞窟全体を明るくするのだ。深海のような辺りは一変し、真昼間の浅瀬を思わせる眩しさだ。まるでここは、歩ける海底。
二人が見惚れるように天井からの光を眺めている中、ルルだけは手の平を上にして不思議そうにした。
『冷たいけど、光なの?』
「あ、そうなんです。この洞窟の石自体が冷たいので、それを通した光も、必然的に冷たいんですよ」
光も見た事が無いから、今まで暖かいものだとばかり考えていた。通過する物体によって温度を変えるのかと、ルルは納得したのか大きく頷く。
進み出そうとしたコーパルの視界の端で、ふと何かが動いた影が映った。彼は突然の事に驚き、その場から飛び退く。
『どうしたの?』
「い、今何か」
体を硬直させた彼に、妖精が地面へ指をさす。その先に居たのは、翼のようなヒレを持った魚。影の正体だ。まるで空を飛ぶように、石の中をスイスイと泳いでいる。
「石の中で、動いている?」
「よく見たら……中は水ですか?」
上ばかりに気を取られていたせいで気付かなかった。踏んでいる地面は、ただの石で出来た階段ではない。そこを靴が叩くと、水面にできるような波紋が広がった。水は不思議と絶え間無く動き、それによって青、紫、緑と変化させている。
飛ぶように泳ぐ魚も、見た事ない種類だ。数えきれないほどの彼らは、視線で追えば地面や壁、天井すら自由に泳ぎまわっている。
『さっきも、この音した』
鉱石の耳が聞き取ったのは、石の中で動き続ける水と魚の動く音だったのだ。
美しく鮮やかなこの液体は、ただの水ではない。この魚以外には触れられない猛毒だ。美しい物ほど棘があるとはよく言ったもので、誘われた生き物は触れた途端に痺れを起こし、呼吸困難に陥る。
「時々水溜りがありますから、触らないように気をつけてくださいね」
さらっとそんな忠告を受けると、次の一歩が重くなる。しかしそれはジプスのちょっとした冗談だった。確かに水溜りはあるが、それは遠くから見ればすぐ分かる。しかもこの液体は空気に触れると数秒で固まるため、触れるという自体になる事もほとんど無い。
石が壊れるという事も無いと言う。洞窟を作る鉱石はダイヤモンドよりも数倍硬く、たとえ同じ石同士でぶつかっても、ヒビが入るくらいだ。それを知ったアウィンとコーパルは、一瞬止めた息を安堵に吐く。
ルルは説明を片耳で聞きながら、もう片方を別の音に澄ませていた。それは国宝の音ではない。シャラシャラと、綺麗で落ち着く音だ。
進む列から途切れないようにしつつ、ルルは音を辿ってそっと壁に触れた。この奥から聞こえる。音がするのは、分厚い石の壁の向こうで魚が優雅に泳ぐ水からだった。
それは、魚だけが知っている秘密。洞窟内を冷たくも美しく見せているこの色彩。それは、正確に言えば液体の色ではなかった。真実は、水に紛れた数ミリとない石の欠けら。それらが魚の動きによって舞い、太陽の光に晒される事で無限に色を変える。石が擦れ合い、輝く時、シャラシャラと涼やかな音が鳴るのだ。肉眼でも目を凝らせば石は見えるが、もっと明るくしなければ難しいだろう。
リンと鈴が転がるような音が、真横からした。ルルはハッとして我に変える。足を動かしているつもりが、思わず音に無中になって立ち止まっていた。不思議そうに首をかしげた妖精に首を振り、先を行く三人の背中を追った。
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