宝石少年の旅記録

小枝 唯

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【宝石少年と霧の国】

アメジストの湖

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 ジプスを先頭に、西へ進んで行く。まず採るのは【アメジストの鱗】という、美しい湖から手に入る宝石だ。砕いて薬の一部として使うらしい。
 森の中はあまり変わらない。しかしまだ太陽が上に登ったばかりだというのに、少しずつ肌に触れる空気が冷たく感じる。

「ここも森の中……なのか?」
「もちろん。イリュジオンはいろんな自然が混ざって構築されているんですよ」

 森と称されても、木だけが密集しているわけではないようだ。アメジストの鱗が取れる場所も、木では無く鉱石が集まってできているのだという。確かに、今まで太く密集していた木が細く長い種類に変わり、さらには減っている。しかし遠くは淡い霧が覆っているのか見えない。

(鉱石の香りが、凄く、濃くなってきた)

 ルルがそう思い始めたのは、踏みしめていた地面が柔らかな土ではなくなった頃だった。砂利を踏むような感覚で、試しに立ち止まってその場にしゃがむ。肩を並べていたアウィンがいち早く気付いて足を止める。

「ルル、どうしました?」
『この地面、不思議』
「不思議?」

 風景ばかりに気を取られていた二人は、そこで地面の変化を知った。薄青い両手が掬った砂利は、僅かな動きによって土には無い煌めきを見せる。一見するとただの小石としか思えないが、よく見ると黒に青や紫が混ざって綺麗だ。
 両手に収まる大小様々な石の一粒を、アウィンの長い指がつまむ。確かに、ただの地面とするには不思議だ。石が丸い。適当に掬っただろう全てが均等で、まるで川底の石のようだ。よく見ると水流のような模様もある。

「足の感覚だけで、よく気付きましたね。ここ一体は昔、湖だったんです」

 ジプスは感心したように、足元の石を拾って空へかざす。この地は巨大な湖だった。しかしそれは、住人が居ない何十年も前の話。気付かないくらいなだらかな坂や、長い年月をかけて削られた模様のある砂利。陸地では育たない植物など、様々な痕跡でそう判断できた。
 今はその過去が想像できないくらいに規模が小さくなっているが、干上がったわけではない。その証拠に、ここ数年は減るのではなく、むしろ水かさが少しずつ増していた。再び永い時間をかけ、元の大きさに戻ろうとしているのだ。まるで呼吸するかのように。

「もう少しで着きます」

 数十分経った頃。そう言ったジプスの声は、妙に響いて聞こえた。動物が居ないからか、聴覚を奪われたと勘違いしそうなほど静かだ。空間に反響する四人の歩く音で、かろうじて無音の中を進む事ができた。
 より研ぎ澄まされた鉱石の耳に、ぽちゃんと雫が落ちる音が小さく聞こえた。深く息を吸うと、鉱石が混ざった水の匂いがする。
 落ち着かない様子で辺りを見ていたコーパルは、金の目を細めて徐々に濃くなる霧の向こう側を見つめた。白い霧の中、数々の大きな岩が佇むその隙間から、微かに黒が見える。

「あれは、水か?」
「あぁ、本当だ。しかしずいぶんと黒いですね」
「あそこが目的の湖です。色が濃いから、黒く見えるんですよ。ここから先は岩が多いので、足元に気を付けて」

 注意を聞いた数歩後、意識しても分からないほどだった坂が、ハッキリ足裏に伝わる深さになった。それと共に、背丈くらいの岩が行手を阻むように地面から生える。それは内側に光を溜め込み、美しい紫色をしていた。
 ルルは目の前に現れた岩を触ろうと手を伸ばす。すると指先が触れようとした直前、誰かの手に包まれて遮られた。少し骨張った大きな手は、コーパルのもの。

「指が切れる」

 少し早口な口調に、慌てているのだと判断できた。岩は地面の石と違って丸くない。それこそ逆に、巨大な刃のように鋭く鋭利なのだ。
 ルルはキョトンとしながら、見えない目で岩を見つめて理解した。危険物かそうでないかは、動きと気配で判断する。しかし判断素材のどれかが少しでも欠ければ、触って確かめるという最終手段しか残っていない。コーパルが止めなければ、ルルは学ぶために指を赤くしていただろう。

『ありがとう』

 やがて水の匂いが目の前かと錯覚するほどになって来た。もうアウィンたちにも眼前だろう。その時だった。ルルは仮面の下で目を丸くし、周囲をキョロキョロする。音が聞こえた。何か大きなものがゆっくりと動く、重たい音が。
 しかしいくら意識を集中させても、ここで息をするのは自分たち以外居ない。気配も無く聞こえた音を拾ったのは、フードで隠れた鮮やかな鉱石だけだった。

「これは……なんて美しいのでしょう」

 そんなうっとりとした声を聞いて、ルルは慌てて足を止めて前に向き直った。ポーンと聞き知った音が一つ足裏から鳴ったのを最後に、空間が静まり返る。目的地に着いたのだ。

「ここが、アメジストの湖です」

 もう地面からは、鋭利な岩は出ていなかった。足元は打って変わって滑らかで、うっかりしていると滑って転びそうだ。灰色の地面にいくつも紫の雫を垂らしたような波紋の模様で、自らの意思で淡く光っている。その中心に、同じ色をした巨大な湖が広がっていた。
 湖は掬うと思ったよりも淡い色をしていた。中央に行くごとに黒にすら見えるという事は、相当深いのだろう。湖の中をじっと覗いていたコーパルの目がジプスへ向く。彼はその無言の問いを汲んで頷いた。

「アメジストの鱗は、この中に入る必要があります」
「やっぱり、そうなのか」
「そして、これは申し訳ないのですが、僕は行けません」
「フクロウの獣人だからですね?」

 ジプスは両手の指を絡めて眉根を下げると、気まずそうに頷いた。浅い場所なんかでは水浴びをするが、泳ぐ事はできない。そのため、普段はアンブルかアガットが採取するのだという。

『僕、行きたい』

 三人の驚いた視線が一斉にルルへ向いた。賛同を得るよりもはやく、彼はフードと仮面を取っている。これでも、今すぐにでも飛び込みたい気持ちをぐっと抑えているつもりだった。

『呼んでるの』

 独り言のように、頭に音がポツリと響いた。三人は顔を見合わせる。ルルの瞳は湖に注がれて離れない。その様子は水面ではなく、もっと奥を見つめているかのようだった。
 足を止める直前に聞こえた音が、今はハッキリと鉱石の耳を震わせていた。深い、光が差さない深い場所。そこから呼んでいる。行かなければいけない。会わなければいけない。
 それまで湖へ固定されていた虹の目がジプスへ向いた。黒に見える濃厚な紫の色彩が瞳に躍っている。

「……分かりました。でも、危険だと思ったらすぐに上がってきてください」
『うん』
「それともう一つ。ここであった出来事は、森の外へ持ち出さない事を約束してください」
『分かった』

 丁寧に畳まれたマントに、仮面が置かれる。ルルの素肌を守る物はあっという間に、彼自身の手で取り払われた。冷たい地面に腰をかけ、まずは足だけを水に浸す。そこではじめて生まれた小さな波に、湖の中がキラキラと光を生んだ。
 ジプスから渡されたのは、小さく透明な石。中は空気が入っていて、肉眼では見えないほど僅かな穴が空いている。これを口に入れると水中でも空気が体内に送られ、割れるまでずっと潜り続ける事ができる。

「ルル、本当に一人で大丈夫ですか?」
『うん。危険だったら、すぐ戻るから、大丈夫だよ。行ってきます』

 心配そうなコーパルとアウィンの視線に、自分が想像できる微笑みを見せ、ルルは滑るように夜色に飛び込んだ。陸地の音は一気に遠ざかり、包まれるように静かになった。水は肌を突くように冷たい。人間が入ったらすぐ風邪を引いてしまうだろう。
 ルルは臆する様子もなく、水中を蹴ってもっと奥へ泳いだ。音を通さない水の中、ほんの僅かな音が波として伝わってくる。鉱石の耳だけではない。音の波が走るのは、柔らかな薄青い肌の上。

(この湖、どこまで、続くんだろう)

 水の動きを見て空間を把握しようとしたが、その深さに諦めた。ここでさえ黒いと称するに相応しいほどなのに、もっと下を見ればさらに息を呑む暗闇だ。きっと目が見えていれば、恐ろしさに身を竦ませていただろう。そもそもここまで来られなかったかもしれない。

 ルルはとにかく肌をくすぐる微かな波を頼りに、水を手でかき分けて足で蹴る。そうしてどのくらい泳いだか。少し手足が重くなってきた頃、少し遠くに空間の終わりを感じた。
 トンと、足が硬い石の床に降りた。どうやら湖の底にたどり着いたらしい。優雅に揺れる長い髪が、浮かび上がるように銀に輝く。光が反射したのだ。先程まで一切の他を許さなかった空間で。

(木?)

 湖の底に広がっていたのは、小さな林だった。林を包むようにして、辺りには雪のような物が舞踊っている。それは、ルルの背と同じぐらいの小柄な木の枝先に咲く花だった。花は波の動きによって桃色の光をまとい、こちらを誘うかのような妖艶さを見せる。水流の僅かな力によって花が散り、そこは絶え間なく花吹雪が降り注いでいるのだ。
 ルルの目は光すら通さないため、彼は灯りを熱として判断している。しかしこれは氷のように冷たかった。さらには、手のひらに舞い降りた花びらは体温で溶けて、水中に微かな煌めきを残して消えていく。ほんの微かな命の儚さは目を奪われた。

(この音……奥からだ)

 桃色を反射するルルの目は、まっすぐ林が作る暗闇を見つめていた。音。それは陸地で聞こえていた、大きな何かが動く音ではない。通話石が重たく揺れる胸に、自然と手を置く。そうだ、鉱石の耳に響くのは、これと同じ心臓の鼓動だ。
 ルルは目の前を覆う花びらをかき分け、少し体力を取り戻した足で水を蹴った。花びらが肌に触れる冷たさで、体を丸くしてしまいそうだ。それでも懸命に体を動かした。少しでも止まれば、寒さに目を閉じてしまいそうだから。

「!」

 口から漏れ出た大きな泡に、花びらが溶ける。ルルは慌てたように後ろへ振り返った。別の音がした。とても不気味で、低く重い、化け物の遠吠えのような。
 まずい状況だ。水の中のせいで、普段は有利となる音を使った距離が測れない。音は近くで囁かれたように聞こえたと思えば、遠くでの叫びに変わる。ほんの少し理解できるのは、感情くらいか。怒り、焦り、恐怖。それらに喰われ、突然現れた相手を拒絶しているのが伝わる。そして確かに、奥に隠れる殺意を感じた。
 突然、波の圧を感じた。ゆったりと舞っていた花びらが突風に吹かれるように乱れ散る。ルルは肌を叩く水の動きに、反射的に地面を蹴って飛び上がった。一瞬のあと、長く巨大な体が木々を薙ぎ払う。水の動きに気付かなければ、今頃壁に叩きつけられていた。赤い満月が二つ、避けた侵入者をギロリと睨む。

 尾はゆっくりと引いていく。次の攻撃の準備をしているのだ。ルルは相手の体勢が整う前に、林に紛れるように泳いだ。水中戦では明らかに不利だ。見えず、普段頼っている音もあまり使えないのだから。肌が感じる水の動きでかろうじて避けられたが、ただでさえ動きが鈍くなるのだから油断できない。

(あの声……泣いてる)

 悲しんでいる。呼んでいる。様々に混ざる感情の中、それらが息を潜めているのが分かる。間違いない。陸地で聞こえていた声の主だ。とは言え、錯乱している中で会いに行けばただでは済まないだろう。敵でないと示すためには、まず攻撃を避け続けるしかない。
 鈍くも激しい音を立て、林が崩されていく。

(このままじゃ、ここが、壊れてしまう)

 そんな未来は声の主も望まないはずだ。これ以上悲しみを与えたくない。それに、体を壁にぶつけ続ければ要らぬ傷が増える。
 振り返ったルルの瞳が、眩しく虹に輝く。すると、四方の壁から宝石の膜が蜘蛛の巣のように壁となった。壁は主が体当たりした事によって、その体を優しく包む。宝石の膜に殺傷能力は無い。これで暴れても、少しの間は傷がつかなくて済むだろう。
 今のうちにと、ルルはとにかく林の奥へ急いだ。聞こえる鼓動が、誘うように強くなっている。膜が破られる前に、鼓動の根源を確かめたかった。

 枝が擦れ、肌に赤い線ができる。それも構わず進み、たどり着いたそこにあったのは、巨大な卵だった。
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