94 / 204
【宝石少年と2つの国】
鉱石病
しおりを挟む
ルルは街の中央でふと立ち止まり、周囲を見渡す。昨晩までと比べ、外に出ている人が圧倒的に少ない。今は月が顔を見せ始めた時間帯で、ノイスでは最も賑わうだろう。それなのに開いている店はまばらで、皆まるで、息を潜む様に家に引きこもっている。
今日1日ずっと外を歩き、街の形状などを再確認していた。しかし変化に気を取られ、あまり集中出来ていない。宴の準備でもしているのだろうか。それにしては空気が冷たい気がする。
何があったのか尋ねたいが難しそうだ。
(とりあえず、コランに伝えよう)
ひとまず他の情報が掴めないのなら、今の状況を伝えるのが先だ。もしかしたら一足先に、コランの方が新しい話を聞いているかもしれない。
~ ** ~ ** ~
クァイットの館に帰ったのは、もうすっかり月が真上に昇った頃だった。ドアノッカーを鳴らして、瞬きの間もなく扉が開かれる。しかしいつも迎える使用人は居らず、扉を開けたのはコランだった。彼は帰宅したルルの姿に安堵の顔色を浮かべる。
「ああルル、良かったご無事で……!」
宝石の耳を通して大きく響いた声は悲痛さを含んでいる。いつもと違った様子に、ルルは仮面を外しながら訝しそうに目を細める。
『何か、あったの? 街も少し、変だったんだ』
「ええ、最悪な事態が起こったのです」
『最悪な?』
「実は──」
早口に捲し立てられようとした言葉を、扉が乱暴に開かれる音が止めた。ルルは直後の数人の足音に、急いで仮面を着ける。
コランはこんな時に一体誰だと、迷惑そうにしかめた顔を玄関へ向けた。しかしその淡い赤色の目は驚きに見開かれる。
「失礼する、クァイット家よ」
そう言ったのは、数人を引き連れたアダマスだった。それも、彼の後ろをついて歩いている面々は、昔からよく知った者たちだ。五大柱の3人と、騎士が5人。
「一体、何ですか? 連絡をせず訪れるとは……。それもこんな状況の時に!」
「だからこそ、だ。貴方に用は無い。あるのは、そこの旅人だ」
コランは漆黒の目が向いたルルの前に、庇うように立った。五大柱が揃って、わざわざ一般人である旅人に用など、いい予感はしない。
ルルは訪れた全員が、こちらを見ていると分かった。それも見つめる視線は嫌悪が混ざっている。しかしそんな視線を向けられる筋合いがない。
『コラン、ありがとう。でも庇わなくて、いいよ』
「しかし」
『大丈夫』
彼の行動は有り難いが、後ろめたい事も無いのだから逃げる必要は無い。
目の前から気配が横にズレたのを感じ、ルルは一歩前で出る。胸に手を置き、堂々と背筋を正した。
『はじめまして。僕に、何の用?』
「貴様を確保しに来た」
『何故?』
「分からないとでも? 鉱石病をばら撒いた、疫病神めが」
「! なんて言い掛かりを!」
コランの叫びが館内に響き渡る。もちろんルルには全くの覚えはない。
しかし濡れ衣を着させられた本人は、至って冷静に今日の事を思い返していた。ここへ来る前の街の風景に納得できる。鉱石病については、本で少し触れた事がある。再び不治と呼ばれる病が発病したら、外へ出られなくもなるだろう。
「先日から太陽月共に数名、鉱石病と思われる症状が現れたと、連絡があった。それは今日に至るまで増えている」
『原因が僕である、証拠は?』
アダマスは背後に控えている騎士へ目配りする。騎士は頷き、何かを丁寧に包んだ袋を持って互いの中央へ歩み出た。結び目が解かれた袋から顔を出したのは、とても上質だと見える宝石の糸。光の角度によって色を変え、キラキラと煌めいている。
糸の香りに、ルルは覚えがあった。そうだ、以前ベリルと共に刺客から逃げる時、矢を受け止めるために作った幕の一部だ。もう消えたと思って油断していた。そうか、アダマスはこの糸を見て、もう自分の正体に目星を付けたのか。そして鉱石病が流行ったタイミングで、自然に近付いて来たのだ。
『それが何故、僕の物だと?』
「何人も目撃者が居るのだよ」
コツコツと音を立て、アダマスはルルに歩み寄った。コランが立ち塞がろうとしたが、先を読まれて騎士に遮られる。
ルルは目の前で止まった彼の気配に合わせて顔を見上げる。アダマスはフードから見える仮面に、ニヤリと不敵な笑みを浮かべた。そっと手の平を差し出す。
「──そのフードの下を!」
言葉が終わるよりも早く、伸ばされた手がルルの胸元をドンと強く押した。
「!」
「ルル……!」
抵抗する暇なく、ルルの体はそのままグラリと傾いた。咄嗟の事で受け身を取れず、腰を床に打ち付ける。痛みと共に、頭を覆っていたフードがハラリと取れた感覚を覚えた。
それを見たコランとアダマス以外の全員が騒めき、後ずさった。紫の混ざる銀の髪から覗く、鮮やかな鉱石。今まで隠れていたその異質な姿に、今は美しさよりも恐ろしさが勝っている。
コランは彼の姿を暴かれた事に顔を青ざめ、目の前を遮る槍の持ち手に思わず手をかけた。恐ろしさに怯みながらも、騎士は彼を通そうとしない。
「やはり……隠していたか」
皆が息を潜める中、アダマスの声が広い空間で妙に響いた。低く小さな声は震えている。しかしそれは、恐怖や怒りの類いではない。
アダマスは手を口元へ持っていく。必死なのだ。その歪んだ笑顔を、他へ隠すのに。そう、彼は笑っている。それはもう恍惚な笑みで、久々の獲物にありつく事に悦ぶ飢えた獣の様だった。
ルルはフードをかぶり直す事はしなかった。この状況で罪を逃れるのは、濡れ衣だとしても不可能に近い。むしろ疑いが深くなる行動だろう。
「なんて姿だ。その仮面の下は、どんな物を隠している?」
抵抗しない事に仄かな笑みを隠しきれないまま、アダマスは再びルルへ手を伸ばす。しかし指先が仮面に触れる直前、パシン……と弾かれる音が、エントランスに大きく響いた。
アダマスは、自分の手を叩き退けた薄青い手を驚いて見つめる。瞬間、一斉にルルを騎士が囲み、槍の切先が向いた。それでも彼は、刃を向けられる恐怖は微塵にも感じていない様子だった。今彼が感じているのは恐怖ではなく、不快感のみ。彼は仮面越しにアダマスを睨んだ。
『触らないで』
「なにぃ……?」
『これは貴方たちが、触れていいような、粗末な物では、ないの』
「貴様、自分の立場が分かっているのか」
『分かっている。けれど、これとそれは、別。これは大切な物。もし、触れるというのなら、その手……切り落とす』
いつもよりも抑揚を感じさせない声はとても静かだ。それなのに不思議と、骨の奥まで振るわせる恐怖を感じさせた。怒りを向けられる対象ではないコランも、ゾッと背筋を振るわせる。
ルルは槍の持ち手を握って立ち上がる。騎士はその動きに思わず槍を手元へ引き寄せた。握った力は、少女かと思うほどか弱いというのに。その怯え切った騎士たちを漆黒の目が睨んだ。
「何をしている、取り押さえろ!」
「待ちなさい」
乱暴な声を冷静な声で遮ったのはヴィリロスだった。彼は命令に狼狽える騎士と、平然としているルルの間に入る。
「我らの目的は、この者の保護のみだ。必要以上になぶる事はない。それにこの者は仮の元凶。他に疑わしい者を探す時間も必要だ。なにより、民の命は一刻を争う。この時間が惜しい」
アダマスはその冷たい空色の目にグッと押し黙る。一方でルルはその言葉と態度に、仮面の下で目をパチクリとさせた。意外だ。こんな場面で彼は、ここに居る全員を対等に見ている。私情は含めず、国民の事だけを考えているのだ。
それまで怒りと嫌悪に濁った虹の全眼が細くなると同時、鮮やかに戻る。彼となら、まともな話が出来そうだ。それに確かにここで揉めても、何の解決にはならない。
『僕に、触らないで。それを約束、してくれたら……ちゃんと、ついていくよ』
「条件を飲もう」
「ルル、行ってはなりません!」
「コラン、これ以上庇うというのなら、お前も牢へ行く事になるぞ? なにせ、正体を知っていながら、流行病の源を匿っていたのだから」
だとしても、このまま連れて行かれたらきっと最後だ。アダマスはルルを殺す気でいる。他に疑い深い者を探すとヴィリロスは言っていたが、恐らく残りの皆はそんな気は無い。しかしそれはルルも分かっている。それでもなお、彼は紫の唇に人差し指を当てて「しー」と息を吐いた。そして頬を緩ませ、コランだけに語りかける。
『コラン、いけない。貴方の五大柱という、立ち位置は……今後役に立つ。今失うのは、惜しい。国を、救いたいなら……耐えて。大丈夫、死ぬ気は無い』
それにこのままいけば、味方が1人増えるかもしれないのだ。
コランは頭にこだまするどこか穏やかな声に、開きかけた口を悔しそうにしながらも閉ざした。ルルは小さく頷く。
『早く行こう。貴方がここに居たら……嫌な香りで、いっぱいになる』
「なっ……さっさと連れ出せ!」
そうして、アダマスの指示によって騎士が数名が周りを囲む中、ルルに抵抗する素振りはなく、館から連れ出されて行った。
今日1日ずっと外を歩き、街の形状などを再確認していた。しかし変化に気を取られ、あまり集中出来ていない。宴の準備でもしているのだろうか。それにしては空気が冷たい気がする。
何があったのか尋ねたいが難しそうだ。
(とりあえず、コランに伝えよう)
ひとまず他の情報が掴めないのなら、今の状況を伝えるのが先だ。もしかしたら一足先に、コランの方が新しい話を聞いているかもしれない。
~ ** ~ ** ~
クァイットの館に帰ったのは、もうすっかり月が真上に昇った頃だった。ドアノッカーを鳴らして、瞬きの間もなく扉が開かれる。しかしいつも迎える使用人は居らず、扉を開けたのはコランだった。彼は帰宅したルルの姿に安堵の顔色を浮かべる。
「ああルル、良かったご無事で……!」
宝石の耳を通して大きく響いた声は悲痛さを含んでいる。いつもと違った様子に、ルルは仮面を外しながら訝しそうに目を細める。
『何か、あったの? 街も少し、変だったんだ』
「ええ、最悪な事態が起こったのです」
『最悪な?』
「実は──」
早口に捲し立てられようとした言葉を、扉が乱暴に開かれる音が止めた。ルルは直後の数人の足音に、急いで仮面を着ける。
コランはこんな時に一体誰だと、迷惑そうにしかめた顔を玄関へ向けた。しかしその淡い赤色の目は驚きに見開かれる。
「失礼する、クァイット家よ」
そう言ったのは、数人を引き連れたアダマスだった。それも、彼の後ろをついて歩いている面々は、昔からよく知った者たちだ。五大柱の3人と、騎士が5人。
「一体、何ですか? 連絡をせず訪れるとは……。それもこんな状況の時に!」
「だからこそ、だ。貴方に用は無い。あるのは、そこの旅人だ」
コランは漆黒の目が向いたルルの前に、庇うように立った。五大柱が揃って、わざわざ一般人である旅人に用など、いい予感はしない。
ルルは訪れた全員が、こちらを見ていると分かった。それも見つめる視線は嫌悪が混ざっている。しかしそんな視線を向けられる筋合いがない。
『コラン、ありがとう。でも庇わなくて、いいよ』
「しかし」
『大丈夫』
彼の行動は有り難いが、後ろめたい事も無いのだから逃げる必要は無い。
目の前から気配が横にズレたのを感じ、ルルは一歩前で出る。胸に手を置き、堂々と背筋を正した。
『はじめまして。僕に、何の用?』
「貴様を確保しに来た」
『何故?』
「分からないとでも? 鉱石病をばら撒いた、疫病神めが」
「! なんて言い掛かりを!」
コランの叫びが館内に響き渡る。もちろんルルには全くの覚えはない。
しかし濡れ衣を着させられた本人は、至って冷静に今日の事を思い返していた。ここへ来る前の街の風景に納得できる。鉱石病については、本で少し触れた事がある。再び不治と呼ばれる病が発病したら、外へ出られなくもなるだろう。
「先日から太陽月共に数名、鉱石病と思われる症状が現れたと、連絡があった。それは今日に至るまで増えている」
『原因が僕である、証拠は?』
アダマスは背後に控えている騎士へ目配りする。騎士は頷き、何かを丁寧に包んだ袋を持って互いの中央へ歩み出た。結び目が解かれた袋から顔を出したのは、とても上質だと見える宝石の糸。光の角度によって色を変え、キラキラと煌めいている。
糸の香りに、ルルは覚えがあった。そうだ、以前ベリルと共に刺客から逃げる時、矢を受け止めるために作った幕の一部だ。もう消えたと思って油断していた。そうか、アダマスはこの糸を見て、もう自分の正体に目星を付けたのか。そして鉱石病が流行ったタイミングで、自然に近付いて来たのだ。
『それが何故、僕の物だと?』
「何人も目撃者が居るのだよ」
コツコツと音を立て、アダマスはルルに歩み寄った。コランが立ち塞がろうとしたが、先を読まれて騎士に遮られる。
ルルは目の前で止まった彼の気配に合わせて顔を見上げる。アダマスはフードから見える仮面に、ニヤリと不敵な笑みを浮かべた。そっと手の平を差し出す。
「──そのフードの下を!」
言葉が終わるよりも早く、伸ばされた手がルルの胸元をドンと強く押した。
「!」
「ルル……!」
抵抗する暇なく、ルルの体はそのままグラリと傾いた。咄嗟の事で受け身を取れず、腰を床に打ち付ける。痛みと共に、頭を覆っていたフードがハラリと取れた感覚を覚えた。
それを見たコランとアダマス以外の全員が騒めき、後ずさった。紫の混ざる銀の髪から覗く、鮮やかな鉱石。今まで隠れていたその異質な姿に、今は美しさよりも恐ろしさが勝っている。
コランは彼の姿を暴かれた事に顔を青ざめ、目の前を遮る槍の持ち手に思わず手をかけた。恐ろしさに怯みながらも、騎士は彼を通そうとしない。
「やはり……隠していたか」
皆が息を潜める中、アダマスの声が広い空間で妙に響いた。低く小さな声は震えている。しかしそれは、恐怖や怒りの類いではない。
アダマスは手を口元へ持っていく。必死なのだ。その歪んだ笑顔を、他へ隠すのに。そう、彼は笑っている。それはもう恍惚な笑みで、久々の獲物にありつく事に悦ぶ飢えた獣の様だった。
ルルはフードをかぶり直す事はしなかった。この状況で罪を逃れるのは、濡れ衣だとしても不可能に近い。むしろ疑いが深くなる行動だろう。
「なんて姿だ。その仮面の下は、どんな物を隠している?」
抵抗しない事に仄かな笑みを隠しきれないまま、アダマスは再びルルへ手を伸ばす。しかし指先が仮面に触れる直前、パシン……と弾かれる音が、エントランスに大きく響いた。
アダマスは、自分の手を叩き退けた薄青い手を驚いて見つめる。瞬間、一斉にルルを騎士が囲み、槍の切先が向いた。それでも彼は、刃を向けられる恐怖は微塵にも感じていない様子だった。今彼が感じているのは恐怖ではなく、不快感のみ。彼は仮面越しにアダマスを睨んだ。
『触らないで』
「なにぃ……?」
『これは貴方たちが、触れていいような、粗末な物では、ないの』
「貴様、自分の立場が分かっているのか」
『分かっている。けれど、これとそれは、別。これは大切な物。もし、触れるというのなら、その手……切り落とす』
いつもよりも抑揚を感じさせない声はとても静かだ。それなのに不思議と、骨の奥まで振るわせる恐怖を感じさせた。怒りを向けられる対象ではないコランも、ゾッと背筋を振るわせる。
ルルは槍の持ち手を握って立ち上がる。騎士はその動きに思わず槍を手元へ引き寄せた。握った力は、少女かと思うほどか弱いというのに。その怯え切った騎士たちを漆黒の目が睨んだ。
「何をしている、取り押さえろ!」
「待ちなさい」
乱暴な声を冷静な声で遮ったのはヴィリロスだった。彼は命令に狼狽える騎士と、平然としているルルの間に入る。
「我らの目的は、この者の保護のみだ。必要以上になぶる事はない。それにこの者は仮の元凶。他に疑わしい者を探す時間も必要だ。なにより、民の命は一刻を争う。この時間が惜しい」
アダマスはその冷たい空色の目にグッと押し黙る。一方でルルはその言葉と態度に、仮面の下で目をパチクリとさせた。意外だ。こんな場面で彼は、ここに居る全員を対等に見ている。私情は含めず、国民の事だけを考えているのだ。
それまで怒りと嫌悪に濁った虹の全眼が細くなると同時、鮮やかに戻る。彼となら、まともな話が出来そうだ。それに確かにここで揉めても、何の解決にはならない。
『僕に、触らないで。それを約束、してくれたら……ちゃんと、ついていくよ』
「条件を飲もう」
「ルル、行ってはなりません!」
「コラン、これ以上庇うというのなら、お前も牢へ行く事になるぞ? なにせ、正体を知っていながら、流行病の源を匿っていたのだから」
だとしても、このまま連れて行かれたらきっと最後だ。アダマスはルルを殺す気でいる。他に疑い深い者を探すとヴィリロスは言っていたが、恐らく残りの皆はそんな気は無い。しかしそれはルルも分かっている。それでもなお、彼は紫の唇に人差し指を当てて「しー」と息を吐いた。そして頬を緩ませ、コランだけに語りかける。
『コラン、いけない。貴方の五大柱という、立ち位置は……今後役に立つ。今失うのは、惜しい。国を、救いたいなら……耐えて。大丈夫、死ぬ気は無い』
それにこのままいけば、味方が1人増えるかもしれないのだ。
コランは頭にこだまするどこか穏やかな声に、開きかけた口を悔しそうにしながらも閉ざした。ルルは小さく頷く。
『早く行こう。貴方がここに居たら……嫌な香りで、いっぱいになる』
「なっ……さっさと連れ出せ!」
そうして、アダマスの指示によって騎士が数名が周りを囲む中、ルルに抵抗する素振りはなく、館から連れ出されて行った。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
【12/29にて公開終了】愛するつもりなぞないんでしょうから
真朱
恋愛
この国の姫は公爵令息と婚約していたが、隣国との和睦のため、一転して隣国の王子の許へ嫁ぐことになった。余計ないざこざを防ぐべく、姫の元婚約者の公爵令息は王命でさくっと婚姻させられることになり、その相手として白羽の矢が立ったのは辺境伯家の二女・ディアナだった。「可憐な姫の後が、脳筋な辺境伯んとこの娘って、公爵令息かわいそうに…。これはあれでしょ?『お前を愛するつもりはない!』ってやつでしょ?」
期待も遠慮も捨ててる新妻ディアナと、好青年の仮面をひっ剥がされていく旦那様ラキルスの、『明日はどっちだ』な夫婦のお話。
※なんちゃって異世界です。なんでもあり、ご都合主義をご容赦ください。
※新婚夫婦のお話ですが色っぽさゼロです。Rは物騒な方です。
※ざまあのお話ではありません。軽い読み物とご理解いただけると幸いです。
※コミカライズにより12/29にて公開を終了させていただきます。
旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします
暖夢 由
恋愛
「キュリール様、私カダール様と心から愛し合っておりますの。
いつ子を身ごもってもおかしくはありません。いえ、お腹には既に育っているかもしれません。
子を身ごもってからでは遅いのです。
あんな素晴らしい男性、キュリール様が手放せないのも頷けますが、カダール様のことを想うならどうか潔く身を引いてカダール様の幸せを願ってあげてください」
伯爵家にいきなりやってきた女(ナリッタ)はそういった。
女は小説を読むかのように旦那とのなれそめから今までの話を話した。
妻であるキュリールは彼女の存在を今日まで知らなかった。
だから恥じた。
「こんなにもあの人のことを愛してくださる方がいるのにそれを阻んでいたなんて私はなんて野暮なのかしら。
本当に恥ずかしい…
私は潔く身を引くことにしますわ………」
そう言って女がサインした書類を神殿にもっていくことにする。
「私もあなたたちの真実の愛の前には敵いそうもないもの。
私は急ぎ神殿にこの書類を持っていくわ。
手続きが終わり次第、あの人にあなたの元へ向かうように伝えるわ。
そうだわ、私からお祝いとしていくつか宝石をプレゼントさせて頂きたいの。リボンもお付けしていいかしら。可愛らしいあなたととてもよく合うと思うの」
こうして一つの夫婦の姿が形を変えていく。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!
明衣令央
ファンタジー
糸井織絵は、ある日、オブルリヒト王国が行った聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界ルリアルークへと飛ばされてしまう。
一緒に召喚された、若く美しい女が聖女――織絵は召喚の儀に巻き込まれた年増の豚女として不遇な扱いを受けたが、元スマホケースのハリネズミのぬいぐるみであるサーチートと共に、オブルリヒト王女ユリアナに保護され、聖女の力を開花させる。
だが、オブルリヒト王国の王子ジュニアスは、追い出した織絵にも聖女の可能性があるとして、織絵を連れ戻しに来た。
そして、異世界転移状態から正式に異世界転生した織絵は、若く美しい姿へと生まれ変わる。
この物語は、聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界転移後、新たに転生した一人の元おばさんの聖女が、相棒の元スマホケースのハリネズミと楽しく無双していく、恋と冒険の物語。
2022.9.7 話が少し進みましたので、内容紹介を変更しました。その都度変更していきます。
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
嫌われ聖女さんはとうとう怒る〜今更大切にするなんて言われても、もう知らない〜
𝓝𝓞𝓐
ファンタジー
13歳の時に聖女として認定されてから、身を粉にして人々のために頑張り続けたセレスティアさん。どんな人が相手だろうと、死にかけながらも癒し続けた。
だが、その結果は悲惨の一言に尽きた。
「もっと早く癒せよ! このグズが!」
「お前がもっと早く治療しないせいで、後遺症が残った! 死んで詫びろ!」
「お前が呪いを防いでいれば! 私はこんなに醜くならなかったのに! お前も呪われろ!」
また、日々大人も気絶するほどの魔力回復ポーションを飲み続けながら、国中に魔物を弱らせる結界を張っていたのだが……、
「もっと出力を上げんか! 貴様のせいで我が国の騎士が傷付いたではないか! とっとと癒せ! このウスノロが!」
「チッ。あの能無しのせいで……」
頑張っても頑張っても誰にも感謝されず、それどころか罵られるばかり。
もう我慢ならない!
聖女さんは、とうとう怒った。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる