66 / 210
【宝石少年と2つの国】
国宝が穢れた時代
しおりを挟む
多くの人が彼の本名を知らない。もちろんそれは、名前を売られないためだったり、易々と他人に教えたくないというプライドのためだ。その代わり、大人はドラゴンの坊やと呼んだりしている。
2人は人の流れを絶たないようにと、壁に寄った。すると少年は、興味深そうに言葉を待つルルに、念を押して繰り返し尋ねる。
「なぁ、本当にドラゴンを信じるのか? 馬鹿にしてるわけじゃないんだよな?」
『うん』
「見た事無いのに?」
『無いからこそ。居ないっていう、証拠も無い。それに……できれば、会ってみたい』
フードの影になった紫の唇はそれまで堅苦しそうに結ばれていたが、仄かに緩んだ気がした。それに少年は腕組みをし、壁に背中を預けながら空を見上げた。
何から話そうかと考えながら、鳥たちが群れを成して飛んでいるのをなぞった。
「昔は、空にドラゴンが普通に居たんだぜ。信じられるか?」
『どうして、今は?』
「戦争のせいさ。大昔のな」
『せんそう? 何、それ?』
「ずーっと昔、国同士の交流が盛んだった時に起こった、大きな殺し合いの事だよ。国宝が穢れた時代ってやつ」
それは、とても静かな今の世界では、想像のしづらい過去だった。しかし知らない若者はそう少なくない。穢れた時代はあまりにおぞましく、だからこそ、中々簡単には触れられない歴史だった。
ビジュエラの黄金期と呼ばれた時代。国宝が最も美しいと言われていた時代の数百年後、穢れと共に滅びの争いが起きた。荒んだ土地には沢山の死体が転がり、村は焼け、悲鳴の絶えない日々が長年続いた。地獄が舞い降りた様な光景を、何百年もかけて再生したのが今の世界だ。
『そんな時が……あったんだ。でも、それとドラゴン、何の関係が、あるの?』
「ドラゴンは使われたんだよ、兵器としてな」
ルルは言葉を心の中で復唱、少し不満そうな顔をした。意味を知らない言葉ばかりが出て来るが、なんとなく、いい意味ではないのだと分かる。
ドラゴンの戦闘力や生命力共に、人間は戦争に便利だと考えた。ドラゴンの卵を攫って子供の頃から調教を続け、確実な兵器として育て上げる。そんな調教師が昔は流行っていたほどに。
「確かに凄い力だったらしいんだ。炎を吐けば、村一帯は滅んだんだって」
『……凄い力だね。でも、もったいないなぁ』
「もったいない?」
『だってそれはきっと、優しい炎だった、筈だよ。この世界に、命を奪うための力……なんて元々、存在しない。この地は…………血で汚れるために、出来ていないから』
ルルは残念そうに、つまらなさそうに呟いて足元を見る様に俯いた。きっと炎は寒さを和らげ、水は生命を保つための力だった筈だ。
少年はそう言う半分も見えない横顔を、驚いて見つめていた。戦争や兵器を知らないところ、特別学に富んでいる訳ではなさそうなのに、まるで確信しているかの様な物言いだ。想像力が豊かというより、彼らの力を創り出したような言い方をする。
その言葉は間違っていない。元より自然界に近いドラゴンのその力は、世界を殺すためではなく、生命を絶やさずに生かすための力だった。
「……なんかさ、お前って変に達観してるよな」
『? そう?』
「超強いし、徳積んでるやつが言いそうな事言うからさ」
『そんな事、言った? それより……どうして、確かにあったものが、空想になって、いるの?』
「戦争って、もう何千年も前なんだよ。今はそんなの嘘みたいに、土地も空気もちゃんと綺麗だろ? だから大人はみんな、戦争は無かったものとして、物語として記録に残したんだ」
『事実なのに?』
「ああ。穢れた時代だって言われるから、それを真実だって認めたくないんだろうな。大人はキレイ好きだからな。そのせいで、兵器として使われ、兵器として絶滅したドラゴンの存在は、架空の動物にされたんだ」
『……随分と……勝手な、平和だね』
ルルは不機嫌なのか、珍しく声が低い。
受け継がれるべき悲劇は夢物語となり、その悲劇に巻き込まれたものは、架空のものとなったのか。永い平和を望み幸せになりたいのなら、それなりに土台となった惨劇は、忠実に語り継がれるべきだ。ましてやそれは、忘れるよりもタチが悪い。
『ん……色々分かった。教えてくれて、ありがとう』
「もう行くのか?」
『うん』
「何でこんな事聞いたんだ?」
『地形図を作るの。その国の、特徴だったり……いろんな事を、本に書きたいから』
あまりいい情報ではなかったが、それでも知識として知られたのは良かった。ルルは満足そうに少年へ答え、礼を言うと背を向ける。
少年はその呆気なさにポカンとしていたが、去ろうとする慌てて手を掴んだ。
『なぁに?』
「あ、あのさ、俺……アンタみたいにドラゴンに本気で興味持ってるヤツと、初めて会ってさ。いつも馬鹿にされるばっかでさ、えっと」
少年は何が言いたいのか、頭で整理出来ないまま、本能的に手を離せないでいた。目を逸らしながら辿々しく、必死に言葉を繋げる。
ルルは握る彼の手が緊張に少し汗ばんでいるのを感じ、ふふっと息をこぼす。そして少年に歩み寄ると、耳元で囁く真似をした。
『ルル』
「へっ?」
『名前。ルル』
「あ……あ~」
少年は最後にもう1度、迷うように目を左右に往復させ、気を緩めた様に笑うとルルの手を離した。そして、彼と同じ耳元で言う。
「俺はベリル。他人に名前、教えるの初めてだから……誰にも言うなよ? 俺も言わないけど」
『うん、ありがとうベリル。これで、友達だね。落ち着いた?』
「え、とも」
『嫌だった……?』
「そ、そうじゃないけど」
ベリルは何度も、まるで実感させるように「俺と友達」と呟く。
思えば1人になった頃から他人を警戒するばかりで、友達という関係を築いた事がなかった。簡単に出来上がった思いがけない関係に、新しい戸惑いが生まれる。
酔いそうになるほどに勝手に泳ぐ視界に、ルルのフードで隠れた顔が覗き込んできた。彼はどうしたの? と不思議そうに首をかしげる。
『ベリル?』
「うっい、いや、何でもない。嫌だからとかじゃないからな?!」
『それなら、良かった。それで……引き止めたのは?』
「あぁ、えっとさ、まだ時間あるか? 何か急ぎの用事とか」
『夕方には、会う人がいるけど……まだ日は、落ちていないなら、大丈夫』
時刻はまだ昼前で、ベリルはそれに嬉しそうな顔をした。しかし慌ててそれを誤魔化すように咳き込むと、ルルを人の居ない道まで手を引く。
フードで隠れた耳に手を軽く添えると、周りを警戒しながら小声で言った。
「俺の家に、ドラゴンが居るんだ」
『えっ?』
「まぁ、生きてはないんだけどな。親父が、趣味でだけど歴史とかを詳しく調べる人だったんだ。それで他の国に行ったりした時、ドラゴンの核を見つけて、各地に散らばった臓器だったりの断片を集めて、1匹作り上げたってわけさ。いわば剥製だな」
『へぇ……凄いね、ベリルのお父さん」
「へへ、内緒だぜ? そんでさ……良かったら、来て、見てみるか?」
『本当? いいの?』
「おう」
『……見ず知らずの、僕を……警戒しなくて、本当にいいの?』
ベリルは改めて、ゆっくり問い直すように言われ、しばらくの間悩みに唸った。確かにルルは見た目も職業も怪しい。しかしここまで話して、楽しそうな声も聞いた。今更疑う気にはなれなかった。
「そっちにも何か事情があってその格好なんだろ? それに……まぁ、全部嘘だったとしても、信じた俺の責任だしな」
『……そう』
僅かに見れる紫色の唇が、笑みとは程遠いが嬉しそうに緩んだのが見える。ベリルはそれにニッと笑い、再び腕を引くと道の奥へ進んだ。
2人は人の流れを絶たないようにと、壁に寄った。すると少年は、興味深そうに言葉を待つルルに、念を押して繰り返し尋ねる。
「なぁ、本当にドラゴンを信じるのか? 馬鹿にしてるわけじゃないんだよな?」
『うん』
「見た事無いのに?」
『無いからこそ。居ないっていう、証拠も無い。それに……できれば、会ってみたい』
フードの影になった紫の唇はそれまで堅苦しそうに結ばれていたが、仄かに緩んだ気がした。それに少年は腕組みをし、壁に背中を預けながら空を見上げた。
何から話そうかと考えながら、鳥たちが群れを成して飛んでいるのをなぞった。
「昔は、空にドラゴンが普通に居たんだぜ。信じられるか?」
『どうして、今は?』
「戦争のせいさ。大昔のな」
『せんそう? 何、それ?』
「ずーっと昔、国同士の交流が盛んだった時に起こった、大きな殺し合いの事だよ。国宝が穢れた時代ってやつ」
それは、とても静かな今の世界では、想像のしづらい過去だった。しかし知らない若者はそう少なくない。穢れた時代はあまりにおぞましく、だからこそ、中々簡単には触れられない歴史だった。
ビジュエラの黄金期と呼ばれた時代。国宝が最も美しいと言われていた時代の数百年後、穢れと共に滅びの争いが起きた。荒んだ土地には沢山の死体が転がり、村は焼け、悲鳴の絶えない日々が長年続いた。地獄が舞い降りた様な光景を、何百年もかけて再生したのが今の世界だ。
『そんな時が……あったんだ。でも、それとドラゴン、何の関係が、あるの?』
「ドラゴンは使われたんだよ、兵器としてな」
ルルは言葉を心の中で復唱、少し不満そうな顔をした。意味を知らない言葉ばかりが出て来るが、なんとなく、いい意味ではないのだと分かる。
ドラゴンの戦闘力や生命力共に、人間は戦争に便利だと考えた。ドラゴンの卵を攫って子供の頃から調教を続け、確実な兵器として育て上げる。そんな調教師が昔は流行っていたほどに。
「確かに凄い力だったらしいんだ。炎を吐けば、村一帯は滅んだんだって」
『……凄い力だね。でも、もったいないなぁ』
「もったいない?」
『だってそれはきっと、優しい炎だった、筈だよ。この世界に、命を奪うための力……なんて元々、存在しない。この地は…………血で汚れるために、出来ていないから』
ルルは残念そうに、つまらなさそうに呟いて足元を見る様に俯いた。きっと炎は寒さを和らげ、水は生命を保つための力だった筈だ。
少年はそう言う半分も見えない横顔を、驚いて見つめていた。戦争や兵器を知らないところ、特別学に富んでいる訳ではなさそうなのに、まるで確信しているかの様な物言いだ。想像力が豊かというより、彼らの力を創り出したような言い方をする。
その言葉は間違っていない。元より自然界に近いドラゴンのその力は、世界を殺すためではなく、生命を絶やさずに生かすための力だった。
「……なんかさ、お前って変に達観してるよな」
『? そう?』
「超強いし、徳積んでるやつが言いそうな事言うからさ」
『そんな事、言った? それより……どうして、確かにあったものが、空想になって、いるの?』
「戦争って、もう何千年も前なんだよ。今はそんなの嘘みたいに、土地も空気もちゃんと綺麗だろ? だから大人はみんな、戦争は無かったものとして、物語として記録に残したんだ」
『事実なのに?』
「ああ。穢れた時代だって言われるから、それを真実だって認めたくないんだろうな。大人はキレイ好きだからな。そのせいで、兵器として使われ、兵器として絶滅したドラゴンの存在は、架空の動物にされたんだ」
『……随分と……勝手な、平和だね』
ルルは不機嫌なのか、珍しく声が低い。
受け継がれるべき悲劇は夢物語となり、その悲劇に巻き込まれたものは、架空のものとなったのか。永い平和を望み幸せになりたいのなら、それなりに土台となった惨劇は、忠実に語り継がれるべきだ。ましてやそれは、忘れるよりもタチが悪い。
『ん……色々分かった。教えてくれて、ありがとう』
「もう行くのか?」
『うん』
「何でこんな事聞いたんだ?」
『地形図を作るの。その国の、特徴だったり……いろんな事を、本に書きたいから』
あまりいい情報ではなかったが、それでも知識として知られたのは良かった。ルルは満足そうに少年へ答え、礼を言うと背を向ける。
少年はその呆気なさにポカンとしていたが、去ろうとする慌てて手を掴んだ。
『なぁに?』
「あ、あのさ、俺……アンタみたいにドラゴンに本気で興味持ってるヤツと、初めて会ってさ。いつも馬鹿にされるばっかでさ、えっと」
少年は何が言いたいのか、頭で整理出来ないまま、本能的に手を離せないでいた。目を逸らしながら辿々しく、必死に言葉を繋げる。
ルルは握る彼の手が緊張に少し汗ばんでいるのを感じ、ふふっと息をこぼす。そして少年に歩み寄ると、耳元で囁く真似をした。
『ルル』
「へっ?」
『名前。ルル』
「あ……あ~」
少年は最後にもう1度、迷うように目を左右に往復させ、気を緩めた様に笑うとルルの手を離した。そして、彼と同じ耳元で言う。
「俺はベリル。他人に名前、教えるの初めてだから……誰にも言うなよ? 俺も言わないけど」
『うん、ありがとうベリル。これで、友達だね。落ち着いた?』
「え、とも」
『嫌だった……?』
「そ、そうじゃないけど」
ベリルは何度も、まるで実感させるように「俺と友達」と呟く。
思えば1人になった頃から他人を警戒するばかりで、友達という関係を築いた事がなかった。簡単に出来上がった思いがけない関係に、新しい戸惑いが生まれる。
酔いそうになるほどに勝手に泳ぐ視界に、ルルのフードで隠れた顔が覗き込んできた。彼はどうしたの? と不思議そうに首をかしげる。
『ベリル?』
「うっい、いや、何でもない。嫌だからとかじゃないからな?!」
『それなら、良かった。それで……引き止めたのは?』
「あぁ、えっとさ、まだ時間あるか? 何か急ぎの用事とか」
『夕方には、会う人がいるけど……まだ日は、落ちていないなら、大丈夫』
時刻はまだ昼前で、ベリルはそれに嬉しそうな顔をした。しかし慌ててそれを誤魔化すように咳き込むと、ルルを人の居ない道まで手を引く。
フードで隠れた耳に手を軽く添えると、周りを警戒しながら小声で言った。
「俺の家に、ドラゴンが居るんだ」
『えっ?』
「まぁ、生きてはないんだけどな。親父が、趣味でだけど歴史とかを詳しく調べる人だったんだ。それで他の国に行ったりした時、ドラゴンの核を見つけて、各地に散らばった臓器だったりの断片を集めて、1匹作り上げたってわけさ。いわば剥製だな」
『へぇ……凄いね、ベリルのお父さん」
「へへ、内緒だぜ? そんでさ……良かったら、来て、見てみるか?」
『本当? いいの?』
「おう」
『……見ず知らずの、僕を……警戒しなくて、本当にいいの?』
ベリルは改めて、ゆっくり問い直すように言われ、しばらくの間悩みに唸った。確かにルルは見た目も職業も怪しい。しかしここまで話して、楽しそうな声も聞いた。今更疑う気にはなれなかった。
「そっちにも何か事情があってその格好なんだろ? それに……まぁ、全部嘘だったとしても、信じた俺の責任だしな」
『……そう』
僅かに見れる紫色の唇が、笑みとは程遠いが嬉しそうに緩んだのが見える。ベリルはそれにニッと笑い、再び腕を引くと道の奥へ進んだ。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです
青の雀
ファンタジー
公爵令嬢ステファニー・エストロゲンは、学園の卒業パーティで第2王子のマリオットから突然、婚約破棄を告げられる
それも事実ではない男爵令嬢のリリアーヌ嬢を苛めたという冤罪を掛けられ、問答無用でマリオットから殴り飛ばされ意識を失ってしまう
そのショックで、ステファニーは前世社畜OL だった記憶を思い出し、日本料理を提供するファミリーレストランを開業することを思いつく
公爵令嬢として、持ち出せる宝石をなぜか物心ついたときには、すでに貯めていて、それを原資として開業するつもりでいる
この国では婚約破棄された令嬢は、キズモノとして扱われることから、なんとか自立しようと修道院回避のために幼いときから貯金していたみたいだった
足取り重く公爵邸に帰ったステファニーに待ち構えていたのが、父からの勘当宣告で……
エストロゲン家では、昔から異能をもって生まれてくるということを当然としている家柄で、異能を持たないステファニーは、前から肩身の狭い思いをしていた
修道院へ行くか、勘当を甘んじて受け入れるか、二者択一を迫られたステファニーは翌早朝にこっそり、家を出た
ステファニー自身は忘れているが、実は女神の化身で何代前の過去に人間との恋でいさかいがあり、無念が残っていたので、神界に帰らず、人間界の中で転生を繰り返すうちに、自分自身が女神であるということを忘れている
エストロゲン家の人々は、ステファニーの恩恵を受け異能を覚醒したということを知らない
ステファニーを追い出したことにより、次々に異能が消えていく……
4/20ようやく誤字チェックが完了しました
もしまだ、何かお気づきの点がありましたら、ご報告お待ち申し上げておりますm(_)m
いったん終了します
思いがけずに長くなってしまいましたので、各単元ごとはショートショートなのですが(笑)
平民女性に転生して、下剋上をするという話も面白いかなぁと
気が向いたら書きますね
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる