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【宝石少年と言葉の国】
無地の本
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早朝、大図書館にルルの姿だけがあった。相変わらず誰の気配も感じない静かな空間を何度か見渡す。自分の靴裏が鳴らすコツコツとした音以外は、耳を澄ましても聞こえない。
この場所はハリボテの様に感じる。本当は、ここに誰も居ないのではないかと思うほど、何も無い。
(けれど確かに、昨日はここから、音を聞いたんだ。まるで、こぼれる様に聞こえた……国宝の声を)
しかし意識を集中させても、もう同じ音は聞こえない。ひとまず別の手掛かりをと、近くの本棚を探る。しばらく背表紙を撫でていたが、ふと手を止め、その時触れていた本を抜き出した。まだここの本に目を通した事が無い。
読書用の椅子まで歩く時間も惜しく、その場に座ってページを開く。
(…………あれ?)
半分ほど指で文字を辿り、訝しそうに首をかしげた。この本の内容は知っている。そう、これはジェイドの家で読んだ、彼自身が書いた物にそっくりではないか。
(まるで一言一句……狂いが、無い)
そう言えば彼が書いた本も、一般的に売られているのだと思い出す。偶然それを手に取ったのだろうか。一旦本を閉じて、試しに少し離れた別の棚から本を抜き出して広げた。
(これもそうだ。ジェイドが書いた文、言葉、考察……全部、同じだ)
すぐ別の本に手を伸ばす。しかしいくら階数を変えても、読む本の作者は変わらなかった。
(一体、どうして……ん?)
それまでスムーズに文字の上を滑っていた指が、ページをめくったところで違和感にピタリと止まる。
(無い)
何度も同じ紙面を触って確かめる。しかし、読み解くための微かなオウトツが無かった。ページをめめくり、また指先でなぞる。だが読み取れない。
(読めない? ううん……違う。文字が、無いんだ)
そう、先ほどから読もうとしている本は完璧な白紙だった。
一体何が起こっているのか。手から本がこぼれる様に落とされ、新しい本が忙しなく抜き出される。長い間それは数回繰り返され、呆然とした口から震えた息が吐かれた。
(さっきの数十冊以外、ここの本は……何も、書かれてない)
こんな事があるのだろうか。ここはグリードの全てが集った大図書館。国民が認める柱の塔だ。それなのにこんな、いかにも知識の足りなさを偽る様な細工が施されているだなんて。
(どうして、ジェイドの物だけ……確かに、存在するんだろう)
確かにこの国の皆が彼の知恵を尊敬している。けれどこれはまるで──。
(まるで、他の存在が……無いみたいな)
疑った途端、宝石の心臓が緊張に大きく跳ねる。その時、微かにだが宝石の香りを感じた。目の前にまずあったのは背の高い本棚。しかし仮面越しの瞳は、通せんぼする様にいくつも折り重なって佇む本棚の、もっと奥を見ていた。そこにあるのは、鍵の模様がの扉。
床に広げた本を閉じる事すら忘れ、ルルは仮面を取ると、目線を逸らさないまま本棚が作る僅かな隙間を進んだ。
(あの中、大きなものがある。強い宝石。前に聞いた……悲鳴をあげる宝石、の……筈)
香りはあまりにも途切れそうで確信は持てないが、足は迷いに止まらない。道しるべが消えてしまう前にと、心の焦りに促された。
それでも急ぐ足は、床に積んだままになっている沢山の本を器用に避けて進む。しかし目的に辿り着く前に、誰かの手に腕を掴まれ、クンッと引かれて止まってしまった。音に集中していたせいか、ルルは大きく驚いて振り返る。
「ドコに行くノ? ルル」
名前を呼んだのは、何度聞いても不思議な感覚を覚えさせる声。男女どちらとも問われない、どちらかと言えば少し低くて、広いここではよく伸びて響く。
『……ジャスパー?』
その声は耳だけには留まらず、頭の中まで染み込んで反響する。まるで夢の中の様な声だ。今日はいつも以上に、妙に響く様な気がする。
「そうだよ、オハヨウ。とっても早起きダネ、今日は。朝カラ調べもの?」
『おはよう。うん、少し……急いでここを、調べたかったから』
「ソッカ。デモこの先、壁ダヨ?」
『壁?』
「ウン、ほら」
手が解放され、ルルは改めて先を進んだ。ジャスパーは彼の後ろ姿を静かに見つめ、少し離れた所から飛んであとを追う。
小さくも確かに響いて聞こえていた音と香りが、いつの間にかパタリと止んでいる。いくつもの本棚を通り越してようやく辿り着いたそこは、確かに壁だった。何度撫でてもサラサラとした、外の世界から四方を隠す他の壁と、全く違いが無い。
ジャスパーはその壁を、重力を無視して歩いた。そしてあぐらをかいて座り、首をかしげて微笑む。
「ネ?」
『……そうみたい。でもどうして、僕を引き止めたの?』
「ダッテ、あのまま進んだらぶつっかっちゃうジャナイカ。壁にサ。とても勢いヨク歩くんだモノ」
実際に想像したのか、彼は幼げにクスクスと笑う。壁を蹴ってクルリと宙返りすると、考え込んだルルの顔を心配そうに覗き込んだ。
「どうかした?」
『ん……この中に、何か、あると思ったんだ。宝石にはね、音があるの。昨日、それが聞こえた。さっきも、聞こえて来て』
ふぅんと呟かれた相槌はいつもより低い。彼は試しにコンコンと強めにノックした。分厚いせいか、あまり大きな音ではない。
「……壁だね?」
『そうだね』
「もう音はしない?」
『うん、壁だって分かったら……消えちゃった』
「そっか」
ジャスパーの声がどこか安堵に包まれている様に感じた。何か知っているの? そう問いかけたくて文字は頭の中で列を作ったが、手が引っ張られて崩れた。
「モット明るくて本がいっぱいあるトコへ行こうよ。こんなトコじゃなくてサ」
頭蓋と言う器の中で反響する声。音は水の様に滲んで溶け、ルルは言葉を奪われた気分になった。引かれるがままに連れられて来たのは、先程まで居た中央の本棚前。
「ルルってば、本ヲそのままで探索しちゃったんダ」
『あ……忘れてた。散らかして、ごめんね』
「フフ、ううん大丈夫だよ。本はドンナの読んでたノ? 今日は」
『それなんだけど』
悩ましそうに聞こえた声にジャスパーは不思議そうにしながら、視線を床の本たちに落とした。その無地のページに、彼の猫の様な赤と緑の瞳が大きく開らかれた。
ルルはその様子に気付かなかったが、繋がれていた手に微かな力みを感じていた。
『……書いてないんだ、何も。全て白紙なの』
ジャスパーは両手を自由にし、本へ翳す。腕を下から上に空気を混ぜる様に泳がせると、1冊の本が風に煽られ、彼の手に収まった。パラパラめくって軽く目を通すと、ルルへ持たせる。
「チャント書いてあるよ? 分からナイけれど。ボクには難しすぎて」
『え?』
一雫、言葉の水滴が落ちた気がした。
ルルは本の表紙を撫でてから、適当なページを開いてそこに指を置いた。すると指先から伝わってくるのは、先程までの何も無い滑らかさとは打って変わって、ハッキリとしたオウトツ。確かに文字が置かれていた。文章もジェイドのものではない。しかしこの文は知っていた。
「ね、ルル、疲れてるんじゃナイカナ? アリエナイよ、書かれていないなんて。だってココは、国で1番ノ知識が集まった場所ダヨ?」
ジャスパーはルルの頬を両手で包むように撫でると、顔を上げさせる。ルルはこちらを見つめる赤と緑を溶け込ませる虹の目をゆっくり瞬かせると、本と一緒に目蓋へ隠した。
『1番の……知識……。そうかもしれないね。だってこの図書館には、ジェイドと僕の知識しか、無いんだから』
この場所はハリボテの様に感じる。本当は、ここに誰も居ないのではないかと思うほど、何も無い。
(けれど確かに、昨日はここから、音を聞いたんだ。まるで、こぼれる様に聞こえた……国宝の声を)
しかし意識を集中させても、もう同じ音は聞こえない。ひとまず別の手掛かりをと、近くの本棚を探る。しばらく背表紙を撫でていたが、ふと手を止め、その時触れていた本を抜き出した。まだここの本に目を通した事が無い。
読書用の椅子まで歩く時間も惜しく、その場に座ってページを開く。
(…………あれ?)
半分ほど指で文字を辿り、訝しそうに首をかしげた。この本の内容は知っている。そう、これはジェイドの家で読んだ、彼自身が書いた物にそっくりではないか。
(まるで一言一句……狂いが、無い)
そう言えば彼が書いた本も、一般的に売られているのだと思い出す。偶然それを手に取ったのだろうか。一旦本を閉じて、試しに少し離れた別の棚から本を抜き出して広げた。
(これもそうだ。ジェイドが書いた文、言葉、考察……全部、同じだ)
すぐ別の本に手を伸ばす。しかしいくら階数を変えても、読む本の作者は変わらなかった。
(一体、どうして……ん?)
それまでスムーズに文字の上を滑っていた指が、ページをめくったところで違和感にピタリと止まる。
(無い)
何度も同じ紙面を触って確かめる。しかし、読み解くための微かなオウトツが無かった。ページをめめくり、また指先でなぞる。だが読み取れない。
(読めない? ううん……違う。文字が、無いんだ)
そう、先ほどから読もうとしている本は完璧な白紙だった。
一体何が起こっているのか。手から本がこぼれる様に落とされ、新しい本が忙しなく抜き出される。長い間それは数回繰り返され、呆然とした口から震えた息が吐かれた。
(さっきの数十冊以外、ここの本は……何も、書かれてない)
こんな事があるのだろうか。ここはグリードの全てが集った大図書館。国民が認める柱の塔だ。それなのにこんな、いかにも知識の足りなさを偽る様な細工が施されているだなんて。
(どうして、ジェイドの物だけ……確かに、存在するんだろう)
確かにこの国の皆が彼の知恵を尊敬している。けれどこれはまるで──。
(まるで、他の存在が……無いみたいな)
疑った途端、宝石の心臓が緊張に大きく跳ねる。その時、微かにだが宝石の香りを感じた。目の前にまずあったのは背の高い本棚。しかし仮面越しの瞳は、通せんぼする様にいくつも折り重なって佇む本棚の、もっと奥を見ていた。そこにあるのは、鍵の模様がの扉。
床に広げた本を閉じる事すら忘れ、ルルは仮面を取ると、目線を逸らさないまま本棚が作る僅かな隙間を進んだ。
(あの中、大きなものがある。強い宝石。前に聞いた……悲鳴をあげる宝石、の……筈)
香りはあまりにも途切れそうで確信は持てないが、足は迷いに止まらない。道しるべが消えてしまう前にと、心の焦りに促された。
それでも急ぐ足は、床に積んだままになっている沢山の本を器用に避けて進む。しかし目的に辿り着く前に、誰かの手に腕を掴まれ、クンッと引かれて止まってしまった。音に集中していたせいか、ルルは大きく驚いて振り返る。
「ドコに行くノ? ルル」
名前を呼んだのは、何度聞いても不思議な感覚を覚えさせる声。男女どちらとも問われない、どちらかと言えば少し低くて、広いここではよく伸びて響く。
『……ジャスパー?』
その声は耳だけには留まらず、頭の中まで染み込んで反響する。まるで夢の中の様な声だ。今日はいつも以上に、妙に響く様な気がする。
「そうだよ、オハヨウ。とっても早起きダネ、今日は。朝カラ調べもの?」
『おはよう。うん、少し……急いでここを、調べたかったから』
「ソッカ。デモこの先、壁ダヨ?」
『壁?』
「ウン、ほら」
手が解放され、ルルは改めて先を進んだ。ジャスパーは彼の後ろ姿を静かに見つめ、少し離れた所から飛んであとを追う。
小さくも確かに響いて聞こえていた音と香りが、いつの間にかパタリと止んでいる。いくつもの本棚を通り越してようやく辿り着いたそこは、確かに壁だった。何度撫でてもサラサラとした、外の世界から四方を隠す他の壁と、全く違いが無い。
ジャスパーはその壁を、重力を無視して歩いた。そしてあぐらをかいて座り、首をかしげて微笑む。
「ネ?」
『……そうみたい。でもどうして、僕を引き止めたの?』
「ダッテ、あのまま進んだらぶつっかっちゃうジャナイカ。壁にサ。とても勢いヨク歩くんだモノ」
実際に想像したのか、彼は幼げにクスクスと笑う。壁を蹴ってクルリと宙返りすると、考え込んだルルの顔を心配そうに覗き込んだ。
「どうかした?」
『ん……この中に、何か、あると思ったんだ。宝石にはね、音があるの。昨日、それが聞こえた。さっきも、聞こえて来て』
ふぅんと呟かれた相槌はいつもより低い。彼は試しにコンコンと強めにノックした。分厚いせいか、あまり大きな音ではない。
「……壁だね?」
『そうだね』
「もう音はしない?」
『うん、壁だって分かったら……消えちゃった』
「そっか」
ジャスパーの声がどこか安堵に包まれている様に感じた。何か知っているの? そう問いかけたくて文字は頭の中で列を作ったが、手が引っ張られて崩れた。
「モット明るくて本がいっぱいあるトコへ行こうよ。こんなトコじゃなくてサ」
頭蓋と言う器の中で反響する声。音は水の様に滲んで溶け、ルルは言葉を奪われた気分になった。引かれるがままに連れられて来たのは、先程まで居た中央の本棚前。
「ルルってば、本ヲそのままで探索しちゃったんダ」
『あ……忘れてた。散らかして、ごめんね』
「フフ、ううん大丈夫だよ。本はドンナの読んでたノ? 今日は」
『それなんだけど』
悩ましそうに聞こえた声にジャスパーは不思議そうにしながら、視線を床の本たちに落とした。その無地のページに、彼の猫の様な赤と緑の瞳が大きく開らかれた。
ルルはその様子に気付かなかったが、繋がれていた手に微かな力みを感じていた。
『……書いてないんだ、何も。全て白紙なの』
ジャスパーは両手を自由にし、本へ翳す。腕を下から上に空気を混ぜる様に泳がせると、1冊の本が風に煽られ、彼の手に収まった。パラパラめくって軽く目を通すと、ルルへ持たせる。
「チャント書いてあるよ? 分からナイけれど。ボクには難しすぎて」
『え?』
一雫、言葉の水滴が落ちた気がした。
ルルは本の表紙を撫でてから、適当なページを開いてそこに指を置いた。すると指先から伝わってくるのは、先程までの何も無い滑らかさとは打って変わって、ハッキリとしたオウトツ。確かに文字が置かれていた。文章もジェイドのものではない。しかしこの文は知っていた。
「ね、ルル、疲れてるんじゃナイカナ? アリエナイよ、書かれていないなんて。だってココは、国で1番ノ知識が集まった場所ダヨ?」
ジャスパーはルルの頬を両手で包むように撫でると、顔を上げさせる。ルルはこちらを見つめる赤と緑を溶け込ませる虹の目をゆっくり瞬かせると、本と一緒に目蓋へ隠した。
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