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線香
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お盆の時期ですと、ひっきりなしに誰かが訪ねて来ては少しばかり世間話をし、お仏壇に線香をあげ帰っていきます。
まぁまぁ、ご先祖さまも戻ってきて早々、休む暇もなくみんなと挨拶です。
私の実家の方では、帰ってきたご先祖さまは現世でお買い物をしてから帰ると言われておりまして、お仏壇に紙で包んだお金をいくらか置いておりましたが、主人の地域ではそう言った風習はないのだそう。
では、ずっとお家でゆっくり出来るのですね。
外は暑く迎え火も送り火も熱いですので、涼しい所でゆっくり出来るのは良いことでございます。
しかしながら、私たちはずっとゆっくりとなどしていられません。
日々の生活と、お盆の習わし。
娘も夏休みだったり、遠方から家族連れで帰省したりと、なにかと騒がしく忙しいのです。
しかもひっきりなしに線香が灯りますので、そのままにして出掛けるわけにもまいりません。
万が一線香が倒れ火事にでもなったらと、しっかりと線香が消えるまで番をしておかなければなりません。
私一人が買い物に行く程度でしたら、主人や誰かにお願いし、見ていてもらいますが、お線香をあげに来た方へのお茶出しなどもございます。
暑い中買い出しを終え、台所を覗いてみれば、麦茶や使ったコップがそのまま置かれていたり、「麦茶、もう無いんだけど」などと言われました日には、めまいを起こしそうになる程でございます。
そんな時は、主人と娘の夫と孫に買い出しをお願いするのが一番でございます。
娘も孫の世話から解放されますし、言い方はなんですが、家に放っておいても悪さはいたしません。
それどころか、声をかければ料理の手伝いなんかも、文句を言いつつ何だかんだしてくれるのです。
そうしますと、途端に時間に余裕ができるのでございます。
線香が消えたら庭に水まきでもと、線香の番をしながら読書をする時間だって作れるのです。
線香が消えるまで大体十五分くらいでしょうか。
読み始めたら数ページほど。
夢中になればなるほど、十五分などあっという間でございます。
大体私と線香の番をしている時は、娘はごろごろとテレビを見ていたり、うとうとと船をこいでおります。
まだ読み足りない私は、もう少しもう少しと、こっそり線香に火をつけるのです。
まぁまぁ、ご先祖さまも戻ってきて早々、休む暇もなくみんなと挨拶です。
私の実家の方では、帰ってきたご先祖さまは現世でお買い物をしてから帰ると言われておりまして、お仏壇に紙で包んだお金をいくらか置いておりましたが、主人の地域ではそう言った風習はないのだそう。
では、ずっとお家でゆっくり出来るのですね。
外は暑く迎え火も送り火も熱いですので、涼しい所でゆっくり出来るのは良いことでございます。
しかしながら、私たちはずっとゆっくりとなどしていられません。
日々の生活と、お盆の習わし。
娘も夏休みだったり、遠方から家族連れで帰省したりと、なにかと騒がしく忙しいのです。
しかもひっきりなしに線香が灯りますので、そのままにして出掛けるわけにもまいりません。
万が一線香が倒れ火事にでもなったらと、しっかりと線香が消えるまで番をしておかなければなりません。
私一人が買い物に行く程度でしたら、主人や誰かにお願いし、見ていてもらいますが、お線香をあげに来た方へのお茶出しなどもございます。
暑い中買い出しを終え、台所を覗いてみれば、麦茶や使ったコップがそのまま置かれていたり、「麦茶、もう無いんだけど」などと言われました日には、めまいを起こしそうになる程でございます。
そんな時は、主人と娘の夫と孫に買い出しをお願いするのが一番でございます。
娘も孫の世話から解放されますし、言い方はなんですが、家に放っておいても悪さはいたしません。
それどころか、声をかければ料理の手伝いなんかも、文句を言いつつ何だかんだしてくれるのです。
そうしますと、途端に時間に余裕ができるのでございます。
線香が消えたら庭に水まきでもと、線香の番をしながら読書をする時間だって作れるのです。
線香が消えるまで大体十五分くらいでしょうか。
読み始めたら数ページほど。
夢中になればなるほど、十五分などあっという間でございます。
大体私と線香の番をしている時は、娘はごろごろとテレビを見ていたり、うとうとと船をこいでおります。
まだ読み足りない私は、もう少しもう少しと、こっそり線香に火をつけるのです。
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