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17.父の楽譜
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アレクシが訪ねて来た日、ミシェルは二日酔いのため、ベッドの上で一日中、怠惰に過ごした。
その翌日の午後になり、ようやく体調が回復したミシェルは、初めて、父の私室に足を踏み入れていた。
アレクシは、ミシェルの二日酔いの心配や、未亡人と復縁した報告のためだけではなく、彼の父親からの伝言を持って来訪していた。
来月、ライネローズの芸術家たちによる王家主催の展覧会が予定されているらしく、そこにモーリスの楽譜を展示したいとのことだった。
音があってこその譜面だと思うが、芸術家たちの愛用している私物も展示されるという。
ライネローズ芸術の歴史を辿るような主旨の展覧会だというので、ミシェルは公爵の頼みを承諾した。
父の私室へ入ったのは、展覧会へ提供するモーリス直筆の譜面を探すためである。
父の私室へは、執事をはじめ使用人たちにも、入ることを禁じていた。
父が亡くなって以来放置され続けていた部屋のドアを開ける。
想像していた以上の埃っぽい空気に、ミシェルは、うっと呻いた。
掃除くらいしておけば良かった、と思いながら口を押さえ、窓を開ける。
午後過ぎの陽光が窓から差し込み、埃がキラキラと舞っていた。
部屋の中心にはグランドピアノがある。
ミシェルは埃を指で払い、鍵盤蓋を開ける。
父が、多くの時間を費やし、触れていた鍵盤だ。多くの名曲がここで生まれた。
(もっと、悲しかったり、苦しかったり……するのかと思っていたのだけど)
意外なことに心は落ち着いていた。
ピアノの調律しないといけない、と穏やかな心で思う。
そして――父はもういないのだと。そのことを寂しいと思った。
部屋の中を見回す。
父は几帳面な人だったのか。それとも亡くなる前に片付けていたのか。
棚には資料や書物、譜面が年代やら種類ごとに仕分けされ、整然と並んでいた。
ミシェルはそこから、モーリスの代表曲の譜面をいくつか探し、丁寧に抜き取る。
どれをどれだけ渡すべきか。
思案していたミシェルの頭の中に、ふと、アレクシが昨日残して帰った、言葉がよぎった。
『一度、君たちも二人でよく話した方が良いよ』
自分が未亡人とうまくいったから、余り者同士、くっつけようとでもしているのだろうか。
アレクシはそんなことを言っていた。
アレクシに恋愛感情を抱いてはいないミシェルはともかく、クラウスのことは馬鹿にしているとしか思えない。
けれども、アレクシにも、未亡人にも苛立つが、一番腹立たしいのは自分自身だった。
取り返しのつかない、愚かな真似をしてしまったことを後悔するが、後の祭りである。
謝罪すべきなのだろうかとも思うが、どんな顔をしてクラウスの前に立てばよいのかも、わからない。
いや、むしろ、あんな尻軽な女と別れて正解だったのでは。
彼女はクラウスに愛されるに値しない女だ。
などと、自分を正当化しようともしているのだが……うまく、いかない。
(アレクシが……あの未亡人とよりを戻したのなら……あの未亡人は、これから、どうするのだろう)
もしかしたらアレクシと再婚するため、ダトル皇国へは戻らず、ラトワナ王国へ、このままライネローズで暮らすことになるのかもしれない。
そうしたら……彼女に後援されている彼は、どうするのだろう。
一人で、ダトルへ戻るのだろうか。それとも、このままライネローズに。
彼は優しい。
ミシェルが望めば、負い目もあるから、不実な関係を続けてくれるかもしれない。
未亡人の名を出さなくても、いや未亡人という枷がなくなった今なら、ミシェルの『処女』を奪った責任を取らせることだって出来るかもしれない。
最低で、最悪な、身勝手な考えが浮かんでくる。
どうせ彼にとって自分は性悪女なのだ。今更なのだから、思う存分振り回して、彼を自分のモノにしてしまいたい。
欲望が次から次へと、胸の奥から溢れてきた。
そして、幼い頃の、淡く甘い想い。苦さと一緒に胸の一番奥に閉じ込めた想いが、剥き出しになっていく。
(そう――。ずっと。きっとあの日、握手をした。あの日から……)
父が生きていたら、どうなっていたのだろう。
父は彼の過去の過ちを糾弾することはなかったと思う。きっと、いやもうすでに、赦していたのだろう。
ミシェルも同じだ。
父の信頼を彼が裏切ったことなど、本当はどうでも良かったのだ。
ミシェルは、ただ――寂しかっただけだ。
八年経っても、体ばかりが大人になって、なにひとつ成長出来ていない。
強がってばかりで、素直になれない。負けず嫌いで、横暴で、やつ当たりして。
自身の本当の気持ちすら、誤魔化している。
幼い頃から何も変っていない。
寂しがりやの我儘な子どもなままだ。
「本当……最低だわ……」
独り言をぽつりと漏らし、溜め息を吐いた。
父の愛用の私物も提供したほうが良いのだろうか、と楽譜を手にしたまま重厚な机へと視線をやる。
机の上には写真立てがあった。
写真が見える方へ、椅子側に回ったミシェルは、飾られた写真を見て、苦く笑んだ。
もしかしたら……と期待したけれど、映っていたのは母であった。
微笑んでこちらを見る母の腹は膨らんでいて……まあ、ここに自分がいるのなら、それで良しとしなければならないのだろうか、と思った。
机の上には写真立て以外に何もなかったので、引き出しを開ける。
父の秘密を暴くような気持ちはない。
父は病にかかり、亡くなるまでに、半年の期間があった。
最期のひと月は起き上がることさえままならなかったが、それまでの間に、財産や権利関係の書類整理はしていたと執事から聞いていた。
ミシェルに見られて困るものも、処分していることだろう。
引き出しを開けたミシェルは、そこに楽譜があることに気づき、眉を顰めた。
楽譜の類は棚に仕舞っていた。なぜ、これだけ、別にしてあるのだろう。
不審に思いながら、手にしていた楽譜をいったん置いてから、引き出しの中にある楽譜を手に取る。
さらりと見ただけでわかる。
これは、モーリスが最期に手がけたワルツの譜面だ。
父はこのワルツを発表してから、少しして。作曲者として引退することを正式に表明した。
そう、あれは確か、八年前のことだ。
クラウスが父の元を、オービニエ家を去って、そうしばらくも経たないときのことだった。
譜面を読んでいたミシェルは、違和感を覚えた。
これは父の作曲したワルツだ。父の作った曲のはずだ。なのに――。
「……月、しずくのワルツ……?」
譜面の上部の余白の部分に、殴り書きのような文字があった。
昔の記憶が蘇ってくる。
彼の部屋で、彼の机の上で。彼の書いた譜面を見た。
几帳面で繊細な印象を受ける父の譜面とは違い、彼の譜面は大雑把で乱雑な感じだった。端正な顔立ちに似合わない悪筆っぷりに、呆れた覚えがある。
楽譜を手にしているミシェルの指が震えた。
理由を考える。
どうして、なぜ、を繰り返し、思いを巡らせた。
この楽譜だけが机の引き出しの中にあった理由を。
彼が八年前、父の元を去った理由を。
その直前と直後の父の行動を。
父が彼を探さなかった理由を。
彼がいなくなってからの父の態度、亡くなる直前、彼の名を呼んだときの父の顔を。
どうして、モーリス作曲の譜面が、クラウスの筆跡で書かれているのかを――。
ミシェルは考えて、ひとつの答えに行き着いて……瞼を堅く閉じた。
ミシェルが手にしている楽譜は、父の罪の証であった。
その翌日の午後になり、ようやく体調が回復したミシェルは、初めて、父の私室に足を踏み入れていた。
アレクシは、ミシェルの二日酔いの心配や、未亡人と復縁した報告のためだけではなく、彼の父親からの伝言を持って来訪していた。
来月、ライネローズの芸術家たちによる王家主催の展覧会が予定されているらしく、そこにモーリスの楽譜を展示したいとのことだった。
音があってこその譜面だと思うが、芸術家たちの愛用している私物も展示されるという。
ライネローズ芸術の歴史を辿るような主旨の展覧会だというので、ミシェルは公爵の頼みを承諾した。
父の私室へ入ったのは、展覧会へ提供するモーリス直筆の譜面を探すためである。
父の私室へは、執事をはじめ使用人たちにも、入ることを禁じていた。
父が亡くなって以来放置され続けていた部屋のドアを開ける。
想像していた以上の埃っぽい空気に、ミシェルは、うっと呻いた。
掃除くらいしておけば良かった、と思いながら口を押さえ、窓を開ける。
午後過ぎの陽光が窓から差し込み、埃がキラキラと舞っていた。
部屋の中心にはグランドピアノがある。
ミシェルは埃を指で払い、鍵盤蓋を開ける。
父が、多くの時間を費やし、触れていた鍵盤だ。多くの名曲がここで生まれた。
(もっと、悲しかったり、苦しかったり……するのかと思っていたのだけど)
意外なことに心は落ち着いていた。
ピアノの調律しないといけない、と穏やかな心で思う。
そして――父はもういないのだと。そのことを寂しいと思った。
部屋の中を見回す。
父は几帳面な人だったのか。それとも亡くなる前に片付けていたのか。
棚には資料や書物、譜面が年代やら種類ごとに仕分けされ、整然と並んでいた。
ミシェルはそこから、モーリスの代表曲の譜面をいくつか探し、丁寧に抜き取る。
どれをどれだけ渡すべきか。
思案していたミシェルの頭の中に、ふと、アレクシが昨日残して帰った、言葉がよぎった。
『一度、君たちも二人でよく話した方が良いよ』
自分が未亡人とうまくいったから、余り者同士、くっつけようとでもしているのだろうか。
アレクシはそんなことを言っていた。
アレクシに恋愛感情を抱いてはいないミシェルはともかく、クラウスのことは馬鹿にしているとしか思えない。
けれども、アレクシにも、未亡人にも苛立つが、一番腹立たしいのは自分自身だった。
取り返しのつかない、愚かな真似をしてしまったことを後悔するが、後の祭りである。
謝罪すべきなのだろうかとも思うが、どんな顔をしてクラウスの前に立てばよいのかも、わからない。
いや、むしろ、あんな尻軽な女と別れて正解だったのでは。
彼女はクラウスに愛されるに値しない女だ。
などと、自分を正当化しようともしているのだが……うまく、いかない。
(アレクシが……あの未亡人とよりを戻したのなら……あの未亡人は、これから、どうするのだろう)
もしかしたらアレクシと再婚するため、ダトル皇国へは戻らず、ラトワナ王国へ、このままライネローズで暮らすことになるのかもしれない。
そうしたら……彼女に後援されている彼は、どうするのだろう。
一人で、ダトルへ戻るのだろうか。それとも、このままライネローズに。
彼は優しい。
ミシェルが望めば、負い目もあるから、不実な関係を続けてくれるかもしれない。
未亡人の名を出さなくても、いや未亡人という枷がなくなった今なら、ミシェルの『処女』を奪った責任を取らせることだって出来るかもしれない。
最低で、最悪な、身勝手な考えが浮かんでくる。
どうせ彼にとって自分は性悪女なのだ。今更なのだから、思う存分振り回して、彼を自分のモノにしてしまいたい。
欲望が次から次へと、胸の奥から溢れてきた。
そして、幼い頃の、淡く甘い想い。苦さと一緒に胸の一番奥に閉じ込めた想いが、剥き出しになっていく。
(そう――。ずっと。きっとあの日、握手をした。あの日から……)
父が生きていたら、どうなっていたのだろう。
父は彼の過去の過ちを糾弾することはなかったと思う。きっと、いやもうすでに、赦していたのだろう。
ミシェルも同じだ。
父の信頼を彼が裏切ったことなど、本当はどうでも良かったのだ。
ミシェルは、ただ――寂しかっただけだ。
八年経っても、体ばかりが大人になって、なにひとつ成長出来ていない。
強がってばかりで、素直になれない。負けず嫌いで、横暴で、やつ当たりして。
自身の本当の気持ちすら、誤魔化している。
幼い頃から何も変っていない。
寂しがりやの我儘な子どもなままだ。
「本当……最低だわ……」
独り言をぽつりと漏らし、溜め息を吐いた。
父の愛用の私物も提供したほうが良いのだろうか、と楽譜を手にしたまま重厚な机へと視線をやる。
机の上には写真立てがあった。
写真が見える方へ、椅子側に回ったミシェルは、飾られた写真を見て、苦く笑んだ。
もしかしたら……と期待したけれど、映っていたのは母であった。
微笑んでこちらを見る母の腹は膨らんでいて……まあ、ここに自分がいるのなら、それで良しとしなければならないのだろうか、と思った。
机の上には写真立て以外に何もなかったので、引き出しを開ける。
父の秘密を暴くような気持ちはない。
父は病にかかり、亡くなるまでに、半年の期間があった。
最期のひと月は起き上がることさえままならなかったが、それまでの間に、財産や権利関係の書類整理はしていたと執事から聞いていた。
ミシェルに見られて困るものも、処分していることだろう。
引き出しを開けたミシェルは、そこに楽譜があることに気づき、眉を顰めた。
楽譜の類は棚に仕舞っていた。なぜ、これだけ、別にしてあるのだろう。
不審に思いながら、手にしていた楽譜をいったん置いてから、引き出しの中にある楽譜を手に取る。
さらりと見ただけでわかる。
これは、モーリスが最期に手がけたワルツの譜面だ。
父はこのワルツを発表してから、少しして。作曲者として引退することを正式に表明した。
そう、あれは確か、八年前のことだ。
クラウスが父の元を、オービニエ家を去って、そうしばらくも経たないときのことだった。
譜面を読んでいたミシェルは、違和感を覚えた。
これは父の作曲したワルツだ。父の作った曲のはずだ。なのに――。
「……月、しずくのワルツ……?」
譜面の上部の余白の部分に、殴り書きのような文字があった。
昔の記憶が蘇ってくる。
彼の部屋で、彼の机の上で。彼の書いた譜面を見た。
几帳面で繊細な印象を受ける父の譜面とは違い、彼の譜面は大雑把で乱雑な感じだった。端正な顔立ちに似合わない悪筆っぷりに、呆れた覚えがある。
楽譜を手にしているミシェルの指が震えた。
理由を考える。
どうして、なぜ、を繰り返し、思いを巡らせた。
この楽譜だけが机の引き出しの中にあった理由を。
彼が八年前、父の元を去った理由を。
その直前と直後の父の行動を。
父が彼を探さなかった理由を。
彼がいなくなってからの父の態度、亡くなる直前、彼の名を呼んだときの父の顔を。
どうして、モーリス作曲の譜面が、クラウスの筆跡で書かれているのかを――。
ミシェルは考えて、ひとつの答えに行き着いて……瞼を堅く閉じた。
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