『悪魔』と呼ばれる侯爵様に拾われたが、溺愛されすぎて戸惑っています。

亜綺羅もも

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「…………」

 温かいお風呂を用意してもらい、私はぬくぬくと風呂に浸かっていた。

 え? 何故?

 ドレスを脱がされた後、何故か風呂に入れられたのだが……本当に何故こんなことになってるの?
 結局裸も見られていなし……どういうこと?

 困惑しながらも、温かいお湯に身体が癒されていく。
 身体の芯から温もり、疲れが飛んでいくような感覚。

 しかしこの後私はユミル様にどんな目に遭わされるのだろうか……
 それがふと怖くなり、温かい風呂の中で寒気を覚えていた。

 風呂を上がると、コニーさんが私の身体を拭いてくれる。

「あの……自分でできますから」
「いいえ。ユミル様に命令されていますので」
「…………」
 
 ユミル様の意図が分からない。
 何故私を風呂に入れさせたのか……
 もしかして、この後私は彼に襲われるのだろうか……

 不安が過り、私は顔面蒼白となる。

 するとコニーさんが新しいドレスを私に着替えさせてくれた。

「これは……?」
「ユミル様からでございます」
「は、はぁ……」

 綺麗な恰好をさせるだなんて、やはり私はあの方に襲われるんだ。
 それ以外、こんなことをしてもらえる理由が思いつかない。
 折角ア―ロイから逃げてきたというにの……結局こんな目に遭ってしまうのか。

 私は肩を落としながら、コニーさんに促されるまま食堂に向かう。
 食堂ではユミル様が待っており、私は彼の近くの席に座らされる。

「疲れは取れたか?」
「は、はい……」
「そうか、なら、次は食事をするんだな。体力をつけておけ」
「…………」

 片頬を吊り上げながら、彼は私を見ている。
 絶対にそうだ。
 私はこの後、純潔をこの人に奪われる。

 助けてやったお礼になんて考えているのだろうか?
 今すぐに逃げ出したい気持ちが湧き上がるが、私を睨む彼の視線が怖くて動くこともできない。

「ほら、さっさと食べろ」

 次々に運ばれてくる料理。
 全てが一級品で、それらを見ているだけで唾液が溢れてくる。

 お腹は空いている。
 悔しいが、ここは素直に頂くことにしよう。

「……美味しい」
「ふん。だろうな。ここで働くシェフは超一流だ。よく味わって食えばいい」

 本当に悪魔と言う言葉が似あうお方。
 ニヤリと笑いながら私を睨んでいる。
 まるで品定めでもしているようだ。

 私は手を震わせながら、食事を済ませた。

「では、コニーの案内する部屋で寝ていろ。いいな?」
「は、はい……」

 私はユミル様に言われるがまま、コニーさんの案内するベッドで横になる。

 これから行われる行為に私は恐怖を感じ、ただ一人寂しく震えるのであった。
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