11 / 16
11
しおりを挟む
「み、三日連続だと……?」
「は、はい……」
ジークらが眠りについている間に、強盗が侵入した。
それも三日連続でだ。
どうやら見張り役の人間全てが強盗とグルだったらしく、全員が夜のうちに消えてしまい、いまだ犯人は捕まっていない状態。
レイアの顔を見て、苛立ちを覚え始めるジーク。
「レイア……どういうことだ?」
「……分かりません。こんなことは初めてなので」
「…………」
幸運の女神がついているはずのレイア。
そんな彼女がいるというのに、財産がドンドン減っていく。
尋常ではない速度でだ。
たった三日間で、何故これほどまでに。
ジークの頭の中に、貧乏神という言葉が過る。
「もしかして、君が……」
「そんなわけありませんわ! サラが貧乏神です。私はそれを知っているし、両親だってそう信じています」
「そ、それならいいのだが……」
レイアの言葉を聞いても不安を払拭できないジーク。
だがもう自分の妻のことを信じるしかない。
彼女こそが幸運の女神であると。
そこから一週間は何も無かった。
しかし天気が悪い、曇り空のある日のこと。
ジークとレイアは、町を散策していた。
最近起こったことの息抜きにだ。
良くないことは連続で起きてしまったが、あれから一週間、何も起こっていない。
あれは何か悪い夢のようなものだったのだ。
ジークもレイアも、そう思い始めていた。
「このまま幸せに暮らせていけそうだな」
「ええ。ご安心ください。私には幸運の女神がついておりますから」
レイアに笑みを向けるジーク。
ジークと腕を組み、笑顔を返すレイア。
だが、事件は起きてしまう。
それも信じられないような事件がだ。
「ジ、ジーク様! 大変でございます!」
「ど、どうしたのだ、そんな血相を変えて……」
嫌な予感に顔を真っ青に染めるジーク。
彼に仕える男が、走って彼のもとまで走って来る。
息を切らせながら、だがハッキリとジークに告げた。
「や、屋敷が……屋敷が燃えております!」
「も……燃えている、だと!?」
屋敷の方角の方へ視線を向けるジークとレイア。
遠くの方に見える煙。
ジークはレイアを置いて、走って行ってしまう。
「お待ちください、ジーク様!」
自分を置いて走って行くジークに腹を立てるレイア。
だがそれと同時に、屋敷が燃えているという話に寒気を覚えてもいた。
何故こんなことが起きるのだ。
私は……幸運の女神のはずなのに。
現場に到着すると、それはものの見事に炎上している屋敷が目に入る。
唖然とするジークとレイア。
自分たちの屋敷がこれ以上ないぐらいに燃えている。
その事実がまるで夢のように現実と捉えられない二人。
だがこれは紛れもない事実。
彼女たちは、凄まじい勢いで富を失いつつある。
ジークはとうとうこの現実を受け入れ始めていた。
これは……レイアが原因なのでは?
そう思い始めたジークは、レイアの横顔を見て、ガタガタ震えていた。
「は、はい……」
ジークらが眠りについている間に、強盗が侵入した。
それも三日連続でだ。
どうやら見張り役の人間全てが強盗とグルだったらしく、全員が夜のうちに消えてしまい、いまだ犯人は捕まっていない状態。
レイアの顔を見て、苛立ちを覚え始めるジーク。
「レイア……どういうことだ?」
「……分かりません。こんなことは初めてなので」
「…………」
幸運の女神がついているはずのレイア。
そんな彼女がいるというのに、財産がドンドン減っていく。
尋常ではない速度でだ。
たった三日間で、何故これほどまでに。
ジークの頭の中に、貧乏神という言葉が過る。
「もしかして、君が……」
「そんなわけありませんわ! サラが貧乏神です。私はそれを知っているし、両親だってそう信じています」
「そ、それならいいのだが……」
レイアの言葉を聞いても不安を払拭できないジーク。
だがもう自分の妻のことを信じるしかない。
彼女こそが幸運の女神であると。
そこから一週間は何も無かった。
しかし天気が悪い、曇り空のある日のこと。
ジークとレイアは、町を散策していた。
最近起こったことの息抜きにだ。
良くないことは連続で起きてしまったが、あれから一週間、何も起こっていない。
あれは何か悪い夢のようなものだったのだ。
ジークもレイアも、そう思い始めていた。
「このまま幸せに暮らせていけそうだな」
「ええ。ご安心ください。私には幸運の女神がついておりますから」
レイアに笑みを向けるジーク。
ジークと腕を組み、笑顔を返すレイア。
だが、事件は起きてしまう。
それも信じられないような事件がだ。
「ジ、ジーク様! 大変でございます!」
「ど、どうしたのだ、そんな血相を変えて……」
嫌な予感に顔を真っ青に染めるジーク。
彼に仕える男が、走って彼のもとまで走って来る。
息を切らせながら、だがハッキリとジークに告げた。
「や、屋敷が……屋敷が燃えております!」
「も……燃えている、だと!?」
屋敷の方角の方へ視線を向けるジークとレイア。
遠くの方に見える煙。
ジークはレイアを置いて、走って行ってしまう。
「お待ちください、ジーク様!」
自分を置いて走って行くジークに腹を立てるレイア。
だがそれと同時に、屋敷が燃えているという話に寒気を覚えてもいた。
何故こんなことが起きるのだ。
私は……幸運の女神のはずなのに。
現場に到着すると、それはものの見事に炎上している屋敷が目に入る。
唖然とするジークとレイア。
自分たちの屋敷がこれ以上ないぐらいに燃えている。
その事実がまるで夢のように現実と捉えられない二人。
だがこれは紛れもない事実。
彼女たちは、凄まじい勢いで富を失いつつある。
ジークはとうとうこの現実を受け入れ始めていた。
これは……レイアが原因なのでは?
そう思い始めたジークは、レイアの横顔を見て、ガタガタ震えていた。
13
お気に入りに追加
3,806
あなたにおすすめの小説
もう私、好きなようにさせていただきますね? 〜とりあえず、元婚約者はコテンパン〜
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「婚約破棄ですね、はいどうぞ」
婚約者から、婚約破棄を言い渡されたので、そういう対応を致しました。
もう面倒だし、食い下がる事も辞めたのですが、まぁ家族が許してくれたから全ては大団円ですね。
……え? いまさら何ですか? 殿下。
そんな虫のいいお話に、まさか私が「はい分かりました」と頷くとは思っていませんよね?
もう私の、使い潰されるだけの生活からは解放されたのです。
だって私はもう貴方の婚約者ではありませんから。
これはそうやって、自らが得た自由の為に戦う令嬢の物語。
※本作はそれぞれ違うタイプのざまぁをお届けする、『野菜の夏休みざまぁ』作品、4作の内の1作です。
他作品は検索画面で『野菜の夏休みざまぁ』と打つとヒット致します。
婚約破棄をされた悪役令嬢は、すべてを見捨てることにした
アルト
ファンタジー
今から七年前。
婚約者である王太子の都合により、ありもしない罪を着せられ、国外追放に処された一人の令嬢がいた。偽りの悪業の経歴を押し付けられ、人里に彼女の居場所はどこにもなかった。
そして彼女は、『魔の森』と呼ばれる魔窟へと足を踏み入れる。
そして現在。
『魔の森』に住まうとある女性を訪ねてとある集団が彼女の勧誘にと向かっていた。
彼らの正体は女神からの神託を受け、結成された魔王討伐パーティー。神託により指名された最後の一人の勧誘にと足を運んでいたのだが——。

婚約破棄されたので四大精霊と国を出ます
今川幸乃
ファンタジー
公爵令嬢である私シルア・アリュシオンはアドラント王国第一王子クリストフと政略婚約していたが、私だけが精霊と会話をすることが出来るのを、あろうことか悪魔と話しているという言いがかりをつけられて婚約破棄される。
しかもクリストフはアイリスという女にデレデレしている。
王宮を追い出された私だったが、地水火風を司る四大精霊も私についてきてくれたので、精霊の力を借りた私は強力な魔法を使えるようになった。
そして隣国マナライト王国の王子アルツリヒトの招待を受けた。
一方、精霊の加護を失った王国には次々と災厄が訪れるのだった。
※「小説家になろう」「カクヨム」から転載
※3/8~ 改稿中

妹のことが好き過ぎて婚約破棄をしたいそうですが、後悔しても知りませんよ?
カミツドリ
ファンタジー
侯爵令嬢のフリージアは婚約者である第四王子殿下のボルドーに、彼女の妹のことが好きになったという理由で婚約破棄をされてしまう。
フリージアは逆らうことが出来ずに受け入れる以外に、選択肢はなかった。ただし最後に、「後悔しないでくださいね?」という言葉だけを残して去って行く……。
【完結90万pt感謝】大募集! 王太子妃候補! 貴女が未来の国母かもしれないっ!
宇水涼麻
ファンタジー
ゼルアナート王国の王都にある貴族学園の玄関前には朝から人集りができていた。
女子生徒たちが色めき立って、男子生徒たちが興味津々に見ている掲示物は、求人広告だ。
なんと求人されているのは『王太子妃候補者』
見目麗しい王太子の婚約者になれるかもしれないというのだ。
だが、王太子には眉目秀麗才色兼備の婚約者がいることは誰もが知っている。
学園全体が浮足立った状態のまま昼休みになった。
王太子であるレンエールが婚約者に詰め寄った。
求人広告の真意は?広告主は?
中世ヨーロッパ風の婚約破棄ものです。
お陰様で完結いたしました。
外伝は書いていくつもりでおります。
これからもよろしくお願いします。
表紙を変えました。お友達に描いていただいたラビオナ嬢です。
彼女が涙したシーンを思い浮かべ萌えてますwww
神託の聖女様~偽義妹を置き去りにすることにしました
青の雀
恋愛
半年前に両親を亡くした公爵令嬢のバレンシアは、相続権を王位から認められ、晴れて公爵位を叙勲されることになった。
それから半年後、突如現れた義妹と称する女に王太子殿下との婚約まで奪われることになったため、怒りに任せて家出をするはずが、公爵家の使用人もろとも家を出ることに……。
妹に婚約者を取られましたが、辺境で楽しく暮らしています
今川幸乃
ファンタジー
おいしい物が大好きのオルロンド公爵家の長女エリサは次期国王と目されているケビン王子と婚約していた。
それを羨んだ妹のシシリーは悪い噂を流してエリサとケビンの婚約を破棄させ、自分がケビンの婚約者に収まる。
そしてエリサは田舎・偏屈・頑固と恐れられる辺境伯レリクスの元に厄介払い同然で嫁に出された。
当初は見向きもされないエリサだったが、次第に料理や作物の知識で周囲を驚かせていく。
一方、ケビンは極度のナルシストで、エリサはそれを知っていたからこそシシリーにケビンを譲らなかった。ケビンと結ばれたシシリーはすぐに彼の本性を知り、後悔することになる。
王太子に婚約破棄言い渡された公爵令嬢は、その場で処刑されそうです。
克全
恋愛
8話1万0357文字で完結済みです。
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に投稿しています。
コーンウォリス公爵家に令嬢ルイ―ザは、王国の実権を握ろうとするロビンソン辺境伯家当主フランシスに操られる、王太子ルークのよって絶体絶命の危機に陥っていました。宰相を務める父上はもちろん、有能で忠誠心の豊かな有力貴族達が全員紛争国との調停に送られていました。万座の席で露骨な言い掛かりで付けられ、婚約を破棄されたばかりか人質にまでされそうになったルイ―ザ嬢は、命懸けで名誉を守る決意をしたのです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる