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「あの、レオ様」
「どうかしたのかい?」
「実は……ニコライド様から呼び出しがあって」
「なんだって?」
先日、ニコライド様からドルトムル家に来るようにとの連絡があった。
私はそのことに怯えてしまい、一人でどうしたらいいのか分からずレオ様に相談をすることに。
「今更なんの用なのでしょうか?」
「分からないな……」
レオ様は思案顔をし、ニコライド様の要件を真剣に考えてくれていた。
「別れた君にどんな用件が……よりを戻せなんて話、ありえないと思うし」
「よりを戻せだなんて、嫌です! 私はレオ様と……」
「僕だって絶対に嫌だ。君を渡すつもりなんてない。だけど言った通り、ありえない話のはずだよ。だって彼にはレイチェルがいるんだから」
確かにそうだ。
ニコライド様はレイチェル様と婚約をなさっている。
今更私とよりを戻すなんて話、考えられない。
だったらどのような用が?
ダメだ。
考えれば考えるほど分からなくなる。
あの人はいつだって突然で、強引だから。
「……僕も一緒に行こう」
「いいのですか?」
「ああ。何を企んでいるか分からないしね。君一人で行かせるわけにはいかない」
「ありがとうございます」
レオ様が一緒について来てくれる。
それだけで心強かった。
私は安堵のため息をつき、彼の手を握る。
レオ様が優しく微笑み返してくれると、不安は一気に消え去っていた。
そして当日。
レオ様は朝早くから私の元へとやって来てくれていた。
私たちは馬車に乗り込もうとしていたが、その時。
「アニエル様」
「ギミーさん……どうかしたのか?」
こんな朝一番だと言うのに、ギミーさんが屋敷へと顔を出す。
彼女は微笑を浮かべながら私に言う。
「帰り道に大きな木がある分かれ道があるだろ?」
「え、ええ……確かにあるわ」
ドルトムルからの帰り道、少し走ると一本大きな木がある二股の道がある。
それは南北に分かれる道で、どちらを通ってもここに帰って来れるのだがだいたい南の道を通過して帰って来る。
「それがどうかしたの?」
「ええかい? 今日は北の道を帰って来るんだよ」
「北の道を……何故?」
「うっへっへ。それは後からのお楽しみだ」
それだけ言うと、ギミーさんは踵を返してこの場を去って行ってしまった。
「よく分からないけれど、あの人の言うことを聞いておけば間違いないだろう」
「そうですわね。レオ様もギミーさんに助けられましたものね」
レオ様はコクリと頷く。
そして私たちは馬車に乗り込み、ニコライド様の元へ向かい始めたのであった。
「どうかしたのかい?」
「実は……ニコライド様から呼び出しがあって」
「なんだって?」
先日、ニコライド様からドルトムル家に来るようにとの連絡があった。
私はそのことに怯えてしまい、一人でどうしたらいいのか分からずレオ様に相談をすることに。
「今更なんの用なのでしょうか?」
「分からないな……」
レオ様は思案顔をし、ニコライド様の要件を真剣に考えてくれていた。
「別れた君にどんな用件が……よりを戻せなんて話、ありえないと思うし」
「よりを戻せだなんて、嫌です! 私はレオ様と……」
「僕だって絶対に嫌だ。君を渡すつもりなんてない。だけど言った通り、ありえない話のはずだよ。だって彼にはレイチェルがいるんだから」
確かにそうだ。
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あの人はいつだって突然で、強引だから。
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「いいのですか?」
「ああ。何を企んでいるか分からないしね。君一人で行かせるわけにはいかない」
「ありがとうございます」
レオ様が一緒について来てくれる。
それだけで心強かった。
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レオ様が優しく微笑み返してくれると、不安は一気に消え去っていた。
そして当日。
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私たちは馬車に乗り込もうとしていたが、その時。
「アニエル様」
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「帰り道に大きな木がある分かれ道があるだろ?」
「え、ええ……確かにあるわ」
ドルトムルからの帰り道、少し走ると一本大きな木がある二股の道がある。
それは南北に分かれる道で、どちらを通ってもここに帰って来れるのだがだいたい南の道を通過して帰って来る。
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「ええかい? 今日は北の道を帰って来るんだよ」
「北の道を……何故?」
「うっへっへ。それは後からのお楽しみだ」
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そして私たちは馬車に乗り込み、ニコライド様の元へ向かい始めたのであった。
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よろしくければ、投票のほどお願いします。
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