捨てられた者同士でくっ付いたら最高のパートナーになりました。捨てた奴らは今更よりを戻そうなんて言ってきますが絶対にごめんです。

亜綺羅もも

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 アニエルが婚約破棄を言い渡される一週間前のこと――

 レオの屋敷へとレイチェルがやって来ていた。
 
「いらしゃいませレイ――」

 屋敷の者たちを無視して、ズカズカと中へと入っていくレイチェル。
 一直線にレオの部屋へと向かっていく。

「レオ」
「レイチェル? どうしたんだい、急に」

 本を読んでいたレオは、突然の来訪者に驚くも笑顔を向ける。
 その笑顔を見たレイチェルは彼に聞こえるように舌打ちをした。

 いつもより機嫌が悪そうだけど、どうしたのだろうか?

 レオは本を閉じ、レイチェルの方へ向き合う。
 レイチェルの前に立ち、レオは穏やかに「どうしたんだ?」と尋ねる。
 だが穏やかなレオとは対照的に、レイチェルは好戦的な視線を向けていた。

「話があるの」
「話? 今日はどんな話だい?」

 レイチェルが癇癪を起すのはよくあること。
 レオはいつものように何か腹が立っているだけだと、そう考えていた。

 しかしレイチェルの口から、想像もしていなかったようなとんでもないことが告げられる。

「私たちの婚約関係、白紙に戻してちょうだい」
「……白紙?」
「ええ。無かったことにしていただけるかしら?」
「…………」

 いつも我儘ばかり言うレイチェルであったが……別れるなんて話をされたことは今まで一度としてなかった。
 なのに、いきなりどうして……

 戸惑うばかりのレオ。
 レイチェルはレオの顔を見て、苛立ちを覚えて眉間に皺を寄せる。

「あんたはいつもヘラヘラしてて……情けないと思わないの?」
「そんなこと思ったこともないよ……笑顔でいることの何が悪いと言うんだ?」
「男ならいつもキリッとしておくべきよ。たとえば……ニコライド様のように」

 ニヤっとしたレイチェル。
 その表情を見たレオは嫌な予感を覚える。

「まさか、レイチェル……」
「ふん。そのまさかよ。私、ニコライド様と婚約しようと考えているの」
「そ、そんな……」

 レオは愕然とする。
 婚約者がいるというのに、他の男を選ぶだなんて……
 そんなバカなことがあるのか?

「とにかく、あんたとはこれでお終い。あんたよりよっぽど条件のいい男を見つけたのだから」
「ま、待ってくれ。これから一生のことなんだ。もっとしっかりと話を――」
「これからの一生を共に歩まないあんたとなんの話をするってのよ。話をするだけ時間の無駄だわ。じゃあね」

 レイチェルは踵を返し、部屋から出て行こうとする。

「ま、待ってくれ!」
「……本当、つまらない男だったわ」

 最後にレオを睨みつけ、レイチェルは外へと出て行ってしまった。
 レオは突然のことに困惑し、その場で石のように固まってしまい動けないでいた。
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「デブは出て行け!」と追放されたので、チートスキル【マイホーム】で異世界生活を満喫します。今更戻って来いと言われても旦那が許してくれません!
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