6 / 13
6
しおりを挟む
「クロード様はいつも笑ってらっしゃるのですね」
ニコニコ笑うクロード様のお顔を見上げて私はそう言った。
すると彼は、笑顔のままで応えてくれる。
「笑顔でいれば大抵のことがどうにでもなるし、幸運も舞い込んでくるものだからね。だから僕は笑顔を心掛けているんだ」
「幸運……運が良くなるのですか?」
「うん。そう思うし、そう確信しているよ」
笑顔でいれば運が良くなる……
そういうものなのだろうか。
自分は根暗であまり笑顔を浮かべることがないのでよく分からない。
だけどクロード様がそう言えば本当にそうなのかと思えてくる。
「クロード様は運がよくなりましたか?」
「なったよ。だってエマと出逢えたしね」
「……え? ……えええっ!?」
運がよくなったから私と出逢えた?
私と出逢えたことが運が良かったと感じてくれている?
嬉しい。
そんな風に考えてもらえてとても嬉しかった。
私は顔を赤く染め、彼の優しい瞳を見つめる。
「わ、私は根暗ですが、クロード様と出逢えました! もうすでに運がいいってことですよね!?」
「そう言ってくれて嬉しいよ。でも、笑顔でいられればもっと運が良くなると思うよ」
クロード様にそう言われ、私は自然と笑顔をこぼした。
本当に自分でもビックリするほど。
笑おうなんて考えていなかったのに、自然と笑顔を浮かべていた。
クロード様はそんな私の顔を見て、サッと顔を逸らす。
「……可愛いなぁ」
「え?」
ボソッと何かを呟いたクロード様。
あまりにも小さい声だったので私は聞き取れなかった。
「……やっぱりエマと出逢えて良かった。だって君といるだけでこんなに幸せな気分なのだから」
「私もです……クロード様といるだけで幸せな気分で一杯です!」
クロード様といるだけで幸せだった。
いつしか、根暗の自分が嘘だったかのように、毎日笑顔を浮かべていた。
すると周囲からの反応に変化が起きる。
「エマ。最近はとても可愛くなったね」
「本当。以前のエマからは考えられないわ」
両親が私が可愛くなったと毎日褒めてくれる。
町に出ても、皆が可愛くなったと言ってくれた。
それは単純に、純粋に、嬉しかった。
そんなこと今まで言われたこと無かったからだ。
笑顔でいるだけで皆からこんな風に言われて……
本当に運が良くなったような気分。
運だけでなく、笑顔は人生を良くするものなのだと、私は理解した。
そしてこれからも、私は笑顔を浮かべ続けると思う。
それぐらい人生に変化が起きた。
これも全部……クロード様のおかげだ。
ニコニコ笑うクロード様のお顔を見上げて私はそう言った。
すると彼は、笑顔のままで応えてくれる。
「笑顔でいれば大抵のことがどうにでもなるし、幸運も舞い込んでくるものだからね。だから僕は笑顔を心掛けているんだ」
「幸運……運が良くなるのですか?」
「うん。そう思うし、そう確信しているよ」
笑顔でいれば運が良くなる……
そういうものなのだろうか。
自分は根暗であまり笑顔を浮かべることがないのでよく分からない。
だけどクロード様がそう言えば本当にそうなのかと思えてくる。
「クロード様は運がよくなりましたか?」
「なったよ。だってエマと出逢えたしね」
「……え? ……えええっ!?」
運がよくなったから私と出逢えた?
私と出逢えたことが運が良かったと感じてくれている?
嬉しい。
そんな風に考えてもらえてとても嬉しかった。
私は顔を赤く染め、彼の優しい瞳を見つめる。
「わ、私は根暗ですが、クロード様と出逢えました! もうすでに運がいいってことですよね!?」
「そう言ってくれて嬉しいよ。でも、笑顔でいられればもっと運が良くなると思うよ」
クロード様にそう言われ、私は自然と笑顔をこぼした。
本当に自分でもビックリするほど。
笑おうなんて考えていなかったのに、自然と笑顔を浮かべていた。
クロード様はそんな私の顔を見て、サッと顔を逸らす。
「……可愛いなぁ」
「え?」
ボソッと何かを呟いたクロード様。
あまりにも小さい声だったので私は聞き取れなかった。
「……やっぱりエマと出逢えて良かった。だって君といるだけでこんなに幸せな気分なのだから」
「私もです……クロード様といるだけで幸せな気分で一杯です!」
クロード様といるだけで幸せだった。
いつしか、根暗の自分が嘘だったかのように、毎日笑顔を浮かべていた。
すると周囲からの反応に変化が起きる。
「エマ。最近はとても可愛くなったね」
「本当。以前のエマからは考えられないわ」
両親が私が可愛くなったと毎日褒めてくれる。
町に出ても、皆が可愛くなったと言ってくれた。
それは単純に、純粋に、嬉しかった。
そんなこと今まで言われたこと無かったからだ。
笑顔でいるだけで皆からこんな風に言われて……
本当に運が良くなったような気分。
運だけでなく、笑顔は人生を良くするものなのだと、私は理解した。
そしてこれからも、私は笑顔を浮かべ続けると思う。
それぐらい人生に変化が起きた。
これも全部……クロード様のおかげだ。
1
お気に入りに追加
1,351
あなたにおすすめの小説
婚約者に嫌われているようなので離れてみたら、なぜか抗議されました
花々
恋愛
メリアム侯爵家の令嬢クラリッサは、婚約者である公爵家のライアンから蔑まれている。
クラリッサは「お前の目は醜い」というライアンの言葉を鵜呑みにし、いつも前髪で顔を隠しながら過ごしていた。
そんなある日、クラリッサは王家主催のパーティーに参加する。
いつも通りクラリッサをほったらかしてほかの参加者と談笑しているライアンから離れて廊下に出たところ、見知らぬ青年がうずくまっているのを見つける。クラリッサが心配して介抱すると、青年からいたく感謝される。
数日後、クラリッサの元になぜか王家からの使者がやってきて……。
✴︎感想誠にありがとうございます❗️
✴︎(承認不要の方)ご指摘ありがとうございます。第一王子のミスでした💦
✴︎ヒロインの実家は侯爵家です。誤字失礼しました😵
婚約者から妾になれと言われた私は、婚約を破棄することにしました
天宮有
恋愛
公爵令嬢の私エミリーは、婚約者のアシェル王子に「妾になれ」と言われてしまう。
アシェルは子爵令嬢のキアラを好きになったようで、妾になる原因を私のせいにしたいようだ。
もうアシェルと関わりたくない私は、妾にならず婚約破棄しようと決意していた。
まさか、今更婚約破棄……ですか?
灯倉日鈴(合歓鈴)
恋愛
チャールストン伯爵家はエンバー伯爵家との家業の繋がりから、お互いの子供を結婚させる約束をしていた。
エンバー家の長男ロバートは、許嫁であるチャールストン家の長女オリビアのことがとにかく気に入らなかった。
なので、卒業パーティーの夜、他の女性と一緒にいるところを見せつけ、派手に恥を掻かせて婚約破棄しようと画策したが……!?
色々こじらせた男の結末。
数話で終わる予定です。
※タイトル変更しました。
【完結】許婚の子爵令息から婚約破棄を宣言されましたが、それを知った公爵家の幼馴染から溺愛されるようになりました
八重
恋愛
「ソフィ・ルヴェリエ! 貴様とは婚約破棄する!」
子爵令息エミール・エストレが言うには、侯爵令嬢から好意を抱かれており、男としてそれに応えねばならないというのだ。
失意のどん底に突き落とされたソフィ。
しかし、婚約破棄をきっかけに幼馴染の公爵令息ジル・ルノアールから溺愛されることに!
一方、エミールの両親はソフィとの婚約破棄を知って大激怒。
エミールの両親の命令で『好意の証拠』を探すが、侯爵令嬢からの好意は彼の勘違いだった。
なんとかして侯爵令嬢を口説くが、婚約者のいる彼女がなびくはずもなく……。
焦ったエミールはソフィに復縁を求めるが、時すでに遅し──
婚約破棄され聖女も辞めさせられたので、好きにさせていただきます。
松石 愛弓
恋愛
国を守る聖女で王太子殿下の婚約者であるエミル・ファーナは、ある日突然、婚約破棄と国外追放を言い渡される。
全身全霊をかけて国の平和を祈り続けてきましたが、そういうことなら仕方ないですね。休日も無く、責任重すぎて大変でしたし、王太子殿下は思いやりの無い方ですし、王宮には何の未練もございません。これからは自由にさせていただきます♪
魔法が使えなかった令嬢は、婚約破棄によって魔法が使えるようになりました
天宮有
恋愛
魔力のある人は15歳になって魔法学園に入学し、16歳までに魔法が使えるようになるらしい。
伯爵令嬢の私ルーナは魔力を期待されて、侯爵令息ラドンは私を婚約者にする。
私は16歳になっても魔法が使えず、ラドンに婚約破棄言い渡されてしまう。
その後――ラドンの婚約破棄した後の行動による怒りによって、私は魔法が使えるようになっていた。
婚約破棄が、実はドッキリだった? わかりました。それなら、今からそれを本当にしましょう。
木山楽斗
恋愛
侯爵令嬢であるエルフィリナは、自己中心的なルグファドという侯爵令息と婚約していた。
ある日、彼女は彼から婚約破棄を告げられる。突然のことに驚くエルフィリナだったが、その日は急用ができたため帰らざるを得ず、結局まともにそのことについて議論することはできなかった。
婚約破棄されて家に戻ったエルフィリナは、幼馴染の公爵令息ソルガードと出会った。
彼女は、とある事情から婚約破棄されたことを彼に告げることになった。すると、ソルガードはエルフィリナに婚約して欲しいと言ってきた。なんでも、彼は幼少期から彼女に思いを寄せていたらしいのだ。
突然のことに驚くエルフィリナだったが、彼の誠実な人となりはよく知っていたため、快くその婚約を受け入れることにした。
しかし、そんなエルフィリナの元にルグファドがやって来た。
そこで、彼は自分が言った婚約破棄が実はドッキリであると言い出した。そのため、自分とエルフィリナの婚約はまだ続いていると主張したのだ。
当然、エルフィリナもソルガードもそんな彼の言葉を素直に受け止められなかった。
エルフィリナは、ドッキリだった婚約破棄を本当のことにするのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる