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「クロード様はいつも笑ってらっしゃるのですね」

 ニコニコ笑うクロード様のお顔を見上げて私はそう言った。
 すると彼は、笑顔のままで応えてくれる。

「笑顔でいれば大抵のことがどうにでもなるし、幸運も舞い込んでくるものだからね。だから僕は笑顔を心掛けているんだ」
「幸運……運が良くなるのですか?」
「うん。そう思うし、そう確信しているよ」

 笑顔でいれば運が良くなる……
 そういうものなのだろうか。
 自分は根暗であまり笑顔を浮かべることがないのでよく分からない。
 だけどクロード様がそう言えば本当にそうなのかと思えてくる。

「クロード様は運がよくなりましたか?」
「なったよ。だってエマと出逢えたしね」
「……え? ……えええっ!?」

 運がよくなったから私と出逢えた?
 私と出逢えたことが運が良かったと感じてくれている?
 嬉しい。
 そんな風に考えてもらえてとても嬉しかった。
 私は顔を赤く染め、彼の優しい瞳を見つめる。

「わ、私は根暗ですが、クロード様と出逢えました! もうすでに運がいいってことですよね!?」
「そう言ってくれて嬉しいよ。でも、笑顔でいられればもっと運が良くなると思うよ」

 クロード様にそう言われ、私は自然と笑顔をこぼした。
 本当に自分でもビックリするほど。
 笑おうなんて考えていなかったのに、自然と笑顔を浮かべていた。

 クロード様はそんな私の顔を見て、サッと顔を逸らす。

「……可愛いなぁ」
「え?」

 ボソッと何かを呟いたクロード様。
 あまりにも小さい声だったので私は聞き取れなかった。

「……やっぱりエマと出逢えて良かった。だって君といるだけでこんなに幸せな気分なのだから」
「私もです……クロード様といるだけで幸せな気分で一杯です!」

 クロード様といるだけで幸せだった。
 いつしか、根暗の自分が嘘だったかのように、毎日笑顔を浮かべていた。

 すると周囲からの反応に変化が起きる。

「エマ。最近はとても可愛くなったね」
「本当。以前のエマからは考えられないわ」

 両親が私が可愛くなったと毎日褒めてくれる。
 町に出ても、皆が可愛くなったと言ってくれた。

 それは単純に、純粋に、嬉しかった。
 そんなこと今まで言われたこと無かったからだ。
 笑顔でいるだけで皆からこんな風に言われて……

 本当に運が良くなったような気分。
 運だけでなく、笑顔は人生を良くするものなのだと、私は理解した。

 そしてこれからも、私は笑顔を浮かべ続けると思う。
 それぐらい人生に変化が起きた。
 これも全部……クロード様のおかげだ。
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