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カリス様との婚約を解消して数日が過ぎた。
何もない毎日。
ほのぼのとその日その日を暮らしていました。
「エマには悪いことをしたなぁ……」
それは家族で食事をしていた時のこと。
お父様は本当に申し訳なさそうにそう呟いた。
お母様はため息をつき、私を見ている。
「他にこの子の貰い手はいるのかしら……社交的ではありませんからね」
「自分の責任ではあったが、いいところに嫁げると思ってたんだけどな」
ガクンと肩を落とす二人。
私は愛想笑いを浮かべ、さっさと自室へと戻った。
借金が無くなったことにより、両親はホッとしていたが、婚約の話が無くなったことには絶望しているようだ。
私個人としては最善ではあったのだが、両親から見れば最悪だったらしい。
しかし本当に私は結婚できるのだろうか。
それが少々不安になってくる。
お母様の言う通り社交的ではないので自分から話しかけるようなことはしないし、特別仲がいい人がいるわけではない。
カリス様が言っていたのは間違いないのだ。
私は地味なのである。
自分の見た目も生活も。
何もかもが地味なのだ。
性格も明るくないし、さぁ、これは本当に困ったものだ。
私はベッドに腰を下ろし、大きくため息をもらす。
誰か私を貰いに来てくれないものだろうか。
と、そんな奇跡を待っているぐらいなのだから、両親が絶望的になるのがよく分かる。
だが転機は突然訪れる。
それはある日の夕方のこと。
まだ食事の時間には早く、暇を持て余していた私は本に没頭していた。
「…………」
本が楽しく、ワクワクしてページを進めていく。
物語を読むのが私の趣味。
本を読んでいられれば私はそれでいい。
他には何もいらない。
それぐらい本が好きなのだ。
「おい、エマ!」
「……はい?」
気が付くと、お父様が私の目の前に立っていた。
本に集中し過ぎていてお父様の存在に気づかなかった。
お父様は少し怒ってはいるが、どこか嬉しそうな顔をしている。
どうかしたのだろうか?
「お、お前に会いに来た男性がいる! 早くしろ!」
「男性ですか……?」
はて?
誰だろう。
男性の知り合いはカリス様以外にはいない。
カリス様ならお父様はそう言うはずだから……それ以外の男の人のはずだ。
いや、本当に誰ですか?
私はお父様について玄関まで向かう。
するとそこに立っていたのは、端正な顔立ちをした男性であった。
息を呑むほどに美しい銀色の髪。
海のような青い瞳。
恰好は派手過ぎず、しかしそこそこ上等な物。
お顔はため息が漏れるほどに綺麗なものであった。
そんな彼は私を見て、満面の笑みを浮かべている。
いや、本当に誰ですか?
何もない毎日。
ほのぼのとその日その日を暮らしていました。
「エマには悪いことをしたなぁ……」
それは家族で食事をしていた時のこと。
お父様は本当に申し訳なさそうにそう呟いた。
お母様はため息をつき、私を見ている。
「他にこの子の貰い手はいるのかしら……社交的ではありませんからね」
「自分の責任ではあったが、いいところに嫁げると思ってたんだけどな」
ガクンと肩を落とす二人。
私は愛想笑いを浮かべ、さっさと自室へと戻った。
借金が無くなったことにより、両親はホッとしていたが、婚約の話が無くなったことには絶望しているようだ。
私個人としては最善ではあったのだが、両親から見れば最悪だったらしい。
しかし本当に私は結婚できるのだろうか。
それが少々不安になってくる。
お母様の言う通り社交的ではないので自分から話しかけるようなことはしないし、特別仲がいい人がいるわけではない。
カリス様が言っていたのは間違いないのだ。
私は地味なのである。
自分の見た目も生活も。
何もかもが地味なのだ。
性格も明るくないし、さぁ、これは本当に困ったものだ。
私はベッドに腰を下ろし、大きくため息をもらす。
誰か私を貰いに来てくれないものだろうか。
と、そんな奇跡を待っているぐらいなのだから、両親が絶望的になるのがよく分かる。
だが転機は突然訪れる。
それはある日の夕方のこと。
まだ食事の時間には早く、暇を持て余していた私は本に没頭していた。
「…………」
本が楽しく、ワクワクしてページを進めていく。
物語を読むのが私の趣味。
本を読んでいられれば私はそれでいい。
他には何もいらない。
それぐらい本が好きなのだ。
「おい、エマ!」
「……はい?」
気が付くと、お父様が私の目の前に立っていた。
本に集中し過ぎていてお父様の存在に気づかなかった。
お父様は少し怒ってはいるが、どこか嬉しそうな顔をしている。
どうかしたのだろうか?
「お、お前に会いに来た男性がいる! 早くしろ!」
「男性ですか……?」
はて?
誰だろう。
男性の知り合いはカリス様以外にはいない。
カリス様ならお父様はそう言うはずだから……それ以外の男の人のはずだ。
いや、本当に誰ですか?
私はお父様について玄関まで向かう。
するとそこに立っていたのは、端正な顔立ちをした男性であった。
息を呑むほどに美しい銀色の髪。
海のような青い瞳。
恰好は派手過ぎず、しかしそこそこ上等な物。
お顔はため息が漏れるほどに綺麗なものであった。
そんな彼は私を見て、満面の笑みを浮かべている。
いや、本当に誰ですか?
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