ネイビー トーン

輪念 希

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・エピローグ

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◆ 高井 悠二

〈原作者:小野江マリナ
蝋燭が両端から燃える、そんな言葉がエドナ・ミレイの詩にあるんだけれど。
スタジオに入れてもらった時に私はそんなものを見たのよ
今、というものを見たの〉

そんな帯が付いたCDがNACに届いたのは一週間前だ。

【Reset】は書籍と同日に一般販売して、どちらも数日で完売した。
それぞれ予約限定での再販も決まっているらしい。

あの日々から三ヶ月。
俺は学生に戻り、授業のない日に三山さんがくれたスマホアプリの仕事を進めている。
そして小野江マリナのせいか、大西幸人のせいか、青柳晃介のせいか、世の中の「YUJI」への関心も高くなり、俺はキャンパス内でも度々女子生徒から声を掛けられたり、SNSに普段の写真を無断でアップされる事が増えていた。
しかし、mimikoneのリスナーも圧倒的に増え、あの頃の事に関する質問のコメントに返す言葉に気を遣いながらではあるが、前よりもずっと楽しく配信をしている。
そしていつも、俺の声も誰かの背中を押していると言ってくれた林さんの言葉を思い出して、心を正している。

「すっげー人気だよな!YUJIが出た作品!」
「MAKI、声デケーって」
KAIが唇に指を立てて「しー」っとやる。
俺は授業の帰りに待ち合わせたMAKIとKAIの三人で、三山さんの自宅兼NACの事務所の近くにあるカフェに居た。
MAKIとはあの後直ぐに配信でコラボをしたけど、MAKIの仕事が始まったのもあって、こうして三人でゆっくり話すのはかなり久しぶりだった。
あの駐車場での事は、三山さんとMAKIには「打ち上げ前に反省会がてらドライブに連れて行って貰った」と嘘をついてやり過ごした。
「ごめんごめん!けどさマジでヤバくない?俺も何回も聴いてるし。YUJIの綾斗はヤバイって、ホントすげーよYUJIは」
MAKIは明るい笑顔で、あまり小さくなっていない声で言ってくれる。
「俺が凄いわけじゃないから。それにお前だって完売したんだろ?広告だって本屋に大きいの貼ってあったし」
MAKIの方も無事に収録を終えて俺のとほぼ同時期に販売され、爽やかな青春物語だった事もあり、様々な媒体で宣伝された。主人公役だったMAKIの名もかなり世間に広まっている。
「そうだけど、結果的にはYUJIの方が売れたんじゃん。BLなのにびっくりするくらいだったんだろ?すげーじゃん!」
「小野江マリナに人気声優達の名前もあるからな。ファンが強いんだよ。そっちは全員新人だったんだし、その方がすごいんじゃね?なあKAI」
「どっちも良かった。俺は両方自腹で買った。MAKIの方のCDで、YUJIと栖本さんのガヤもちゃんと気付けたし」
KAIは目を閉じて一人頷く。
MAKIの作品に収録された、MAKI達が演じる学生達とすれ違うサラリーマンとしての、俺と栖本さんによる綾斗と大月の昼メシガヤをKAIは俺が教えてやるよりも早く気付いて電話をして来た。
「あははは!お買い上げありがと!あ、そうそう、俺もう一つ言いたかったんだ!SNSでおっさんみたいな男がYUJI絶賛しててガチですげーって思ったもん。その人BL初めて挑戦したって書いてた」
「おっさんみたいな男ってなんだよ…」
俺は笑う。
「あ、俺も見たかもソレ」
KAIがMAKIを指差す。
「なー!書いてたよな!」
「小野江マリナのファンで、今まではBLの方は避けてたけど挑戦して良かったですって」
「そうそう!しかも本だと嫁にバレて気まずいから薄いCDにしたんだよな!ヤバすぎ!敷かれすぎじゃん!」
「はっはは!そうそう!しかもしかも翌日に本屋に開店前から並んで本も買ったんだよな!」
「めっちゃ突っ込まれてたよなあの人!コメントで!めっちゃウケたし!」
二人は周りの目も忘れてウケにウケている。
(楽しそうに喋る奴らだよな、ホント)
それこそ青春絵巻でも見せられているようだ。

あれから俺は週に3日程青柳さんの部屋に泊まったりしている。
青柳さんの人気はまだまだ鰻登りで、アニメも三つ掛け持ちで、丸一日休める日が全く無いくらいだ。
ネットニュースを開けば、人気アニメ「ふて魔女アリス」の続編の特集記事が上位にあり、ほぼ毎日青柳さんの名前を見る。
そんな忙しさの中でも、青柳さんは俺を側に呼んでくれる。その喜びに満たされながら、俺は今を何とか生きている。

一ヶ月前には俺が居た施設に連絡をして、少しでも何か恩を返せないかと毎月少しばかりの寄付をさせて欲しいと申し出た。
施設側は快く受け入れてくれた。逆に感謝の言葉も貰った。
思い出したくないものとして俺の中にあったあの場所を、今は全くそう思わない。
来月には、施設にいる小学生の娯楽になればと思いつき、絵本の朗読をしに行く予定も立てている。
それは俺にとっての林さんの様な存在に俺もなれればいいと思ったからだ。

そしてあのスタジオは、現在すっぽりとシートに覆われて足場が組まれている。
解体が始まるのだろう。

つまり、あの夏の日々から時間は過ぎて、終わるものは終わったけれど、俺自身は少しずつ前へ歩いているという事だ。

「KAIもふて魔女レギュラーだろ?いいなーアニメのアフレコとか」
他の客が店のドアを開け、冷たい風を浴びせられたMAKIは言いながらぶるっと震える。KAIもゲームのネットCMの仕事を終えて、今は「ふて魔女アリス」の現場に頻繁に通っている。
「だからあ、レギュラーじゃねえっての。毎回モブの手下かガヤの手伝いだって。けどまあ、めっちゃ嬉しいけど」
そう言いながらも、初仕事で聴かせたKAIの渾身の断末魔を大西監督が気に入り、口を合わせるような台詞こそ無いが「いらっしゃっいませー」を毎度言える主人公アリスが度々利用するアイスクリーム屋の店員の役にも抜擢された。ただのガヤで済ませればいい所にKAIをわざわざはめ込んだ大西監督は相変わらずと言った所なのだろう。
下手をすれば青柳さん並の頻度で声を出しに行っているKAIだ。
「いいなー!!けーど、俺はYUJIのおかげでもう、青柳晃介とー、三条司とー、二岡保に栖本哲平、あと橋下風也君には会ったからー。人気声優ばっか!それと大西幸人、ヤバくね?ヤッバ!俺すっごい近くでおんなじ空気吸ったからな!いいだろーへへへ!」
MAKIは俺のせいで突然巻き込まれたあの経験を今でも自慢話としてよく話す。
そして改めて自分の仕事で世話になった大西監督の事も「変わってるけど面白い人」だとMAKIは言う。
「何回言うんだよそれー分かったっての。くっそ羨ましい!」
「あははは!俺と一緒にドラマした声優達の中にもすーぐ有名になる人いるぜ?俺全員と仲良くなったから!写真もいーぱい撮ったし。全員のサインも貰ったし、昨日も水野君とメシ食ったんだー」
「水野なんていうの?」
「水野遼君。同い年」
「キそうだなー!水野遼か…くるなーその名前!」
「だろ!?演技もすげーの」
「あ!もしかして親友のトモキ役の!?」
「そうそう!トモキ!」
「うわーいいじゃん!よかったよ水野遼!マジで泣いたもん。あれ泣かない男はいない」
「あ、俺もちょっとキタ」
俺も青春な友情のシーンに感動した。
「嬉しい!水野君本人はめっちゃ大人しくて優しい!」
「へー、大人しい系なんだ?」
「うん!また遊んでくれるかなー水野君」
MAKIは三山さんのいう「プロ」にはならなかった。次のドラマCDの仕事は決まっているが、高校卒業からやっていたらしいアパレルのバイトをしながらNACから参加することにしたそうだ。声優の事務所から声をかけて貰ったのに断ったのだと言う。
何故本業にしないのかと俺が聞いた時には、危なっかしい三山さんの応援をする為だと笑って言った。
「なあ、YUJIもサインとか貰った?」
「そーだよ!YUJI!写真とかある!?見たい!俺ちょっとしか話せなかったし、サインなんて言ったら怒られそうでさ!あはは!あ!三条司ってマジ王子だった!」
「三条司に会ってみてえ俺!!」
俺は先週末に会った部屋で寛ぐ青柳さんをつい思い出してしまい、二人の視線からホットコーヒーに目を逸らした。
「で、YUJI。あるのか?」
「えーと…ない」
「え!?」
KAIが心底がっかりする。
「ないよ」
するとMAKIまでまるで拝むように俺に手を合わせて来る。
「えー!写真は!?橋下風也君と仲良かったんだろ?雑誌で読んだけど!」
「ない。ごめん」
二人は「ふあー」と言って意気消沈した。
「やっぱ人気者はサインくれねーのか」
KAIは今日、寧ろそれが目当てで来たのかも知れない。
「だよなー水野君達みたいにはいかねーよな」
「いや、そういうんじゃなくて。良い人達だったよ、ホントに。俺の気が回らなかっただけ。言ったらくれたかも」
「そっかー。ま、俺も今の現場で間違ってもそんなこと言えねーし。いくら主人公やったって言ったって俺がYUJIだったとしても絶対サインくれなんて言えねーわ」
KAIは笑ってメニューを見る。
しかしMAKIは、
「でもそれ、あるじゃん?サインなんかよりすごくね?」
俺のネックレスを指差す。
「あ」
KAIもまた俺を見る。
「それってさ、青柳晃介に貰ったんだろ?」
「ああ…うん」
俺はまだ、青柳さんから貰った「記念」を毎日身につけていた。
MAKIは「K」を見ながらにこにこして言う。
「YUJIを検索したら絶対出てくるよなそのネックレス。SNSでも有名だし。ハワイアンジュエリーのイニシャル系、今めっちゃ人気出てるんだってさ!俺のバイト先も仕入れたよ。そこまで高い奴じゃないけど」
「そうなんだ?」
俺が「へー」と言うと今度はKAIだ。
「mimikoneでもYUJIのネックレス事件は凄かったろ?彼女じゃなくて安心したら次は有名人からのプレゼントだったから騒いじゃって。…これ、ほら誰か上げてんの」
KAIがスマホで画像を見せて来た。
そこにはあの日雑誌の為に撮影された青柳さんと俺の画像のネックレスのアップと、多分何所かで無断で撮ったのだろう俺の写真の首元のネックレスのアップが並べてあった。
(当然、同じだよな。ヒマかよ…)
先月くらいまではmimikoneで散々リスナーから質問のコメントを食らって、「共演者の青柳さんが、作品に因んで記念でくれたものだよ」という返答を気がおかしくなる程繰り返したものだが、今はネックレスの件は浸透し少し落ち着いて来ている為、mimikoneを離れた一般的な所でまでこんなに知られているとは思ってもいなかった。
「あ、それ。最初YUJIが配信で着けてた日さ、俺リスナーから報告来てー。ガチで女から貰ったんだと思ってさ、めっちゃ焦って。YUJI何やってんだよ!素人配信者かよ!って思って。あれあげたの俺だ!っつってさ。はははは!ごめんなYUJI」
「マジで!?あ!それでなんか二人の恋人疑惑あったんだ!?俺リスナーに質問攻めにあったけど全然意味分かんなくてー!ガチだったらヤベー!って!俺も二人好きなのにって!さみしいって!あはははは!!」
「あー、あったあった。後からKAIの奇行の理由が分かったんだ。ごめんごめん。ありがとなKAI。あの時俺浮かれて馬鹿になってたから。KAIを馬鹿だと思ってた」
「おいおい。まあ俺もYUJI気付いてねーなって思ってたけどな。案外ミーハーなの?」
「え?俺?…うん。かも。嬉しかったから…」
二人に爆笑され、俺はまた髪を掻き上げて誤魔化した。
「けどそれめっちゃカッコイイよなー!俺もハワイアン買おうかな」
「そんな高そうなモンだから注目されたんだろな。記念でそんなの買うってどんだけ儲けてんだよ青柳晃介」
「だよなKAI!俺も思った!やっぱ人気声優は違うよなー!生で見た時ヤベーってなったもん!マジカッケーなあの人!」
青柳さんの名前を聞くとつい内心で喜んでしまう俺だった。
「ふて場でさ、俺も青柳晃介と一緒になるときがあるんだけど、空気違うぜ?」
「やっぱ!?」
目を輝かせるMAKIは、青柳さんを「俺が知ってる男の中で、イッチバンいい男だった!ヤバかった!」と多分見た目の事も含めて言っていた。
「うん、場がシャキッとするんだよな」
「けど、もっと上の声優もいるだろ?」
俺は俺の時よりもずっと人数が多いはずの現場に行っているKAIを見る。
「いるけど、なんつーのかな、ベテラン過ぎるともう俺からすれば亜空間じゃん?あの人達の視界に入っちゃいけねえみたいな」
(亜空間って…)
KAIの表現に笑う。
「でも青柳晃介だとなんつーか意識するっつーか、名前覚えて欲しいっつーか?事実ふて場の空気仕切ってんの青柳さんだしな多分。役の関係もあるんだろうけど」
「そういうのカッコイイ!!YUJIの時の現場もそうだったよな?」
「あ、うん」
「ちょっとピリってても俺には優しかったし、そういうのがここってガチだー!って思った」
「うん…」
(MAKIが来た時は確かにピリってたよな…あの人)
「あの人から記念だなんてウチのYUJIって最強だぞMAKI」
「ま、俺のYUJIだからな。当然だっつーの!あはは!YUJIはヤバイからな!!」

『これが少しでもお前を守ればいい』

このネックレスに関して、青柳さんが綾斗ではなく俺にそう言ってくれていた事も今はちゃんと分かる。
あのまま、すれ違ったまま終わってしまわなくて本当に良かったと、切に思う。

そうやって三人であれこれ話していると、俺のスマホが鳴った。
「はい、三山さん?」
『YUJI。お前らー。いつになったら来んの?コラ』
「あ、すぐ行く。下のカフェでちょっと話してた。KAIもMAKIもいるから」
俺が二人を見ると、MAKIは「ヤベー時間見てなかった」と笑い、KAIは三人分のゴミをトレイに乗せて片付け始める。
『下?あ、マジ?じゃあ俺にコーヒー頼むわ』
「うん」
俺達は急いで三山さんのコーヒーを買ってカフェを出た。

「そういえば、この前NACの書類片付けてたらさ妙なことあったんだよな」
エレベーターの中でKAIが言う。
「なに?」
MAKIは子供みたいに全力で俺に凭れながらKAIに訊く。
「今ってさ、俺らしかいねーよな?ウチ」
「たぶんな」
俺はMAKIのしたいようにさせたまま答える。
「だよな」
「KAIどした?」
MAKIが急かしてKAIはやっぱりおかしいと首を傾げる。
「もう一人いるっぽいんだよな。お前ら知らないかも知れないけど、三山さんのPCにさYUJIはYUJI、MAKIはMAKIでファイルがあるんだよ、個人情報っていうか、仕事用のさ」
KAIは一番最初にNACに入ったのもあってちょっとした事務仕事も手伝っている。
「それで?」
俺も促す。
「ファイル、四つあるんだ。俺らのと違うパスついてんの。MOって名前のところに書いてあったけど。知ってるか?」
「モ?エムオー?エムオ?」
MAKIは自分の記憶には無いと言う。
「イニシャルか何かかもな。まあ別にいいんだけどな。気になっただけ」
KAIがそう言うのを聞いて、
(M、O…?あ、まさか。そういうこと?)
俺は四人目の名前と、それが誰なのか今になってピンと来た。


俺達は来月、今俺とKAIがキャラクターの声を収録中の「美男子学園」というアプリと連動するmimikone主催のイベントに参加することになっている。
MAKIもmimikoneハイランカーとして一緒に舞台に立ちながら、mimikoneとNACを代表してアプリ会社とコラボし、演出やら進行の役もすることになっていてそういうイベントが大好きなMAKIは全力で張りきっている。

「MAKI、どこまで決まってんの?」
三山さんはソファーに座りながら美味そうに俺が買って来たコーヒーを飲む。
「mimikoneからはダンスチーム二つが一曲ずつ新曲の発表とダンス対決。俺、YUJI、KAI、ひよ子、SITTAMA、KYOUPEIがotohonの由寿Kaさんの新作を声劇。で、美男子学園の告知とデモンストレーション」
MAKIは最新のタブレットを出して来ると、イベントで使う参加者の映像を俺達に見せる。
「あ、アプリの五十嵐さん、ノベルティ300個出してくれるって」
MAKIはメールを開いて「美男子学園」のキャラクターキーホルダーの写真を出した。
「へー、可愛いじゃん」
KAIが言うと三山さんも頷く。
「otohonも表立ってコラボするの?」
俺は三山さんに尋ねる。
「する。何人かの作品が出版今月末に決まってるから、ついでに販売ブース作る。YUJI、お前先に読んでさー、気に入ったのだけでいいからイベ前に配信でちょっとしたコメントしてやって」
「え?うん。俺でいいなら全然する」
「おう、頼むな。それとMAKI、さっき何か荷物届いたぞ?」
三山さんが言うとMAKIは嬉しそうにダンボールを受け取った。
「やっと来た!ボンクラTシャツ!」
「あぃ?なんだって?」
MAKIが俺達に配ったのは白いTシャツで、前面には「ボンクラ成功者」「宇宙ニート」「社長」「国宝」と書道家が書いたような達筆が踊り、背面には肩の辺りに「team Net ACt」と書いてあった。
「おーい、なんだコレ」
三山さんが自分の口座から引き落とし済みの領収書を振る。
「国宝はYUJIな!KAIはボンクラ!俺はコレ!三山さんはコレ!」
「いいじゃん!!俺着てみる」
KAIはロンT姿になって「ボンクラ成功者」のTシャツを着る。似合い過ぎていた。
「ちょ!なんでお前が社長を着るんだよ!俺用だろ!?」
三山さんはMAKIが持っているTシャツを奪おうとするが、MAKIが譲らず二人で爆笑している。
「三山さん宇宙だってば!あー!はははは!伸びるってばヤバイヤバイ!もう一回作ってくれんのかよ!金ちょうだい!」
「俺が社長!」
「わかったってばー!!マジ子供!!」
俺は「社長」Tシャツを着て落ち着いた三山さんを見て、
(なんで「常識人」をつくらねんだよMAKI。一番面白いのに)
と思った。
「YUJIは収録進んでるか?」
三山さんはKAIとMAKIにTシャツが入っていたビニール袋を渡されながら言う。
「はい、明日行く。俺はたぶん最終になりそう。授業の後の時間だとスタの予約が入れにくくて」
今の仕事は一般的なマンションの一室のような小さなスタジオで、一人黙々と台詞を言うものだ。共演者はいない。時間の縛りもなく、今月半ばに間に合えば良いというようなゆるいスケジュールだ。スタジオで俺の前に予約を入れていた同じアプリの演者と出くわす事はあっても、これといった会話をする事もなく挨拶程度で、個人が自由に連絡して空きがあれば一日最大3時間ずつ予約する演者と、それに付き合う音響のスタッフが二人程でシフトを作り常駐している。
「そっか、向こうも出来たばかりの会社だからな。不便だろうけど宜しくな。ここも使ってくれて良いって言ったんだけど、五十嵐さんがそんなに混まないだろうからってんでさ」
三山さんは自分が作ったブースを指差す。
「あ、俺は別に不満ってほどじゃないし。期限には余裕で間に合うから」
「おう」
俺は明日が3回目だが、狭くて人の少ない現場は意外にも集中でき、分厚い台本も半分くらいは済んでいる。
KAIはもう全て録り終えたと言っていたし、俺が予約を入れられなかったうちに進めていた人達が大方終わり始めているのもあって、次からは好きなだけ時間を使えるかも知れないとスタジオのスタッフから教えてもらっている。
「あ、そうだ。来年春くらいかな、mimikoneとotohonでも朗読イベント企画してるからな。お前らは必ず出ろよ?NAC関係無いからギャラ無しだぞ?」
「え!マジ?楽しそ!」
MAKIが喜んだ。
「だから春を題材にした小説書けってやってるのか、otohon」
俺は先日otohonサイトで見たイベントのバナーを思い出した。
「ああ。そのイベントに何人かの作家の名刺代わりに小冊子で配れるくらいのをな。こっちはmimikoneのイベントと違って静かに楽しめるオフ会のイメージで考えてる。あわよくば、名のある声優とか誰か一人呼べればいいけど」
三山さんが最近特に忙しくしていた理由はそこにあったようだ。
「ニューフェイスでいいなら水野遼君に聞いてあげよっか?」
MAKIが言う。
「お!?やれるか?MAKI」
三山さんが直ぐにスマホで検索する。
「聞くだけ聞いてみる。ダメかもだけど」
「あ、もう名前出てんじゃん。顔出してるし、いいねー!お前と共演したコか!ギャラはちょっと頑張りますので是非お願いしますとお伝え下さい」
「俺にも紹介料な、シャッチョサーン」
「ガメツすぎだっての」
KAIが笑う。
「ホントだぞ?100円だ、おめーは」
「100円じゃなんも買えないんだけど!バカじゃん!?あははは!」

mimikoneの道栄社長もきっとサービスを盛り上げる為の計画を意欲的に立てているだろう。
mimikoneでは近々、元アナウンサーや声優、舞台役者、それと現役の歌手などを講師に招いて、本格的では無いにしろ俺達ユーザーが気軽にプロの空気に触れられる「スクール」という単発の催しをする予定なのだと道栄社長から聞いた。
その初回には俺に生徒として出席して欲しいと言われ、他のユーザーの目安になれるのなら是非にと答えた。
道栄社長が何か新しい事を起す時に、俺が俺の立場だからこそ協力出来るのであればそうしていきたい。
それがmimikoneに対しても恩返しになると思うからだ。

俺は今、人との繋がりの大切さやその力、その有り難さを実感して過ごせるようになった。
そうなれたのは、やはりあの作品に参加出来たからだ。
そして何よりーー。

『今から一度帰る。来られるなら来いよ』

青柳さんからメッセージが来た。
俺は直ぐに返信した。
「あのさ…」
俺が切り出そうとすると、今はもう雑談を始めていた三人が同時に俺を見る。
「俺…帰りたいんだけど」
早く青柳さんの部屋に行きたいと言う意識が強すぎて、ついそのままの言葉になって出てしまった。
「嘘だろ?俺でもそんなハッキリ帰りたいって言い出す奴見たことないぜ!?しかもいきなりな」
三山さんが驚いて笑うと、MAKIもKAIも「YUJIらしい」と爆笑。
「急だし、なーんか怪しいなあお前。彼女でも出来たのか?」
三山さんはニヤリとする。
「あ、違う…。ちょっとした用事があるから今日はそろそろ。明後日また来る」
俺は浮ついてしまっているのを隠しながら立ち上がる。
「じゃあ明後日コラボしよーぜYUJI!」
MAKIも立ち上がって言う。
「ああ、しようぜ」
「俺もー」
KAIもMAKIと一緒に部屋のドアを開ける俺の後を付いてくる。
「うん、よろしく。じゃあすみません、お疲れ様でした三山さん」
「おー!また明後日なYUJI。明日の仕事頑張れよ。学校もな」
「うん」
「お疲れ様!彼女によろしくー!」
違うんだと言いかけたが、三山さんの顔面が冷やかしで溢れていた為、俺は小さく舌だけ出して退散した。
「じゃあなYUJI!」
「明後日待ってる」
「うん、お先」
何故かご丁寧に二人に見送られたが、エレベーターの前まで行ってからふともう一度二人を見ると、二人はじっと食い入るように俺を見ていた。
そして慌てて笑顔で手を振ると引っ込んでドアを閉めた。

青柳さんのマンションの最寄駅で電車を降りると、俺はまた段々と浮ついてスーパーに入った。
(オレンジ好きって言ってたし。ん?ネーブル?でいいよな?)
気分と喉の休憩になりそうな差し入れを買って行こうと思い、果物の陳列棚の前で色々と見ていると、三山さんからメッセージ。

『彼女の友達紹介してね♡』

「…明らかおちょくってんじゃん」
そして俺は返信した。

『何で黙ってたんですか?緒山実さん』

(ふ…バーカ)
レジを終えてスーパーを出る頃にはかなり長文の返事が来ていたが、その文末の、

『最近は全く活動してないから!恥ずかしいからみんなには内緒な!一生のお願いYUJI様!』

だけを読んで、俺はまた笑って既読スルーした。




青柳さんの部屋に着くと合鍵で中に入る。
(まだ帰ってないか…)
ドアを閉めてしまえば部屋は本当に静かで、気分が落ち着く。
手を洗ってうがいをしてからキッチンに向かう。
(オレンジ切っておこう)
青柳さんの広い部屋は生活感が全く無いわけじゃないが、白と黒で統一されていて家具もシンプルだが洒落た物しか無く、モデルルームみたいだった。
アイランドキッチンでオレンジを切っていると、その爽やかな良い匂いに誘われてつい一つ口に入れる。
(美味しい…)
ガラスの皿に適当に積んでステンレスのフルーツピックを二本刺してラップをかけ、冷蔵庫に入れる。

部屋が少し寒い気もするが、暖房は極力使わないという青柳さんだ。加湿機と空気清浄機だけオンにしておいた。

青柳さんの部屋には広い防音室がある。ピアノなどを置いても十分に寛げる広さだ。
そこは声出し以外にも書斎の様に使っているらしく、沢山の本が綺麗に並んだ本棚がある。その種類はバラバラで、仕事でするキャラクターを研究する為に資料として買って増えた物だそうだ。
だから動物図鑑からガーデニング本、医学本、楽譜、料理本にカクテルのレシピ本まで何でもある。
そしてさらにその棚を両側へスライドすれば、今まで演じた物語の原作がずらりと並んでいる。
青柳さんは俺に、暇な時にいつでも此処に来て、好きな本を読んで良いと言ってくれた。
(こんな幸せな日が来るなんて…)
その背表紙達をそっと撫でてから、俺はそこで見つけた『午後の紳士の立ち話』を何の気無く手に取って「書斎」を出てリビングのソファーに座った。
新しい本を読む気になれないのは、青柳さんに気が行ってしまっているからだろう。
(早く会いたいな…)
そう思いながらペラペラとページを進めたり戻ったりしていると、何となく気配がして玄関の方へゆっくり近付いた。
玄関のドアが閉まった音がして覗くと、青柳さんが靴を脱いでいるところだった。
「あ…」
青柳さんが顔をあげる。
「もう来てたのか。何の音もしないから居ないのかと思ったぞ」
「少し前に…来たとこ」
「そうか」
俺の前を通りながら「どうした?」という笑顔で見ていくのを壁に背を付けながら「ううん」と返す。
上着をコート掛けに引っ掛けて手洗いうがいを済ませた青柳さんは、また俺を見て可笑しそうに言う。
「何だ」
「え、ああ。おかえり、なさい」
すると青柳さんは、
「ただいま」
と笑った。


「晃介…さん。オレンジ食う?」
ソファに座った青柳さんに冷蔵庫前から声を掛ける。
「ん?」
そこそこ遠い為、聞き取って貰えなかった。
「オレンジ。買ったから。食べる?」
「ああ。気が利くな」
そう言って立ち上がって歩いて来る。
「座ってていい」
皿を出してラップを外していると青柳さんは直ぐに一つ食べた。
「余所余所しいんだか何なんだか」
一瞬で間を詰められてキスをされた。
「え…と」
「美味いな。ありがとう」
「…うん」
「桃見てオレンジ食うのは面白いな」
「桃?桃が好き?」
(次は桃にするか)
「来いよ、悠二」
青柳さんはまた少し笑ってソファーに向かう。
(あ、もしかして俺のこと…?)
俺が赤くなっているのを笑っているのだろう。
(しかたなくね…?)
「おい」
「俺コーヒー飲むから」
俺は頬を摩ってエスプレッソマシーンのボタンを押す。
(何とかならないかな、赤くなるの…)
何でもバレて恥ずかしいばかりだ。
戸棚から出したのは俺が持って来たマグカップ。
赤の様な茶色の様な小さなもの。
これは林さんがくれたマグカップだ。選んでくれたのはきっと奥さんだろう。
気に入って持って来たのだ。
ミルクがガラガラと音を立てているうちに、いつの間にか青柳さんが後ろに居た。
「び…」
後ろから抱かれて髪を混ぜられる。
「せっかく来たのにオレンジだけか?」
「あ、ごめ…。飲むの?また仕事行くし水が良いのかと思って」
またどうせ赤くなっているだろうから俯いてマグカップにミルクの泡をかける。
「先に飲んで。俺のも作るし」
出来立てのカプチーノを渡しても、青柳さんは直ぐに置いてしまった。
「こっち向け」
「ちょっと待って。落ち着こうぜ…」
青柳さんがクスクス笑う。
「あ、俺の事だよ今の。晃介さんは別に…」
くるっと身体の向きを変えられてキスをされる。手首を取られて青柳さんの背中に回す様に引かれ、俺はその通りに青柳さんに抱きついた。
オレンジの味がして幸せを感じる。
「ちょっとは、寝た方がいいんじゃね…?」
「だったら素直に来いよ」
「あ…うん」
熱くなりそうで顔を青柳さんの肩に付けたが、きゅっと抱き締められて結局またキスをする。
(気持ちいい…)
「もっと時間があればな…」
青柳さんがそう言って、俺も笑う。
「これ持ってソファー行ってろ」
「うん」
青柳さんは俺にマグカップを渡して冷蔵庫から水を取る。
俺はソファーに座るとバッグからスマホを出してアラームのアプリを開く。
「何時?」
「18時」
(二時間ないのか…無理して戻って来たんじゃないよな?)
「マグカップ、買うか。お前の」
「え?」
隣に座った青柳さんはマグカップを見ている。
「あ、もしかして…だけど。林さんの事何か意識してたりするの?」
「あ?」
「あ、ううん。別に」
青柳さんがソファーに寝転ぶと、俺はアラームをセットして、ソファーとテーブルの間にずれ落ちる。
「じゃあ、起こすから」
「何してる。そんな所に座るな」
「え?でも俺ここ居たら邪魔じゃね?休憩に帰って来たのに」
「いいから来い」
「ああ…」
俺も同じ様に横になると持っていたスマホごと腕に入れられてしまう。
(あったか…)
このまま静かにしていては俺まで寝てしまいそうで、青柳さんの寝顔を見ようとすると目が合った。
「なに…?」
涼しい目は、何か考え事をしていたように一度閉じてからまた開いた。
「やっぱり狭い?」
「いや。ちょっと気になってたんだが…」
髪を撫でられる。
「お前、本当に21歳か?」
「え…」
動揺してしまった俺に、青柳さんは答えに気付いた様だった。
「生まれた年は知ってるのか?」
青柳さんはこの三カ月、一度も俺にそういった出生に関する質問はしなかった。
俺は黙って青柳さんの目を見るだけだ。
「言いたくないのか?それとも本当に知らないのか?」
特に責めるわけでもなく静かに訊いて来る。青柳さんの質問は当然と言えば当然で、答えを知る必要があるのは理解している。
「公に21なんだな?」
「…そうだよ?書類は全部そうで、実際に大学入試を受けて受かった学生。それが事実じゃないの?」
青柳さんは俺の真実が怖いのだろうか。
「25歳かも…知れないよ?」

俺はあの施設でも特異なケースだっただろう。何も情報が無く、身体の特徴で判断するしかなかったのだろうと思う。
物心ついてから何度か「まだ6歳じゃないと思う」という大人の会話を聞いていた気がする。
確かに小学校の一年生の終わりくらいまでは多少遅れは感じたけど、俺は直ぐに追いついて追い越した。意識すれば数年の違いなど大した差では無い。
そして何より、俺の事実は21歳の大学生だ。
「やっぱり、気になる…よな」
「ま、今更だがな」
ふっと小さく笑う顔を見る。
(今は俺が安心させてあげなきゃ。俺の事なんだから)
「あんたがもし俺の事を若いと思ってても、今となっちゃ俺を未成年だとする証拠は何処にも無い」
俺は青柳さんの胸の上に頬杖をついた。
「逆に21だという書類は沢山ある。誰がどう疑ったって、それは俺の肌ツヤの良し悪しで、誰かが言ってるだけの「大人っぽく見える」「子供っぽく見える」で、あとは性格の問題だし、俺があんたにだけデレデレ甘えてるだけとか、それだけの事だよ。違う?」
青柳さんは「ほー」っと言って笑う。
「それに、俺のセックスってそんなに幼稚で色気無い?キスも…まだ下手?」
青柳さんの手が近付いて来て、その手に頬をすり寄せる。
「どうだろうな」
少し意地悪な目だ。
「は?」
「誕生日は?」
「2月21日、らしいけど?」
「冬か」
「うん」
「来年からは当日の予定はちゃんと空けておけよ?」
「うん。嬉しい…」
鼻を摘まれて頭を振って逃げる。
「で?晃介さん。さっきの…ホントはどうなの?」
「ん?」
「え?…ううん。別に」
(てか自信、失せるんだけど…)
涼しい目に俺は苦笑いして身体を起こす。
「オレンジ、まだ食べる?」
「ああ」
座り直し、オレンジを青柳さんの口に入れてから俺も一緒に残りを食べる。
「あのさ、無理して帰って来てない?俺の事は月に何回か呼んでくれればいい。あんたは今まで通りじゃなきゃ疲れるって。仕事も増えてるし」
「何だ、拗ねたのか?」
クスクスと笑って宥めるように腕を引かれるが何とかやり過ごす。
「違う違う。晃介さんがゆっくり出来る日に会うようにしよ」
「半年はまともな休み無いぞ?」
「うん。はい、もう寝て。ちゃんと起こすから」
枕用にクッションを渡すが、青柳さんは起きて背中を抱いてくれる。
「来いって。何回言わせる」
「あ!もう。俺あんたが思ってる程子供じゃない。もっと自分の事考えて欲しいだけなんだ」
俺は結局一緒にソファーに倒れる。
「休憩に帰って来てるんだ、お前が居ないと意味が無いだろうが」
見つめられて、キスをする。
「あんたが甘いと俺どんどん強欲になるんだけど。困るのあんただって…」
青柳さんは俺の匂いを嗅いで、時々首や耳を吸った。
(こんなのだって、俺は直ぐ赤くなって熱くなるのに…)
「管理だ」
「管理…?」
「お前が他の奴見ない様にな」
唇に青柳さんの笑った息がかかる。
「俺そんな事しない…!あんたしか見てない!」
「会えなくてもいいって言ったのにか?」
キスが深くなって、舌が熱くて夢中になる。
「揚げ足取らないで」
(俺もあんたみたいに気持ちに余裕を持って付き合えたらいいのに…)
少し触れられただけで幸せで、心が逸る。
それっぽく腰を撫でられるだけで、
(したくなる…)
「もう、終わり。俺子供だし、認める。だからもうやめ…」
「俺だって、妬く事くらいする」
青柳さんは熱い様な涼しい様な目で言って、トントンと俺のスマホを指で叩く。
「何?中?見たかったら見て…俺全然いいよ。全部見て…。好きだ晃介さん」
キスをねだるが、またトントンと聞こえて目を見る。そしてスマホを。
「…あ」
青柳さんはケースの下の林さんの名刺の事を言っているのだろう。
「何で知っ…見てた?」
「ああ。お前にしては随分と大事そうだな」
スマホを叩いていた指で鼻を軽く叩かれる。
「そ…」
「ん?」
「だって…父親だと思っていいって言ってくれたから」
「父親、か…」
青柳さんはスマホを見る。
「そう。馴れ馴れしく電話かけたりするつもり無いけど。でもその気持ちが嬉しくて、だから…」
青柳さんは俺に乗り上げる様にして熱いキスをくれる。
「晃介…さん?」
「お前、ずっとあの人の声聴いてたんだろ?」
「何で知ってるの?」
そう質問して直ぐに、俺がスタジオのベンチで林さんにそう言った時、階段に誰か居たのを思い出した。
「あ、うん…聴いてた」
「俺はあの人を超えられると思うか?」
「え…?」
真剣な青柳さんの目。

そう言えば、少し似ている気がした。
青柳さんと林さんの声が。

「超えられると、思う…」
「ん?」
「俺は、どっちかなんて決められないんだ。林さんは特別で…。でもきっと誰かが林さんを超えられるなら、あんただと思う。でもそれは俺の意見で、もしかしたらもうあんたは…」
優しいキスが降って来る。

(ああ…そうか…。青なんだ、二人とも…)

「あんたでも、誰かの事をそんな風に意識するんだな」
「あの人だけだ。俺が邪魔だと思うのは」

そんな言葉だったが、青柳さんは林さんに憧れていたんだろう。
俺はそんな一面にまた、惹かれる。

「カッコ良い…そういうの」
「何?」
「ううん。何も」

どちらの青にも感謝している。
俺を救ってくれた。

「ほら。もう寝て、晃介さん」
俺は青柳さんの腕に入って微笑んで顔を見る。
「今日は遅いが、帰って来る」
「え?」
「帰らず待ってろよ、ここで。寝ててもいい」
「ホントに…いいの?」
「ああ。必ず居ろよ?俺の為に」
「うん…」
「俺だってお前に会いたい。それを勝手に忘れるな。いいな?」
「うん」
青柳さんは眠そうに微笑んで抱き寄せてくれる。
「愛してる、悠二」
「うん。俺も、愛してる」

(ありがとう晃介さん)

心が晴れて、温かい。

俺はこれからずっと、この人の横で、自分らしく生きていく。








ネイビー トーン/完












《本格派声優陣と新時代ボイスアクターがタッグを組んだ新境地ドラマCD。
小野江マリナ原作 【Resetーすべては貴方に逢うための永い道ー】
出演キャスト ロングインタビュー!!》


神城拓馬役の青柳晃介(36)さんと、岸 綾斗役のYUJI(21)さん。
雰囲気を合わせたような黒の素敵なスーツ姿でのご登場でした。
ミサキ:宜しくお願いします!
青柳さん(以下青柳)
宜しくお願いします。
YUJIさん(以下YUJI)
宜しくお願いします。

ミサキ:この記事は発売日の週あけに出ますが、私だけズルしてお先に出来立てホヤホヤを聴かせていただいたんです!
青柳:いや、まだ出来てもいないんじゃ?(笑)
ミサキ:ですよね!(笑)けど殆ど完成と聞かせていただきましたよ?
青柳:もう?流石だな。
YUJI:早い。
青柳:ね。
ミサキ:はい、もう!素敵でした!
青柳:ああ、ありがとうございます(笑)
YUJI:ありがとうございます。
ミサキ:収録を終えられて、いまどんなご感想をお持ちですか?
青柳:素敵でした。
ミサキ:(笑)
青柳:いや、本当に(笑)収録終わってまだ一日経ってもいないですが、ついさっきまで録っていたような心境ですよ今でも。こういったジャンルは今までにいくつもやらせてもらっていますが、今回が一番印象深い作品のような気がしてます。
ミサキ:それはどうしてですか?やっぱり本格派の青柳さんと新時代のYUJIさんとのタッグということで何か思うところがありましたか?
青柳:その本格派ってのが僕はちょっとよく分かりませんが、やっぱりあまり自分に来るタイプの仕事じゃなかったというか、新しいチャレンジって意味ではそうだと思いますね。ある程度基準がある事をあるように求められる、みたいなのが僕には多かったので、態度が大きいからそんな立場に居るんでしょうけども(笑)YUJI君みたいな人と組ませて頂いたのは初めての事だったので新鮮でした。作品自体は別にぶっ飛んだものでもないんですけどね。
ミサキ:そうですよね、素敵だけれど王道なBLというか。原作者のマリナ先生もそこを徹底していらっしゃったとか。
青柳:そうですね。なにが違ったかっていうと現場の中の事ですね。大西劇場というかなんというか(笑)
ミサキ:(笑)
青柳:異変が起きてるのは現場であって作品じゃないという、異なっているのは自分達の環境の方で、それを作品の方に入れ込むという感覚で?んー、変わった作品をやるんじゃなくて変わった僕達をストレートな作品にまとめる、というか。いつもと逆というか。いつもと違う、って思う事が色々と多くて楽しかったですよ。けどまあ彼(YUJIさん)が相手役だったという事が僕にとっては素直に新鮮で刺激的だったんでしょう。他の演者だったらこうならなかったですから。
ミサキ:YUJIさんはどんなご感想を持っていますか?
YUJI:僕は青柳さんみたいに全体的な違いっていうのは、勿論分からないですが、印象的ってのは同じですね。僕の人生で一番大きな挑戦で、一番愛しい経験でした。きっとこの先も忘れられないものだと思います。
青柳:正直に言うと?
YUJI:え?…疲れました(笑)
一同(笑)
ミサキ:可愛い(笑)
青柳:そうだろうと思いますよ。大変だったはず。
YUJI:ええまあそうですね。
ミサキ:今回YUJIさんにとって初めて声優さんとしてお仕事されたということですけど、具体的にどんな感じでしたか?
YUJI:本格派声優陣と新時代ボイスアクターがタッグを組んだ新境地って帯にありますけど全然違って、タッグを組むって言葉ほど僕自身は僕に求められているような仕事は出来なかったと思います。現場にいざ入ってみると全然、なんて言うか、僕は青柳さん達にとって今までにない異物でなきゃならないのに呑まれてしまうくらいやっぱりプロってすごいんだなっていうか…
青柳:異物だったよ、充分に。
YUJI:んーん?(笑)
ミサキ:どういうことです?(笑)
青柳:ちょっと言えないような問題児?みたいなとこがあったから、ってそうじゃなくて(笑)
YUJI:やめて下さい(笑)
ミサキ:そうなんですか?意外にも?(笑)
青柳:そうそう。僕達が考え付かないようなトリッキーな役作りをしたりしてて僕もそれに流されるように、これは今まで通りの仕事の仕方では彼についていけないなと思ってました。大西監督も彼がそう出来るように色々とあの人も楽しみながら大外から見守っていたから、普段なら口を出したがる人なのに(笑)…出してたか。
YUJI:(笑)
青柳:だからYUJI君が現場に居た事っていうのは凄く今までとは違った点として充分に異色で異物でしたよ。こちらが彼に触発されるまでは彼は辛かったんじゃないかなと思います。
YUJI:ありがとうございます(笑)大人ですね。
青柳:大人ですよ僕はね(笑)上手くまとめてあげるから。
YUJI:ズルイな…(笑)
YUJIさんが照れてちょっと赤くなっていました。
YUJI:僕は色々とスタッフの方々にも共演者の方々にもご迷惑をかけっぱなしだったのですが、結局はプロ達に守られている中で一人で意気込んでたんだなって後から分かりました。恥ずかしいし、苦い経験でもありましたけど、そういうのに気づけてそれも良い経験というか。次仕事があるのかどうか分からないけど次はもっとスムーズに出来る気がします。今はまだ至らない点が多すぎて、なんとも、言えないですが。
ミサキ:と仰ってますが、青柳さん。
青柳:まあ彼は彼側から見てそう見えたんでしょうけど、僕達側からはまた違ってますよ。
ミサキ:それはどんな風に?
青柳:最初は彼が素人だからって話しで僕達が彼を囲んでなんとかして作品にしないといけないって空気だったと思いますが、途中から段々となんか僕こそチャレンジしなくちゃいけないのかなと思ったり。そしてそれは僕だけじゃなかったと思います。みんながYUJI君を見てて絡んでってしてるうちに、仕事じゃなくて普段の自分の感情に当たるというか、神城なのか青柳なのかわからないという不思議な感じを覚えたんですよ。作品に対してだけじゃなくて、色んな事に対して良い意味でみんなが感情的になってたなって。彼からは僕達がプロらしく見えていても僕達はいつも通りには動けていなかったんです。
YUJI:そうなのかな…
青柳:そうだから、僕達が君に引きずられて丁度真ん中で一つになれたから君は僕達をプロだと思えたんじゃないかな。
YUJI:ああ…。
青柳:いつも通りにしていたらきっと君はこの場でも僕達を他人だと思ってたよ。作品にもきっと今ほど思い入れたりしてくれてないんじゃないのかな。大西さんも良い意味で変わった方だから、寧ろ僕達側に何か喰らわそうという意図も最初からあったのだろうし、まんまとそれにやられた僕達もそうだし、大西さんご自身も何か感じられた機会だったのでしょう。
YUJI:でも、青柳さんそんな事一度も言わなかった。
青柳:君がプロですねって言ってくるからカッコつけてるしかないよな(笑)みんな動揺しまくりですなんて言えないよね、ミサキさん。
ミサキ:やん。はい(笑)
YUJI:…俺の、せい?(笑)
青柳:いやこっちの勝手だから君が悪いんじゃない。栖本君なんかあれでいて一番優しいから、きっと一番頑張ったと思うよ(笑)
YUJI:やっぱズルイ(笑)
ミサキ:なんか素敵ー!今お二人を見てて凄く作品通りというか、まるで主人公の二人が目の前にいるような錯覚をしてしまいます。
青柳:綾斗はもっと素直で可愛い性格だと思いますけどね。
YUJI:ちょ…(笑)
青柳:YUJI君は複雑だから魅力的ですけどね。こんな人、会ったことなかったから僕は。
ミサキ:あのすみません…ちょっと気になってたんですけど、YUJIさんのネックレスって…
YUJI:あ!そうです(笑)神城が綾斗に渡す…。これは青柳さんから頂きました。凄く気に入ってて。一生の宝物です。
ミサキ:素敵すぎーーー!!(歓喜)
青柳:見栄を張って(笑)初めての仕事だから記念にして貰いたくて。
ミサキ:ダイヤモンド!綺麗です!
YUJI:青柳さんのファンの方には怒られそうですが。すみません。
青柳:僕のファンは気品があって大らかだから。僕がすることに怒ったりしないんだよ。
YUJI:あ…お上手(笑)
青柳:(笑)
ミサキ:羨ましい!けど怒りません、妬みません!
青柳:ほらね?慎ましやかだろう?
YUJI:流石ですね。そうとしか言えない(笑)
ミサキ:私達はつつまし…ん?
青柳:慎ましやか
ミサキ:慎ましやかですから(喜)やーん!
YUJI:調教…(笑)
ミサキ:綾斗かYUJIさんだったら綾斗がお好きですか?(笑)
青柳:あー、どうでしょうか(笑)
YUJI:質問がちょっと(笑)僕的に綾斗好きなんでこれ以上綾斗に妬きたくない。慎ましやかじゃないんで僕は。
ミサキ:いやーん!(歓喜)
青柳:それはサービスかなにか?
YUJI:どうせガチで青柳さんファンなんだろうなって思って(笑)
ミサキ:大好きですすみません(笑)ガチです!ありがとうございます!
YUJI:青柳さんは凄く素敵な方ですよ。
青柳:とんでもない。
YUJI:僕は今回の作品に関すること以外でも青柳さんには本当に色々と教えてもらえたんです。僕の人生のことなんかでも親身になっていただいて…。だからご一緒出来て嬉しかったです。青柳さんで良かったと大西監督にも凄く凄く感謝しています。大西監督や他の共演者の方々からも同じく、色んな物事を教えていただきました。役者としてだけじゃなくて人として僕なりに成長出来た日々でした。
ミサキ:素敵!!お若いし、今回のお仕事で人生の先輩方の胸を借りて気付かれたことがあったんでしょうね。もう!さすが青柳さん!
青柳:(笑)
YUJI:はい(笑)今後私生活も含めて僕の中のこの人(青柳さん)超えてくれる人に会えるのか逆に楽しみですよ。
青柳:なるほど。君はこの仕事やめて僕の家に居て下さい(笑)
YUJI:家!?
ミサキ:きゃー!きゅんきゅんきました!(笑)
一同(笑)
まさかのプロポーズでした。美味しくいただきます(笑)

ミサキ:他に印象的な共演者さんっていらっしゃいますか?
YUJI:僕ですか?そうですね、皆さん印象的だし尊敬してますが、綾斗の父親役の林典隆さんは特に個人的に縁があった方なので、お会い出来て本当に嬉しかったです。反抗期みたいな関係性から始まるんですが、綾斗と父は。
ミサキ:はい。
YUJI:それが段々と元の父と子、よりももっと深くなっていくのが良いなって。神城との恋愛もそうだけど親子の方でも成長してるのが僕としてはやってて嬉しいというか。林さんの声が凄く懐が深くて綾斗を演じやすかったです。
ミサキ:林さん本当に渋かったですもんね。ジーンと来ました。
青柳:うん。
YUJI:あと、原作者の小野江マリナ先生ですね。初めてお会いしてお綺麗で、雰囲気もファンを裏切らないというか。
青柳:来てくれたんですよ。
ミサキ:凄ーい!
YUJI:この作品はたぶん小野江先生にとってもいつもと違う印象だし、お会い出来て良かったです。僕はこの作品に僕なりに向き合う上で、綾斗とリンクしてしまったり、また逆に遠く離れてしまったりと、素直にはいかなかった事もあったんですが、この作品だった事が、そういう状況にさせてくれたんだとも思っていて貴重なお仕事でした。だから凄く小野江先生にも感謝しています。
青柳:うん。タイトルの【Reset】というのは神城が綾斗に出会って初めて人生を見つめ直す、ということなんでしょうね。
YUJI:綾斗もそうだと思います。父や周りの人に甘えていたこれまでを見つめ直して、神城と二人で生きる為に自立していく意志を固めたんだと思います。
青柳:ああ、そうか。
ミサキ:きっとそうですね。運命的で素敵ですね。
YUJI:あと印象的だったのは、あなたの弟さんですかね?
青柳:(笑)
ミサキ:橋下さん?
青柳:弟で通じるんだ(笑)
ミサキ:当然ですよ!
YUJI:何にでも積極的で演技も上手い人なので勝手にライバルとして見てた気がします。
ミサキ:年齢も近い?
YUJI:そうですね、橋下さんが3つかそのくらい上かな?当然だけど僕なんか全く及ばないんですけど、負けたくないって思ってました。
青柳:丁度役柄がライバル的なポジションでしたからね。
ミサキ:そういえばそうですね!じゃあ青柳さんはお二人を弟に持って大人気声優三兄弟ということになりますね。
YUJI:僕も?(笑)
青柳:弟ばかりいらない(笑)
ミサキ:あ、でもさっきプロポーズ…(笑)
青柳:あ!そうそう、そーだった!
ミサキ:だからこれからYUJIさんは青柳さんの…
青柳:あ、嫁?
ミサキ:きゃ!!(仕事忘れて歓喜)
YUJI:言わせたのに(笑)
青柳:弟と仲良くしてあげてね。
YUJI:…まあ、はい(笑)
青柳:橋下君を弟と認めてしまったなこれ(笑)彼の方が立派なのに。
ミサキ:ありがとうございます(笑)
青柳:君はさっさと声優やめなさい。そうしないと次BLの仕事なんてしたら青柳の嫁がなんちゃらってなるから(笑)
YUJI:ヤダそれ(笑)不倫?じゃああんたも辞めてよ(笑)
ミサキ:いやーん!!あんた呼び!青柳さんにあんた呼び!最高!
青柳:嫁の為にBL引退します。
ミサキ:打つネタが多すぎます!(歓喜)
スタッフ:青柳晃介になかったノリ…(笑)
ミサキ:神回です!!私今日死んでもいい!!
一同(爆笑)

青柳:素晴らしい原作と素晴らしい現場で作った、演じてる僕も凄く毎日がリアルだった作品です。きっと僕らの想いがこもっているので是非聴いて下さい。ありがとうございました。青柳晃介でした。

YUJI:え…と。僕の最初で最後のBL作品です(笑)
青柳:そうだよ、今後NGだから。

YUJI:(笑)本当に試行錯誤して綾斗を演じました。本当に大変だったけど楽しくて青柳さんの仰る通りリアル感のある作品になったと思います。皆さんの幸せの一つになりますように。YUJIでした。ありがとうございました。







赤羽 薫役の三条 司(37)さんと、大月 悟役の栖本 哲平(36)さん。

ミサキ:まず収録を終えてどんなご感想をお持ちですか?
栖本:まあ、楽しかったですよ。
三条:まあってなんだろう(笑)僕も大西監督の新しい試みである作品に参加できて嬉しかったです。
ミサキ:お二人の役柄についてなにかありますか?
栖本:俺は大月っていう綾斗の先輩役でした。収録始まって、一番最初にYUJIと絡む会社の社員でしたね。明るいけど馬鹿でもない丁度いい脇役という感じでした。好かれる脇役の王道です。
三条:僕は赤羽って言う青柳さんの神城の親友役です。ちょっとセクシーなのかな?僕は気負わずやりやすい役でしたね。
栖本:神城が好きだったんですよね?
三条:そうです。後からね、分かるんですがずっと神城に恋をしていたっていう切ない一面があって。
ミサキ:大月も薫も凄く素敵でした、お二人の声がぴったりで。
三条:ありがとうございます。
栖本:嬉しいですね。けど、ミサキさんは青柳晃介のファンだから俺はあなたに笑顔なんて振りまかないですから、今日は。
ミサキ:恥ずかしい(笑)
三条:(笑)え?青柳晃介とポジション張り合うキャラじゃないよね?
栖本:いやいや、俺だってそこそこですよ?そこそこ有名ですから。まあBLだとだいたい攻め受けの餌になる攻め役ですが。
ミサキ:おいしい!(笑)
三条:おいしいって(笑)似合ってるよね餌攻め(笑)
栖本:おやつみたいな男ですから(笑)
三条&ミサキ:おやつ!!(笑)
栖本:好きですけどねおやつ役も。
三条:いつも攻めだっけ?
栖本:極稀に受けますよ(笑)
三条:おやつ受け?(笑)
栖本:受けをおやつにしたらちょっと女性向けじゃなくなるでしょ(笑)酷い感じになるから(笑)
ミサキ:アリです!
栖本:アリなんだ?(笑)
三条:女性の考えることは分からないなー難しいですね(笑)
栖本:あーでも、頭が賢い秀才タイプってのはないな。可愛いヤンキーみたいな役というか。YUJIは美人で秀才の受けが似合いそうだね。
三条:そうだね、今回の綾斗もどっちかというと賢いツンデレだからね。でも素直で。良かったなー綾斗。YUJIはエロが上手いからね、もっとエロいのも似合うと思うな。
栖本:美人で秀才だけどめちゃエロい役ね(笑)
ミサキ:素敵!(歓喜)
三条:うん!スリット入りのスーツの秘書とかね。
栖本:ちょっと待って、そのスリットはどこに!?女じゃないよ?
ミサキ:(爆笑)
三条:え?スリット?
栖本:脚の横?え、何?どうなってる?
三条:あ、前?
栖本:前!?
三条:あ、後ろ?すぐに出来…ね?(笑)
ミサキ:いやーん!エッチ!(喜)
栖本:パンツ履こうか。
三条:そっか下着か、手間が増えたな。イチ、ニ、サン。みたいな?
栖本:暖簾割ってドア開けて入るみたいなのやめとこ。
ミサキ:(爆笑)
栖本:王子とか言われてっけど、たまに変だよな三条さん。幽霊とか言い出すしさ。
三条:怖い怖い怖い!
一同(爆笑)
三条:はい、忘れて。YUJIの話をしよう。
栖本:(笑)YUJIめっちゃ(声が)エロいんですよ。めっちゃエロかったでしょ?ミサキさん(笑)
ミサキ:はい!もう、満腹です!
三条:ほんとそうだよね。良かったよね。うん。
栖本:これでもうなんとかなるわって思ったもん。
三条:そこで安心したんだ?
栖本:うん(笑)自分もでしょ?
三条:うん(笑)
ミサキ:(笑)お名前が出たYUJIさんですが、今回が初めての声優のお仕事でしたが、お二人はYUJIさんに対して何かありますか?
三条:僕は特にないですよ。演技での事ですよね?だと何も僕らと変わらなかったです。上手いなと思いました。途中からは何も心配してなかったです。
栖本:そうですね。素人って聞いてたから棒読みなのかと思ってたけどそんな事もなくて、全然楽でしたし。俺もYUJIの演技は好きですよ。
三条:ただやっぱりためらいというか役作りに苦労した瞬間があったのかな?って思うことはありました。がっつり僕達が仕事してる場所に一人放り込まれたんだから当然なのに、YUJIは誰にも頼らず頑張ってて健気だなって。
栖本:うん。
三条:どうやったら心を開いてくれるかなーってやきもきしてました(笑)
栖本:へー、そうなんだ?
三条:自分もだろ!
ミサキ:(笑)
栖本:なにいって、俺は!俺はもう、巻き込まないでくれー、巻き込まないでくれーですから、ずっと。
一同(爆笑)
栖本:ホントに(笑)終始もうスーーーっとウワベだけでしたから。
三条:いいキャラしてるな、君は(笑)なんかごちゃごちゃフォロー出してたよ。
栖本:出してない!出してない!スーーーでしたから、うん。
三条:何なんだよ(笑)
栖本:あれでしょ?あの人たち(青柳さんとYUJIさん)どーせクソつまんない真面目な話したんですよね?主人公ぶって
一同(笑)
三条:どうしたの急に(笑)
栖本:力合わせて頑張りましたー、的なことをさ。一番苦労したの誰だっての。
三条:俺俺
栖本:俺だよ!(笑)
ミサキ:お腹痛い(笑)
三条:あ、ミサキさんYUJIのネックレスちゃんとチェックしました?
ミサキ:やーん!しました!すっごく綺麗でした!
栖本:神城があげたのはシルバー製なのにリアルはプラチナとダイヤでーす。人気声優って金持ちなんですね。
三条:(笑)
ミサキ:すごーい!!キラッキラでしたもん!
三条:あ!ちょっと待って!今!今気づいたんだけどさ。Kって神城じゃなくて晃介じゃないか!?
ミサキ:きゃー!待ってー!!(混乱)
栖本:ふわ!!こわ!!デキてた!?デキてたの!?いつから!?
三条:やらしい!やらしい!
一同(爆笑)
栖本:ああ!ほら!青にゃぎさん事件!
三条:あ!!って、いやいや。あれは別に(笑)たまたまでしょ。
栖本:怪しいって!絶対怪しいって!
ミサキ:何ですか?青にゃぎさん事件って。
栖本:それは内緒!!
ミサキ:どうして!!(笑)
三条:じゃあ何で言ったの!(笑)
栖本:そんな事は内緒ですから。
ミサキ:えー!すっごく気になりますけど!!
栖本:言いません、死んでも。
三条:本題に戻ろう!あんまりいじってると青柳さんに怒られるから(笑)
栖本:もうさ、お似合いだとか思っちゃうわ。そのくらい大変だったもの、この収録(笑)あ、言っちゃった。
三条:逆にそうであってくれ、みたいなね(笑)
栖本:そうそう(笑)
ミサキ:やーん!私達ファンの目線ですよそれ!
栖本:あーファンってこういう心境なのかーみんなー。まーたひとつ勉強になりましたー。
三条:棒読みやめなさい(笑)
一同(笑)

栖本:これどうにもならないだろって思ってたのに、終わってみるとなんか実家に帰ってたみたいな気分になってたって感じです。明日からまた仕事頑張れる、みたいな。自分なりに初心に返れた数日間でした。YUJI君とはまた身近な味方役かなんかで是非ご一緒したいですね。
ミサキ:あの、BLはもうNGだそうです(笑)
栖本:なんで?YUJI?
ミサキ:青柳さんとご婚約されましたから(笑)
栖本:マジで!?
一同(爆笑)
三条:あー、演技でも浮気ダメってことね?
ミサキ:そうです(笑)
三条:ざんねーん!YUJIとカップルしたかったのになーエッチなやつ。
栖本:馬鹿だわ(笑)青柳さんそんなキャラじゃなかったのに!
ミサキ:冗談だと思いますけど(笑)
三条&栖本:どうかな!
三条:そういう冗談嫌いだから青柳さん。
栖本:うんうん、だから逆にね(笑)奥さん囲っちゃうタイプだったんだねー意外っていうか。
三条:奥さん綺麗だから仕方ないねー(笑)案外独占欲がお強いんじゃないか?
ミサキ:きゃー!カッコいい!!青柳さんも冗談でBL引退って仰ってました(笑)
三条:嘘!?(笑)
栖本:(あの人はBLしたくないだけだよ)
ミサキ:あれ!何か聞こえた!(笑)
三条:幽霊の声だよ(笑)
栖本:これはシナリオだな。
ミサキ:あ!
三条:なるほど!この機会利用してYUJIを嫁と言い切って一緒に引退するっていう?
栖本:悪どい(笑)頭いいからなーあの人。前々からこの流れ組み立ててたんだよ。タイトルもタッグ!とか新境地!とかやめて、青柳晃介最後のBL!の方が売れるんじゃないですかね?
三条:確かにね(笑)なんかタイトル考えてよ栖本君。
ミサキ:お願いします(笑)
栖本:青柳晃介最後のBL!魅惑の…、あ疑惑の傾国美青年と濃厚ラストラブ!で(笑)売れる!絶対売れる!きたこれ。
ミサキ:やーん!寂しいけど何枚でも買います!(笑)
三条:疑惑は残すんだね(笑)あと作品全く無視だけど。
栖本:疑惑はあった方がいい。
三条:ツカミ知ってるんだね。仲人は大西幸人。
栖本:監督はキューピッド!とかでもいいね。フキダシでタイトル前に付けて。
ミサキ:すんごくキャッチー(笑)
三条:そろそろ本気で怒られるよ君(笑)
栖本:俺干されるかな。
一同(笑)


栖本:とにかく楽しく収録させていただきました。ストーリーも切なかったり濃厚だったりで素晴らしいものなので是非何度も聞いて下さい。栖本哲平でした。

三条:同じく、終わってみると寂しいっていうくらい楽しくて充実した収録でした。リアルな良いドラマになったと思います。みんなで作ったこの作品を僕の大好きな貴女へ。

栖本:何を言い出すの?

三条:えー、という事で(笑)
YUJIと一緒に仕事が出来て、インスピレーションもらえて本当に良かったです。ありがとうございました。三条司。





横山役の二岡保(37)さんと、津崎、晴臣役の橋下風也(24)さん。

ミサキ:まずはご感想をお聞かせ下さい。
二岡:僕達は担当キャラが多かったよね?
橋下:そうですね。そして二人して青柳さんに抱かれる役というか。
二岡:あ、横山は違ったけど。そうそう、抱かれたね(笑)で、捨てられてー
橋下:捨てられてー(笑)
一同(笑)
二岡:僕なんて名前もなかったよ?一番最初のあれも僕なんですけどね(笑)
橋下:Aとかって書かれてましたね台本に
二岡:あ、Aはあったね名前
橋下:一応はありましたね(笑)
二岡:あ!違う違う、Bだった!Aは綾斗みたいだからってBでした!(笑)
一同(笑)
橋下:(爆笑)
二岡:そんな扱いでしたよ、うん(笑)
ミサキ:(笑)けどお二人とも印象的なヒールというか
橋下:ヒールじゃないですよ!ひっどい!(笑)可愛いお邪魔虫です(笑)
ミサキ:そうですね!失礼しました!(笑)
橋下:ホント綾斗めーって感じでやってましたよ(笑)
二岡:綾斗めーって?(笑)
橋下:普段はYUJIさんとはすごく仲良いんですけどね
二岡:え?
ミサキ:年齢も近いですもんね?お若い橋下さんとYUJIさんが仲良くしてる姿を想像しちゃってにやけます。
橋下:僕達可愛いですからね。スタジオでもきっと可愛い担当でしたよ(笑)ね、二岡さん
二岡:すー…そうだね(笑)
橋下:YUJIさんはちょっとアンニュイな雰囲気だけど、まだ慣れてなかったのかなって。でも僕から話しかけて、徐々に。仲良く。
二岡:あ、話しかけてたね(笑)そっか、そっか。
橋下:青柳さんが、ほらクールな人じゃないですか。
ミサキ:だから弟の橋下さんが?
橋下:そうですそうです。兄の役に立てればと思って(笑)
ミサキ:いやーん(歓喜)
二岡:すごいね橋下君って(笑)僕君とゆっくり絡むのこの作品が初めてだけどさ。
橋下:全然ぜんぜん!大したことないです!ありがとうございます!
二岡:大物だー(笑)
ミサキ:でもホントに演技力が高いお二人だから横山も晴臣も凄く活きててかっこよかったです!
二岡&橋下:ありがとうございます。

橋下:晴臣は、拓馬(神城)さんに惚れてしまったけど、拓馬さんは晴臣の前に綾斗に会ってしまってて。綾斗の存在がなかったら晴臣は見向きもされてなかったので、そこはちょっと悲しいですねー。
二岡:そうだね。でも晴臣も、綾斗を意識し始めた神城だったから魅力的に見えたのかも知れないよね?多分晴臣も結構な手練れだよね?
橋下:手練れって(笑)
二岡:手練れっていわない?(笑)
ミサキ:手練れですよ!
橋下:でもそうですね、バーとかに来てるんですもんね。
二岡:タイミングが重なっちゃったんだね。きっとね。
橋下:じゃあ横山さんも同じだったんですかね?
二岡:かも知れない。綾斗が津崎に対して弱気になってたから横山が隙をついてね。タイミングだねホラ。
橋下:やっぱり僕だ。津崎も僕だから(笑)やっぱりYUJIの敵は橋下風也なんですよ。
二岡:(爆笑)
ミサキ:(笑)YUJIさんは橋下さんをライバルだったって仰ってましたよ。
橋下:え?ホントですか?
ミサキ:言ってましたよ及ばないけど負けたくなかったって。
二岡:うんうん。良いライバルだったってイメージの方が僕としては頷けるかなー
橋下:仲はすごく良かったですけどね。
二岡:なんでそこ…(笑)
橋下:そうですか、けどなんか嬉しいですね。YUJIさんにそう言ってもらえるのは。僕もプロの一員として何か伝えられたのかなって。
ミサキ:しっかり伝わったんだと思いますよ?
二岡:うん(笑)伝わってたよね(笑)
橋下:良かった。僕みたいな若手なんかでも出来る事ってありますね。
ミサキ:風也くんほんと可愛いー!(喜)
橋下:僕なんて、全然。
二岡:(笑)
橋下:いや、でも今思うと仕事っていう感じじゃなかったかな…もっとこう…身近な空気感というか。僕はまだ声優になって浅いですが、面白い体験でした。一緒にやってるんだなって感じながらというか。
二岡:そうだね。なんかもう一回初日に戻りたくなってきたなー
橋下:名残惜しい(笑)
二岡:うん。やりきった感はありますよ?めちゃくちゃ達成感はあるけど、離れたくないなー(笑)
ミサキ:なんだか皆さんそんな感じですね。
二岡:ホント?そっか!良かった!
橋下:主役のお二人もですか?
ミサキ:三条さんとか栖本さんが(笑)楽しかったんだなーって感じました!
二岡:主役はホラ、大変だったからね。
橋下:そうですね。僕もYUJIさんには負けられませんし、頑張って行きます!
二岡:公式のライバルだからね。
橋下:普段は凄く仲良しですけどね。
二岡:そっか(笑)そうだね(笑)


二岡:小野江マリナ先生にしてはノーマルな(笑)空気の作品で、小野江先生のファンとしても読むだけじゃなく演技をさせて頂けるという、とっても貴重な機会を頂けたなと思っています。今回は本当に楽しく参加させていただきました。色々と学ぶこともあり、僕自身も成長出来た作品だったと思います。僕達演者のリアルな感情も伝わればいいなと思っています。楽しんで聴いて下さいね。二岡 保でした。またどこかでー。あ、YUJI君ありがとーう!



橋下:僕も先輩方やYUJIさんと全力で演技が出来て大満足です。ご一緒だった皆様に感謝しつつ、楽しかったと言わせていただきたいと思います。個人的にいつか晴臣が幸せになる続編とかがあればいいなって思っています。もちろん拓馬さんと(笑)

二岡:ええ!?好きだねホント!

橋下:略奪しますいつかきっと(笑)なんてのはウソで、綾斗と拓馬さんのラブラブな続編があればまた違った晴臣で登場させて欲しいです。大人になった晴臣も見たいです。では、皆さまも沢山聴いて楽しんで下さいね!ありがとうございました!僕もまたどこかで!橋下風也でした。YUJI君今度ご飯行こうね!

二岡:僕もついて行っていいかな(笑)
橋下:え?どうぞどうぞ。


























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