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◆ふて魔女アリス◆
しおりを挟む《ふて魔女アリスの世界》
白の魔術とは、元々は強大すぎる魔術の力の他の世界への影響を抑制する為に魔界内で派生した魔術であり、その後白の魔術では無いものを黒の魔術と呼ぶ様になった。
そして白からの抑制を嫌った魔王によって対戦が起こり、数が圧倒的に少なかった白の魔術師達は魔界を追放され、魔界と人間界の小さな狭間に位置せざるを得なくなってしまった。
だが魔王は白の魔術が退いたのをいいことに、人間界をも自分のものにしようと企てる。
そしてそれを止めようとした白の魔術と黒の魔術の第二の対戦が起こる。
白の魔術の代表者であった白の魔女は人間界を守る為に自分の命を術の力に変え、魔王に瀕死のダメージを与えた。
白の魔術は白の魔女の死により完全なる敗北を喫したものの、魔王を魔界の最奥地の扉の向こうに追い込み、その進軍を食い止めることが叶ったのだった。
そして魔王の力が弱まったまま時は流れ、一千年。
先の対戦をその目で見た者は対戦の影響からか短命で、詳しく知る者は殆ど無いとされていたが、突如魔王復活の報せが白の魔術師達に広まった。
そしてそれと時を同じくして、人間界でアリス(四方日和)が亡くした祖母の書庫で白の魔術書を見つけ、興味本位で表紙を開けた事により、白の魔界より食事中だった現白魔術の代表者であるマンマート(常盤基弘)が黒猫に姿を変えられて人間界に召喚されてしまったのだった。
黒猫のマンマートは第二の対戦で全滅したとされていた白の魔女の守人の一族の末裔であり、守人とは白の魔女が自身には禁じていた黒の魔術を、白の魔女の術の中でのみ使うと契約を交わした魔王に次いで黒の魔術に長けた者達の事だった。
そして黒猫のマンマートは人間であるアリスの一族が、白の魔女の血より生まれたと思われる術書を千年も守り続けていた事を知り(自分を食事中に呼び出した当てつけに)アリスに魔女になる訓練を受けさせる事にした。
人間界を守った白の魔女の物語に憧れ「魔法使いになりたい」と言うアリスも、黒猫のマンマートに怒られるたびにふて腐れつつも、時どき黒猫のマンマートの部下達と共闘しながら、魔王が人間界を乗っ取ろうと送り込んで来る黒の魔術師達を倒し、
魔王トワードをも見事に討ち果たしたのだった。
黒猫のマンマートは「この陣形が黒の魔術の暴走から人間界を守るのに一番理にかなっている」と言って、白の魔界と黒の魔界は分裂したまま均衡を保つこととなった。
そして、それから一年が過ぎたある日、突然アリスの目の前に魔王トワードとの戦いの最中に没したはずのトワードの右腕、ギルディルク(川俣利秀)が大怪我を負って現れた。
「魔界から逃げ延びて来た」と言うギルディルク。アリス達は打って変わって反省の色を見せる彼を一時匿う事にしたが、そんな中ギルディルクは恐ろしい事をアリス達に打ち明ける。
「トワードは、真の魔王ではなかったのだ」
真の魔王は白の魔女との戦いから長い間ずっと行方知れずで、その隙を突いたトワードが魔王として君臨していたのだと言う。
ギルディルク自身もその真実を知らされておらず、トワードに騙されていたのだと言う。
「そして今、真の魔王が戻って来た。第二の対戦を率いた真の魔王がだ。君達との戦いで私にはもう力はない。魔界に居場所もない。会ったこともない魔王への忠誠も義理もない。君達の魔王討伐を手伝わせてくれないか?」
何でも協力するというギルディルクからは黒の魔力も感じられず、魔界の事を詳しく話す様子からもアリスと黒猫のマンマートは仲間として受け入れる決断をした。
そしてギルディルクは白の魔女の妹であるマダム・ブーケ(中黒ゆい)が、第二の対戦の少し前に何者かによって水晶に封印され、この人間界のどこかに今でも隠されていると告げる。魔王達よりも先に見つけ出すようにとアリス達に言うのだった。
そんな中、また次々に人間界への侵入を開始した以前よりも手強い黒の魔術師達と戦いながらも、アリスは一年前から忽然と姿を消していた親友とその兄に二人の家の前でばったり出くわし、その兄こそが真の魔王エティリオ(青柳晃介)だと知る。
親友はその側近のオリンヴィーダ(井伊杏樹)だった。
エティリオ達はアリスの正体を知っていてトワードを葬るのを何食わぬ顔で見ていたのだと言う。そして第二の対戦のすぐ後から失われた魔力を回復させるまで人間界に紛れてマダム・ブーケの居場所をずっと探していたと明かすのだった。
「色々とおかしな事が起きている」と謎の言葉を聞かせたエティリオとオリンヴィーダ。アリスは真の魔王を倒そうと黒猫のマンマート不在のその場で戦いを挑むも呆気なく敗戦し、アリスを守った黒猫のマンマートの部下達が跡形もなく消滅した。真の魔王は重傷を負ったアリスにとどめを刺さずに再び行方を眩ました。
そして真の魔王の桁違いの黒の魔術をその身に受けてしまったアリスは、それを機に突然知らない女の声が聞こえ始めるようになった。
その声はギルディルクのアリスへの裏切りを示唆していた。
そんな淡い初恋も友情も裏切られた身も心も満身創痍のアリスに、これまで以上一段と厳しく教えるようになった黒猫のマンマートだったが、次の有事に備える為に助っ人を用意せねばと急遽白の魔界に一時帰還する。
それでもアリスに休息の時間はなく、エティリオからの新たなる刺客、シュニック(栖本哲平)とエンビリアン(三条司)がアリスの元にやって来るのだった…。
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