奴隷落ち予定の令嬢は公爵家に飼われました

茗裡

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第二章

9 訓練所見学

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「訓練所に行きたい」

留学生のジャスティン様の申し出により、育成科棟に隣接する訓練所へと向かうこととなった。

普通科から行くには、外から行った方が早いということで留学生一行と共に訓練所に続く道を進む。


普通科の校舎の周辺は庭園などがあるが、育成科棟の周囲は複数の訓練所が設けられている。


弓道場、剣術訓練所、馬場等々……


馬場の奥には、狩りが出来るように森が広がっている。


「キャーーーっ」


ジャスティン様は剣術訓練所を見学したいということでそちらに向かっていると、黄色い声が馬場から聞こえて来た。


「えー、なになに?向こうすごく盛り上がっているね」


ラッセルが馬場から聞こえる黄色い声に反応して興味を示す。


「俺様は何処にいても目につくからな。俺様への歓声だろう」
「お兄様、歓声が上がったのは先に見える馬場からですわ。それに、誰もお兄様のこと見ていらっしゃいませんわ。自意識過剰です」

マイルズ殿下は額に手を当ててポーズをキメるが、妹のエリン殿下から冷静な指摘が入る。

「HAHAHA。分かってないな妹よ。俺様の存在感は遠くにいても気付かれてしまうのだ」
「どうやら、馬場にいる方たちへの歓声だったようですわね」


エリン殿下のスルースキルに周囲のもの達は乾いた笑みを浮かべた。


「エメ、馬場にいるのは誰か分かるかい?」
「はい。ブリスとクロードが行くと言っておりましたが、他は申しわけ御座いません。分かりかねます」
「そう。ブリスとクロードか。育成科でトップの彼等ならあの歓声も頷けるね。ありがとう、エメ」


リシャール様は手を顎に添えて、推察すると、問いに答えたエメに微笑んだ。


私と後ろに控えていたエメは、「いえ」と控えめに返し頭を下げるも、横顔は薄紅色に頬が染まっていた。


「ねぇねぇ、向こう何だか楽しそうだし。行ってみない?剣術所はその後でもいいでしょ?ジャスティンさん」
「む。まあ、訓練所は逃げんからな。馬場に行った後でも私は構わん」


ラッセル様とジャスティン様の言葉で、一行は育成科や普通科の令嬢が入り混じって盛り上がっている、馬場へと向かうことにした。
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