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23. 禍福は糾える縄の如し
しおりを挟む「兄者!!もう少しで俺たち帰れるんだ。頑張ってくれよ!!」
声の元へ近付くに連れ明瞭に聞き取れる言葉は切迫した状態である事が直ぐに分かった。
私は馬から飛び降りて叫び声の元へと向かう。
私達が騎乗して近付いた事もあり集まっていた人々は私達にすぐに気付きざわめきだす。
人集りの中心にいた人物は周りがざわめきだしたことで漸く此方を振り返るが私は地面に足が縫い付けられたようにその場から動く事が出来なかった。
「シルヴァン大将軍に…あんたは…黒髪…の、乙女…なのか…?」
中心にいた人物がこちらを見て驚きに目を見開いた後にゆっくりと言葉を紡ぐ。
黒髪の乙女とは兵士達に散々囁かれて私の事なのだと理解している。何でも、フラガーデニア国を追い払ったのが私だと誤った情報が広まり何度も私は何も出来なかったと訂正したのだが、広めているのがレオナール将軍で色んな人に吹聴していると知って諦めた。
レオナール将軍の方が皆からの信頼も厚く、正直な人の為私が否定すればする程何故か謙虚な性格なのだと兵士達の好感度が上がってしまっていた。
しかし、広まった噂には時に尾ひれ羽ひれがつくものだ。
「黒髪の乙女様!お願いだ!兄者を、兄者を助けてくれっっ」
男は泣き腫らした目で縋るように私に懇願する。
出来ることならば助けてあげたい。だけど、私の足は一向に動く気配はない。
男性の傍に横たわる人物が瞳だけ此方に向けて目が合った。
その瞬間ドクリと心臓が鳴るのを聞いた。急激に血の気が引く。
「ごめ…なさい…」
漸く紡いだ声音は小さく声が震える。
地面に横たわる人物は私の唇の動きを見て静かに目を閉じる。しかし、空気が抜けるような音を混じえた呼吸音は変わらず、人集りが出来ているにも関わらず厭にその人物の呼吸音だけが耳に響いた。
「なん…だよ、それ。あんた何でも出来る黒髪の乙女なんだろ!!」
男は縋るような目から希望の光が消え失せ絶望した表情で叫ぶ。
黒髪はこの大陸全土では非常に珍しく、また膨大な魔力を例外なく保有している事はどこの国に言っても周知のことである。その為、黒髪の乙女の噂は徐々に尾ひれがつき膨大な魔力を有する私はフラガーデニアの騎士達を一瞬にして100人倒しただとかフラガーデニアにいる聖女と戦って苦闘の末倒して敵国の敵意を削いだ等はたまた魔力で敵の意志を抜き取り撤退させただとか、魔物の大軍を従えて撤退させたと根も葉もない噂が一人歩きしだしていた。
「なあっ、お願いだ。兄者を助けてくれよ。あんたなら何だって出来るんだろ?死んだやつを生き返らせることも出来るなら兄者を助けるくらいなんてことないだろ!?」
アンデッドなら創り出せるが、蘇生魔法は使えない。それこそ、聖女では無い限り無理だろう。蘇生魔法など伝説ではなく、夢物語の域である。聖女がどの程度の治癒力や回復力を持っているのかは分からないが、一度死んだ人間をそれこそ何の障壁もなく生き返らせるなど出来ないだろう。
「なんでだよ…」
私は緩く首を振る。
横たわる男は片腕を失い、腹を割かれていた。手遅れだったのだ。寧ろ、よくここまで持ったと賞賛したいくらいだ。
傍らの男は私が傷を治せないと知ると更に絶望した表情へと変わる。
怪我を負った男はキツく包帯を巻かれているがその包帯は真っ赤に染まり溢れ出る鮮血は留まることを知らずに染みが広がる。
「黒い髪を持つ奴は膨大な魔力を持ってるんだろ!?お願いだから兄者を助けてくれよっ」
男の切実な想いに胸が締め付けられる。
『万能では無い』
その言葉が脳裏を巡った。
シルヴァンさんとアリスさんはこの事が分かっていたから止めようとしたのだろうか。
今シルヴァンさんに目を向けると助けを求めてしまう。それだけは駄目だ。大将軍であるシルヴァンさんに任せればこの場を禍根なくその場を離れられるかもしれないが、自責の念に苛まれる未来が待っているだろう。それに、私はこの二人の兄弟から目が離せないでいた。
「兄者、二人で武勲を上げようと言ったじゃないか。ディアフォーネの英雄ジェレミー将軍のようになるんだって兄者言ってたじゃないか。」
男は泣きならが横たわる人物に縋る。
弟の声に反応するかのように横たわる人物は薄く目を開く。
「黒髪の乙女!お願いだよ、助けてくれよっ!あんたの魔力なら助けることが出来るだろ!?」
「ごめんなさい。私にはどうすることも…」
「なんだよそれっ!幾ら魔力が高くても人ひとり救えないならただの化け物じゃねぇかっっ!!」
「っっ!」
心臓が一瞬止まった気がした。
「お、おい。言い過ぎだろ…」
周りの兵達が止めに入るが男は聞く耳を持たない。それどころか憎悪の目を私に向ける。
身体が硬直して瞬き一つ出来ない。
男から向けられる強い怒りと憎悪に手の震えが止まらない。
男の言葉が胸に突き刺さる。
過信していた。自意識過剰も甚だしい。あんなにもシルヴァンさんやアリスさんに忠告されていたのに。
チートだなんだと舞い上がっていた。黒髪の乙女と持ち上げられて何でも出来る気になって私の力でもっと誰かの役に立てるのではないかと過信していた。
役に立てなかった…また、捨てられるの─────?
『「役立たずの化け物が!!」』
脳裏で言葉が重複する。
目の前の男がそう叫んだ瞬間、視界が暗くなる。
目元の圧迫から誰かの手に視界が遮られているのだと気付いた。
「やめ…ろ」
「兄者!!」
遮られた視界の先から弱々しい声と相反する声が聞こえる。
「ギー…おれは…もぅ…」
「そんな事ない!諦めるなよ兄者!!まだ、まだ助かるよっっ!!」
弱々しい声の主は時折空気が抜け掠れた声で言葉を紡ぐが、弟が言葉を遮る。
「すまね…な。…げほっ…一人残し…」
「もう喋るな。もう喋らないでくれ!すまないと言うなら生きろよ!!」
「泣く、な…。俺…は、お前のそばに…」
「あに、じゃ?…兄者!おい!目を開けてくれよ兄者!!兄者ーーーーーっっ!!!!!」
弱々しい声の主の言葉が止まり一寸の沈黙が場を支配する。その後直ぐに弟の悲痛な叫び声が轟いた。
私は漸く硬直状態から解けて塞がれた視界を開く。目に飛び込んで来たのは息絶えた一人の男とその男の隻手を握り締めて必死に呼び掛ける弟と思しき男の姿。
人が死ぬ場面を見るのは初めてでは無いし、私自身自ら手を下し命を狩ったりもした。その時は、命を狩る感触に不快感はあっても恐怖は無かった。だけど、今は自ら手を下したわけではないのに足が竦み身体の震えが止まらない。それと同時に胸いっぱいに広がる罪悪感。
「ごめんなさい…」
誰にも聞こえない程の小さな声が不意に零れた。
兄の方は私とシルヴァンさんの姿を認めるとその瞳には確かに生に縋る光が宿っていた。彼の瞳はまだ生きたいと私に訴え掛けていた。しかし、私の謝罪する唇の動きを見た瞬間にその光は一瞬にして消え失せた。
私は彼の直接死に繋がる傷を負わせたわけでも手を下したわけでもないが、確かに最後に引導を渡したのは私であることは間違い無いだろう。
彼の心から生に縋る思いを断ち切ったのだから。一人残していく弟を見て彼は何を思いながら逝ったのだろうか。
私達が姿を現して下手に希望を持たせ絶望させなかったら彼はもう少し生き長らえる事が出来たのだろうか。
弟の泣き叫ぶ声を聴きながら物言わなくなった骸に心中で謝罪を唱えることしか出来なかった。
──────────────
翌日の昼には首都バルディア近くの街ルートンに辿り着いた。
アリスさんの元まで戻った私達は道中ずっとアリスさんが気遣わしげに話しかけてくれて励ましてくれていたが、返事をしつつも話の内容は一切入って来なかった。
ずっと、あの兄弟の事が頭から離れなかったのだ。
街に着いた翌日に私は一人街を散策していた。
何時もはそばに居るシルヴァンさんもアリスさんも何故か朝から居らず、外に出てもユーグやシルヴァンさんの副官を務めるケヴィンさん等上層部の人達も見当たらなかった。兵士達はまた別の場所に駐在している為知り合いもおらず、また部屋に篭っていても道中でのあの兄弟の出来事を思い出してしまう為気分転換に外に出てみることにした。
色んなところから精が出る声が飛び交う。
沢山の屋台が出ており商人達の出入りが多い街であることが見て取れる。
一人で街を散策するのは初めてで活気溢れる街並みも行き交う人々もキラキラして見えた。今まで、町や村に立ち寄っても体調が不調が続いていたり、シルヴァンさんやアリスさんにあまり外に出してもらえなかったりでこんなにじっくりと見ることは出来なかった。
「外に出てきて良かった」
黒い髪はヒジャブで隠し俯きがちに街を散策する。
私の心にわだかまっていたものが少しだけ軽くなったような気がした。
「そこのあんた!何してんだい!」
道の真ん中を歩いているといきなり首根っこを捕まれ横に引っ張られる。
何事かと目を白黒しているとふくよかな女性が私の首根っこを掴んでいた。
「殺されたいのかい!?ほら、あんたも早く頭を下げなっ」
何が何だか分からないまま頭部を押さえ付けられる。
「王太子様のお出ましだよ」
ふくよかな女性は頭を下げたままわけの分かっていない私にコソッと耳打ちをする。
王太子様とは人々に傍若無人な態度を取っているというこの国の唯一の皇子様の事だろうか。しかし、何故そのような偉い人がまだ城壁の外にある町に来ているのだろうか。
頭を下げたまま横目で辺りを見回して見ると反対側の隣の女性も頭を下げ行き交っていた人々は左右に寄り真ん中の道を開けている。
すると、奥の方から馬の蹄の音がする。
恐らく王太子様だろう。私は近付く音に王太子様とはどんな人なのかと顔を見たい好奇心を押さえ付け、王太子が過ぎるのを頭を下げたままジッと待つ。
ドンッ
「「きゃっ」」
そろそろ王太子の一行が前を過ぎようとした時、強い力で背中を押され少し重なっていた隣の女性と共に王太子一行の前に飛び出す。
咄嗟に振り返った一瞬見えたのは茶髪の男性で直ぐに人々の中に紛れて姿を消した。
「ハインリヒ皇子の御前に飛び出すとは何事か!!」
「も、申し訳ございませんっ。後ろから押されて私っ。どうか命だけは、お助けをっ」
私と一緒に道に飛び出した女性が青い顔で両手を組み命乞いをする。
「言い訳など聞かぬっ!皇子の行き先を阻んだという事だけが事実。死ぬ覚悟は出来ているのだろうな!!」
「ど、どうか…お慈悲をっ」
「そこの女!お前もだぞ!」
皇子付きの護衛が腰から剣を抜き私達に向ける。私が反応しいことに訝しげな表情をしながらもう1人の護衛兵が私の首元に剣先を突き付ける。
私は動じることなく立ち上がり座り込んだままの女性に向けて手を差し伸べ立たせる。
「貴様っ!無視をするとは何と無礼な!!貴様から切り捨ててやるっ」
意気込む護衛兵は剣を構える。
女性の一歩前に出て剣が振り下ろされる前に私は頭を下げた。
「申し訳ございません。足元がふらついてしまい、関係の無い女性まで巻き込んで倒れ込んでしまいました。落ち度は私に御座います。此方の女性は私の巻き添えになってしまっただけなのです。どうか、彼女の命だけはお助け下さい。」
直角に腰を折って謝罪する。
事実、彼女は私の身体が当たり巻き添えを喰らっただけに過ぎない。
私も誰かに突き飛ばされただけなのだが、噂に聞く内容が本当ならば皇子は見逃してはくれないだろう。
しかし、罰されるのならばそれは私だけでいいだろう。巻き添えを喰らって殺されるなど可哀想過ぎる。
私は駄目元で彼等に頼み込んでみることにした。
「お咎めならば私一人でどうかお手打ちにして下さいませんか」
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