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第一章
25 過去
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彰太side
連夜と会ったのは辰巳さんと輝久さん紹介された時だった。
そう、何を隠そう俺と多部ちゃん、そして夏目亮は連夜の下で働く部下だった。
孤児だった俺と亮は、親の顔はお互い知らない。赤ちゃんの時たまたま同じ日に孤児院の前に捨てられ、二人で泣いてたそう。
園長先生が付けてくれた夏目の苗字を一緒にもらい、幼少期から何をするにもずっと一緒に育ってきた。
そんなある日、孤児院に来た連夜の父親に引き取られた。
本当は一人だけを欲しかったようだが、あまりにも俺達が離れないので親父さんは笑いながら二人を引き取ってくれた。初めて見る外の世界、学校、社会のルール……俺達はそれぞれ得意なことを伸ばしながら、親父さんは密かにいずれ来るであろう連夜がトップに立った時に支えれるメンバーとして多部ちゃんと共に辰巳さんの下で色々なことを学ばしていた。
連夜の父親は厳しくも優しくて、皆に慕われていた……
だけど、ある日突然帰らぬ人になった。
親父さんの遺言状で辰巳さんと連夜が同時に九条のトップになり、あの頃はとにかく周りに敵も多く毎日大変だった。特に親父さんを慕ってたやつは若輩者の辰巳さんや連夜の事を面白くないと思っている連中もいた。
だけど……息子の九条連夜という男のカリスマ性には皆、息を飲むほどだった。
冷酷非情……完全無欠……
そして、孤高の王様。
でも、そんな連夜も一歩自宅に帰れば、俺達にも対等に向き合ってくれるいい青年だった。
そして、いつしか俺達も心の底から連夜を支えようという思いが、日に日に強くなっていった――
「えっ……じゃあ彰太は何でここにいるの?」
「確かに……」
佐倉と想が不思議そうな顔をしながら聞いてくる。
「あれは二年前ぐらいだったかな……連夜の父親には弟が居た。それがここのボス」
「……ますます何でしょう君がここにいるのがわからんねやけど?」
「うん! だって連夜の部下だったんでしょ?」
「そう、俺は連夜のもとで働いていたし、今もその関係は崩れてはいない」
「じゃあ、なんで……」
「連夜の叔父は全てを乗っ取りたかったんだ。連夜を失脚させ、正式に九条グループのトップになろうとしていた……ただ、誤算だったのは連夜の力を見誤ってたことだった。反旗をひるがえされる事を恐れたボスは俺をここで面倒を見ると言う名目で連れてきた」
「……人質ってこと?」
「まあ、そうなるな」
もちろん皆戦ってくれた……けれど、俺を人質として使うため用意周到に罠が仕組まれていて、連夜の方にもかなり近しい人間のスパイが居たから、あっという間に契約書で縛られてしまった。
「だから俺がいる限り、連夜はボスのところに手を出せないようにされた。そして、そうしながらも虎視眈々とボスは連夜を失脚できる機会を伺っていた……」
「まじか……」
そして、そこに現れたのが想だった。
連夜の債務者に対する扱いも全て筒抜けだった……
そして債務者達に何かあるかと、佐倉のような奴等を作っては見張らせてたんだ。
「っ……」
「だけどあの時、連夜がまさか想を引き取るなんて誰も思ってなかった……」
でも、あの櫂にも紹介に行ったと聞き、確信になった。
連夜は必ず想の為に九条を退くと――
「……まあざっとこんな感じだ」
ちょっと昔話を話過ぎたかもな? と思いながら佐倉たちを見ると思ってもいない反応が返ってくる。
「っ……しょう君、絶対生きて夏目さんに会おな!」
「……ほんとだよ……」
「いや、お前ら俺の話聞いてた?」
「……辛かったなぁ……絶対皆で、連夜さんのとこに帰ろ!」
「だな! 絶対生き別れた兄弟に会わせてやるからな?」
「うん!」
(いや、兄弟じゃないし……むしろ、恋人ってか……まあいいや! 何かこいつ等と話してると、大丈夫な気がしてきたかも……ははは)
「しょう君? 何で笑顔なん?」
「な、何でもねーよ!」
亮……俺やっぱ諦めないから。
お前もきっと来てくれるんだろ?
信じてるからな。
連夜と会ったのは辰巳さんと輝久さん紹介された時だった。
そう、何を隠そう俺と多部ちゃん、そして夏目亮は連夜の下で働く部下だった。
孤児だった俺と亮は、親の顔はお互い知らない。赤ちゃんの時たまたま同じ日に孤児院の前に捨てられ、二人で泣いてたそう。
園長先生が付けてくれた夏目の苗字を一緒にもらい、幼少期から何をするにもずっと一緒に育ってきた。
そんなある日、孤児院に来た連夜の父親に引き取られた。
本当は一人だけを欲しかったようだが、あまりにも俺達が離れないので親父さんは笑いながら二人を引き取ってくれた。初めて見る外の世界、学校、社会のルール……俺達はそれぞれ得意なことを伸ばしながら、親父さんは密かにいずれ来るであろう連夜がトップに立った時に支えれるメンバーとして多部ちゃんと共に辰巳さんの下で色々なことを学ばしていた。
連夜の父親は厳しくも優しくて、皆に慕われていた……
だけど、ある日突然帰らぬ人になった。
親父さんの遺言状で辰巳さんと連夜が同時に九条のトップになり、あの頃はとにかく周りに敵も多く毎日大変だった。特に親父さんを慕ってたやつは若輩者の辰巳さんや連夜の事を面白くないと思っている連中もいた。
だけど……息子の九条連夜という男のカリスマ性には皆、息を飲むほどだった。
冷酷非情……完全無欠……
そして、孤高の王様。
でも、そんな連夜も一歩自宅に帰れば、俺達にも対等に向き合ってくれるいい青年だった。
そして、いつしか俺達も心の底から連夜を支えようという思いが、日に日に強くなっていった――
「えっ……じゃあ彰太は何でここにいるの?」
「確かに……」
佐倉と想が不思議そうな顔をしながら聞いてくる。
「あれは二年前ぐらいだったかな……連夜の父親には弟が居た。それがここのボス」
「……ますます何でしょう君がここにいるのがわからんねやけど?」
「うん! だって連夜の部下だったんでしょ?」
「そう、俺は連夜のもとで働いていたし、今もその関係は崩れてはいない」
「じゃあ、なんで……」
「連夜の叔父は全てを乗っ取りたかったんだ。連夜を失脚させ、正式に九条グループのトップになろうとしていた……ただ、誤算だったのは連夜の力を見誤ってたことだった。反旗をひるがえされる事を恐れたボスは俺をここで面倒を見ると言う名目で連れてきた」
「……人質ってこと?」
「まあ、そうなるな」
もちろん皆戦ってくれた……けれど、俺を人質として使うため用意周到に罠が仕組まれていて、連夜の方にもかなり近しい人間のスパイが居たから、あっという間に契約書で縛られてしまった。
「だから俺がいる限り、連夜はボスのところに手を出せないようにされた。そして、そうしながらも虎視眈々とボスは連夜を失脚できる機会を伺っていた……」
「まじか……」
そして、そこに現れたのが想だった。
連夜の債務者に対する扱いも全て筒抜けだった……
そして債務者達に何かあるかと、佐倉のような奴等を作っては見張らせてたんだ。
「っ……」
「だけどあの時、連夜がまさか想を引き取るなんて誰も思ってなかった……」
でも、あの櫂にも紹介に行ったと聞き、確信になった。
連夜は必ず想の為に九条を退くと――
「……まあざっとこんな感じだ」
ちょっと昔話を話過ぎたかもな? と思いながら佐倉たちを見ると思ってもいない反応が返ってくる。
「っ……しょう君、絶対生きて夏目さんに会おな!」
「……ほんとだよ……」
「いや、お前ら俺の話聞いてた?」
「……辛かったなぁ……絶対皆で、連夜さんのとこに帰ろ!」
「だな! 絶対生き別れた兄弟に会わせてやるからな?」
「うん!」
(いや、兄弟じゃないし……むしろ、恋人ってか……まあいいや! 何かこいつ等と話してると、大丈夫な気がしてきたかも……ははは)
「しょう君? 何で笑顔なん?」
「な、何でもねーよ!」
亮……俺やっぱ諦めないから。
お前もきっと来てくれるんだろ?
信じてるからな。
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