溺愛コーヒーの淹れ方

茶山さく

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第一章

16 止まれない※微R18

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 多部side


 泣いてる想に何て声をかけたらいいかはわからないけど……連夜は本気だった。
 昨日想を連れて帰って来てから、正直驚く事ばかりだ。連夜が何かに執着したり、愛おしそうに微笑んだり甘い声をかけたりするなんて……出会った五年間で一度も見たことがない。

 この準備だって、今から傷付けない為だろうしなぁ……。
「想、大丈夫?」
「ん、ご、ごめんな多部ちゃん……大丈夫、俺はそういう意味で買われた事はわかってるから……」
 必死で涙を拭いて、平気な顔をしてる想を抱きしめてあげたくなったけど、昨夜から想も連夜もお互いに対しての気持ちの変化がある事も、なんとなく感じていた。
「うん、じゃあやり方説明するね」
「よろしく、おねがい、します……」
 聞きながら驚いて、真っ青になったり、赤くなってあわあわしてる想をなるべく意識しないように淡々とやり方を伝えた。

「使う物はバスルームとお手洗いに用意してあるから……あと、最後にゆっくり湯船につかってリラックスできるようにいい香りの入浴剤入れたから入るんだよ?」
「想……ごめんね……」
「っ……大丈夫、俺頑張る」
 俺は想の顔を直視出来ず、そっと部屋のドアを閉めた。

  ――――――――――――――

  想side

 多部ちゃんから教えてもらったやり方で何度目かの水を出し、中を綺麗にする……。
 この感情を何と言うのかは分からんかったけど、俺は連夜さんのことが気になりだしてた……
 でもやっぱり、そんな甘い関係じゃない。
 俺は自分の身体をつかってしか、借金を返済出来る方法がない。
(アカン、泣きそう……やけど、頑張るって決めたんは自分や)




 多部ちゃんの入れてくれた入浴剤の香りに重い心が少し軽くなり、何も考えずぼんやり身体を温めていた。
  「っ……そろそろ出な……」
 湯船から上がり、脱衣所の鏡の前で自分を見つめ、こんな顔と身体で満足してもらえるんかな……と不安になりながらも髪を軽く乾かし部屋着に着替える。

 変なおじさんとかに売られたんちゃうし、そこはよかった。
 初めては連夜さんやし……それに店も守れたんやし……何を悲しまなアカン? 俺は自分に何度も言い聞かせながら部屋を後にした。

 ―― コンコン ――
 蓮夜さんの部屋の前に来て、控えめにノックを鳴らす。
「どうぞ」
「んっ……待たせて、ご、めっ」
「っ……」
「んっ、あっ、やっ……」
 部屋に入るとすぐに連夜さんに抱きしめられ、キスをされて舌で口腔内を弄られる。
「ちょっ……んっ、まって……」
「待てない、んっ……チュッ」
 ベッドの上で抱きしめられながら、何度も唇を合わせ、互いに飲みきれない唾液が口の横から溢れてくる。室内には俺と蓮夜さんの息遣いとピチャピチャという水音だけが響いていた。
(あ、あかん……んっ、気持ち良すぎる)
「想……可愛いよ……」
「れ、連夜さん……」

 あれからどのくらいキスしてたんかわからへんけど、ようやくチュッと唇が離れる……

(んっ……もっと……)
「……もっと?」
「んっ……もっと……したい」
「あ゛~もう!」
 そういうと連夜さんは髪をかきあげながらまた深いキスを沢山してくれる。
 (連夜さんとのキス……好きや)

 さっきから熱を持ち始めてきた下半身が少し痛いけど、とりあえず今はキスに溺れていたかった。
 
 余計なことなんて考えんくていいように……
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