溺愛コーヒーの淹れ方

茶山さく

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第一章

14 紹介

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「ありがとうございました~また来てや~」
 最後のお客さんにお礼を言って、片付けの準備に入る。


 ~カラン~


「あ、すみませんもう終わりなんです……」

 営業時間変更になって午後五時までやしなぁ。
 今から、連夜さんの所に帰らなあかんねんけど……今朝のキ、キスもあるし、どんな顔して帰ったらええねん。

「あ、間に合わなかったか」

 そうそうこのイケメン!
 って、えぇ~!!
 何でおるねん!
「迎えに来たよ?」
「っ……//」
「想?どうしたの?顔赤いけど」
「あ、あついからや……」

 迎えに来たって笑顔で言われてもさ、俺彼女ちゃうし。
 それに男やしさ……俺は借金のかたの奴隷?いやペット?おもちゃ?ん~よー分からんけどそんな感じやろ?

(いたっ……)
 何でかチクリと胸が痛いし、優しくするんはやめてほしい。

「ふふ、どうしたの?」
「後で、1人で帰るで?それに、夏目さんも迎えに来るて言うてたし」

「もしもし?想は俺が迎えに来たからいらない」
「……そう」
「えっ?」
「はい、これでオッケー」

 多分夏目さんに電話したんやんな?電話して秒やったけど。

「あ~あ、コーヒー飲みたかったな。まあ、家でいっか」
「いや、こっちで飲んだ方が安いで?」
「ふふふ、ありがとう。でもこれから想と行かないといけない所あるし、また次の機会にね?」

 そういうと連夜さんはじっと携帯を見て、ため息をつきながら言った。


 ーーーーーー


 連夜さんに見つめられながらで、正直記憶が曖昧やけど何とか片付けを済ませて、店の二階にある自分の部屋に、数日分の着替えとか取りに行って、今は連夜さんが乗って来た黒塗り高級車の後ろの席に一緒に座ってる。


 何か、ずっとさっきから無言やけど、どこ行くんやろか?





「想、着いた」
「えっ、ここって……」

 めちゃめちゃデカい会社のエントランスに停められたんやけど、ちょうどその会社の人達が終わった時間みたいで、人がえらいいっぱい出てきたし……めちゃくちゃ注目浴びてる?

 連夜さんは何てことない様子でその会社に入ると、エントランス近くにあるエレベーターとは違う、誰も人がおらん奥のエレベーターに乗った。

 なあ、このエレベーター降りる階の表示が1Fともう一つしかない?

 多分予想通りこれって最上階のボタンやんな。
 最上階ってさ、だいたい社長とかがいるんやろ?
 まあ、連夜さんも社長やしなぁ……知り合いの社長と会うの?

 頭にハテナマークがいっぱいやけど、とりあえず連夜さんに手を引かれるまま、重そうな扉の前にやってきた。

 ってか、手離してくれへん!?
 し、しかも、恋人繋ぎやし////

 恥ずかしくなって俯いてるうちに、ノックもせずにドアを開けてズカズカと入り出した。
「ちょっと、ノックぐらいしよーよ」
「るせー、わざわざ来てやったんだから」

「ねぇ、ちょっと待って……うわぁ~連夜が手繋いでる?!やばいやばい!パパとママに報告しなきゃ!写真、写真!」

 やめろよって言うくせに全く俺の手を離そうとせん。
 あ~もうっ!!
「連夜さん、は、離して?」
「……チッ」
 おずおずと下から見上げるとなぜか舌打ちされたけど、ようやく手を離してくれたわ。


 手が離れてようやく顔を上げることが出来たから、前を向いたけど……
 めちゃくちゃ綺麗な顔の少年のような青年?がびっくりした顔でこっちを見てた。

 えっ…天使?リアル天使なんか?可愛いすぎひん!?
 身長は連夜さんより高そうやし……それに足長っ!
 何なんや??モデル?芸能人?

 もうパニックや!!


「えっと、ごめんなさい、連夜が素直に言う事聞くし……想くんは可愛いしで時が止まってたよ~」
「いや、可愛くはないし、どっちかいうと……」
 目の前のあなたの方が可愛さの化身や!って伝えたいんやけど……

  「ふふふ、声まで可愛いね。あ、そうだ。自己紹介がまだだったね!僕はかいだよ~二十歳になったばかりです!あ、櫂呼びでいいからね?連夜とは義理の兄弟です!この会社の社長してまーす!」

 いや、情報多すぎるって!

「えっと想くんだよね?昨日連夜が借金肩代わりしたっていう…大丈夫?変な事されてない?危なかったら僕に言ってね?あ、パパ達から電話来た!もっしも~し、うん、想くんだよ~、そうそう、昨日言ってた!あ、連夜?代わるね?」

 櫂はそう言うと連夜さんに電話を渡し、受け取った連夜さんは部屋を出ていった。

「あら?行っちゃったね~じゃあ想くんとお話しする~」
「えっ……?は、はぁ…」
「もう!他人行儀なんだから~これから家族になるかもなのに?」
「か、家族って…」
「あ、男同士を気にしてる?大丈夫!僕のパパとママは男同士だし!あ、まあ僕達とは血は繋がってないけどね?……引いた?」
「えっ……いや、、、好きになったら性別なんてどうでもええし。それに血の繋がりなんか無くてもお互いが家族やと思ったら家族やん!誰かを愛せるって素敵な事やと俺は思う……」


「もー想くんいい子~!可愛いっ!好きー!ねぇ、連夜なんかやめて僕にしない?」
 ギュッって目の前の櫂に抱きしめられる…
 で、デカい…大型犬みたい…
「想、何やってんの?」
 グイッと首元を引っ張られ、連夜さんの腕の中に納まる。

「……帰る」
「嫉妬深い男はやだね~」
「……」
「ふふ、でも連れて来てくれてありがとう。あ、想くん、連夜に酷い事されそうなら言ってね~?助けるから!」

 じゃあパパ達ともまた会ってね~と言う櫂にバイバイしながら連夜さんとビルを後にした。


 ……連夜さんなんか怒ってる?
 さっきから無言やけど……
  「あ~もう、連れてくるんじゃなかった」
 そう言うと後部座席で噛みつくようなキスをしてくる。

 訳わからんわぁ……
「想……足りない」
「んっ……連夜さん……やらぁ」



 どんだけキスされてたんかわからんけど、気付けば家まで帰ってたわ。

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