溺愛コーヒーの淹れ方

茶山さく

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第一章

10 悪魔降臨

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 連夜side



 ……想、どんな顔するかな?

 昨日初めて出会ったはずなのに、想に笑って欲しい気持ちと、困った顔をみたい気持ちと、泣かせたい気持ちが心の中でグチャグチャしている。

 俺って好きな子に意地悪したいタイプみたいだ……
 そして、その後はデロデロに甘やかして俺以外見えないぐらい依存させたい。

 用意をしながら、契約書を見た時の想を想うと自然と口角が上がっていく。

 さて、想に会いに行くか……





 ◇◇◇◇◇◇◇




 ……冗談やんな?


 【契約書補足】

 コーヒー店は月~金10時~17時の営業時間とするが、連夜との時間を優先すること。
 店の売り上げはここでの生活費と返済とする。
 他の借金返済方法としては、以下の項目通りとする。


 連夜の為に入れるコーヒー……五十万円
 連夜呼び……0円(喜ぶ)
 モーニングコール……一万円
 直接起こし……十万円
 一緒にご飯……一万円
 一緒にお風呂……十万円
 手料理……0円(喜ぶ)
 手繋ぎ……一万円
 ハグ……一万円
 膝枕……三万円
 .
 .
 .
 

 こんな感じでズラっと記載がある。

 えっ…
 
 怖いんやけど?


 パラパラ書類を捲ってるけど、さっきから冷や汗が止まらへん!

「あ、多部ちゃんこれって……」
「う、うん。動揺するのはわかるよ……俺達もよく分からないんだけど、と、とにかく連夜に言われたままにまとめた結果がこれだし……」
「そうとう連夜に気に入られたね?」
 多部ちゃんと夏目さんも何でかは、よくわかってないみたいやねんけど……ホンマになんこれ?

「うーん……なんやねんろ?」
 ……でも、多部ちゃんの隈がなんで出来たんか、今ならわかる気がする。この書類深夜に作ったってことやろ??ヤバいって!

 その後も冊子をめくっていくと、細かい事が沢山書かれてたんやけど……





 ……っ


 【契約書補足※ここからはR18とする】

 返済を急ぐのであればこっちが一番手っ取り早い。


 う……うそやろ??


 ま、まじで言ってるん??


 ……ひぃっ



 キス……十万円
 想からのキス……二十万円
 触り合い……五十万円
 フェラ……百万円
 想からのおねだり……三十万円
 コスプレ……三十万円
 潮吹き ……五十万円
 セックス(回数無制限)……二百万円
 中出しセックス(回数無制限)……五百万円
 .
 .
 .
 .
 妻……返済不要


「……えっ…な、何言ってるん//?」

 冗談やんな?
 冗談やんな!?
 冗談であってくれ!!

 ってか、怖すぎてこれ以降のページが全くめくれへんねんけど……俺はそういうので買われたって事なん?

 い、嫌や!!
 今からでも…何とか返済方法を考えな!!
 と、とりあえずこの契約書は無理や!

 あかんて、また泣きそう……

 その時、カチャっと後ろのドアが開き誰かが入って来たみたいやった。

 けど…当然この場におらん人やとすると……


 ギュッ

「想、おはよ」

 強く後ろから抱きしめられて、耳元で囁かれる……この契約書を作った悪魔!じゃなくて、連夜さんに。 

「……」
「あれ?おはようは?」
「…お、おはようございます…」
 ギュッ!っとさっきより力を込めて、なんか怒りを込められつつ抱きしめられるんやけど……

 痛いっ!なあ、痛いって!
  
「違うよね?」
「……っ、連夜さん、お、おはよ」
 俺の言葉に満足したんか、身体の拘束がフワリと解け、にっこり笑う連夜さんが横に座って来た。

 ……朝からイケメンとかなんやねん!!


「多部ちゃん、想に説明してくれたんだ……ありがと。で、想、もう契約書書いた?」
「い、いや、あの、そのことやねんやけど……」
「ん?書くよね?」
 すんごい圧やねんけど……

「や、やからあの、内容はちょっと……」
「書くよね?イエスしかないはずだけど?」
「……」
「まぁ、嫌なら店の事も白紙にしないと……」
「……か、書きます!!」
「じゃあさ、目の前で書いてね」
 

 ……と、とにかく一刻も早く借金を返して逃げるしかない。俺は震える手で一字一字、自身の名前を書いた。

「ん、いい子」
「じゃあ、手始めにコーヒー淹れて来てもらおうかな」

 一杯五十万円のか…
 よし、とりあえずこの悪魔から逃げよ!
 そんで、返済のためにコーヒー淹れまくるんや!
 って意気込みながら、立ち上がろうとした。

「うん、ほなキッチンに行ってくる」
「あ、想……忘れ物」
「えっ?忘れ物?ってなんかあったかな~」


 その瞬間、唇に柔らかいものが触れる……


 えっ??

 目の前にはイケメンのドアップ……

「じゃあよろしくね」
「……っ!//うわぁぁぁ!!!!」
「ククク……」
「な、なんで…き、キスするんや!!……あほっ//」

 声高らかに笑う声がする部屋を逃げるように出て来たけど……あの人危険すぎるし、やばいんやけど?
 
 
 俺この先、一体どうなるんやろか……


 真っ赤な顔を抑えながら、俺はとにかくコーヒーを淹れるべく、よたよたとキッチンへ向かった。








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