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最終章
白い檻
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「なぁ先生、三島先生」
「なんですか」
「ありゃあ一体どうなっとるんです」
「あれ、とは……」
「あれですよ、あれ、ゴミの山」
そう問いただす藤野智史教諭の口調には静かな怒気が含まれていた。
火が迫っていた。
山本千代子は慄いた。
空襲だ──。
彼女の周りには誰もいない。
先生も、生徒も、しょう子ちゃんも、夏子ちゃんも。
これは夢だ──。
千代子は赤い糸をギュッと握り締めた。
夢だ夢だと思いながら走り続けた。
ババババ、バババババ、と風を切り裂く何かが迫ってくる。
バラバラ、バラバラバラ、と屋根に小石が傾れるような奇妙な音が聞こえてくる。
「助けて!」
千代子は立ち止まった。
「誰か助けて!」
その場に蹲って目を瞑った。
誰か──。
すると温かな光が背中に差した。
いいや、それは手の温もり。
誰かが背中に手を添えている。
あの人だろうか、あの子が王子と呼んだあの人が私を迎えに来てくれたのだろうか──。
「千代子ちゃん、立って!」
それは男の声だった。
まだ声変わりを迎えていないような少年の声。
千代子はそっと顔を上げた。
あの人ではなかった。
では、この人はいったい誰なのだろう。
「走って!」
言われるがままに立ち上がった。
そうして千代子は走り出した。
少年に手を握られながら。
少年の背中を見つめながら。
何だか熱いなぁ──。
空襲に怯えながら、必死の呼吸を続けながら、千代子はどうしてだか呑気にそんなことを思った。
三島恒雄が気にしていたのは周りの視線だった。
職員所は普段よりも静かで、まばらに座った教員たちの視線がこちらに集まっているように思える。
「あれは……あれはですねぇ」
三島は広い額に浮かんだ汗を拭った。彼は耐え難い屈辱感を覚えていた。だから常々そうするように先ず反論から入った。
「あれは、藤野先生、いわば公平なる土地の共有であるとのこと。彼らからすればですがねぇ」
「はあ?」
「九千万人一列行進。日の丸の精神に則った平等な土地配分であるとのこと。そう言われますとねぇ、こちらとしましてもねぇ、まぁ一応公有地であるわけでございますから」
「なぁ三島先生」
「ええ、当然ながらワタクシとしましても許容し難い話ではございます。ですが日本国という限られた土地において、共有という概念は……」
「三島くん」
三島はギョッと身を強張らせた。すぐに怒髪天を突く形相となるも「藤野くん」と言い返すことは出来ない。この藤野という男は三島より一つ歳が下だった。だが、その横に広い腹と鼻筋の太い容貌からずっと年上のようで、声にも貫禄が備わっていた。さらにこの時は三島本人にも後ろ暗い所があったために、ことさら強く出ることは難しかった。
「ここは三浦家の屋敷の跡地。土地の相続人は三浦家の現当主であられる泰造殿。この学校は公有地ではござらん」
「いえ、いいえ、いいえ、土地は国に返還されているという……話で、泰造という方はあくまでも養子という……噂で、さらには満州におられるとの……事」
やっとのことで首を振ってみせた。だが、わななく声は響かない。
実際のところ土地問題は複雑だった。
三浦家の当主であった三浦康則が若くして逝去すると、それに続くようにして長女の三浦ハルが不審な死を遂げた。その娘の死があまりに凄惨であったこと、そして元々曰くある土地だったということから、康則の妻であった三浦フミも幼い次女を連れて隠居してしまった。そこから土地は国に返すという要望が出たのが数年の後。すでに土地の所有権は誰にあるかという問題で沸き立っており、代々続く家柄であったことから候補者が続出していた。その中でも特に有力とされていたのが康則の実の姉で、来栖家に嫁いだイネの一人息子である来栖泰造。彼は三浦康則の養子とされていた。だが、その事実は本家の妻であったフミでさえも知らされていなかった──イネによれば経済的困窮から弟の本家を密かに頼らざるをえなかったとのこと──。そのため、相次ぐ三浦家の不審死と相まって、初めから遺産目当てであったのではないかと疑惑の目が向けられた。
しかしそれらはあくまでも土地に関しての問題だった。当の屋敷はといえば長年放置されたままで、元々曰く付きの上、相次ぐ不審死により誰も近付こうとしない。そうこうするうちに日本の情勢が変わってしまう。軍国主義の時代となると、ハルの要望通り三浦家の広大な土地は全て国が利用する事となり、屋敷の跡地には学校が建てられた。土地の相続問題はいつまでも宙ぶらりのまま、こうして世界大戦という未曾有の事態を迎えてしまったわけである。
「……貴方は今、この日の本に対して限られた土地という表現をしなさったが、それは一体どういう了見か!」
藤野も当然そのことは知っていたため、多少語気荒げながら話を変えた。
「我が国は列強に対して快進撃に快進撃を続けている。今や大東亜共栄圏の主とも呼べる大帝国を気付き上げている。にも関わらず、限られた土地というのは一体何処を指したものか」
「そ、それは……」
「まぁその話はおいおいしていく事として。なぁ三島くん、先ずはあのゴミの山だよ、アレを早く何とかしたまえ。まったく、臭くて敵わん。あそこは大切な防空壕の入り口でもあるのだぞ」
「はぁ、しかし……」
「まさか貴方までもが加担しているというわけではありませんな?」
三島はカッと耳を赤くした。
戦国の世から続く三浦家の屋敷には抜け穴が存在した。太平の世においてそれは無用の長物でしかなかったが、世界大戦という未曾有の危機に際して、防空壕としての役割を果たすこととなった。しかし問題が発生していた。どうしてか二つある防空壕の入り口の一つが投棄場として使われるようになったのだ。
それは町に近いわりに人けのない学校の西側がゴミ捨てにちょうど良かったからかもしれない。もしくは相続問題に絡んだ何かだったのかもしれない。
そんな原因など三島にはどうでもよかった。彼にとっての問題は彼自身がそこに物を捨ててしまったという事だ。さらにその現場を生徒に見られてしまった。噂は瞬く間に広がって、とうとう同僚から問い詰められると、三島はやはり絶え難い屈辱感に苛まれながら、強い口調で「片付けようとしていたのだ!」と反論した。実際に捨ててしまったという後ろめたさもあった。
自分は何も知らない。
そう否定しておけば良かった。
もしくは素直に謝っておけば──。
後悔したところで後の祭りだった。
徳山吾郎はいつになく騒々しい。
彼は早く外に出たかった。
その為、幼馴染である三原麗奈がどれだけ不機嫌になろうとも「ほらほらほらほらぁ!」と彼女を急かし続けた。麗奈の整った顔にどれほどの殺気が現れようとも、末代まで呪うぞと言わんばかりに凄まれようとも、渾身の膝蹴りを急所に喰らわされようとも、吾郎は怯まなかった。もはや精神的に限界だった。それはあたかも冤罪により牢獄に入れられた囚人のように、吾郎はなりふり構わず、暖かな日の元への帰還を叫び続けた。
「待って」
だが、その一言に拒まれてしまう。
いったいこれ以上何を待てというのか。
吾郎には何一つとして理解出来なかったし、麗奈を心の底から恨みもした。今も麗奈を上目遣いに睨んでいる。
しかし彼女には彼女なりの憂いがあったのだ。
「やっぱり皆んなで一緒に出た方がいいと思う」
麗奈は過去が変わってしまっている可能性を考慮していた。さらにこれから変わるであろうことも──。つまり時間軸のズレによって記憶に差異が生まれ、それによって今いる彼や彼らとの間に永遠の別れが訪れるであろうことを、彼女は憂いていた。しかし別れが辛いなどとは口が四方に裂けても言えない。その為、ただムスリと、咽ぶ吾郎の鼻を摘むようにして、出口とは真逆の校舎の西側に向かって歩いていた。
「嫌だ嫌だ嫌だぁ、もうこれ以上は我慢ならない! 早く出口まで案内してくれぇぃ! こ、こ、これは命令だ! もうこれ以上は待てないんだぁあ!」
「だから皆んなで一緒に出ようって、ね?」
「嫌だ、絶対に嫌だ、絶対に絶対に絶対に今すぐ外に出るんだ! 皆んなには悪いけど僕は先に帰らせてもらうぅ!」
「もー、吾郎クンだって皆んなが心配じゃん」
「はっ! 傍若無人な王子の口から心配なんて言葉が出てくることの方が心配さ!」
「はい?」
「い、今のは流石に取り消そうかな……」
やがて吾郎は諦めたように黒縁メガネを落とした。皆が心配だという言葉については同意見だった。
木造の校舎は彼らにとっては見慣れない古臭いものだった。ただ、どうにも新しい匂いが感じられる。泣く子も黙る幼馴染の笑顔により幾分か落ち着きを取り戻した吾郎はいつかの林間学校を回想した。あの時の廃校と比べればむしろ活気に満ち溢れている、と、そっと月に照らされた教室を覗き込む。すると黒板に残された生徒の落書きと目が合う。果たしてそれが猫であるか狸であるか。吾郎は見極めようとレンズを拭いた。だが、分からなかった。
階段を過ぎる頃、吾郎はかすかな肌寒さを覚えた。この時代だと薪ストーブだろうか。そんな事を考えていると、立ち止まっていた麗奈と衝突してしまう。吾郎は情けない悲鳴を上げ、思わず彼女の背中にしがみ付いた。冷たい瞳に似合わぬ柔らかな感触。吾郎の頬がサッと青ざめる。すぐに謝罪の言葉を叫びつつ廊下に平らとなった彼はさながら冬のカエルのようだった。麗奈はといえば特に気にしていない様子で、普段通り「後で生きたまま土葬してあげる」と侮蔑の目を向けながら、校舎の西の端にある教室の扉を開けた。
「おい起きろ、バカども!」
そこは理科室のようだった。がらんとした部屋には広い机が数台、まばらに置かれた丸椅子、壁際のガラス棚にはホルマリン溶液に浮かんだカエルが数匹並んでいる。他は背の低い人体模型とよく分からない道具が数点。微かなアルコールの匂いが鼻についた。
いやに寒いなぁ──。
吾郎はまずそう思った。戦時中の理科室などと多少興味深くはあったが、そんな事よりも衣服を突き抜ける寒さの方が気になる。理科室の真ん中には「俺ら、暴走族っす」と言わんばかりの格好をした男たちが大の字になっており、吾郎は露骨に嫌悪感を表したが、やはりどうにも寒さの方が我慢ならなかった。
「ねぇ起きてよー。おーい野洲クン、朝だよー」
「な、なぁ麗奈さん、これ」
「まさか顔踏まれて喜んでるのかな? スタンガンでアソコ焼かれたいのかなぁ?」
「なぁ麗奈さん!」
「はいはい何ですかー。もー君もコイツら起こすの手伝って……」
振り返った麗奈は怪訝そうに口を窄めた。彼女の瞳に映ったのは純白の結晶。暗い廊下に舞い散る雪だった。
「雪……」
それらは初冬の曇天に見かける牡丹雪に近い。ポタポタと落ちていく塊には温かささえ感じられる。いいや、実際に理科室は温かかった。対して廊下は異様に静かである。
吾郎は濡れた肩を払いながら理科室に飛び込んだ。麗奈の隣に立つと、彼女と同じように、降り積もっていく雪に魅入る。夜の校舎では不可解なことばかり体験した。それでも校舎の中で雪を見るのはこれが初めてだった。別に炎や血の濁流と比べれば気にするまでもない小事だろう。だが、音もなく淡々と夜を埋めていく雪の穏やかさには、それまでにない不気味さが備わっていた。
「お、おい、お前らっ、下がれ!」
吾郎は驚いて飛び上がった。暴走族らしき男の一人が目を覚まし、開口にそう怒鳴ったのだ。
野洲孝之助はフラフラと今にも倒れそうな状態で何とか片膝を付いていた。さらに早瀬竜司も目を覚ますと、孝之助とは打って変わった俊敏な動きで身を翻し、降り頻る雪に向かって犬歯を剥き出しにした。
寝起きが悪いのだろうか──吾郎は若干引いてしまう。麗奈もまた呆れ顔で、しかし何か妙であると、吹雪の奥に空色の瞳を細めた。
「あの雪女は何処行きやがった!」
「雪女って?」
「あの死んだ女だ!」
「君、寝惚けてる?」
「あの雪女は死んでやがった! 凍ったみてぇに真っ白で、もうどうしようもねぇくらいに冷たかった! だから話が通じなかったんだ、チクショウッ!」
竜司は錯乱状態にあるようだった。目の焦点が合っておらず、寒さを堪えるようにガタガタと震えている。だが、その叫びには真に迫るものがあった。雪女──麗奈は降り頻る雪を見つめた。嫌な予感がした。ザワザワと産毛が逆立った。
「キザキさんは何処だ?」
そう孝之助が問う。
麗奈は驚いて瞳の色を濁した。
「キザキがここに居るの?」
「あ、ああ……いや、待て、お前は確かモチヅキの女じゃ」
「ああ、もう愚鈍! だから君は負けてばっかなの!」
「何だとッ!」
「モチヅキなんて男はこの世に存在しない。アレは私だった」
「そうか、やはり……」
「そんな話はどうだっていいの! それよりキザキがここに居るってどういう事?」
「ううむ、それついては俺にもよく分からんのだ」
孝之助は言い難そうに口に手を当てた。
「すべて聞いた話なのだが、何でもあの人は三人目の王子とやらで、だから死後ここにやってきたとか……」
麗奈は降り積もっていく雪に視線を戻した。木崎隆明が三人目の王子であるということは既に知っていた。だが、それとこれとは話が別だろうと彼女は考えた。何故なら彼女には四人目の王子である白崎英治の記憶があり、さらに彼女自身が五人目の王子だった。そんな彼女にとって王子とはあくまでも巻き込まれただけの哀れな人であり、現時点で王子と夜との潜在的繋がりを意識することは叶わなかった。
「まぁ、何か企んでるんでしょーけど」
そう呟き、目を瞑る。
木崎隆明は小野寺文久と繋がりがあった。
ゆえに彼もここを訪れられた。
理由は分からないが、それ以上は考えても仕方がない。
麗奈はスッと前を見つめた。空色の視線がゆらゆらと舞い降りる雪の一雫を捉える。優先順位を間違えてはならない、と。そう息を吐き出し、麗奈は降り頻る雪に向かってゆっくりと手を伸ばした。
「待って──」
それは激痛が走るのと同時の事だった。麗奈はビクッと手を引いた。
「待っててね、麗奈──」
指先が凍ってる──。
麗奈はゾッとして中指に舌を絡ませた。
あれは確かに悲鳴だった──。
麗奈は鼓動を抑えようとギュッと手を握った。
彼女は私を呼んでいた──。
「ねぇ!」
そのよく通る声に孝之助は驚いた。
「雪女って誰のこと?」
「誰、と言われても……」
「誰のことなの!」
「制服を着ていたし、この学校の者だろう事は確かだった。しかしいつの時代の者かまでは分からん」
「どういう意味?」
「すでに死んでいたのだ。先ほど竜司が言った通り。あれは恐らくは凍死だ」
麗奈は絶句した。瞳の色が黒く濁っていく。無意識に左の頬に手を当てた彼女はヨロヨロと後ろを振り返った。
「それにキザキさんとも知り合いのようだった。何やら三島恒雄という人物を殺す殺さぬで揉めていた様子で……あ、待てっ!」
孝之助は咄嗟に麗奈の腕を掴んだ。彼女は呆然としたまま、今や吹雪と化した廊下に飛び出ようとしていた。
「出るな! 死にたいのか!」
「は、離して……!」
「これは普通の現象ではない!」
「離して! 行かせて!」
「あの吹雪の下では数刻と持たんぞ! 俺たちもそれで死に掛けたんだ!」
「紗夜が! 紗夜が!」
「麗奈さん!」
吾郎も慌てて麗奈に飛び付いた。白い渦が轟々とうねりを上げ、漆黒の夜を呑み込んでいく。理科室の向こうはすでに白銀の世界だった。
早瀬竜司のみが普段より幾分か落ち着いた様子で雪を眺めていた。発狂する麗奈と、彼女を止めようとする二人の横をするりと抜け、白銀の夜をジロリと睨む。雪の嵐は理科室と廊下の境界線に遮られていた。まるでガラスに映った景色のように美しい。竜司は舌打ちをすると、先ほどの麗奈と同じように、吹き荒れる雪に向かって手を伸ばした。
「いってぇ」
そうして彼女と同じように指を舐めた。理科室の空気は暖かく、穏やかで、そこが実際に極寒の地獄であるかどうかは触れてみなければ想像も付かない。
「おい」
竜司はガシガシと長い髪をかきながら、その場にドシンと尻餅を付いた。
「閉じ込められたぜ、俺たち」
「なんですか」
「ありゃあ一体どうなっとるんです」
「あれ、とは……」
「あれですよ、あれ、ゴミの山」
そう問いただす藤野智史教諭の口調には静かな怒気が含まれていた。
火が迫っていた。
山本千代子は慄いた。
空襲だ──。
彼女の周りには誰もいない。
先生も、生徒も、しょう子ちゃんも、夏子ちゃんも。
これは夢だ──。
千代子は赤い糸をギュッと握り締めた。
夢だ夢だと思いながら走り続けた。
ババババ、バババババ、と風を切り裂く何かが迫ってくる。
バラバラ、バラバラバラ、と屋根に小石が傾れるような奇妙な音が聞こえてくる。
「助けて!」
千代子は立ち止まった。
「誰か助けて!」
その場に蹲って目を瞑った。
誰か──。
すると温かな光が背中に差した。
いいや、それは手の温もり。
誰かが背中に手を添えている。
あの人だろうか、あの子が王子と呼んだあの人が私を迎えに来てくれたのだろうか──。
「千代子ちゃん、立って!」
それは男の声だった。
まだ声変わりを迎えていないような少年の声。
千代子はそっと顔を上げた。
あの人ではなかった。
では、この人はいったい誰なのだろう。
「走って!」
言われるがままに立ち上がった。
そうして千代子は走り出した。
少年に手を握られながら。
少年の背中を見つめながら。
何だか熱いなぁ──。
空襲に怯えながら、必死の呼吸を続けながら、千代子はどうしてだか呑気にそんなことを思った。
三島恒雄が気にしていたのは周りの視線だった。
職員所は普段よりも静かで、まばらに座った教員たちの視線がこちらに集まっているように思える。
「あれは……あれはですねぇ」
三島は広い額に浮かんだ汗を拭った。彼は耐え難い屈辱感を覚えていた。だから常々そうするように先ず反論から入った。
「あれは、藤野先生、いわば公平なる土地の共有であるとのこと。彼らからすればですがねぇ」
「はあ?」
「九千万人一列行進。日の丸の精神に則った平等な土地配分であるとのこと。そう言われますとねぇ、こちらとしましてもねぇ、まぁ一応公有地であるわけでございますから」
「なぁ三島先生」
「ええ、当然ながらワタクシとしましても許容し難い話ではございます。ですが日本国という限られた土地において、共有という概念は……」
「三島くん」
三島はギョッと身を強張らせた。すぐに怒髪天を突く形相となるも「藤野くん」と言い返すことは出来ない。この藤野という男は三島より一つ歳が下だった。だが、その横に広い腹と鼻筋の太い容貌からずっと年上のようで、声にも貫禄が備わっていた。さらにこの時は三島本人にも後ろ暗い所があったために、ことさら強く出ることは難しかった。
「ここは三浦家の屋敷の跡地。土地の相続人は三浦家の現当主であられる泰造殿。この学校は公有地ではござらん」
「いえ、いいえ、いいえ、土地は国に返還されているという……話で、泰造という方はあくまでも養子という……噂で、さらには満州におられるとの……事」
やっとのことで首を振ってみせた。だが、わななく声は響かない。
実際のところ土地問題は複雑だった。
三浦家の当主であった三浦康則が若くして逝去すると、それに続くようにして長女の三浦ハルが不審な死を遂げた。その娘の死があまりに凄惨であったこと、そして元々曰くある土地だったということから、康則の妻であった三浦フミも幼い次女を連れて隠居してしまった。そこから土地は国に返すという要望が出たのが数年の後。すでに土地の所有権は誰にあるかという問題で沸き立っており、代々続く家柄であったことから候補者が続出していた。その中でも特に有力とされていたのが康則の実の姉で、来栖家に嫁いだイネの一人息子である来栖泰造。彼は三浦康則の養子とされていた。だが、その事実は本家の妻であったフミでさえも知らされていなかった──イネによれば経済的困窮から弟の本家を密かに頼らざるをえなかったとのこと──。そのため、相次ぐ三浦家の不審死と相まって、初めから遺産目当てであったのではないかと疑惑の目が向けられた。
しかしそれらはあくまでも土地に関しての問題だった。当の屋敷はといえば長年放置されたままで、元々曰く付きの上、相次ぐ不審死により誰も近付こうとしない。そうこうするうちに日本の情勢が変わってしまう。軍国主義の時代となると、ハルの要望通り三浦家の広大な土地は全て国が利用する事となり、屋敷の跡地には学校が建てられた。土地の相続問題はいつまでも宙ぶらりのまま、こうして世界大戦という未曾有の事態を迎えてしまったわけである。
「……貴方は今、この日の本に対して限られた土地という表現をしなさったが、それは一体どういう了見か!」
藤野も当然そのことは知っていたため、多少語気荒げながら話を変えた。
「我が国は列強に対して快進撃に快進撃を続けている。今や大東亜共栄圏の主とも呼べる大帝国を気付き上げている。にも関わらず、限られた土地というのは一体何処を指したものか」
「そ、それは……」
「まぁその話はおいおいしていく事として。なぁ三島くん、先ずはあのゴミの山だよ、アレを早く何とかしたまえ。まったく、臭くて敵わん。あそこは大切な防空壕の入り口でもあるのだぞ」
「はぁ、しかし……」
「まさか貴方までもが加担しているというわけではありませんな?」
三島はカッと耳を赤くした。
戦国の世から続く三浦家の屋敷には抜け穴が存在した。太平の世においてそれは無用の長物でしかなかったが、世界大戦という未曾有の危機に際して、防空壕としての役割を果たすこととなった。しかし問題が発生していた。どうしてか二つある防空壕の入り口の一つが投棄場として使われるようになったのだ。
それは町に近いわりに人けのない学校の西側がゴミ捨てにちょうど良かったからかもしれない。もしくは相続問題に絡んだ何かだったのかもしれない。
そんな原因など三島にはどうでもよかった。彼にとっての問題は彼自身がそこに物を捨ててしまったという事だ。さらにその現場を生徒に見られてしまった。噂は瞬く間に広がって、とうとう同僚から問い詰められると、三島はやはり絶え難い屈辱感に苛まれながら、強い口調で「片付けようとしていたのだ!」と反論した。実際に捨ててしまったという後ろめたさもあった。
自分は何も知らない。
そう否定しておけば良かった。
もしくは素直に謝っておけば──。
後悔したところで後の祭りだった。
徳山吾郎はいつになく騒々しい。
彼は早く外に出たかった。
その為、幼馴染である三原麗奈がどれだけ不機嫌になろうとも「ほらほらほらほらぁ!」と彼女を急かし続けた。麗奈の整った顔にどれほどの殺気が現れようとも、末代まで呪うぞと言わんばかりに凄まれようとも、渾身の膝蹴りを急所に喰らわされようとも、吾郎は怯まなかった。もはや精神的に限界だった。それはあたかも冤罪により牢獄に入れられた囚人のように、吾郎はなりふり構わず、暖かな日の元への帰還を叫び続けた。
「待って」
だが、その一言に拒まれてしまう。
いったいこれ以上何を待てというのか。
吾郎には何一つとして理解出来なかったし、麗奈を心の底から恨みもした。今も麗奈を上目遣いに睨んでいる。
しかし彼女には彼女なりの憂いがあったのだ。
「やっぱり皆んなで一緒に出た方がいいと思う」
麗奈は過去が変わってしまっている可能性を考慮していた。さらにこれから変わるであろうことも──。つまり時間軸のズレによって記憶に差異が生まれ、それによって今いる彼や彼らとの間に永遠の別れが訪れるであろうことを、彼女は憂いていた。しかし別れが辛いなどとは口が四方に裂けても言えない。その為、ただムスリと、咽ぶ吾郎の鼻を摘むようにして、出口とは真逆の校舎の西側に向かって歩いていた。
「嫌だ嫌だ嫌だぁ、もうこれ以上は我慢ならない! 早く出口まで案内してくれぇぃ! こ、こ、これは命令だ! もうこれ以上は待てないんだぁあ!」
「だから皆んなで一緒に出ようって、ね?」
「嫌だ、絶対に嫌だ、絶対に絶対に絶対に今すぐ外に出るんだ! 皆んなには悪いけど僕は先に帰らせてもらうぅ!」
「もー、吾郎クンだって皆んなが心配じゃん」
「はっ! 傍若無人な王子の口から心配なんて言葉が出てくることの方が心配さ!」
「はい?」
「い、今のは流石に取り消そうかな……」
やがて吾郎は諦めたように黒縁メガネを落とした。皆が心配だという言葉については同意見だった。
木造の校舎は彼らにとっては見慣れない古臭いものだった。ただ、どうにも新しい匂いが感じられる。泣く子も黙る幼馴染の笑顔により幾分か落ち着きを取り戻した吾郎はいつかの林間学校を回想した。あの時の廃校と比べればむしろ活気に満ち溢れている、と、そっと月に照らされた教室を覗き込む。すると黒板に残された生徒の落書きと目が合う。果たしてそれが猫であるか狸であるか。吾郎は見極めようとレンズを拭いた。だが、分からなかった。
階段を過ぎる頃、吾郎はかすかな肌寒さを覚えた。この時代だと薪ストーブだろうか。そんな事を考えていると、立ち止まっていた麗奈と衝突してしまう。吾郎は情けない悲鳴を上げ、思わず彼女の背中にしがみ付いた。冷たい瞳に似合わぬ柔らかな感触。吾郎の頬がサッと青ざめる。すぐに謝罪の言葉を叫びつつ廊下に平らとなった彼はさながら冬のカエルのようだった。麗奈はといえば特に気にしていない様子で、普段通り「後で生きたまま土葬してあげる」と侮蔑の目を向けながら、校舎の西の端にある教室の扉を開けた。
「おい起きろ、バカども!」
そこは理科室のようだった。がらんとした部屋には広い机が数台、まばらに置かれた丸椅子、壁際のガラス棚にはホルマリン溶液に浮かんだカエルが数匹並んでいる。他は背の低い人体模型とよく分からない道具が数点。微かなアルコールの匂いが鼻についた。
いやに寒いなぁ──。
吾郎はまずそう思った。戦時中の理科室などと多少興味深くはあったが、そんな事よりも衣服を突き抜ける寒さの方が気になる。理科室の真ん中には「俺ら、暴走族っす」と言わんばかりの格好をした男たちが大の字になっており、吾郎は露骨に嫌悪感を表したが、やはりどうにも寒さの方が我慢ならなかった。
「ねぇ起きてよー。おーい野洲クン、朝だよー」
「な、なぁ麗奈さん、これ」
「まさか顔踏まれて喜んでるのかな? スタンガンでアソコ焼かれたいのかなぁ?」
「なぁ麗奈さん!」
「はいはい何ですかー。もー君もコイツら起こすの手伝って……」
振り返った麗奈は怪訝そうに口を窄めた。彼女の瞳に映ったのは純白の結晶。暗い廊下に舞い散る雪だった。
「雪……」
それらは初冬の曇天に見かける牡丹雪に近い。ポタポタと落ちていく塊には温かささえ感じられる。いいや、実際に理科室は温かかった。対して廊下は異様に静かである。
吾郎は濡れた肩を払いながら理科室に飛び込んだ。麗奈の隣に立つと、彼女と同じように、降り積もっていく雪に魅入る。夜の校舎では不可解なことばかり体験した。それでも校舎の中で雪を見るのはこれが初めてだった。別に炎や血の濁流と比べれば気にするまでもない小事だろう。だが、音もなく淡々と夜を埋めていく雪の穏やかさには、それまでにない不気味さが備わっていた。
「お、おい、お前らっ、下がれ!」
吾郎は驚いて飛び上がった。暴走族らしき男の一人が目を覚まし、開口にそう怒鳴ったのだ。
野洲孝之助はフラフラと今にも倒れそうな状態で何とか片膝を付いていた。さらに早瀬竜司も目を覚ますと、孝之助とは打って変わった俊敏な動きで身を翻し、降り頻る雪に向かって犬歯を剥き出しにした。
寝起きが悪いのだろうか──吾郎は若干引いてしまう。麗奈もまた呆れ顔で、しかし何か妙であると、吹雪の奥に空色の瞳を細めた。
「あの雪女は何処行きやがった!」
「雪女って?」
「あの死んだ女だ!」
「君、寝惚けてる?」
「あの雪女は死んでやがった! 凍ったみてぇに真っ白で、もうどうしようもねぇくらいに冷たかった! だから話が通じなかったんだ、チクショウッ!」
竜司は錯乱状態にあるようだった。目の焦点が合っておらず、寒さを堪えるようにガタガタと震えている。だが、その叫びには真に迫るものがあった。雪女──麗奈は降り頻る雪を見つめた。嫌な予感がした。ザワザワと産毛が逆立った。
「キザキさんは何処だ?」
そう孝之助が問う。
麗奈は驚いて瞳の色を濁した。
「キザキがここに居るの?」
「あ、ああ……いや、待て、お前は確かモチヅキの女じゃ」
「ああ、もう愚鈍! だから君は負けてばっかなの!」
「何だとッ!」
「モチヅキなんて男はこの世に存在しない。アレは私だった」
「そうか、やはり……」
「そんな話はどうだっていいの! それよりキザキがここに居るってどういう事?」
「ううむ、それついては俺にもよく分からんのだ」
孝之助は言い難そうに口に手を当てた。
「すべて聞いた話なのだが、何でもあの人は三人目の王子とやらで、だから死後ここにやってきたとか……」
麗奈は降り積もっていく雪に視線を戻した。木崎隆明が三人目の王子であるということは既に知っていた。だが、それとこれとは話が別だろうと彼女は考えた。何故なら彼女には四人目の王子である白崎英治の記憶があり、さらに彼女自身が五人目の王子だった。そんな彼女にとって王子とはあくまでも巻き込まれただけの哀れな人であり、現時点で王子と夜との潜在的繋がりを意識することは叶わなかった。
「まぁ、何か企んでるんでしょーけど」
そう呟き、目を瞑る。
木崎隆明は小野寺文久と繋がりがあった。
ゆえに彼もここを訪れられた。
理由は分からないが、それ以上は考えても仕方がない。
麗奈はスッと前を見つめた。空色の視線がゆらゆらと舞い降りる雪の一雫を捉える。優先順位を間違えてはならない、と。そう息を吐き出し、麗奈は降り頻る雪に向かってゆっくりと手を伸ばした。
「待って──」
それは激痛が走るのと同時の事だった。麗奈はビクッと手を引いた。
「待っててね、麗奈──」
指先が凍ってる──。
麗奈はゾッとして中指に舌を絡ませた。
あれは確かに悲鳴だった──。
麗奈は鼓動を抑えようとギュッと手を握った。
彼女は私を呼んでいた──。
「ねぇ!」
そのよく通る声に孝之助は驚いた。
「雪女って誰のこと?」
「誰、と言われても……」
「誰のことなの!」
「制服を着ていたし、この学校の者だろう事は確かだった。しかしいつの時代の者かまでは分からん」
「どういう意味?」
「すでに死んでいたのだ。先ほど竜司が言った通り。あれは恐らくは凍死だ」
麗奈は絶句した。瞳の色が黒く濁っていく。無意識に左の頬に手を当てた彼女はヨロヨロと後ろを振り返った。
「それにキザキさんとも知り合いのようだった。何やら三島恒雄という人物を殺す殺さぬで揉めていた様子で……あ、待てっ!」
孝之助は咄嗟に麗奈の腕を掴んだ。彼女は呆然としたまま、今や吹雪と化した廊下に飛び出ようとしていた。
「出るな! 死にたいのか!」
「は、離して……!」
「これは普通の現象ではない!」
「離して! 行かせて!」
「あの吹雪の下では数刻と持たんぞ! 俺たちもそれで死に掛けたんだ!」
「紗夜が! 紗夜が!」
「麗奈さん!」
吾郎も慌てて麗奈に飛び付いた。白い渦が轟々とうねりを上げ、漆黒の夜を呑み込んでいく。理科室の向こうはすでに白銀の世界だった。
早瀬竜司のみが普段より幾分か落ち着いた様子で雪を眺めていた。発狂する麗奈と、彼女を止めようとする二人の横をするりと抜け、白銀の夜をジロリと睨む。雪の嵐は理科室と廊下の境界線に遮られていた。まるでガラスに映った景色のように美しい。竜司は舌打ちをすると、先ほどの麗奈と同じように、吹き荒れる雪に向かって手を伸ばした。
「いってぇ」
そうして彼女と同じように指を舐めた。理科室の空気は暖かく、穏やかで、そこが実際に極寒の地獄であるかどうかは触れてみなければ想像も付かない。
「おい」
竜司はガシガシと長い髪をかきながら、その場にドシンと尻餅を付いた。
「閉じ込められたぜ、俺たち」
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