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【第三部:とらわれの舞姫】

★★★★★第二部のあらすじ★★★★★

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※※※※※ ネタバレ注意 ※※※※※

第二部【天と地の狭間】のみのあらすじです。ここまでのあらすじすべてを知りたい方は、第二部冒頭にある【ここまでのあらすじ】→【第二部のあらすじ】の順にお読みください。
完全なるネタバレです。最初からお読み下さる方は、避けて通ってください。





 ジュノレを治す薬草を求めて旅立ったエルシャたちだったが、フェランの予見に従い、一行はまずアルマニア宮殿の南にある村、イルマへ向かう。フェランが、廃れた田舎の村でゼムズと再会する予見をしたこと、そしてフェランの失われた記憶の手がかりがイルマにあるのではないかと考えたことが理由だった。
 イルマに近づくほど様子がおかしくなるフェラン。イルマに到着し、出会った老人アルゴがフェランを「アルセーイ」と呼んだことで、フェランは気を失う。高熱にうなされ、目覚めたとき、フェランは5歳より前の記憶を取り戻していた。

 フェランは本当の名をアルセーイといい、ゼムズと同じく、イルマで生まれ育ったのだ。13年前、ゼムズとアルセーイが村の近くの森で遊んでいる間に、何者かに村を襲われ、焼き払われた。それで村の人間のほとんどが殺され、生き残ったアルセーイは、自宅で、今にも息を引き取ろうとしている母親のセイラを見つけたのだ。セイラはアルセーイの左手首を切りつけ、そこに自分の神のかけらを埋めた。そして、こういった。「もうすぐ悪魔がやってくる。神の民は根絶やしにされる。アルセーイ、逃げなさい」。必死で逃げたアルセーイは、アルマニア宮殿の草原で倒れているところをエルシャに発見されたのだ。
 記憶を取り戻したフェランは、イルマでゼムズと再会する。ゼムズもまた、フェランが幼馴染のアルセーイと同一人物であるということを思い出していた。ヘルマークの襲撃で深手を負ったゼムズは、イルマに戻り療養していたのだ。傷がまだ癒えないゼムズを残し、エルシャはフェラン、ナイシェ、ディオネ、テュリスの5人で、サラマ・エステに向かうのだった。

 一方アルマニア宮殿では、リキュスが身分制度撤廃に向け計画を進めていた。しかし、昔から彼を悩ませていた頭痛と動悸の発作が、徐々に頻度を増して彼を苦しめる。リキュスは発作のことが絶対ばれないよう隠し通すことを決意する。

 峠の宿屋ネッドで、エルシャたち一行は同じく力試しのためサラマ・エステを目指しているという剣士ののショーに出会う。意気投合した彼らはともに頂上を目指すことにするが、テル砂漠で人食い族に襲われたとき、ショーが実は破壊の民ナリューンであることが判明する。人食い族の襲撃をかわすため、サラマ・エステの頂上で会うことを約束して一行はショーと別れる。エルシャたち4人は、何とかサラマ・エステを取り囲むカマル湖にたどり着いた。
 カマル湖を渡ろうとしたとき、突然湖面が動いて彼らを水中へ引きずり込んだ。たどり着いたのは、薄暗い洞窟のような場所。歩き進めるうちに、それは何とサラマ・エステの内部だと気づく。サラマ・エステは岩山ではなく、内部構造を有する高い塔だったのだ。

 塔内の上部に達した彼らは、ディオネの破壊の力を使って壁に穴をあけ、そこから頂上へとたどり着いた。そこに待ち受けていたのは、死んだはずのジュノレの母、サルジアだった。サルジアは、悪魔と契約し二度目の命を手にしていたのだ。契約の条件は、エルシャたちを殺すことだった。神の民を探している自分たちを、悪魔が殺そうとしている。その事実に愕然としながらも、エルシャたちは死力を尽くしてサルジアを倒す。サルジアからジュノレの薬草を奪ったものの、戦いの爆風でサラマ・エステの頂上から宙に投げ出され、絶体絶命の5人。しかし、「サラマ・エステで大変なことになったら、僕の名前を呼ぶといい」といってナイシェの夢の中の少年が教えてくれた、少年の名をナイシェが叫んだとき、カマル湖の水が再び動き出し、落下する5人を包み込んで救ったのだった。彼らを湖に引きずり込んだのも、助けたのも、すべてカマル湖の水の精の仕業だった。

 薬草を持ち帰り、ジュノレは無事目覚めることができた。ジュノレの母親を自らの手で殺した負い目から、彼女を苦しませまいと身を引こうとするエルシャだったが、ジュノレもまた、エルシャへの愛情と、自分の母親を殺めたことへの憎しみとの間で苦しんでいた。二人は互いの感情に向き合い、互いを想う気持ちを再確認する。
 エルシャの弟リキュスが治めるアルマニア王国が順調に滑り出し、ジュノレも目覚めて宮殿に活気が戻ったのを見届け、エルシャたちは再びサラマ・アンギュース探しの旅へと向かうのだった。
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