129 / 150
第三章 原初の破壊編
#125 ゼノ
しおりを挟む
――カランカラン。
店の入り口が開き、それを知らせる鈴が鳴る。
「あーい、らっしゃーい」
ワックスで固めた金髪、アロハシャツ。いつもと同じ格好をした坂田ゴールデンはどっしりとレジに前に腰を下ろして、読んでいる文庫本から顔を上げないまま適当な挨拶を投げる。
誰かが入店してくる気配だけを感じて、ゴールデンは耳をそばだてる。
コツコツと暑いブーツが床を叩く音。
(子供じゃないな。でも、体重は軽い――女か)
このゴールデン屋は雑貨屋の様な駄菓子屋の様なよく分からない店。
普段来店するのは近所の子供か、子供でないなら来人の様な成長した昔からの常連くらいだ。
であれば、後者だろう。ゴールデンは客が誰なのか気になり、ちらりと文庫本から顔を上げた。知った顔なら適当にからかってやろうと思ったからだ。
しかし、目に入ったのは知らない女だった。
ふわりと空気を含んだ様に広がるフリルのあしらわれたスカート。ゴスロリチックな、まるでコスプレでもしているみたいな女の子だ。
パーマ掛かった亜麻色の髪も店内の電灯に照らされ艶々と輝いていて、丁寧に手入れされている事が分かる。
本当にどこかの御令嬢だと言われても頷ける装いだ。
そんな目立つ格好をした一見客を、ゴールデンは少し訝しむ。
こんな看板も錆びて怪しい外装の何を売っているかも分からない様な店に、こんな御令嬢が来店する事があるだろうか?
ゴスロリ姿の令嬢は中ほどで一度立ち止まり、店内を一瞥した後、レジの方へを真っすぐと見据える。
そして、小さな握り拳を胸の前に掲げ、その手を広げる。
その手からは小さな植物の種子の様なものがぽとりと落ち、店内のタイル張りの床の上へと落ちる。
そして――、轟音。
「――なッ!?」
ゴールデンはあまりの出来事に動けなかった。
ゴスロリ令嬢の転がした種子はタイル張りの床を突き破り、瞬く間に成長し、巨大な丸太程の大きさの蔦となってゴールデンを襲った。
その勢いに呑まれれば、人間であるゴールデンはいとも容易くぺしゃんこだ。
しかし、そうはならなかった。
「ゼノ、お前――!!」
ゴールデンとゴスロリ令嬢の間に、店の奥で在庫の整理を任されていたはずの少年――ゼノが居た。
ゼノは颯爽と駆けつけ、片手でその蔦を受け止めた。
雇い主を守った少年は平気な様子で、片手で蔦を掴んだまま背後を向く。
「店長、大丈夫?」
その少年の短髪の奥に覗く瞳は純粋にゴールデンを心配するものだ。
「お、おう。しかしこれはまた、どういう事だ……」
「下がってて」
ゴールデンの問いに答えることなく、ゼノはそう言って蔦を掴む手に力を込める。
「――枯れろ」
瞬間、巨大な蔦はゼノの掴んだ手を起点として、茶色く変色し、枯れて行く。
生き物の様に蠢き暴れていた蔦は動きを止め、ぱらぱらと崩れ落ちた。
枯れ蔦の奥で、ゴスロリ令嬢は詰まらなさそうに溜息を吐く。
「――はあ。ライジンの契約者、一撃で仕留めてあげようと思ったのに」
片手でパーマのかかった髪をはらりと撫でる。
ライジン――その名を聞いて、事態を呑み込めず座ったままでいたゴールデンは、手から落とした文庫本を拾い上げて立ち上がる。
「あん? お前、ライジンの知り合いか?」
「さあね」
「YESかNOで答えろよ、まどろっこしいな」
「どちらでもいいじゃないの。あなたはここで死ぬ」
ゴスロリ令嬢は再び拳を握る。
「――させない」
しかし、その拳が開く前にゼノが動く。
脱兎の如く床を蹴ったゼノが、令嬢の華奢な身体を蹴飛ばし、店の外へ吹っ飛ばす。
ふわりとドレスが揺れて、宙を舞う。
ゼノはそのまま、店外へと追って行った。
ぽつんと、店内には坂田ゴールデンが一人残された。
「……はぁ。なんだってんだ、全く――」
床のタイルは剥がれ、山積みされていた陳列棚も崩れ、店の中はぐちゃぐちゃだ。
後始末の事を考えてげんなりしつつも、ゴールデンは文庫本を乱雑にレジ台に放り投げた。
「――臨時休業だ」
アロハシャツを着直し、派手な金髪を掻き上げる。
ゴールデン屋の隣に併設された公園。そこを舞台に、ゼノと令嬢は対峙していた。
「私の仕事は、ただの人間を一人殺して帰る――そういう楽な仕事のはずだったのだけれど。あなたは?」
「……ゼノ。ただ、それだけ」
「ふうん。人間、よね……? まあいいわ――」
目の前の少年を上から下までじろじろと舐める様に見た後、
「――十二波動神が一柱、セレス=シルヴィア。十二の柱の中では一番の若輩者だけれど、許してね」
そう名乗り、拳を握った。
セレスが握り拳を広げれば、先ほどよりも多くの小さな種子が零れ落ちる。
それらは地に触れれば瞬く間に蔦の形を成し、ゼノへと襲い掛かる。
ゼノは仁王立ちのまま、その瞳だけをぎょろりと動かして蔦の軌道を読み、素手で掴み取る。
その掴み触れた端から、またもや蔦は枯れて行く。
「ふぅん。そういう感じなのね……。じゃあ、こうしましょう」
セレスは握り拳を開き、再び種子を落とす。
今度の種子は、漆黒のオーラを纏っていた。そのオーラは――『破壊』。
真っ黒な蔦が生え、ゼノを襲う。
「――無駄」
同じように素手で掴むゼノだったが、しかし――、
「――ッッ!!?」
ゼノの腕は、蔦に触れたと同時に消し飛んだ。
右腕、そして左腕。両腕を捥がれた少年は、その勢いのまま後方へと弾かれる。
「――アーク様の祝福、『破壊』の波動。残念だったわね」
まさに深層の令嬢の如く、落ち着いた様子で地に倒れるゼノを見下ろすセレス。
「……」
ゼノは両腕を捥がれたというのに悲鳴一つ上げる事も無く、痛みに苦悶する事も無く、無表情のまま倒れている。
セレスはそんなゼノにトドメを刺そうと、再び拳を握る。
――その時だった。
店の入り口が開き、それを知らせる鈴が鳴る。
「あーい、らっしゃーい」
ワックスで固めた金髪、アロハシャツ。いつもと同じ格好をした坂田ゴールデンはどっしりとレジに前に腰を下ろして、読んでいる文庫本から顔を上げないまま適当な挨拶を投げる。
誰かが入店してくる気配だけを感じて、ゴールデンは耳をそばだてる。
コツコツと暑いブーツが床を叩く音。
(子供じゃないな。でも、体重は軽い――女か)
このゴールデン屋は雑貨屋の様な駄菓子屋の様なよく分からない店。
普段来店するのは近所の子供か、子供でないなら来人の様な成長した昔からの常連くらいだ。
であれば、後者だろう。ゴールデンは客が誰なのか気になり、ちらりと文庫本から顔を上げた。知った顔なら適当にからかってやろうと思ったからだ。
しかし、目に入ったのは知らない女だった。
ふわりと空気を含んだ様に広がるフリルのあしらわれたスカート。ゴスロリチックな、まるでコスプレでもしているみたいな女の子だ。
パーマ掛かった亜麻色の髪も店内の電灯に照らされ艶々と輝いていて、丁寧に手入れされている事が分かる。
本当にどこかの御令嬢だと言われても頷ける装いだ。
そんな目立つ格好をした一見客を、ゴールデンは少し訝しむ。
こんな看板も錆びて怪しい外装の何を売っているかも分からない様な店に、こんな御令嬢が来店する事があるだろうか?
ゴスロリ姿の令嬢は中ほどで一度立ち止まり、店内を一瞥した後、レジの方へを真っすぐと見据える。
そして、小さな握り拳を胸の前に掲げ、その手を広げる。
その手からは小さな植物の種子の様なものがぽとりと落ち、店内のタイル張りの床の上へと落ちる。
そして――、轟音。
「――なッ!?」
ゴールデンはあまりの出来事に動けなかった。
ゴスロリ令嬢の転がした種子はタイル張りの床を突き破り、瞬く間に成長し、巨大な丸太程の大きさの蔦となってゴールデンを襲った。
その勢いに呑まれれば、人間であるゴールデンはいとも容易くぺしゃんこだ。
しかし、そうはならなかった。
「ゼノ、お前――!!」
ゴールデンとゴスロリ令嬢の間に、店の奥で在庫の整理を任されていたはずの少年――ゼノが居た。
ゼノは颯爽と駆けつけ、片手でその蔦を受け止めた。
雇い主を守った少年は平気な様子で、片手で蔦を掴んだまま背後を向く。
「店長、大丈夫?」
その少年の短髪の奥に覗く瞳は純粋にゴールデンを心配するものだ。
「お、おう。しかしこれはまた、どういう事だ……」
「下がってて」
ゴールデンの問いに答えることなく、ゼノはそう言って蔦を掴む手に力を込める。
「――枯れろ」
瞬間、巨大な蔦はゼノの掴んだ手を起点として、茶色く変色し、枯れて行く。
生き物の様に蠢き暴れていた蔦は動きを止め、ぱらぱらと崩れ落ちた。
枯れ蔦の奥で、ゴスロリ令嬢は詰まらなさそうに溜息を吐く。
「――はあ。ライジンの契約者、一撃で仕留めてあげようと思ったのに」
片手でパーマのかかった髪をはらりと撫でる。
ライジン――その名を聞いて、事態を呑み込めず座ったままでいたゴールデンは、手から落とした文庫本を拾い上げて立ち上がる。
「あん? お前、ライジンの知り合いか?」
「さあね」
「YESかNOで答えろよ、まどろっこしいな」
「どちらでもいいじゃないの。あなたはここで死ぬ」
ゴスロリ令嬢は再び拳を握る。
「――させない」
しかし、その拳が開く前にゼノが動く。
脱兎の如く床を蹴ったゼノが、令嬢の華奢な身体を蹴飛ばし、店の外へ吹っ飛ばす。
ふわりとドレスが揺れて、宙を舞う。
ゼノはそのまま、店外へと追って行った。
ぽつんと、店内には坂田ゴールデンが一人残された。
「……はぁ。なんだってんだ、全く――」
床のタイルは剥がれ、山積みされていた陳列棚も崩れ、店の中はぐちゃぐちゃだ。
後始末の事を考えてげんなりしつつも、ゴールデンは文庫本を乱雑にレジ台に放り投げた。
「――臨時休業だ」
アロハシャツを着直し、派手な金髪を掻き上げる。
ゴールデン屋の隣に併設された公園。そこを舞台に、ゼノと令嬢は対峙していた。
「私の仕事は、ただの人間を一人殺して帰る――そういう楽な仕事のはずだったのだけれど。あなたは?」
「……ゼノ。ただ、それだけ」
「ふうん。人間、よね……? まあいいわ――」
目の前の少年を上から下までじろじろと舐める様に見た後、
「――十二波動神が一柱、セレス=シルヴィア。十二の柱の中では一番の若輩者だけれど、許してね」
そう名乗り、拳を握った。
セレスが握り拳を広げれば、先ほどよりも多くの小さな種子が零れ落ちる。
それらは地に触れれば瞬く間に蔦の形を成し、ゼノへと襲い掛かる。
ゼノは仁王立ちのまま、その瞳だけをぎょろりと動かして蔦の軌道を読み、素手で掴み取る。
その掴み触れた端から、またもや蔦は枯れて行く。
「ふぅん。そういう感じなのね……。じゃあ、こうしましょう」
セレスは握り拳を開き、再び種子を落とす。
今度の種子は、漆黒のオーラを纏っていた。そのオーラは――『破壊』。
真っ黒な蔦が生え、ゼノを襲う。
「――無駄」
同じように素手で掴むゼノだったが、しかし――、
「――ッッ!!?」
ゼノの腕は、蔦に触れたと同時に消し飛んだ。
右腕、そして左腕。両腕を捥がれた少年は、その勢いのまま後方へと弾かれる。
「――アーク様の祝福、『破壊』の波動。残念だったわね」
まさに深層の令嬢の如く、落ち着いた様子で地に倒れるゼノを見下ろすセレス。
「……」
ゼノは両腕を捥がれたというのに悲鳴一つ上げる事も無く、痛みに苦悶する事も無く、無表情のまま倒れている。
セレスはそんなゼノにトドメを刺そうと、再び拳を握る。
――その時だった。
0
お気に入りに追加
238
あなたにおすすめの小説
魔石と神器の物語 ~アイテムショップの美人姉妹は、史上最強の助っ人です!~
エール
ファンタジー
古代遺跡群攻略都市「イフカ」を訪れた新進気鋭の若き冒険者(ハンター)、ライナス。
彼が立ち寄った「魔法堂 白銀の翼」は、一風変わったアイテムを扱う魔道具専門店だった。
経営者は若い美人姉妹。
妹は自ら作成したアイテムを冒険の実践にて試用する、才能溢れる魔道具製作者。
そして姉の正体は、特定冒険者と契約を交わし、召喚獣として戦う闇の狂戦士だった。
最高純度の「超魔石」と「充魔石」を体内に埋め込まれた不死属性の彼女は、呪われし武具を纏い、補充用の魔石を求めて戦場に向かう。いつの日か、「人間」に戻ることを夢見て――。
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。
angel observerⅢ 大地鳴動
蒼上愛三(あおうえあいみ)
ファンタジー
審判の時が再び訪れた。試されるのは神か人か・・・。
ヒルデたちの前に立ち塞がるのはガイア、今なお心を探す彼女にガイアの圧倒的な力が猛威を振るう時人々は何を思うのか。
少女たちは死地へと赴く。
angel observer の第3章「大地鳴動編」開幕!

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
強制フラグは、いりません! ~今いる世界が、誰かの二次小説の中だなんて思うかよ! JKと禁断の恋愛するなら、自力でやらせてもらうからっ!~
ハル*
ファンタジー
高校教師の俺。
いつもと同じように過ごしていたはずなのに、ある日を境にちょっとずつ何かが変わっていく。
テスト準備期間のある放課後。行き慣れた部室に向かった俺の目の前に、ぐっすり眠っているマネージャーのあの娘。
そのシチュエーションの最中、頭ん中で変な音と共に、俺の日常を変えていく声が聞こえた。
『強制フラグを、立てますか?』
その言葉自体を知らないわけじゃない。
だがしかし、そのフラグって、何に対してなんだ?
聞いたことがない声。聞こえてくる場所も、ハッキリしない。
混乱する俺に、さっきの声が繰り返された。
しかも、ちょっとだけ違うセリフで。
『強制フラグを立てますよ? いいですね?』
その変化は、目の前の彼女の名前を呼んだ瞬間に訪れた。
「今日って、そんなに疲れるようなことあったか?」
今まで感じたことがない違和感に、さっさと目の前のことを終わらせようとした俺。
結論づけた瞬間、俺の体が勝手に動いた。
『強制フラグを立てました』
その声と、ほぼ同時に。
高校教師の俺が、自分の気持ちに反する行動を勝手に決めつけられながら、
女子高生と禁断の恋愛?
しかも、勝手に決めつけているのが、どこぞの誰かが書いている某アプリの二次小説の作者って……。
いやいや。俺、そんなセリフ言わないし!
甘い言葉だなんて、吐いたことないのに、勝手に言わせないでくれって!
俺のイメージが崩れる一方なんだけど!
……でも、この娘、いい子なんだよな。
っていうか、この娘を嫌うようなやつなんて、いるのか?
「ごめんなさい。……センセイは、先生なのに。好きに…なっちゃ、だめなのに」
このセリフは、彼女の本心か? それともこれも俺と彼女の恋愛フラグが立たせられているせい?
誰かの二次小説の中で振り回される高校教師と女子高生の恋愛物語が、今、はじまる。
悪行貴族のはずれ息子【第2部 魔法師匠編】
白波 鷹(しらなみ たか)【白波文庫】
ファンタジー
※表紙を第一部と統一しました
★作者個人でAmazonにて自費出版中。Kindle電子書籍有料ランキング「SF・ホラー・ファンタジー」「児童書>読み物」1位にWランクイン!
★第1部はこちら↓
https://www.alphapolis.co.jp/novel/162178383/822911083
「お前みたいな無能は分家がお似合いだ」
幼い頃から魔法を使う事ができた本家の息子リーヴは、そうして魔法の才能がない分家の息子アシックをいつも笑っていた。
東にある小さな街を領地としている悪名高き貴族『ユーグ家』―古くからその街を統治している彼らの実態は酷いものだった。
本家の当主がまともに管理せず、領地は放置状態。にもかかわらず、税の徴収だけ行うことから人々から嫌悪され、さらに近年はその長男であるリーヴ・ユーグの悪名高さもそれに拍車をかけていた。
容姿端麗、文武両道…というのは他の貴族への印象を良くする為の表向きの顔。その実態は父親の権力を駆使して悪ガキを集め、街の人々を困らせて楽しむガキ大将のような人間だった。
悪知恵が働き、魔法も使え、取り巻き達と好き放題するリーヴを誰も止めることができず、人々は『ユーグ家』をやっかんでいた。
さらにリーヴ達は街の人間だけではなく、自分達の分家も馬鹿にしており、中でも分家の長男として生まれたアシック・ユーグを『無能』と呼んで嘲笑うのが日課だった。だが、努力することなく才能に溺れていたリーヴは気付いていなかった。
自分が無能と嘲笑っていたアシックが努力し続けた結果、書庫に眠っていた魔法を全て習得し終えていたことを。そして、本家よりも街の人間達から感心を向けられ、分家の力が強まっていることを。
やがて、リーヴがその事実に気付いた時にはもう遅かった。
アシックに追い抜かれた焦りから魔法を再び学び始めたが、今さら才能が実ることもなく二人の差は徐々に広まっていくばかり。
そんな中、リーヴの妹で『忌み子』として幽閉されていたユミィを助けたのを機に、アシックは本家を変えていってしまい…?
◇過去最高ランキング
・アルファポリス
男性HOTランキング:10位
・カクヨム
週間ランキング(総合):80位台
週間ランキング(異世界ファンタジー):43位
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる