35 / 150
第一章 百鬼夜行編
#35 祖父と孫、父と子
しおりを挟む
集会を終え、神々はそれぞれ持ち場へと向かって行く。
各地に繋がっているゲートを通れば一発だ。
「ゼウス様!」
背を向けて即座に持ち場へとも向かおうとする白髪長髭の爺さん――ゼウスを呼び止めるのは、三代目候補筆頭――純血の王子、ティル。
その瞳は純粋な、祖父を見る孫の目だ。
「――ティルか」
「今回の百鬼夜行で、必ずや混血ども以上の――いえ、ゼウス様のご期待に添う活躍をご覧に入れます」
ティルは胸に手を当て、頭を下げる。
「ふん、当然のことだ」
ゼウスは吐き捨てる様にそう言って、すぐに再び背を向けて去って行く。
そんな様子を相棒のライオン、ダンデは心配そうに見つめて寄り添う。
「ティル様……」
「大丈夫だ。今回の百鬼夜行で功績を上げれば、“お爺様”も認めてくれるはず……」
王にはそれ相応の“欲”――つまり、求める物が有る。
ティルが求めるもの、それは“名声”。
それが、ティルの欲。
「――あんな混血に、負ける訳にはいかない」
王というその地位、それその物。
その名声を手に入れる為に、ティルは戦う。
同じ頃、来人は父親である来神と戦いの前の束の間の一時を過ごす。
集会の解散した王の間の前で、来神とイリス、そして来人とガーネ。
「……父さん」
「――来人、久しぶり。随分と良い顔つきになったね」
来神の外見はかなり肥えている中年男性だ。
良い物を食べているから、肌艶だけは無駄に良い。
それは一見では戦えるか怪しい程に重く丸々とした身体なのだが、何故か天界最強クラスなのだと言う。
「そうかな? 自分じゃあまり分からないけど……」
「お前を知ってる奴なら誰だって同じ様に言うだろうさ。なあ、イリス?」
「ええ、坊ちゃまは本当に大きくなられました。旦那様はまた太りましたが」
来神が話を振れば、イリスも同様に頷く。毒を交えて。
足元のガーネの方を見て見れば、にこにこと笑っていた。
来人はなんだか照れ臭くなった。
「そ、それよりも。父さんは本当に一人で大丈夫なの? アナ様とか当然の様に押し付けてたけど」
「うん? まあ、余裕だよ、余裕。小さな異界なんかは開く前にこっちからこじ開けて潰して行ったから、予定よりも早く終わって最後の波の前には休息を取れたしね」
当然の様に異界をこじ開けるなんて芸当を見せる来神に、もはや来人も驚く事も無い。
むしろその化け物っぷりに呆れて溜息さえ出る程だ。
父と子は地球へと続くゲートへ向かって、ゆっくりと歩く。
他愛のない話をしながら。
「美海ちゃんとは上手くやっているかい?」
「もちろん、この前も一緒に陸のとこに遊びに行ったよ」
「そうか、陸とも仲良くなったのか。あの子は父を――リューズを亡くしている、これからも仲良くしてあげてくれ」
「うん」
「ユウリはどうだった?」
「いい先生だよ。お陰でこの通り、すぐに力の使い方をマスター出来た」
「そうだろう。きっと気が合うと思っていたんだ」
「最近は漫画とアニメにはまって地球を満喫してるよ」
「ははは、それは何よりだ」
そして、しばらく無言の間が続いた後。
来神は本題であろう話を、神妙に切り出す。
「――来人には、戦う理由は有るかい?」
「戦う理由?」
「ああ。君が何を求めるか――、“欲”と言い換えてもいい」
「欲……」
「ああ、王にはそれ相応の欲がある物だよ。もっとも、僕にはそれが無かったんだけどね」
そう言えば、来神は三代目に成れたのに成らなかったと、そういう話を聞いていた。
「父さんには、無かったの? 欲なんて誰にでもあると思うんだけど」
「そりゃ、食欲や睡眠欲くらいは持ち合わせているとも。でも、王に成る理由たる大きな欲が無かったんだ」
「僕の欲――わからない。目的は、確かだけど」
目的は、有る。
秋斗を殺した『赫』の鬼を討ち倒す事。
それはもう、目の前まで、すぐ手の届く所まで来ている。
「やはり、その目的というのは秋斗の仇討ちかい?」
「うん」
来人がすぐに頷くと、来神は一瞬悲し気な表情を見せる。
「本当はね、君を神になんてしたくなかったんだよ。息子が復讐の道を進む姿なんて、見たくはなかった」
「だから、記憶の封印を?」
来人はこれまでの人生を、神としての記憶を封印されて人間として育ってきた。
それは、父来神の親心からの物だった。
「ああ。もっとも、血には逆らえないらしい。――現に、君は今ここに居る」
来人は立ち止まる。
「でもね、父さん。復讐――そうだけど、そうじゃないんだ。これはそんな後ろ向きの物じゃない。――これは、僕が過去と決別する為の戦いだ」
来人は真っ直ぐと父親の目を見て、決意を握りしめる。
気付けば、丁度ゲートの前まで来ていた。
すると、横から聞き馴染の有る声。
「――いいや、僕たちの戦いだ、来人」
「テイテイ君!?」
いつの間にか、テイテイが天界に来ていた。
手に紙とペンを持っている。
どうやら本当に手書きパスワードでゲートを突破して来たらしい。
どや顔をしているが、連絡手段に困るのでスマートフォンの操作方法をそろそろ覚えて欲しいのが来人の本音だ。
「テイテイ君、こんなところ居て大丈夫なの? 面倒なのに絡まれたりとか……」
「普通に、何も無かったぞ」
自信満々に壁にもたれ掛かる長身の強面。
確かにここまで堂々としていると、神様か人間かなんて分かりようも無い。
それに、この鋭い眼光で睨まれればわざわざ絡もうとも思うまい。
「そうか。うん、我が子が強く逞しく育ってくれて、そして良い友を持って、嬉しいぞ」
来神は心底嬉しそうにうんうんと頷く。
そうしていると、イリスは軽く腰を折って、
「それでは、わたくしはお屋敷の方へ戻りますわね」
「ああ、うちの事は頼んだよ」
「あれ? イリスさんは父さんと一緒に行かないんですか?」
「ええ、旦那様は一騎当千。お一人で充分ですから。留守を守るのがわたくしの使命ですわ」
相棒のガイア族であるイリスにもワンオペが当然と認識されている来神だった。
イリスはもう一度スカートの裾を摘みお辞儀をした後、天野家へ繋がるゲートに入って行く。
「死ぬなよ、来人」
「父さんこそ」
そして、来人とガーネ、そしてテイテイは中国へ繋がるゲートへと。
来神は北米方面へ繋がるゲートへと入って行く。
白い光に、包まれる。
百鬼夜行、最後の波の開戦まで、あと9時間。
各地に繋がっているゲートを通れば一発だ。
「ゼウス様!」
背を向けて即座に持ち場へとも向かおうとする白髪長髭の爺さん――ゼウスを呼び止めるのは、三代目候補筆頭――純血の王子、ティル。
その瞳は純粋な、祖父を見る孫の目だ。
「――ティルか」
「今回の百鬼夜行で、必ずや混血ども以上の――いえ、ゼウス様のご期待に添う活躍をご覧に入れます」
ティルは胸に手を当て、頭を下げる。
「ふん、当然のことだ」
ゼウスは吐き捨てる様にそう言って、すぐに再び背を向けて去って行く。
そんな様子を相棒のライオン、ダンデは心配そうに見つめて寄り添う。
「ティル様……」
「大丈夫だ。今回の百鬼夜行で功績を上げれば、“お爺様”も認めてくれるはず……」
王にはそれ相応の“欲”――つまり、求める物が有る。
ティルが求めるもの、それは“名声”。
それが、ティルの欲。
「――あんな混血に、負ける訳にはいかない」
王というその地位、それその物。
その名声を手に入れる為に、ティルは戦う。
同じ頃、来人は父親である来神と戦いの前の束の間の一時を過ごす。
集会の解散した王の間の前で、来神とイリス、そして来人とガーネ。
「……父さん」
「――来人、久しぶり。随分と良い顔つきになったね」
来神の外見はかなり肥えている中年男性だ。
良い物を食べているから、肌艶だけは無駄に良い。
それは一見では戦えるか怪しい程に重く丸々とした身体なのだが、何故か天界最強クラスなのだと言う。
「そうかな? 自分じゃあまり分からないけど……」
「お前を知ってる奴なら誰だって同じ様に言うだろうさ。なあ、イリス?」
「ええ、坊ちゃまは本当に大きくなられました。旦那様はまた太りましたが」
来神が話を振れば、イリスも同様に頷く。毒を交えて。
足元のガーネの方を見て見れば、にこにこと笑っていた。
来人はなんだか照れ臭くなった。
「そ、それよりも。父さんは本当に一人で大丈夫なの? アナ様とか当然の様に押し付けてたけど」
「うん? まあ、余裕だよ、余裕。小さな異界なんかは開く前にこっちからこじ開けて潰して行ったから、予定よりも早く終わって最後の波の前には休息を取れたしね」
当然の様に異界をこじ開けるなんて芸当を見せる来神に、もはや来人も驚く事も無い。
むしろその化け物っぷりに呆れて溜息さえ出る程だ。
父と子は地球へと続くゲートへ向かって、ゆっくりと歩く。
他愛のない話をしながら。
「美海ちゃんとは上手くやっているかい?」
「もちろん、この前も一緒に陸のとこに遊びに行ったよ」
「そうか、陸とも仲良くなったのか。あの子は父を――リューズを亡くしている、これからも仲良くしてあげてくれ」
「うん」
「ユウリはどうだった?」
「いい先生だよ。お陰でこの通り、すぐに力の使い方をマスター出来た」
「そうだろう。きっと気が合うと思っていたんだ」
「最近は漫画とアニメにはまって地球を満喫してるよ」
「ははは、それは何よりだ」
そして、しばらく無言の間が続いた後。
来神は本題であろう話を、神妙に切り出す。
「――来人には、戦う理由は有るかい?」
「戦う理由?」
「ああ。君が何を求めるか――、“欲”と言い換えてもいい」
「欲……」
「ああ、王にはそれ相応の欲がある物だよ。もっとも、僕にはそれが無かったんだけどね」
そう言えば、来神は三代目に成れたのに成らなかったと、そういう話を聞いていた。
「父さんには、無かったの? 欲なんて誰にでもあると思うんだけど」
「そりゃ、食欲や睡眠欲くらいは持ち合わせているとも。でも、王に成る理由たる大きな欲が無かったんだ」
「僕の欲――わからない。目的は、確かだけど」
目的は、有る。
秋斗を殺した『赫』の鬼を討ち倒す事。
それはもう、目の前まで、すぐ手の届く所まで来ている。
「やはり、その目的というのは秋斗の仇討ちかい?」
「うん」
来人がすぐに頷くと、来神は一瞬悲し気な表情を見せる。
「本当はね、君を神になんてしたくなかったんだよ。息子が復讐の道を進む姿なんて、見たくはなかった」
「だから、記憶の封印を?」
来人はこれまでの人生を、神としての記憶を封印されて人間として育ってきた。
それは、父来神の親心からの物だった。
「ああ。もっとも、血には逆らえないらしい。――現に、君は今ここに居る」
来人は立ち止まる。
「でもね、父さん。復讐――そうだけど、そうじゃないんだ。これはそんな後ろ向きの物じゃない。――これは、僕が過去と決別する為の戦いだ」
来人は真っ直ぐと父親の目を見て、決意を握りしめる。
気付けば、丁度ゲートの前まで来ていた。
すると、横から聞き馴染の有る声。
「――いいや、僕たちの戦いだ、来人」
「テイテイ君!?」
いつの間にか、テイテイが天界に来ていた。
手に紙とペンを持っている。
どうやら本当に手書きパスワードでゲートを突破して来たらしい。
どや顔をしているが、連絡手段に困るのでスマートフォンの操作方法をそろそろ覚えて欲しいのが来人の本音だ。
「テイテイ君、こんなところ居て大丈夫なの? 面倒なのに絡まれたりとか……」
「普通に、何も無かったぞ」
自信満々に壁にもたれ掛かる長身の強面。
確かにここまで堂々としていると、神様か人間かなんて分かりようも無い。
それに、この鋭い眼光で睨まれればわざわざ絡もうとも思うまい。
「そうか。うん、我が子が強く逞しく育ってくれて、そして良い友を持って、嬉しいぞ」
来神は心底嬉しそうにうんうんと頷く。
そうしていると、イリスは軽く腰を折って、
「それでは、わたくしはお屋敷の方へ戻りますわね」
「ああ、うちの事は頼んだよ」
「あれ? イリスさんは父さんと一緒に行かないんですか?」
「ええ、旦那様は一騎当千。お一人で充分ですから。留守を守るのがわたくしの使命ですわ」
相棒のガイア族であるイリスにもワンオペが当然と認識されている来神だった。
イリスはもう一度スカートの裾を摘みお辞儀をした後、天野家へ繋がるゲートに入って行く。
「死ぬなよ、来人」
「父さんこそ」
そして、来人とガーネ、そしてテイテイは中国へ繋がるゲートへと。
来神は北米方面へ繋がるゲートへと入って行く。
白い光に、包まれる。
百鬼夜行、最後の波の開戦まで、あと9時間。
0
お気に入りに追加
238
あなたにおすすめの小説
魔石と神器の物語 ~アイテムショップの美人姉妹は、史上最強の助っ人です!~
エール
ファンタジー
古代遺跡群攻略都市「イフカ」を訪れた新進気鋭の若き冒険者(ハンター)、ライナス。
彼が立ち寄った「魔法堂 白銀の翼」は、一風変わったアイテムを扱う魔道具専門店だった。
経営者は若い美人姉妹。
妹は自ら作成したアイテムを冒険の実践にて試用する、才能溢れる魔道具製作者。
そして姉の正体は、特定冒険者と契約を交わし、召喚獣として戦う闇の狂戦士だった。
最高純度の「超魔石」と「充魔石」を体内に埋め込まれた不死属性の彼女は、呪われし武具を纏い、補充用の魔石を求めて戦場に向かう。いつの日か、「人間」に戻ることを夢見て――。
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。

angel observerⅢ 大地鳴動
蒼上愛三(あおうえあいみ)
ファンタジー
審判の時が再び訪れた。試されるのは神か人か・・・。
ヒルデたちの前に立ち塞がるのはガイア、今なお心を探す彼女にガイアの圧倒的な力が猛威を振るう時人々は何を思うのか。
少女たちは死地へと赴く。
angel observer の第3章「大地鳴動編」開幕!
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
強制フラグは、いりません! ~今いる世界が、誰かの二次小説の中だなんて思うかよ! JKと禁断の恋愛するなら、自力でやらせてもらうからっ!~
ハル*
ファンタジー
高校教師の俺。
いつもと同じように過ごしていたはずなのに、ある日を境にちょっとずつ何かが変わっていく。
テスト準備期間のある放課後。行き慣れた部室に向かった俺の目の前に、ぐっすり眠っているマネージャーのあの娘。
そのシチュエーションの最中、頭ん中で変な音と共に、俺の日常を変えていく声が聞こえた。
『強制フラグを、立てますか?』
その言葉自体を知らないわけじゃない。
だがしかし、そのフラグって、何に対してなんだ?
聞いたことがない声。聞こえてくる場所も、ハッキリしない。
混乱する俺に、さっきの声が繰り返された。
しかも、ちょっとだけ違うセリフで。
『強制フラグを立てますよ? いいですね?』
その変化は、目の前の彼女の名前を呼んだ瞬間に訪れた。
「今日って、そんなに疲れるようなことあったか?」
今まで感じたことがない違和感に、さっさと目の前のことを終わらせようとした俺。
結論づけた瞬間、俺の体が勝手に動いた。
『強制フラグを立てました』
その声と、ほぼ同時に。
高校教師の俺が、自分の気持ちに反する行動を勝手に決めつけられながら、
女子高生と禁断の恋愛?
しかも、勝手に決めつけているのが、どこぞの誰かが書いている某アプリの二次小説の作者って……。
いやいや。俺、そんなセリフ言わないし!
甘い言葉だなんて、吐いたことないのに、勝手に言わせないでくれって!
俺のイメージが崩れる一方なんだけど!
……でも、この娘、いい子なんだよな。
っていうか、この娘を嫌うようなやつなんて、いるのか?
「ごめんなさい。……センセイは、先生なのに。好きに…なっちゃ、だめなのに」
このセリフは、彼女の本心か? それともこれも俺と彼女の恋愛フラグが立たせられているせい?
誰かの二次小説の中で振り回される高校教師と女子高生の恋愛物語が、今、はじまる。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
悪行貴族のはずれ息子【第2部 魔法師匠編】
白波 鷹(しらなみ たか)【白波文庫】
ファンタジー
※表紙を第一部と統一しました
★作者個人でAmazonにて自費出版中。Kindle電子書籍有料ランキング「SF・ホラー・ファンタジー」「児童書>読み物」1位にWランクイン!
★第1部はこちら↓
https://www.alphapolis.co.jp/novel/162178383/822911083
「お前みたいな無能は分家がお似合いだ」
幼い頃から魔法を使う事ができた本家の息子リーヴは、そうして魔法の才能がない分家の息子アシックをいつも笑っていた。
東にある小さな街を領地としている悪名高き貴族『ユーグ家』―古くからその街を統治している彼らの実態は酷いものだった。
本家の当主がまともに管理せず、領地は放置状態。にもかかわらず、税の徴収だけ行うことから人々から嫌悪され、さらに近年はその長男であるリーヴ・ユーグの悪名高さもそれに拍車をかけていた。
容姿端麗、文武両道…というのは他の貴族への印象を良くする為の表向きの顔。その実態は父親の権力を駆使して悪ガキを集め、街の人々を困らせて楽しむガキ大将のような人間だった。
悪知恵が働き、魔法も使え、取り巻き達と好き放題するリーヴを誰も止めることができず、人々は『ユーグ家』をやっかんでいた。
さらにリーヴ達は街の人間だけではなく、自分達の分家も馬鹿にしており、中でも分家の長男として生まれたアシック・ユーグを『無能』と呼んで嘲笑うのが日課だった。だが、努力することなく才能に溺れていたリーヴは気付いていなかった。
自分が無能と嘲笑っていたアシックが努力し続けた結果、書庫に眠っていた魔法を全て習得し終えていたことを。そして、本家よりも街の人間達から感心を向けられ、分家の力が強まっていることを。
やがて、リーヴがその事実に気付いた時にはもう遅かった。
アシックに追い抜かれた焦りから魔法を再び学び始めたが、今さら才能が実ることもなく二人の差は徐々に広まっていくばかり。
そんな中、リーヴの妹で『忌み子』として幽閉されていたユミィを助けたのを機に、アシックは本家を変えていってしまい…?
◇過去最高ランキング
・アルファポリス
男性HOTランキング:10位
・カクヨム
週間ランキング(総合):80位台
週間ランキング(異世界ファンタジー):43位
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる