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第一章 百鬼夜行編
#32 百鬼夜行作戦会議
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天界、王の間。
「――と、いう訳でこれが百鬼夜行の発生地点と、発生予想日時です」
後日、来人は再び天界へと赴き、メガから貰った百鬼夜行に関してのデータを神王補佐のアナへと見せた。
「これは……凄いな。これが本当だとしたら、配備する人員も局所的に集中させられるし、今回の百鬼夜行の対処も容易になるだろう。しかし――」
アナの言葉尻を、泉の中のアダンが取る。
「――でも、ライトはこの情報をどうやって入手したんだい?」
「えーっと、それは――」
そう、それが問題だ。
情報源の正確でない情報で天界は動いてくれないだろう。
しかし、その情報源であるメガ自身からは自分の事を伏せてくれと言われているので、明かす訳には行かない。
なので、適当な言い訳を考える必要が有る訳だが――、
「――そう、夢! 夢で見たんだ! 予知夢ってやつ?」
全部夢の所為にしてみた。
何の正当性も無い、「当てずっぽうです」と変わり無い様な回答。
来人自身、絶対に失敗したと思った。かなり苦しい言い訳だ。
しかし、そう思っていたのだが――、
「そっか、まあそういう事もあるよね」
「なるほど、。王の血が危機を知らせた、か……」
と、何故かアダンもアナも納得を示していた。
“王の血筋”というだけで適当な嘘が通ってしまった。
もしかすると神様からすると予知夢というのはよくある事なのかもしれない。
「あれ? 信じてくれるんだ……」
「うん? それは勿論だとも。早速人員の配備を見直そう」
アナは忙しなく動き始める。
「あ、ちょっと待ってください! それなんですけど、僕をこの発生予想地点へ配備して貰いたいんです」
ここからが来人にとっての本題だ。
“自分は有力な情報を提示した”というのを盾に、自分にとって都合の良い持ち場に配備してもらう。
つまり、『赫』の鬼と戦える可能性の最も高い場所に。
「中国、か……。別に構いはしないが、どうしてだい?」
来人が指したのは中国に発生している異界の中でも、最も大きな反応。――つまり、百鬼夜行の最後の波の一つ。
中国――そこは昔、来人、テイテイ、秋斗の三人が旅行へ行き、そして秋斗が『赫』の鬼に殺された場所だ。
再び同じ場所に、『赫』の鬼が現れる。
しかし、来人はこう答える。
「いえ、日本からも近いですし、一番楽そうだったので。ここなら初心者の僕でも何とかなると思います」
決して、「秋斗の仇がそこに居る」とは言わない。
そう言ってしまえば、復讐心に駆られて動く来人が冷静に戦闘を出来ないと判断されて、持ち場を外されてしまうだろう。
だから、来人は仮面を被って、そう嘯く。
「そうか、まあそれならそれで良いだろう。なら、日本にはリクを配備しよう」
こうして、百鬼夜行の最後の波に合わせた人員配置が決まった。
「それじゃあ、改めて確認しよう。百鬼夜行の最後の波、その大きな反応は全部で五つ――」
そう言って、アナが部屋の奥から引っ張って来たホワイトボードに概要をまとめる。
アジア圏に大きな反応は二つ。
中国にはライトと、天界軍。
日本にはリクと、天界軍。
南極にはティルと、天界軍。
ヨーロッパにはゼウスと、その部下たち。
そして、北米にはライジンたった一人。
その他地域の小さな反応には、他の神々を当たらせる。
「――と、こんな感じかな?」
「結局、父さんは単騎なんですね……」
「ライジンなら大丈夫だよ」
「あはは……」
しかし、改めて人員の配備状況を来人は確認する。
「――あれ? お爺ちゃんは来ないんですか?」
アジア、北米、ヨーロッパ、南極、その他地域。
その全てのエリアにウルスの名前が無かった。
「ああ、ウルスの担当は“全て”だよ。王の力を振るえなくなっても、腐っても現神王だ。戦力の不足しているエリアにリアルタイムで走って行って応援に向かって貰う予定だ」
「走って行くんですね……」
「足腰は強いからね」
全力ダッシュしているあの巨体の老人を想像すると、ちょっと面白かった。
「ともかく、百鬼夜行の最後の波も近い。気を引き締めて、それまでに力を付けておいてくれ」
「はい!」
「――と、いう訳でこれが百鬼夜行の発生地点と、発生予想日時です」
後日、来人は再び天界へと赴き、メガから貰った百鬼夜行に関してのデータを神王補佐のアナへと見せた。
「これは……凄いな。これが本当だとしたら、配備する人員も局所的に集中させられるし、今回の百鬼夜行の対処も容易になるだろう。しかし――」
アナの言葉尻を、泉の中のアダンが取る。
「――でも、ライトはこの情報をどうやって入手したんだい?」
「えーっと、それは――」
そう、それが問題だ。
情報源の正確でない情報で天界は動いてくれないだろう。
しかし、その情報源であるメガ自身からは自分の事を伏せてくれと言われているので、明かす訳には行かない。
なので、適当な言い訳を考える必要が有る訳だが――、
「――そう、夢! 夢で見たんだ! 予知夢ってやつ?」
全部夢の所為にしてみた。
何の正当性も無い、「当てずっぽうです」と変わり無い様な回答。
来人自身、絶対に失敗したと思った。かなり苦しい言い訳だ。
しかし、そう思っていたのだが――、
「そっか、まあそういう事もあるよね」
「なるほど、。王の血が危機を知らせた、か……」
と、何故かアダンもアナも納得を示していた。
“王の血筋”というだけで適当な嘘が通ってしまった。
もしかすると神様からすると予知夢というのはよくある事なのかもしれない。
「あれ? 信じてくれるんだ……」
「うん? それは勿論だとも。早速人員の配備を見直そう」
アナは忙しなく動き始める。
「あ、ちょっと待ってください! それなんですけど、僕をこの発生予想地点へ配備して貰いたいんです」
ここからが来人にとっての本題だ。
“自分は有力な情報を提示した”というのを盾に、自分にとって都合の良い持ち場に配備してもらう。
つまり、『赫』の鬼と戦える可能性の最も高い場所に。
「中国、か……。別に構いはしないが、どうしてだい?」
来人が指したのは中国に発生している異界の中でも、最も大きな反応。――つまり、百鬼夜行の最後の波の一つ。
中国――そこは昔、来人、テイテイ、秋斗の三人が旅行へ行き、そして秋斗が『赫』の鬼に殺された場所だ。
再び同じ場所に、『赫』の鬼が現れる。
しかし、来人はこう答える。
「いえ、日本からも近いですし、一番楽そうだったので。ここなら初心者の僕でも何とかなると思います」
決して、「秋斗の仇がそこに居る」とは言わない。
そう言ってしまえば、復讐心に駆られて動く来人が冷静に戦闘を出来ないと判断されて、持ち場を外されてしまうだろう。
だから、来人は仮面を被って、そう嘯く。
「そうか、まあそれならそれで良いだろう。なら、日本にはリクを配備しよう」
こうして、百鬼夜行の最後の波に合わせた人員配置が決まった。
「それじゃあ、改めて確認しよう。百鬼夜行の最後の波、その大きな反応は全部で五つ――」
そう言って、アナが部屋の奥から引っ張って来たホワイトボードに概要をまとめる。
アジア圏に大きな反応は二つ。
中国にはライトと、天界軍。
日本にはリクと、天界軍。
南極にはティルと、天界軍。
ヨーロッパにはゼウスと、その部下たち。
そして、北米にはライジンたった一人。
その他地域の小さな反応には、他の神々を当たらせる。
「――と、こんな感じかな?」
「結局、父さんは単騎なんですね……」
「ライジンなら大丈夫だよ」
「あはは……」
しかし、改めて人員の配備状況を来人は確認する。
「――あれ? お爺ちゃんは来ないんですか?」
アジア、北米、ヨーロッパ、南極、その他地域。
その全てのエリアにウルスの名前が無かった。
「ああ、ウルスの担当は“全て”だよ。王の力を振るえなくなっても、腐っても現神王だ。戦力の不足しているエリアにリアルタイムで走って行って応援に向かって貰う予定だ」
「走って行くんですね……」
「足腰は強いからね」
全力ダッシュしているあの巨体の老人を想像すると、ちょっと面白かった。
「ともかく、百鬼夜行の最後の波も近い。気を引き締めて、それまでに力を付けておいてくれ」
「はい!」
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