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#Another side ナンバーツー
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スキルホルダー解放戦線本部からアルファを連れ去ったナンバーツーは、プラスエス研究施設跡地の地下最奥部に在る、第一人体実験室へと来ていた。
ここはかつてアルファが監禁されていた大部屋だ。
室内にはいくつもの実験機器が備え付けられていて、手術台もある。
ナンバーツーは到着するなり意識の無いアルファを拘束具で手術台に縛り付けた。
拘束具からは何本ものコードが伸びていて、頭にも電極の刺さった半球状の装置が装着された。
そして、室内にあるコンピューターを操作する。
その脇には水槽に浮かぶ、小さな欠片――天の結晶の欠片だ。
「海上でこのガキを仕留め損なっていたのは誤算だったが……ま、なんか知らんが、それが功を奏したってコトで」
もはやナンバーツーは自身を取り繕う事は無い。邪悪で卑劣なマッドサイエンティストの顔だ。
歪んだ笑みを張り付けたままキーボードを叩けば、アルファに装着された装置に電流が流れる。
「――あ゛っ!! あああああッッ!!!」
無理やり意識を叩き起こされたアルファは苦痛に絶叫し、暴れ回る。
しかし、五体を拘束されていて、悶えて痛みを逃す事すら許されない。
「おうおう、うるせえなあ。ガキがピーピー喚くなっての」
やがて電流は止み、小さな少女は喉から吐血し、だらりと動かなくなる。もはや抵抗の気力すら残されておらず、浅い呼吸を漏らすだけだ。
すると、水槽の中に浮いていた天の結晶の欠片は液体の中に溶けて行き、しばらくの後、水槽を満たす液体はぼんやりと淡い光を放ち始めた。
「お、完成完成っと。こそこそと研究を進めておいた甲斐が有ったってもんだ」
そのまま、天の結晶のエネルギーを溶かした液体は、数本の試験管に分けて充填された。
試験管は先が針になっていて上部に注入用のボタンもある、そのまま注射器として使える形だ。
ナンバーツーはその注射器型試験管を白衣のポケットに仕舞い、そのうちの一本を持って、アルファの元へ。
「おーうい。起きろ、ガキ」
頬を乱暴に叩く。
「ん……うぅ……」
「お、まだ生きてんね。お前、ボクの事分かる?」
「ふるふる」
アルファが弱々しく首を横に振れば、ナンバーツーは愉し気に頬を歪ませる。
「おっけ、じゃあこれからお前には、このウイルス薬――うーん、名前はどうしよっかなあ」
と、手の中で注射器を弄びながら、もう片方の手でアルファの身体を撫でまわす。
「ゃ……」
じゃらりと拘束具が音を立てる。
「――よし、決めた! “後天性第六感症候群発症薬、プラスエス”!! もうボクらの組織は無くなっちゃったから、その名を受け継いでもらおうじゃん。いや、エモくね?」
へらへらと笑いながら、注射器を手に握り構える。
「じゃ、アルファちゃんにはまたボクらの玩具になってもらおう。
この薬には天の光エネルギーと、アルファちゃんのスキル情報が混ぜてある。ボクら旧人類に投与すれば、なんと第六感症候群を発症するっていうすごーい発明……のはずなんだけど、まあどうなんだろうな。
成功か失敗か、蓋を開けてみねえと分からんパンドラの箱だ」
アルファは抵抗しようとするが、幼い身体で拘束具から逃れる事は出来ない。
記憶喪失でさえなければスキルを使って反撃する事も出来ただろうが、今のアルファにそれは難しい話だった。
「――で、だ。ぶっちゃけボクはその先に興味がある訳よ。このお薬をお前ら病人に投与すると、どうなるんだろうね? っていう話よ。
お前はボクらにスキルを拡張されて、既に馬鹿みたいな出力! そこへ更に過剰投与された天の光エネルギー!」
そして、自分に酔いしれる様に語るナンバーツーは、アルファの肌に注射器を突き刺した。
「ぁ……ぁ、ぁ……」
ゆっくりと、注射器の中のウイルス薬がアルファの体内へ注がれて行く。
「さあ! 見せてくれよ! 人類の進化、その先を――!!!」
直後、実験室の中で嵐が巻き起こる。
拘束具は砕け、実験器具は突風で舞い上がり、室内の全てが大破。
「――あ゛ッ! あ゛あ゛ッ!! あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッッッ!!!!!」
喉が裂き切れんばかりの絶叫が木霊し、空間を震わせる。
彼女のスキル“大気操作”が、暴走。
「アハハハハ!!! 最高! 最高だよォ!!!」
ナンバーツーは嵐に飛ばされ、壁に叩き付けられ、血を吐きながらも狂い笑う。
その様はまさに、狂気のマッドサイエンティストそのものだ。
――そして、その直後だった。
電子錠で固く閉ざされていたはずの第一実験室の扉が、赤熱色に染まる――。
ここはかつてアルファが監禁されていた大部屋だ。
室内にはいくつもの実験機器が備え付けられていて、手術台もある。
ナンバーツーは到着するなり意識の無いアルファを拘束具で手術台に縛り付けた。
拘束具からは何本ものコードが伸びていて、頭にも電極の刺さった半球状の装置が装着された。
そして、室内にあるコンピューターを操作する。
その脇には水槽に浮かぶ、小さな欠片――天の結晶の欠片だ。
「海上でこのガキを仕留め損なっていたのは誤算だったが……ま、なんか知らんが、それが功を奏したってコトで」
もはやナンバーツーは自身を取り繕う事は無い。邪悪で卑劣なマッドサイエンティストの顔だ。
歪んだ笑みを張り付けたままキーボードを叩けば、アルファに装着された装置に電流が流れる。
「――あ゛っ!! あああああッッ!!!」
無理やり意識を叩き起こされたアルファは苦痛に絶叫し、暴れ回る。
しかし、五体を拘束されていて、悶えて痛みを逃す事すら許されない。
「おうおう、うるせえなあ。ガキがピーピー喚くなっての」
やがて電流は止み、小さな少女は喉から吐血し、だらりと動かなくなる。もはや抵抗の気力すら残されておらず、浅い呼吸を漏らすだけだ。
すると、水槽の中に浮いていた天の結晶の欠片は液体の中に溶けて行き、しばらくの後、水槽を満たす液体はぼんやりと淡い光を放ち始めた。
「お、完成完成っと。こそこそと研究を進めておいた甲斐が有ったってもんだ」
そのまま、天の結晶のエネルギーを溶かした液体は、数本の試験管に分けて充填された。
試験管は先が針になっていて上部に注入用のボタンもある、そのまま注射器として使える形だ。
ナンバーツーはその注射器型試験管を白衣のポケットに仕舞い、そのうちの一本を持って、アルファの元へ。
「おーうい。起きろ、ガキ」
頬を乱暴に叩く。
「ん……うぅ……」
「お、まだ生きてんね。お前、ボクの事分かる?」
「ふるふる」
アルファが弱々しく首を横に振れば、ナンバーツーは愉し気に頬を歪ませる。
「おっけ、じゃあこれからお前には、このウイルス薬――うーん、名前はどうしよっかなあ」
と、手の中で注射器を弄びながら、もう片方の手でアルファの身体を撫でまわす。
「ゃ……」
じゃらりと拘束具が音を立てる。
「――よし、決めた! “後天性第六感症候群発症薬、プラスエス”!! もうボクらの組織は無くなっちゃったから、その名を受け継いでもらおうじゃん。いや、エモくね?」
へらへらと笑いながら、注射器を手に握り構える。
「じゃ、アルファちゃんにはまたボクらの玩具になってもらおう。
この薬には天の光エネルギーと、アルファちゃんのスキル情報が混ぜてある。ボクら旧人類に投与すれば、なんと第六感症候群を発症するっていうすごーい発明……のはずなんだけど、まあどうなんだろうな。
成功か失敗か、蓋を開けてみねえと分からんパンドラの箱だ」
アルファは抵抗しようとするが、幼い身体で拘束具から逃れる事は出来ない。
記憶喪失でさえなければスキルを使って反撃する事も出来ただろうが、今のアルファにそれは難しい話だった。
「――で、だ。ぶっちゃけボクはその先に興味がある訳よ。このお薬をお前ら病人に投与すると、どうなるんだろうね? っていう話よ。
お前はボクらにスキルを拡張されて、既に馬鹿みたいな出力! そこへ更に過剰投与された天の光エネルギー!」
そして、自分に酔いしれる様に語るナンバーツーは、アルファの肌に注射器を突き刺した。
「ぁ……ぁ、ぁ……」
ゆっくりと、注射器の中のウイルス薬がアルファの体内へ注がれて行く。
「さあ! 見せてくれよ! 人類の進化、その先を――!!!」
直後、実験室の中で嵐が巻き起こる。
拘束具は砕け、実験器具は突風で舞い上がり、室内の全てが大破。
「――あ゛ッ! あ゛あ゛ッ!! あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッッッ!!!!!」
喉が裂き切れんばかりの絶叫が木霊し、空間を震わせる。
彼女のスキル“大気操作”が、暴走。
「アハハハハ!!! 最高! 最高だよォ!!!」
ナンバーツーは嵐に飛ばされ、壁に叩き付けられ、血を吐きながらも狂い笑う。
その様はまさに、狂気のマッドサイエンティストそのものだ。
――そして、その直後だった。
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