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第一部 第四章 神の世界侵略編
ユウリ
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『魔女エル』の残した魔導書、そこに記されていた魔法。
本来ならば大魔法の部類に入るであろう魔法だ。
魔女エルが既に触媒として何かを支払ったのか、それともかつての天才が効率化を極め、触媒無しでの実用化に至ったのか。
それとも、俺は何かを触媒として支払わされるのか。
詳しい事は分からない。
しかし、とにかく俺は真実の目を併用する事で、この魔法を行使する事が出来る。
メカクシをエルに任せた俺は、まずは『転移』で魔女の森の中の、俺たちの家へと飛んだ。
正確には家はもう家の形を成していないのだが、とにかく家の有った場所だ。
「ここからもう少し奥、だよな」
この森の奥、家の有る場所よりも更に奥深く、森の最奥部。
俺自身は、そこまで実際に行った事は無い。
何故なら、今現在そこには何も無いからだ。
何も無ければ用もない。
だから行った事は無い、それだけの事だ。
しかし、今はその何もない最奥部に用がある。
俺は家だった場所を背に、最奥部に向けて少しずつ歩を進める。
天を覆う木々、そこらに生えている魔石の明かり、冷たい森の空気。
目を瞑ると思い出される、“魔女様”との新婚生活の思い出。
そして、“エル”と紡いだ新たな第二の人生の軌跡。
俺たちの物語、全ての始まりの地、魔女の森。
この森の全てが愛おしい。
俺は思い出に浸りながら、ゆっくりと歩き続ける。
そして、ついに最奥部に到達した。
「ここ、かな」
魔女の森の最奥部。
そこに有ったのは、ただの岩だ。
その岩の中央には、何かが刺さっていたであろう小さな穴が空いていた。
ここは、かつて勇者の剣が刺さっていた場所だ。
魔王を討ち、冒険を終えた勇者と魔女の二人。
その二人の元に残された、不死殺しの魔法を付与された勇者の剣――不死殺しの魔剣。
強大過ぎるその魔剣が誰の手にも渡らない様に、二人はこの森の最奥部の、この場所に封じ込めた。
そして、その魔剣の魔力は森に自然と流れ出し、『迷い』の魔法を維持する魔力源となり、それでも溢れた魔力は天然の魔石を産み出していた。
そして、永い時を経て魔力を失った魔剣は、ただの剣と成った。
しかし、何の因果か。
森に逃げ込み、自身の死を望んだ不老不死の魔女によって、その剣は再び不死殺しの魔法を付与された。
そして、ただの異世界人の“愛する人とずっと一緒に生きる”というエゴによって、ついにこの世から葬られた。
つまりは、俺の所為で勇者の剣は未来永劫、この世から失われてしまったという訳だ。
しかし、俺が今この場に来たのは、その勇者の剣が必要だったからだ。
俺は存在しない勇者の剣を求めて、この魔女の森の最奥部に居る。
俺は、『魔女エル』の魔導書を、ローブの『空間』から取り出す。
かつての『魔女エル』はここまで、全て視えていたのだろうか。視通していたのだろうか。
仮にここまでの全てが彼女の想定通り、掌の上だとするのならば。
それはまるで、龍だけでなく彼女自身が真実の目を持っていたかの様だ。
愛する勇者の救ったこの世界を、勇者の護ったこの世界を。
死してなお全てを掌の上で操り、永遠の物とする為に、護ろうとする。
恐ろしい魔女様だ。
それは愛なのか、呪いなのか。
彼女の心の内までは分からない。
かつてエルも言っていた、「これは不老不死の呪いだ」と。
『永遠』の魔法、それは不老不死をもたらす魔法。
かつてのエルにとって、それは呪いだった。
周囲が、そして世界が敵に回っても、死という終わりすら許されない。
二〇〇年もの間苦しんだ、呪いだった。
しかし、俺にとってはエルと“ずっと一緒”に居る為の、二人の永遠を叶える為の、愛の証明だった。
そして、これからもそうだ。
俺はエルとの“ずっと一緒”を永遠に続ける為に、二人の紡ぐ物語の舞台である、この世界を護る。
それは仮に『魔女エル』の掌の上であったとしても、やはりこれは俺の望みであり、俺の意志だ。
そして、それはエルも同じだろう。
これは俺たちの意志だ。
俺の、そして俺たちの意志に呼応して、左目――真実の目が、真紅に輝く。
頭の中に流れ込んでくる“過去”のビジョン。
ここだ。
この時間、この場所だ。
俺は『魔女エル』の魔導書に記された、あの魔法を行使する。
魔法の淡い光が、辺りを包み込む。
森の至る所に生える魔石に光が反射して、幻想的な光景を作り出す。
そして、それはまるで『転移』の波に乗る時と同じ様に。
俺の意識は融けて、光に呑まれていった。
――― SIDE ユウリ
「これは……、剣?」
最奥部に有ったのは、真っ直ぐに地に突き刺さった一本の長剣。
剣は森の中に生える魔石の光を反射し、美しく、神秘的に輝いている様に見えた。
「素敵ね! まるで物語の中みたい!」
それはまるで、物語の中に出てくる勇者の剣の様だった。
憧れていた物語の世界の、冒険の一ページの様な出会いに、ユウリの心は昂った。
そしてユウリは、流れ星に願う様に、その地に刺さる美しい剣に対して願った。
両の手を握り、剣の前に膝を付き、ユウリは願う。
(わたしも、素敵な勇者様に出会えます様に――)
「――なんて、ね」
冒険に熱中して、森の奥深くまで来てしまった。
そろそろ帰らなければ、家族も心配するだろう。
二度も三度も一晩帰らない様な不良娘では、大好きな冒険を禁止されてしまうかもしれない。
それはユウリも本意ではない。
「またね」
誰に言うでもなく、そう森の虚空へ向かって呟いた。
そして、ユウリは剣を背に、森を後に――、
――その時だった。
ユウリの背後で輝く、淡い光。
光が木々の表皮や周囲の魔石に反射し、背を向けていたユウリにも、その光りが魔法の行使によって発生する物である事は、すぐに理解出来た。
「何かしら?」
ユウリは好奇心に紫紺の瞳を輝かせ、勢いよく振り向いた。
そこには、先程まではそこに居なかったはずの、淡い魔法の光を周囲に纏う、目深にフードを被った、ローブの男が居た。
ローブの男はよく見ると、身体の縁が薄っすらの透けていて、どこか存在の希薄さを感じさせた。
「あなたは、誰?」
ユウリに未知への恐れといった感情は無かった。
ただ好奇心に身を任せるままに、頭に浮かんだ疑問をローブの男へと投げかけた。
ローブの男は状況を呑み込めないのか、それともユウリの問いへの回答を持ち合わせていなかったのか、しばらく迷った様に間を置く。
そして――、
「――勇者、かな」
その言葉を聞いたユウリは更にその紫紺の瞳を大きく、輝かせた。
勇者様が、会いに来てくれた。
森の最奥部に有った美しい剣、それに願った“素敵な勇者様に出会えます様に”という願い。
それがこんなにも早く、それに本当に叶うとは思っていなかった。
「勇者様! 本当にお会いできるだなんて! わたしに会いに来てくださったの?」
「――いいや。世界を救う、その為に、この剣が必要だったんだ」
そう言ってローブの男――改め、勇者は剣の柄を握る。
「そう……、わたしの願いを聞いて、来てくださった訳じゃあ無かったのね」
勇者は剣を引き抜こうと、柄を握った腕に力を込める。
しかし、岩に深く突き刺さった勇者の剣は、びくともしない。
「ふふっ。勇者様、お手伝い、しましょうか?」
自分の為に来てくれた訳では無かった事は残念だったが、勇者は世界を救う為に勇者の剣を求めてここへ来たらしい。
勇者の剣が抜けなくては世界の危機だ。
非力で可愛い勇者様に、ユウリは力を貸す事にした。
「勇者様、少し、離れていてちょうだい?」
勇者は困惑しながらも、「ああ」と了承し、剣の刺さる岩から少し距離を取った。
ユウリは人差し指を一本立てて、勇者の剣の刺さった岩へ向けて、『爆発』の魔法を放つ。
そして、岩が弾け飛び、『爆発』によって巻き上がった砂煙が立ち込める。
ユウリと勇者は二人してけほけほと咳き込みながら、砂煙が晴れるのを待った。
砂煙が晴れると、ユウリはとことこと岩の残骸の中に転がっていた勇者の剣の元まで走って行き、両手で柄の部分をを持ち上げた。
「ふふっ。大成功ね! ――勇者様、はい、どうぞ?」
勇者の剣の大きさ、重さを少女の小さな身体一人で持ち上げる事は不可能だったので、剣先は地に着き、引きずった状態だ。
「――ああ、ありがとう。助かったよ」
勇者はまだ少し困惑気味だが、ユウリからその剣を受け取った。
ユウリとは違い、勇者は右手一本でその剣を持ち、傍らに携えた。
すると、気付けば勇者の身体は先程までよりも更に薄っすらと透けていっており、背景の木々が透けて見える程になっていた。
それを見たユウリは、勇者との別れの時を察した。
「もう、行ってしまうの?」
「――また、会おう」
そう言って、片手に剣を携えた勇者は、背を向けた。
淡い魔法の光が強くなり、勇者の身体を包み込む。
ユウリが光りに目を眩ませた一瞬。
その一瞬の間に、勇者の姿は消えてなくなっていた。
「――また、ね」
ユウリはそう森の虚空へ向かって呟く。
そして、先程まで勇者の居た、今はもう岩の残骸しか残っていない空間を背に、森を後にした。
――― SIDE アル
眩い魔法の光が視界を包み込む。
その光りが晴れ、目が慣れてくると、やっと状況を掴むことが出来た。
視界にまず入って来たのは見慣れた森の景色だった。
『魔女エル』の魔導書の魔法を行使した直前に見た景色と、変わった点を一目では見つけられず、一瞬失敗したのかと錯覚する程だった。
しかし、鼻孔をくすぐる森の空気がどこか違って感じられる。
そして――、
「あなたは、誰?」
少女の声。
聞き慣れないはずなのに、どこか懐かしさを感じさせるその澄んだ声に導かれるままに、声のする方へと視線を向ける。
黒髪、エルフ耳、そして紫紺の瞳。
(ああ……)
俺はその目の前の少女に聞こえない様に小さく、感嘆の声を漏らす。
少女の姿を見て、魔導書の魔法の成功を確信した。
ならば――と、俺は背後に意識を向ける。
間違いない、先程までそこに無かった物が、そこには確かに有った。
岩に突き刺さる、美しい一本の長剣。
見覚えの有る形、装飾。
間違いない、これは勇者の剣だ。
「――勇者、かな」
俺は少女の無邪気な問いに、そう答えた。
勿論、俺は勇者本人では無い。
しかし、俺はこの勇者の剣を求めてこの場に来た。
ならば、今の俺に振られた役割は勇者で間違いないだろう。
俺は役割に順じよう。
「勇者様! 本当にお会いできるだなんて! わたしに会いに来てくださったの?」
この少女は、俺の知っている彼女とは、どこか違った雰囲気を纏っている。
話し方もそうだが、この頃の彼女からは、どこか明るく快活な印象を受ける。
彼女に会えたことは、とても嬉しい。
その気持ちに嘘は無い。
しかし、今回の魔法の行使に当たっての主とする目的は彼女ではない。
「――いいや。世界を救う、その為に、この剣が必要だったんだ」
俺はそう言って、背後に刺さる勇者の剣の柄を握る。
「そう……、わたしの願いを聞いて、来てくださった訳じゃあ無かったのね」
少女は心底残念そうに、そう呟いた。
彼女にそんな寂しそうな表情をさせてしまった事に、胸が痛んだ。
しかし、俺は自分の身体の縁が薄っすらと透けている事に、気付いていた。
これはおそらく、タイムリミットだ。俺には時間が無いらしい。
この透過が広がり、やがて俺は元の場所に戻されてしまうだろう。
その前に――、
俺は剣を抜こうと、柄を握った腕に力を込める。
しかし、岩に深く突き刺さった勇者の剣はびくともしない。
「ふふっ。勇者様、お手伝い、しましょうか?」
先程まで寂しそうな表情を見せていた少女は、勇者の剣と悪戦苦闘している俺を見て、今度はころりと表情を変えて、無邪気に悪戯っぽく笑っていた。
その無邪気で純真無垢な笑顔が眩しくて、見惚れてしまいそうで、なんだか少し照れ臭い。
俺は柄を握っていた腕の力を抜いて、そして、
「勇者様、少し、離れていてちょうだい?」
と少女に言われるがままに、その勇者の剣の刺さる岩から、少し距離を取った。
この少女に男の俺以上の腕力が有るはずはなく、どう手伝ってくれるのかと、内心半ば困惑気味ではあった。
しかし、それと同時に“彼女なら出来るだろう”という信頼もあった。
俺が離れた事を確認すると、少女は剣の刺さる岩へと向けって人差し指を一本立てた。
そして、指先から魔法の淡い光が浮かび上がり、少女は『爆発』の魔法を放つ。
岩が弾け飛び、『爆発』によって巻き上がった砂煙が立ち込める。
少女も自分の思っていた以上の威力が出てしまった様で、爆風で舞い上がった砂煙の被害を諸に受けていた。
俺と少女は二人してけほけほと咳き込みながら、砂煙が晴れるのを待った。
砂煙が晴れると、少女はとことこと岩の残骸の中に転がっていた勇者の剣の元まで走って行き、両手で柄の部分をを持ち上げた。
「ふふっ。大成功ね! ――勇者様、はい、どうぞ?」
勇者の剣の大きさ、重さを少女の小さな身体一人で持ち上げる事は不可能だったので、剣先は地に着き、引きずった状態だ。
それを両手で頑張って抱えている姿からは、今にも「よいしょ、うんしょ」なんて言う可愛らしい掛け声が聞こえてきそうだ。
「――ああ、ありがとう。助かったよ」
俺はお礼を言って、少女から勇者の剣を受け取った。
そして、受け取った勇者の剣を右手で持ち、傍らに携えた。
気づけば、俺の身体はここへ来た時よりも更に薄く透けていっていた。
半透明の肌の先に、森の木々が透けて見える。
「もう、行ってしまうの?」
俺の身体の変化を見て、少女もタイムリミットを察したのだろう。
名残惜しそうな声に、後ろ髪を引かれそうになる。
俺だって、もっと彼女と話したい事が山ほど有る。
彼女は何を考えているのか、何を感じているのか、知りたい。
話したい、抱きしめたやりたい。
しかし、俺が会うべき彼女は、今の彼女ではない。
大丈夫だ、必ず会える。
だから、未来で――、
「――また、会おう」
俺は勇者の剣を握りしめ、背を向けた。
彼女がくれたこの大切な剣を手放してしまわない様に、しっかりと握る手に力を込める。
魔法の淡い光が、俺の身体を包み込む。
そして再び、ここへ来た時と同じ様に、俺の意識は融けて、光に呑まれていった。
「――また、ね」
光に包まれて、融けて行く意識の中。
そう、少女の声が聞こえた気がした。
―――
気づけば、見慣れた森の景色。
そして、鼻孔をくすぐる森の空気も俺の知っている物だ。
そして、右手には“勇者の剣”。
どうやら、ちゃんと帰って来られたらしい。
ふと、足元に視線を送る。
そこには元々勇者の剣が刺さっていたであろう穴が空いているだけの岩が有ったはずだが、今はその岩はどこにもない。
代わりに石の破片が飛び散り、クレーターの様な跡が残っていた。
その爆発痕が、あれが夢ではなく現実だったのだと実感させてくれた。
『魔女エル』の魔導書の魔法、それは『時』の魔法だった。
過去や未来の、どこかの座標へと跳ぶ。
時間を越えて世界へ干渉する。
そういう魔法だ。
しかし、その『時』の魔法単体では機能しない。
過去のどの時間のどこへ跳べばいいのか、未来のどの時間のどこへ跳べばいいのか、その魔法単体では指針が無いからだ。
そこで必要になって来るのが、過去未来全てを見通す“真実の目”だ。
例えるなら、『時』の魔法は海を渡る船、真実の目は航路を示すコンパスだ。
二つが揃ってやっと真価を発揮する。
単体では機能しない、しかし強力な規格外の魔法。
それが『魔女エル』の残した『時』の魔法だ。
俺は『時』の魔法で過去へと跳んだ。
そして、現代では失われたはずの“勇者の剣”を拝借してきたという訳だ。
しかし、まさかその中で、過去であんな出会いが有るとは思いもしなかった。
予想外の出会い、収穫だ。
俺は過去で出会ったあのエルフの少女を思い出しながら、彼女が手を貸してくれる事で手に入れた、勇者の剣を握る手に力を込めた。
しかし、これで終わりではない。
勇者の剣自体が目的では無い。
これはまだ準備段階だ。
俺の役目は、ここからだ。
――そうだろう? 『魔女エル』。
俺は勇者の剣を携え、『転移』の波に乗った。
本来ならば大魔法の部類に入るであろう魔法だ。
魔女エルが既に触媒として何かを支払ったのか、それともかつての天才が効率化を極め、触媒無しでの実用化に至ったのか。
それとも、俺は何かを触媒として支払わされるのか。
詳しい事は分からない。
しかし、とにかく俺は真実の目を併用する事で、この魔法を行使する事が出来る。
メカクシをエルに任せた俺は、まずは『転移』で魔女の森の中の、俺たちの家へと飛んだ。
正確には家はもう家の形を成していないのだが、とにかく家の有った場所だ。
「ここからもう少し奥、だよな」
この森の奥、家の有る場所よりも更に奥深く、森の最奥部。
俺自身は、そこまで実際に行った事は無い。
何故なら、今現在そこには何も無いからだ。
何も無ければ用もない。
だから行った事は無い、それだけの事だ。
しかし、今はその何もない最奥部に用がある。
俺は家だった場所を背に、最奥部に向けて少しずつ歩を進める。
天を覆う木々、そこらに生えている魔石の明かり、冷たい森の空気。
目を瞑ると思い出される、“魔女様”との新婚生活の思い出。
そして、“エル”と紡いだ新たな第二の人生の軌跡。
俺たちの物語、全ての始まりの地、魔女の森。
この森の全てが愛おしい。
俺は思い出に浸りながら、ゆっくりと歩き続ける。
そして、ついに最奥部に到達した。
「ここ、かな」
魔女の森の最奥部。
そこに有ったのは、ただの岩だ。
その岩の中央には、何かが刺さっていたであろう小さな穴が空いていた。
ここは、かつて勇者の剣が刺さっていた場所だ。
魔王を討ち、冒険を終えた勇者と魔女の二人。
その二人の元に残された、不死殺しの魔法を付与された勇者の剣――不死殺しの魔剣。
強大過ぎるその魔剣が誰の手にも渡らない様に、二人はこの森の最奥部の、この場所に封じ込めた。
そして、その魔剣の魔力は森に自然と流れ出し、『迷い』の魔法を維持する魔力源となり、それでも溢れた魔力は天然の魔石を産み出していた。
そして、永い時を経て魔力を失った魔剣は、ただの剣と成った。
しかし、何の因果か。
森に逃げ込み、自身の死を望んだ不老不死の魔女によって、その剣は再び不死殺しの魔法を付与された。
そして、ただの異世界人の“愛する人とずっと一緒に生きる”というエゴによって、ついにこの世から葬られた。
つまりは、俺の所為で勇者の剣は未来永劫、この世から失われてしまったという訳だ。
しかし、俺が今この場に来たのは、その勇者の剣が必要だったからだ。
俺は存在しない勇者の剣を求めて、この魔女の森の最奥部に居る。
俺は、『魔女エル』の魔導書を、ローブの『空間』から取り出す。
かつての『魔女エル』はここまで、全て視えていたのだろうか。視通していたのだろうか。
仮にここまでの全てが彼女の想定通り、掌の上だとするのならば。
それはまるで、龍だけでなく彼女自身が真実の目を持っていたかの様だ。
愛する勇者の救ったこの世界を、勇者の護ったこの世界を。
死してなお全てを掌の上で操り、永遠の物とする為に、護ろうとする。
恐ろしい魔女様だ。
それは愛なのか、呪いなのか。
彼女の心の内までは分からない。
かつてエルも言っていた、「これは不老不死の呪いだ」と。
『永遠』の魔法、それは不老不死をもたらす魔法。
かつてのエルにとって、それは呪いだった。
周囲が、そして世界が敵に回っても、死という終わりすら許されない。
二〇〇年もの間苦しんだ、呪いだった。
しかし、俺にとってはエルと“ずっと一緒”に居る為の、二人の永遠を叶える為の、愛の証明だった。
そして、これからもそうだ。
俺はエルとの“ずっと一緒”を永遠に続ける為に、二人の紡ぐ物語の舞台である、この世界を護る。
それは仮に『魔女エル』の掌の上であったとしても、やはりこれは俺の望みであり、俺の意志だ。
そして、それはエルも同じだろう。
これは俺たちの意志だ。
俺の、そして俺たちの意志に呼応して、左目――真実の目が、真紅に輝く。
頭の中に流れ込んでくる“過去”のビジョン。
ここだ。
この時間、この場所だ。
俺は『魔女エル』の魔導書に記された、あの魔法を行使する。
魔法の淡い光が、辺りを包み込む。
森の至る所に生える魔石に光が反射して、幻想的な光景を作り出す。
そして、それはまるで『転移』の波に乗る時と同じ様に。
俺の意識は融けて、光に呑まれていった。
――― SIDE ユウリ
「これは……、剣?」
最奥部に有ったのは、真っ直ぐに地に突き刺さった一本の長剣。
剣は森の中に生える魔石の光を反射し、美しく、神秘的に輝いている様に見えた。
「素敵ね! まるで物語の中みたい!」
それはまるで、物語の中に出てくる勇者の剣の様だった。
憧れていた物語の世界の、冒険の一ページの様な出会いに、ユウリの心は昂った。
そしてユウリは、流れ星に願う様に、その地に刺さる美しい剣に対して願った。
両の手を握り、剣の前に膝を付き、ユウリは願う。
(わたしも、素敵な勇者様に出会えます様に――)
「――なんて、ね」
冒険に熱中して、森の奥深くまで来てしまった。
そろそろ帰らなければ、家族も心配するだろう。
二度も三度も一晩帰らない様な不良娘では、大好きな冒険を禁止されてしまうかもしれない。
それはユウリも本意ではない。
「またね」
誰に言うでもなく、そう森の虚空へ向かって呟いた。
そして、ユウリは剣を背に、森を後に――、
――その時だった。
ユウリの背後で輝く、淡い光。
光が木々の表皮や周囲の魔石に反射し、背を向けていたユウリにも、その光りが魔法の行使によって発生する物である事は、すぐに理解出来た。
「何かしら?」
ユウリは好奇心に紫紺の瞳を輝かせ、勢いよく振り向いた。
そこには、先程まではそこに居なかったはずの、淡い魔法の光を周囲に纏う、目深にフードを被った、ローブの男が居た。
ローブの男はよく見ると、身体の縁が薄っすらの透けていて、どこか存在の希薄さを感じさせた。
「あなたは、誰?」
ユウリに未知への恐れといった感情は無かった。
ただ好奇心に身を任せるままに、頭に浮かんだ疑問をローブの男へと投げかけた。
ローブの男は状況を呑み込めないのか、それともユウリの問いへの回答を持ち合わせていなかったのか、しばらく迷った様に間を置く。
そして――、
「――勇者、かな」
その言葉を聞いたユウリは更にその紫紺の瞳を大きく、輝かせた。
勇者様が、会いに来てくれた。
森の最奥部に有った美しい剣、それに願った“素敵な勇者様に出会えます様に”という願い。
それがこんなにも早く、それに本当に叶うとは思っていなかった。
「勇者様! 本当にお会いできるだなんて! わたしに会いに来てくださったの?」
「――いいや。世界を救う、その為に、この剣が必要だったんだ」
そう言ってローブの男――改め、勇者は剣の柄を握る。
「そう……、わたしの願いを聞いて、来てくださった訳じゃあ無かったのね」
勇者は剣を引き抜こうと、柄を握った腕に力を込める。
しかし、岩に深く突き刺さった勇者の剣は、びくともしない。
「ふふっ。勇者様、お手伝い、しましょうか?」
自分の為に来てくれた訳では無かった事は残念だったが、勇者は世界を救う為に勇者の剣を求めてここへ来たらしい。
勇者の剣が抜けなくては世界の危機だ。
非力で可愛い勇者様に、ユウリは力を貸す事にした。
「勇者様、少し、離れていてちょうだい?」
勇者は困惑しながらも、「ああ」と了承し、剣の刺さる岩から少し距離を取った。
ユウリは人差し指を一本立てて、勇者の剣の刺さった岩へ向けて、『爆発』の魔法を放つ。
そして、岩が弾け飛び、『爆発』によって巻き上がった砂煙が立ち込める。
ユウリと勇者は二人してけほけほと咳き込みながら、砂煙が晴れるのを待った。
砂煙が晴れると、ユウリはとことこと岩の残骸の中に転がっていた勇者の剣の元まで走って行き、両手で柄の部分をを持ち上げた。
「ふふっ。大成功ね! ――勇者様、はい、どうぞ?」
勇者の剣の大きさ、重さを少女の小さな身体一人で持ち上げる事は不可能だったので、剣先は地に着き、引きずった状態だ。
「――ああ、ありがとう。助かったよ」
勇者はまだ少し困惑気味だが、ユウリからその剣を受け取った。
ユウリとは違い、勇者は右手一本でその剣を持ち、傍らに携えた。
すると、気付けば勇者の身体は先程までよりも更に薄っすらと透けていっており、背景の木々が透けて見える程になっていた。
それを見たユウリは、勇者との別れの時を察した。
「もう、行ってしまうの?」
「――また、会おう」
そう言って、片手に剣を携えた勇者は、背を向けた。
淡い魔法の光が強くなり、勇者の身体を包み込む。
ユウリが光りに目を眩ませた一瞬。
その一瞬の間に、勇者の姿は消えてなくなっていた。
「――また、ね」
ユウリはそう森の虚空へ向かって呟く。
そして、先程まで勇者の居た、今はもう岩の残骸しか残っていない空間を背に、森を後にした。
――― SIDE アル
眩い魔法の光が視界を包み込む。
その光りが晴れ、目が慣れてくると、やっと状況を掴むことが出来た。
視界にまず入って来たのは見慣れた森の景色だった。
『魔女エル』の魔導書の魔法を行使した直前に見た景色と、変わった点を一目では見つけられず、一瞬失敗したのかと錯覚する程だった。
しかし、鼻孔をくすぐる森の空気がどこか違って感じられる。
そして――、
「あなたは、誰?」
少女の声。
聞き慣れないはずなのに、どこか懐かしさを感じさせるその澄んだ声に導かれるままに、声のする方へと視線を向ける。
黒髪、エルフ耳、そして紫紺の瞳。
(ああ……)
俺はその目の前の少女に聞こえない様に小さく、感嘆の声を漏らす。
少女の姿を見て、魔導書の魔法の成功を確信した。
ならば――と、俺は背後に意識を向ける。
間違いない、先程までそこに無かった物が、そこには確かに有った。
岩に突き刺さる、美しい一本の長剣。
見覚えの有る形、装飾。
間違いない、これは勇者の剣だ。
「――勇者、かな」
俺は少女の無邪気な問いに、そう答えた。
勿論、俺は勇者本人では無い。
しかし、俺はこの勇者の剣を求めてこの場に来た。
ならば、今の俺に振られた役割は勇者で間違いないだろう。
俺は役割に順じよう。
「勇者様! 本当にお会いできるだなんて! わたしに会いに来てくださったの?」
この少女は、俺の知っている彼女とは、どこか違った雰囲気を纏っている。
話し方もそうだが、この頃の彼女からは、どこか明るく快活な印象を受ける。
彼女に会えたことは、とても嬉しい。
その気持ちに嘘は無い。
しかし、今回の魔法の行使に当たっての主とする目的は彼女ではない。
「――いいや。世界を救う、その為に、この剣が必要だったんだ」
俺はそう言って、背後に刺さる勇者の剣の柄を握る。
「そう……、わたしの願いを聞いて、来てくださった訳じゃあ無かったのね」
少女は心底残念そうに、そう呟いた。
彼女にそんな寂しそうな表情をさせてしまった事に、胸が痛んだ。
しかし、俺は自分の身体の縁が薄っすらと透けている事に、気付いていた。
これはおそらく、タイムリミットだ。俺には時間が無いらしい。
この透過が広がり、やがて俺は元の場所に戻されてしまうだろう。
その前に――、
俺は剣を抜こうと、柄を握った腕に力を込める。
しかし、岩に深く突き刺さった勇者の剣はびくともしない。
「ふふっ。勇者様、お手伝い、しましょうか?」
先程まで寂しそうな表情を見せていた少女は、勇者の剣と悪戦苦闘している俺を見て、今度はころりと表情を変えて、無邪気に悪戯っぽく笑っていた。
その無邪気で純真無垢な笑顔が眩しくて、見惚れてしまいそうで、なんだか少し照れ臭い。
俺は柄を握っていた腕の力を抜いて、そして、
「勇者様、少し、離れていてちょうだい?」
と少女に言われるがままに、その勇者の剣の刺さる岩から、少し距離を取った。
この少女に男の俺以上の腕力が有るはずはなく、どう手伝ってくれるのかと、内心半ば困惑気味ではあった。
しかし、それと同時に“彼女なら出来るだろう”という信頼もあった。
俺が離れた事を確認すると、少女は剣の刺さる岩へと向けって人差し指を一本立てた。
そして、指先から魔法の淡い光が浮かび上がり、少女は『爆発』の魔法を放つ。
岩が弾け飛び、『爆発』によって巻き上がった砂煙が立ち込める。
少女も自分の思っていた以上の威力が出てしまった様で、爆風で舞い上がった砂煙の被害を諸に受けていた。
俺と少女は二人してけほけほと咳き込みながら、砂煙が晴れるのを待った。
砂煙が晴れると、少女はとことこと岩の残骸の中に転がっていた勇者の剣の元まで走って行き、両手で柄の部分をを持ち上げた。
「ふふっ。大成功ね! ――勇者様、はい、どうぞ?」
勇者の剣の大きさ、重さを少女の小さな身体一人で持ち上げる事は不可能だったので、剣先は地に着き、引きずった状態だ。
それを両手で頑張って抱えている姿からは、今にも「よいしょ、うんしょ」なんて言う可愛らしい掛け声が聞こえてきそうだ。
「――ああ、ありがとう。助かったよ」
俺はお礼を言って、少女から勇者の剣を受け取った。
そして、受け取った勇者の剣を右手で持ち、傍らに携えた。
気づけば、俺の身体はここへ来た時よりも更に薄く透けていっていた。
半透明の肌の先に、森の木々が透けて見える。
「もう、行ってしまうの?」
俺の身体の変化を見て、少女もタイムリミットを察したのだろう。
名残惜しそうな声に、後ろ髪を引かれそうになる。
俺だって、もっと彼女と話したい事が山ほど有る。
彼女は何を考えているのか、何を感じているのか、知りたい。
話したい、抱きしめたやりたい。
しかし、俺が会うべき彼女は、今の彼女ではない。
大丈夫だ、必ず会える。
だから、未来で――、
「――また、会おう」
俺は勇者の剣を握りしめ、背を向けた。
彼女がくれたこの大切な剣を手放してしまわない様に、しっかりと握る手に力を込める。
魔法の淡い光が、俺の身体を包み込む。
そして再び、ここへ来た時と同じ様に、俺の意識は融けて、光に呑まれていった。
「――また、ね」
光に包まれて、融けて行く意識の中。
そう、少女の声が聞こえた気がした。
―――
気づけば、見慣れた森の景色。
そして、鼻孔をくすぐる森の空気も俺の知っている物だ。
そして、右手には“勇者の剣”。
どうやら、ちゃんと帰って来られたらしい。
ふと、足元に視線を送る。
そこには元々勇者の剣が刺さっていたであろう穴が空いているだけの岩が有ったはずだが、今はその岩はどこにもない。
代わりに石の破片が飛び散り、クレーターの様な跡が残っていた。
その爆発痕が、あれが夢ではなく現実だったのだと実感させてくれた。
『魔女エル』の魔導書の魔法、それは『時』の魔法だった。
過去や未来の、どこかの座標へと跳ぶ。
時間を越えて世界へ干渉する。
そういう魔法だ。
しかし、その『時』の魔法単体では機能しない。
過去のどの時間のどこへ跳べばいいのか、未来のどの時間のどこへ跳べばいいのか、その魔法単体では指針が無いからだ。
そこで必要になって来るのが、過去未来全てを見通す“真実の目”だ。
例えるなら、『時』の魔法は海を渡る船、真実の目は航路を示すコンパスだ。
二つが揃ってやっと真価を発揮する。
単体では機能しない、しかし強力な規格外の魔法。
それが『魔女エル』の残した『時』の魔法だ。
俺は『時』の魔法で過去へと跳んだ。
そして、現代では失われたはずの“勇者の剣”を拝借してきたという訳だ。
しかし、まさかその中で、過去であんな出会いが有るとは思いもしなかった。
予想外の出会い、収穫だ。
俺は過去で出会ったあのエルフの少女を思い出しながら、彼女が手を貸してくれる事で手に入れた、勇者の剣を握る手に力を込めた。
しかし、これで終わりではない。
勇者の剣自体が目的では無い。
これはまだ準備段階だ。
俺の役目は、ここからだ。
――そうだろう? 『魔女エル』。
俺は勇者の剣を携え、『転移』の波に乗った。
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