【完結】少し遅れた異世界転移 〜死者蘇生された俺は災厄の魔女と共に生きていく〜

赤木さなぎ

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第一部 第四章 神の世界侵略編

アルヴ再訪

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 俺たちは旧王都で、エルフの老人――宮廷魔導士と戦い、そして勝利した。
 あの宮廷魔導士は俺の手によって葬られた。
 そして、瘴気に包まれていた旧王都はその戦闘の副次的効果として、二〇〇年振りに解放されたのだった。

 旧王都全体を焼き尽くした俺の魔法『ファイアウォール』に、その場にいた俺とエルも巻き込まれる形となった。

 と言っても、エルに対しては俺の不完全な魔法程度ではダメージは与えられない。
 結果として、エルは自身の『魔法障壁』だけでいともたやすく防ぎ切り、全くの無傷だった。

 しかし、俺の方はそうも行かない。
 自分で放った『不死殺し』を込めた『ファイアボール』で負った自傷ダメージが、まだ完全に癒え切っていない。

 出来れば、このまま家でゆっくりとしていたいのだが、生憎そういう訳にもいかないのが現実だ。
 何故なら、ゆっくり休む為の家が無い。
 壊された森の家は、まだ全く再建の目途が立っていないのだ。

「これから、どうしましょうか」

「そうだなあ……」

 俺たちは森の中の、家だった瓦礫の山の中で、途方に暮れていた。

 旧王都での一件から数日。
 どうにか二人で再建出来ないかと瓦礫の山と格闘していた。
 しかし、俺たちは魔法が使えても建築技能なんて物は無い。
 そして、この『迷い』の森の中に他の人間を招いて、再建を手伝ってもらう訳にも行かない。

 なので、今は唯一無事と言える状態の、地下の書庫を仮拠点として生活していた。

 しかし、やはり壊れた家を毎日見るのも気が滅入る物だ。
 瓦礫の山の中で過ごすのも、あまりいい気分ではない。

 今も瓦礫を端へ追いやって、突貫で修理した足の折れた机と椅子を森の中の地べたに広げて、二人で現実逃避的にお茶をしている状態だ。

 しかし、現実逃避をしていても何も始まらない。
 こんな風にずっと、瓦礫に囲まれて屋根の無い家と地下室での暮らしを続ける訳にも行かない。

「……引っ越すか」

「どこへ、です?」

 元々、頭の端で考えていた事が有る。

「――アルヴに」

 旅の中で一度訪れた、あの“本と創作の国アルヴ”だ。
 エルフ族の住む、魔法の発展した、本と創作の国。

 あそこなら、エルも住みやすいのではないだろうか。
 この王都から近い森の中なんかよりも、ずっと生きやすい場所なのではないか。
 と、そう思っていた。

「ああ、いいですね! わたしもあの国は大好きです」

「ね。――それに、エレナさんの事も気になるしね」

 俺はそう言って、左目を指す。
 エルもそのジェスチャーで、俺の言いたい事を理解した様だ。

「ああ。――そうですね。その件も気になりますし、彼女にもまた会いたいです」

 結局、あの時は真実の左目の在処は分からないまま、俺たちはアルヴを後にした。
 それが数年前の事だ。

 その後、エレナも独自に調査を続けていた事だろう。
 もしかすると、真実の目や『勇者アルの冒険』の何かしらについて、新たな手掛かりを掴んでいるかもしれない。

「よし。じゃあ、行くか!」

「はいっ!」

 そんな適当な感じで、気軽に遠出をしてしまえるのも俺たちならではだろう。

 『永遠』の時間を過ごし、卓越した魔法を使いこなす。
 半ば人間を超越してしまった、俺たちならではの感覚、価値観だ。

 俺たちは荷物をまとめて、必要な物をエルのローブの『空間』へ仕舞い、簡単な旅支度を整える。

 そして、再びアルヴを目指して、魔女の森を発った。


・・・


 久方ぶりのアルヴの街並みは、数年経った今でも然程変わる事は無かった。

 大通りの左右を見ると、数件の本屋が並ぶのはアルヴ特有の光景。
 上を見上げると、空を飛ぶ箒の光の軌跡が弧を描き、道路の様に敷かれている。

 街灯なんかにも贅沢に魔石を用いた魔道具が使われているのも、魔法の発展したアルヴならではだ。

「あ、このお店、前来た時には無かったです! 寄ってもいいですか?」

 新しく、本屋とカフェが併設されたお店が出来ていた。

「後でいくらでも時間はあるから。先にエレナさんのとこ行こうか」

 エルが新しく出来たお店に吸い寄せられて行くのを静止する。

 予定ではこのアルヴで新しい家を持つのだから、いくらでも来る機会は有るだろう。
 まずはエレナに挨拶を済ますのが先だ。

「むぅ~」

 エルは頬を膨らませて不服の意を示すも、とてとてと先導する俺の後を付いて来て、隣に並ぶ。

「でも、この国で家を持つってなると、一体幾らかかるんだ……」

 ぱっと見の街並みでも華やかで、裕福な国だというのが分かる。

 ここまで来たのは良いが、冷静に考えると俺たちの懐事情は然程潤ってはいない。
 森の中の小屋くらいの規模の家を持つにしても、かなり厳しいかもしれない。

「うーん。お金に困ったら、錬金術でも覚えましょうか」

「なにそれ、初耳……」

 旅をして周ったと言っても、まだ世界の半分も周り切れていないだろう。
 まだまだこの異世界は俺の知らない事柄で溢れていそうだ。


 そんなこんなで、俺たちはエレナの家を訪れた。

「やあ、よく来たね。元気そうでよかった。君らがまた来るのを待ち侘びていたよ」

 呼び金を鳴らすと、すぐにエレナが玄関の扉を開けて出迎えてくれた。

「久しぶり」

「あの、エレナさん、それ……」

 エレナの以前会った時との容姿の変化に、エルが声を上げる。

「ん? ああ、そうだね。ちょっとイメチェンせざるを得ない状態になってしまってね。まあ、それが君らに会いたかった理由な訳だけど」

 エレナのはそう言って、“眼帯”を上から摩る。

 エレナは数年前に会った時にはしていなかった眼帯を、左目にしていた。
 それが意味する物のは、つまり。

「――真実の左目が、奪われた」

 エレナは淡々と、その事実を告げる。

 再会を喜ぶ暇も無く、衝撃の事実が付きつけられた。
 これでは引っ越しどころの騒ぎでは無い。

 俺たちは以前に訪れた時にもそうした様に、エレナの書斎で集まり話を聞く事にした。

「事の発端は、君らがアルヴを去った一年くらい後の事だよ」

 そんな前置きから、エレナが事の経緯を説明してくれた。


 ――ある日エレナの左目が突然熱を帯び、頭の中にビジョンが流れ込んで来た。

 それは過去のビジョン。
 エレナの祖父が龍に出会う場面。
 そして、エレナの祖父がエレナに左目を継承する場面だった。

 エルの時と同じ、真実の目の覚醒によるビジョンの幻視だ。
 自分の中にあの真実の目が有るという事に、エレナは心底興奮した。

 しかし、その左目の覚醒から数日後の事だ。
 エレナの元に、一人の少年が現れた。

 “訪ねてきた”のではなく“現れた”のだ。
 その少年はどこからともなく、突然現れた。

「――やっと見つけた。僕の目、返してもらうよ」

 その少年は短いパーマがかった金髪で、自分の両の目を包帯で覆っていた。

 そんな目隠し状態だと言うのに、まるで見えているかのように、エレナの方を真っ直ぐと見据える少年。

 エレナはこの突然現れた目隠しの少年がただ者では無いと悟り、すぐに逃げようとした。

 しかし、気付けば少年の掌の上には、一つの球体が有った。
 エレナが自分の世界の左半分が失われた事に気付いたのは、その球体を認識した数秒後の事だ。

「がああああああああ……!!」

 それを認識すると、左目があったはずの場所から、熱がじわりじわりと沁み出して来るのを感じ始める。
 そして、激痛が走る。

「右目の方にも伝えといてよ。――次はお前だ」

 そして、目隠しの少年の姿は消えた。
 その言葉と、痛みと、虚無感だけを残して――。


「――って訳で、残念ながら真実の目はもう私の手元には無いんだ」

「教えてもらえれば、すぐに駆け付けたのに」

「勿論君らにもすぐに知らせたかったんだけど、今どこに居るのかすら分からなかったからね。こうしてまた訪ねて来てくれるのを、首を長くして待っていた、という訳だ」

 確かに、この世界には携帯電話の様な連絡手段は無い。
 そして、手紙を出そうにも、俺たちは旅をしていたし、そもそも魔女の森に手紙は届かない。
 教えろと言っても無理な話だ。
 
「ああ、それは申し訳ない……」

「いいや、構わないよ。こうして来てくれたんだからね。でもその様子だと、あのメカクシは右目を狙ってそっちには来なかったみたいだね」

 エレナはそう言って、エルの方へと視線を向けた。

「きっと、このローブのおかげだと思います」

 そう言って、エルはローブの裾を触る。

「ああ、『認識阻害』か」

 エルのローブには『認識阻害』の魔法が掛かっている。
 その副次効果として、真実の目の反応がそのメカクシの『魔力感知』に引っ掛からなかったのだろう。

「でも、エルも偶にローブ脱いでる時有るよね」

「そうですね。もしそのメカクシがわたしたちのすぐ近くに居たのなら、それで見つかってしまうかもしれません。でも、きっとすごく遠くに居るんだと思います」

「私は魔法にあまり詳しくないのだが、遠ければ感知されない物なのか?」

「そうですね。仮にこの世界全体に『魔力感知』を張り巡らせられたとしても、それは薄く弱い包囲網にしかならないでしょうから」

「常に強い反応を発している様な相手じゃなければ、見つけられないって事か」

 エルが外に出るときは大体『認識阻害』のローブを羽織っているし、脱いだとしても短時間の事。
 長時間ローブを羽織らないのだってあの魔女の森の中くらいの物なので、簡単に見つかる訳も無い。

 逆に言えば、その『認識阻害』を持たないエレナの左目は、常に強い反応を示してしまっていたのだろう。
 それ故に、すぐにメカクシの『魔力感知』に引っ掛かってしまったのだ。

「ふぅん。まあ何にせよ、そのローブが役に立っていたみたいで良かったよ」

 今エルの纏うローブは、以前アルヴを訪れた時にエレナから貰った物だ。
 なんだかんだでそれに思い入れがあるのだろう。
 エルは今日まで、ずっと同じ物を使い続けていた。

「とりあえず、左目は取り戻さないといけないけど……。でも、そのメカクシってのは今どこに居るんだろう」

「分からない。なんせ突然現れて、突然消えたからね」

「エルの推理では、遠くに居るはずなんだよね?」

「そうですね。今もそうかは分かりませんが、拠点はここよりもずっと遠くに構えていると思います」

 となると、こちらから探して見つけ出すのは難しいかもしれない。

「――次はお前だ、か。待ってたら向こうから来てくれるのかな」

「本人がそう言っていたんだ、間違いなくメカクシはエルさんの持つ右目も狙っているだろうな」

「――じゃあ、会いに来てもらいましょうか」

 エルは名案だとでも言うように、手を合わせてそんな事を言う。
 やはり、そうなるか。


 作戦概要はこうだ。

 まず、人気の少ない場所へ行く。
 もしもメカクシと戦闘になった際、周りへ被害を及ぼさない為だ。

 俺たちはその場所として、アルヴからも近い龍の峡谷を選んだ。

 この乾いた大地には人っ子一人居ない。
 ここへ住んでいた龍も、今はもう居ない。
 今は亡きあの龍には申し訳ないが、この場を戦場として有効活用させてもらおう。

 そして、次にエルが纏うローブを脱いで『認識阻害』を解く。
 これでエレナの目を奪った時と同じ様に、メカクシも真実の目の位置を『魔力感知』で特定出来るはずだ。
 しばらく待っていれば、その反応に気付いたメカクシが現れるだろう。

 つまりは、真実の右目持つエルを餌とした、囮作戦だ。

 後は流れに任せて、アドリブだ。
 俺とエルの二人掛かりで、そのメカクシから左目を取り返す。

 まあ相手が誰だろうと、俺たちの敵では無い。
 どうにでもなるだろう。

 何せこちらには、不老不死でありこの世界最強の魔女、エルが居る。

 俺だって同じく不老不死、魔法の実力はエルに劣るが、この世界でその次に並ぶ程だとは自負している。
 俺たちの相手になる人間なんて、この世界に居るはずも無い。

 さっさと左目を取り返して、アルヴで待つエレナの元へ戻ろう。

 そう、龍の峡谷へ来たのは俺とエルの二人だけで、エレナはアルヴの家で留守番をしてもらっている。

 エレナだって一応はエルフ族なので、簡単な魔法は使えるのだろうが、それでも得意とは言えない。

 俺たちと共に謎の少年メカクシと戦うには、少々役不足だ。
 それは初めて出会った時の森での様子を思い返しても、よく分かる事だ。

 エレナ自身も呆気なく左目を奪われたという事も有って、それは自分でもよく分かっているのだろう。
 素直に「左目は任せたよ」と送り出してくれた。

 そんな訳で、善は急げだ。
 早速、俺たちは龍の峡谷へ来た。

 隣でエルはローブを脱ぎ、その長い黒髪を露わにしている。
 ローブはちゃんと綺麗に畳んでその辺りの岩の上に置いている辺り、性格が出ていた。

 作戦通りなら、これでその内メカクシはエルの右目を狙って姿を現すはずだ。

 元々龍の峡谷からアルヴまではそれ程遠くはないのだが、それでも人間の足で普通に歩いては数日はかかる距離だ。

 何なら、王都からアルヴまでの旅路も数日では済まない程に遠く離れている。
 しかし、俺たちはこんなにも簡単に各地を移動している。

 勿論このフットワークの軽さには秘密があるのだが――。


「――アルさん!」

 程なくして、エルの張りつめた声。
 その声が、奴が来た事を知らせる。

「全然見つからないと思ったら、そういう魔法が有ったのか。ずるいなあ」

 視界内の一点、何もない空間。
 その背景が歪み、奴が現れる。

 エルの『認識阻害』のローブを指してずるいと言う少年。
 短いパーマがかった金髪、包帯の様な物で両の目を覆っている――メカクシのご登場だ。

「エレナさんの左目を、返してください」

 エルがメカクシに語り掛ける。

「返す? 違う違う。これは元々僕の物だよ」

「元々は、あの龍の物でしょう」

「いいや。あの龍族たちが僕から盗んだのさ。全く、最後の一匹になっても僕の邪魔をするなんて、鬱陶しい事この上ないよ」

 メカクシは片手にその左目を――真実の目を取り出し、それを自分の物だと語る。

 それはもはや抉られたエレナの左目ではなく、真紅の宝玉の様な形に変質していた。

 しかし、俺たちの知っている話と少し食い違う。
 真実の目はあの峡谷に住む龍の持つ権能だと思っていた。

 メカクシ曰く、真実の目はあの龍――つまり“龍族たち”がメカクシから奪った物だと言う。
 そして、それを最後の一匹があの峡谷に潜み隠し持ち、死の間際にそれを継承し後世に残した。
 と、いう事になる。

 だとすれば、龍は何故メカクシから目を盗み出したのか。
 何故そんな厄介な代物を継承させ、後世に残そうとしたのか。

 そして、そんな権能を元々保有していたメカクシは、一体何者なのだろうか。

「そうですか。でも、それはエレナさんの目です」

「だから、僕のだって言ってるじゃん」

 はあ、とエルは一つ溜息を吐く。
 そして、

「――では、その左目を頂きます」

 そんなエルの凛とした宣言。

 それと同時に、幾つもの薄紫色の『結晶』を周囲に展開。
 そして、それを弾丸として、一気にメカクシに向かって放つ。

 その容赦のないエルの攻撃に俺は少し気圧されてしまい、動き出すタイミングを逃してしまった。

 と言っても、宮廷魔導士の時とは違う。
 エルが本気で戦い始めたのなら、俺が出る幕は無いだろう。
 俺は一歩引いた位置でそれを見ていた。

「ははは! たった一人で! のこのこと現れて! 大した自信だなあ!!」

 メカクシは片手に持っていた真紅の宝玉を懐へ仕舞い込んだ。
 そして、まるで遊んでいるかの様に、高笑いをしながら、エルの『結晶』の弾丸を身軽な動作で躱す。

 包帯の目隠しで見えていないはずなに、最低限の動作で、完璧にその『結晶』の弾丸を避けてしまう。
 狙いが逸れた『結晶』は峡谷の乾いた大地に突き刺さる。

 全ての『結晶』を捌き切ったメカクシは、反撃に出る。
 メカクシが片手を銃の形にして構える。
 そして――、

「ばんっ」

 その指先から赤い稲妻が放出され、真っ直ぐにエルに向かって行く。
 エルは片手でその稲妻を受けて、握り潰し、『相殺』した。
 そのメカクシの一瞬の魔法の発動を見ただけでその魔法式を理解し、魔法式を再構築して、『相殺』したのだ。

 その後も、エルとメカクシの魔法での攻防は続く。

 様々な魔法をお互いに放ち合う。
 傍から見ていると、交差する魔法の数々はまるでそういうショーの様だ。

 ここまでレベルの高い魔法戦を見るのは初めての事だ。
 エルと互角に戦える魔法使いなんて、これまでの旅の中でも出会った事が無い。
 この世界にそんな存在が居るなんて、思ってもいなかった。
 
 しかし、メカクシは真実の目を持たない俺の事なんて眼中に無いのか、まるで本当に見えていないかの様だ。
 俺の存在を無視して、エルとの一対一の戦いに夢中になっている。

 しかし、これはチャンスだろう。
 出る幕は無いかと思っていたが、どうやら出番が回って来た様だ。
 メカクシがエルに完全に気を取られている隙に、俺も動く。
 
 丁度、二人が近接戦に入った所だ。

 エルは薄紫色の『結晶』で出来た双剣を両手に持ち、舞うように振るう。
 メカクシは魔法で作り出したのか、どこからか持って来た槍を振るい、それに応戦していた。

 そして、その槍の一突きがエルに届こうとする直前。
 俺は『転移』して、二人の間に割って入った。

 この『転移』こそが、俺たちの移動手段。
 王都からアルヴまで、そしてアルヴからこの龍の峡谷まで、こんなにも即座に、そして簡単に移動して来られた秘密である。

 そして、俺は片手で槍の柄を握って受け止め、『温度変化』で一気にそれを熱する。

 鉄製の槍は煙を上げながらドロリと溶けて、峡谷の乾いた大地に鉛の雫を落とす。

「なっ……いつの間に!? いや、誰だ!?」

 メカクシは俺の突然の乱入に、想定以上に狼狽える。
 その様子を見るに、やはり――、

「――本当に、俺が見えていなかったのか」

 そして、俺はこのチャンスを逃すまいと、槍を溶かした手でそのまま、メカクシの懐に拳を叩き込む。

「ぐあっ……」

 そして、地を蹴って吹き飛ばされたメカクシに接近し、更に追撃の拳。
 俺はその勢いのまま、メカクシの懐に有った真紅の宝玉――真実の左目を奪い取った。

 メカクシはよろめき、数歩後退。

「男!? いや、僕の前に、魂は、一つのはず……」

 そして、困惑した様に、ぶつぶつとそんな言葉を洩らす。

 メカクシは目に包帯を巻いた目隠し状態だ。
 なので、おそらくは視覚では無く『魔力感知』の応用で周囲を認識しているのだろうと思っていた。

 最初から、あまりにも俺の事が眼中に無さ過ぎるとは思っていた。
 しかし、まさか本当に俺の存在を認識していなかったとは。

 目的の真実の目は手に入れた。
 俺は一度メカクシから距離を取る為に、拳の一撃を受けてふらつくメカクシを蹴り飛ばした。
 そして、俺もその勢いのまま数歩後ろへと下がる。

「もう。アルさん、また無茶し過ぎですよ?」

 声の方へ振り返ると、エルがローブを着直しながら駆け寄って来ていた。
 俺の真紅の宝玉を握っている方の手に自分の手を添えて、それを心配そうに見つめている。

 気づけば、槍を溶かした時に手を酷く火傷していたらしい。
 しかし、それもまたすぐに修正されてしまい、見る影もない。

 確かに、宮廷魔導士の時もだが、俺はいつも不死性に頼った無茶な戦い方をしている気がする。
 しかし、それはエルにも言える事だろう。

「ありがとう、でも大丈夫」

 俺の焼け爛れていたはずの手の平は『永遠』の不死性によって、既に元の綺麗な状態に戻っている。
 まさに言葉通り、大丈夫なのだ。

「返せっ……!! それは、僕の、だぞ……!!」

 メカクシはふらつきながら立ち上がる。

「いいや、これは頂いた」

 俺がそう宣言すると同時に、手の中の真紅の宝玉は輝き出し、宙へ浮かび上がる。

 俺はその輝きを見て、無意識下で理解した。
 自分が継承の権利を得たのだ、と。

 そして、宝玉はそのまま俺の左目に吸い込まれる様に、身体の中へと入って行った。

「ぐっ……」

 俺はその異物感と痛みに悶えながらも、その力を受け入れる。

 真紅の宝玉――真実の左目は、完全い俺の中へと取り込まれた。
 そして、エレナにも見せた様に、俺にも過去のビジョンを見せる。

 それはエル――魔女様が、死して異世界転移した俺を蘇生する瞬間。
 その出会いの瞬間までの間の二〇〇年間の記憶のビジョン。
 独り森の中で暮らしていた頃のビジョンだった――。


―――


「あなた、おはようございます」

「あなた、ご飯ですよ」

「あなた、おやすみなさい」

「あなた、あなた、あなた――」

 そして、その記憶のビジョンの最後は、俺の冷たい身体が蘇生される場面。
 俺の蘇生と同時に、その身体に、もう一つの魂の欠片が流れ込む。


―――


 ――何故、異世界人の俺が、エルと同じレベルで魔法を使えたのか。
 何故、エルは峡谷で龍から真実を得る権利を持っていなかったのか。

 それは、俺の中にエルの魂の一部が有ったからだ。

 エルの魂を持っていたから、俺は魔法を使う事が出来た。
 そして、俺が先に峡谷で龍から真実を得ていたから、同じ魂を持つエルは“一人一つまで”のルールに抵触して、龍から真実を得る権利を失っていた。

 エルにとっての空想上の“旦那様”。
 森の中で独りぼっちだったエルの心の拠り所、エルが求めていた存在。
 それが『死者蘇生』の大魔法の発動と同時に魂から切り離されて、俺の魂と混ざり合った。

 きっと、エル自身は魂の一部が切り離されると同時に、忘れてしまっている記憶だろう。
 この過去のビジョンの事は、俺の胸の内に秘めておいた方が良いのだろうな。

 俺はそんな事を思いながら、エルの方へと視線を向ける。
 すると、エルの右目は真紅に染まっていた。

 きっと、俺の左目も同じ色に染まっている事だろう。
 エルも少し驚いた様にこちらを見ていたが、すぐにその表情はふっといつもの優しい微笑みに変わっていた。

 そして、この真実の左目が俺にこのビジョンを見せた理由。
 メカクシが俺の事を認識出来なかった原因も、おそらくこれに起因するのだろう。

 メカクシは魂の放つ魔力を感知して、それを見ているのだ。
 同じ魂、同質の魔力を持ち、エルのすぐ傍に居る俺。
 そんな俺の存在を、メカクシは同一存在と認識してしまっていたの。
 それ故に、相手が一人だと思い込んでしまっていた。

「っ……!」

 突然、左目にバチリと電流が走る様な痛みを感じる。
 エルも同じタイミングで目に痛みを覚えた様で、手で目元を抑えていた。

「アルさん、視界が――!」

 エルと同じく、俺の視界にも異変が起こる。
 少しずつノイズが走る様に視界がブレ始めた。
 そして、一気に砂嵐を起こすテレビ画面の様に、俺の視界を覆い隠して行った。

「……エルっ!」

 俺はノイズの砂嵐で満足に見えない視界の中、必死にエルの手を手繰り寄せて、強く握りしめる。

 そして、すぐさま二人は『転移』の魔法を使った。
 この状態ではメカクシと戦う事もままならない、一度撤退だ。

「待て……! 僕の、目……!」

 メカクシは俺たちの撤退を察して、こちらへ向かって魔法の赤い稲妻を放つ。

 しかし、その稲妻が俺たちへと届く事は無かった。
 稲妻の着弾よりも早く、俺たち二人は『転移』の波に乗って、飛ばされて行った。


・・・


 ガタン、と大きな物音。
 どこからともなく現れた重量のある物体が重力のままに落下し、テーブルの上に叩きつけられる。

「痛っ……。あぁ……」

「おいおい、随分と騒がしい帰宅じゃないか」

 俺たちはその呆れ声に迎えられる。
 執筆作業をしていたエレナは、普段はしていない眼鏡をしているのがノイズ越しの視界でも確認できた。

「ああ……。ただいま……」

「おかえり。大丈夫かい?」

「はい……。なんとか……」

 エルも無事な様だ。

 メカクシとの戦闘の末に、俺たちは真実の目を取り戻した。
 しかし、その後すぐに視界に砂嵐の様なノイズが走る現象に突然襲われた。

 このままでは戦闘の続行は困難と判断し、『転移』でエレナの家のまで帰って来た。

 しかし、焦って魔法を使ったものだから、転移先の指定が少しズレてしまった様だ。
 俺はエレナの書斎の、いつも作戦会議をしていたテーブルの上に『転移』してしまった。

 しかし、俺と一緒に『転移』してきたエルは綺麗に横のソファーの上にぽふりと着地している。
 これは俺の魔法の未熟さ故なのか、はたまたただ偶然エルの着地位置が良かっただけなのか。
 どちらにせよ、エルが俺の様に落下の衝撃で尻を打たなくて良かった。

「アルさんも、これを」

 そんな呑気な思考を回していると、エルが予備のローブを『空間』から取り出して、渡して来た。

「ああ、ありがとう」

 すぐにエルの意図を理解した俺は、まだ違和感を感じる目を庇いながらも、エルから受け取ったローブを羽織る。

 このローブにかけられた『認識阻害』の魔法が、真実の目を持つ俺たちをメカクシの『魔力感知』を遮断して守ってくれる。

 しばらくすれば、視界を覆い隠す程の砂嵐も少しずつ収まって行き、落ち着いて来た。
 今は時折視界の端をバチリと小さなノイズが走る程度だ。
 この分だと、時間経過でこの小さなノイズも収まってくれるだろう。

「――で、だ。私の左目は取り返せたのかな?」

「えっと、それが――」

 一息ついて、エレナからの成果の確認だ。
 エレナも俺の左目を見て、ある程度察しは付いているだろう。
 そんな雰囲気が言葉の端から感じ取れた。

 俺たちは峡谷での出来事をエレナに話した。

 メカクシについて――エルと互角の魔法戦闘が可能な事、真実の目の本当の持ち主だと自称している事。

 真実の左目について――エレナの目は真紅の宝玉の形となっていた事、そしてその目は今俺の中に有る事。

 これでエルが真実の右目を、俺が真実の左目を所有している事になる。
 つまりは、“同じ魂の元に両目が揃った”のだ。

「――ふむ。なんにせよ、まずはお疲れ様だな」

「エレナさんの目は、俺の中に入っちゃったけどね」

「いいや。左目が私の元に戻らないのは正直残念だが、それがアルさんを選んだのなら、それには意味が有るのだろう。」

「ありがとう、しばらく預かっておくよ。まあ、今すぐ返せと言われても、譲渡の仕方なんて分からないんだけど」

「はは、それはそうだ。それでも、それは大切なお爺様の形見みたいな物だ。あのメカクシではなくアルさんが持っているのなら安心だ」

「でも、メカクシは今もわたしたちを探しているはずです。しばらくはこのローブで身を隠せると思いますが、ずっとそれで誤魔化せるとも思えません」

 エルと互角の魔法戦闘を繰り広げた、あのメカクシ。
 どれだけメカクシが強いとは言っても、エルが負ける事は考えにくい。

 しかし、偶々メカクシが俺を認識していなかったおかげで成立したあの不意打ちが無ければ、決着が付かない可能性も有っただろう。
 そして、最悪の場合こちらの真実の目が奪われたまま逃げられていたかもしれない。

 もうこちらの手の内はバレている。
 メカクシはその内『認識阻害』を突破して、また俺たちの前に現れるだろう。

「俺たちは今、あの龍と同じ事をしている訳だ。あの龍は、どうしてこの目を……」

 ローブの『認識阻害』の魔法で隠すか、峡谷の夢の世界に潜んで隠すか。
 どちらにせよ、盗品を隠している事には変わりがない。

 と言っても、エレナの左目を戻してやるという大義は有る。
 俺たちは掛かる火の粉を払っているだけなのだ。

「メカクシは“龍族たち”と言っていましたよね。それに、“最後の一匹”とも」

「昔龍族たちとメカクシが対立して、その結果龍族は一匹を残して全滅。メカクシも代償として権能を奪われた――って感じか」

 痛み分けという訳でも無いだろう。
 今となっては最後の一匹も亡くなり、種族自体が全滅した龍族側の敗北と言って良い結果だ。

「私もそんなストーリーを思い描いていたよ。もっとも、実際に彼らが対立した事情やメカクシの正体なんてのは考察しようも――いや、待ってくれ」

 エレナが何かを思いついたらしい。唐突に、言葉を切る。

「峡谷の龍は『勇者アルの冒険』の物語で勇者と魔女に出会う前から、真実の目を持っていたはずだ。なら、メカクシと龍族の対立はそれよりも昔の話になる」

「物語が出来るよりも遥か昔の人物――少なくとも、人間じゃ無いな」

 『勇者アルの冒険』の物語。
 それは、エルがかつて宮廷魔導士として生きた時代よりも前に産まれた古典だ。

 『永遠』の大魔法によって二〇〇年以上生きたエルも十分に理から外れた存在だ。
 しかし、仮にメカクシがそれ以上の年月を生きて来たのなら、その比では無いだろう。
 それならば、エルと競っていたあの魔法の応酬にも説得力が有る。

 つまり、メカクシはそれほどの永き時を生きる存在であり、真実の目というチート級の権能を元から有している存在だ。

 しかし、『永遠』の大魔法はエルの作り出した魔法だ。
 それと全く同じものが過去に存在した記録は無い。

 そんな中で、元よりの不老の存在。
 明らかに人間ではない存在なんて、俺の思い付く限り――。

 そんな風に三人で考察を進めていた時。
 突然感じた、大きな魔力の波。

 ドンッと重力が重く圧し掛かる様な感覚。
 それと同時に、外から「きゃあああああっ」と悲鳴声が聞こえてきた。

「なんだ!?」

「アルさんっ!」

 エレナが真っ先に外の様子を見に行く為に玄関へ。
 すぐにエルもその後を続く。
 そして、俺もエルに呼ばれて思考の海から戻り、その二人に続いて行った。

『――君たちが隠れちゃったから、こうする事にしたよ。全く、“神の権能”を盗むだなんて、なんて罰当たりなんだ』

 空に立ち込める暗雲。
 押し寄せる強い魔力の波。
 そして、天から響くあのメカクシの声。

 “こうする”とは、どういう事か、今眼前に広がる光景を見れば一目瞭然だ。

 魔獣の進行。
 アルヴに押し寄せる魔力の波の正体、それは魔獣の軍勢だ。

 地には四足の魔獣、空には鳥型の魔獣。
 様々な種類の魔獣たちが軍を成す様に集まり、街へと押し寄せてくる。

 そして、“神の権能”とはつまり、真実の目の事だろう。

 悠久の時を生きる、不老の存在。
 エルと互角の魔法を使いこなす存在。
 そして、真実の目の権能の本当の持ち主。

 そんな人間ではない存在を何と呼称するだろうか。
 それはまさしく――、

「――“神”」

『――世界中の魔獣の進行、止めたかったら、そっちから会いに来なよ! 場所は、分かるだろ? ――さあ、“大災厄”の再演だ!!』

 その天から響くメカクシの声に、この魔獣の軍勢の意味を理解した。
 強い魔力に当てられ、強化され、暴れ出す魔獣。
 その現象には覚えがある。

 かつて旧王都を中心に広がった、『永遠』の大魔法の失敗によって起こった“大災厄”。
 大魔法により周囲に溢れ出した魔力によって起こされた、瘴気の蔓延、民の異形化、魔獣の暴走。

 その大災厄を――エルの古傷を、再びこの世界で起こそうと言うのだ。

「そんな……」

 エルは明らかな動揺を見せている。
 ローブの奥の目の焦点がブレて、光が失せて行く。

 無理もないだろう。
 エルにとっての、一番嫌な記憶の光景だ。
 メカクシによる大災厄の再演は、明らかにエルを狙った物だ。

 何故メカクシがエルが災厄の魔女である事を知っているのかは分からない。
 しかし、明らかにメカクシはそれを理解した上で、一番嫌なアプローチをしてきた。

「大丈夫、大丈夫だ」

 俺はエルを落ち着かせる為に、強く抱きしめる。
 今までに何度か彼女が俺にそうしてくれた様に。

 しばらく、そうしていただろうか。
 そうしている内に、エルは少し立ち直ってくれた様だ。
 腕の中から顔を上げたその紫紺の瞳は、しっかりと光を取り戻していた。

「……ありがとうございます。もう、大丈夫です」

「――こほん。ちょっといいかな?」

 そんな風に抱き合っていると、割り込むタイミングを伺っていたらしいエレナが若干気まずそうに声を上げた。

「君らは、メカクシの居場所は分かるのかい?」

「ああ」

 メカクシの居場所。
 奴は「場所は、分かるだろ?」と言っていた。
 この大災厄の再演を起こすのならば、奴が居る場所なんて“あそこ”しかないだろう。

「そうか。じゃあ、メカクシの方は任せたよ」

 エレナはそう言って、背を向ける。

「アルヴは、どうするんですか? この数の魔獣、放っておいたら――」

「忘れてもらっちゃ困るよ。本と創作の国アルヴは――エルフ族の国でもあるんだ」

 エルフ族の国――、魔法に長けた、エルフ族の。

 気づけば、アルヴの民は誰からともなく、魔獣に立ち向かう為に立ち上がり、魔法で応戦を始めていた。

「いいね! まるで物語の登場人物みたいだ! こういう台詞を、私も一度言ってみたかったんだ。――“ここは私たちに任せて、先に行け”ってね」

 言葉尻に「ま、私は対して役に立たないんだけど」と付け加えて。
 エレナはまるで何かのイベントの様に、少し楽し気に、そう言って俺たちを送り出した。

 俺たちはエレナの魔法の実力を何となく知っている。
 それは森の中で魔獣に襲われて、一対一でちょっと危ういくらいの物だ。

 なので、それは彼女なりの強がりだという事は想像に難くない。
 俺たちが後ろ髪を引かれない様に、心配させまいとそうしているのだと理解出来た。

「ああ、ありがとう」

「エレナさんも、お気を付けて!」

「ああ! 帰ったら、土産話でも聞かせてくれ」

 俺たちはエレナに背中を押されて、『転移』の魔法でアルヴを後にした。
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