19 / 44
第19話 雨、学校を休む
しおりを挟む
翌朝、新しい朝がやって来て僕はいつも通り、家を出ようとした。
すると母さんが走ってきて「急な雨が降るかもしれないって。折り畳み、持って行って。それから雨になったら迎えに行くから、自転車は学校に預けて学校で母さんのこと、大人しく待ってるのよ」といつもの定型文を告げた。
大体母さんは心配性なので、ちらっとでも雨が降れば『お迎え』だ。
自転車で家まで十五分、かかるか、かからないかくらいの距離なのに、言うまでもなく過保護。
母さんは僕が女の子を連れて現れたらどうするつもりなんだろう?
それとも僕は一生独身を貫くタイプだと思ってるんだろうか?
わからない。
母さんは『なんでもあり』の読めない人だから。
英語の時間、今日やったところを残り時間にワークにまとめて提出、と言われ、変に高級なツルツルした紙の表面を、シャープペンシルの芯の先で引っ掻くように空欄を埋める。
ふざけてるヤツのところで先生は怒っていて、窓の外を覗き見ると、丁度雨の降り始めだった。
母さんの予報は今日は当たりだ。
後で自転車を預けるために担任に話さないといけない。
ポツポツと降り始めた雨はポタポタと大粒に代わり、雨はいっそう強くなり、こういう時は母さんのお迎えに本当に感謝する。
中にはレインウェアで帰っていく子もいるんだから。
そう言えば身の回りが最近にしては静かだと思ったら、菊池さんが休みだった。
寒くなってきたからなぁ、と思う。風邪には気を付けないと。受験生のハルにうつすわけにはいかない。
放課後、掃除が終わって帰ろうと昇降口に向かうと、昇降口手前の職員室前で母さんが待っていた。
何事かと思って、息を潜めて考える。
母さんはバッグを両手で握りしめて、職員室の中を見つめていた。まるで憎い仇でもいるかのように。
「どういうことですか?」
いつもの、ヒステリックな声が響く。スミレちゃんより少し高い母さんの声は遠くまでよく届く。
子供の頃、僕たちを呼ぶのは母さんの役目だった。
「どういうことですか? うちの陽晶に問題があるということですか?」
初耳だった。
なにかあったら母さんより僕に直接、先生は話を持ってくるはずだ。
先に母さんに話すなんて、イレギュラーだ。
「母さん」
僕は努めて冷静に呼んだ。振り返った母さんの顔は今にも泣きそうだった。
こういうのは本当に母さんには向いてないんだ。
メンタル強い他所のお母さんたちと一緒にしないであげてほしい。
「母さん、大丈夫だよ。僕が話をしてくるから、その間、車で待ってて。なにかあったらすぐ連絡するから、スマホが鳴るようにしてて」
母さんは頷くと、すみません、と担任に頭を下げた。
ウェーブのかかった長い髪はひとつに括られていたけど、雨に濡れてしっとりしていた。車からここまで走ってきたんだろう。
職員室の入り口前は僕と先生だけになった。
先生は入り口から手を伸ばしてなんらかの鍵を手にした。そして、行きましょう、と僕を促した。
相談室の扉が開かれ、先生はドアの看板を『相談中』に変えた。
沈黙。
雨の音しか聞こえない。
先生もどう出るのか考えているようで、喋らない。
沈黙は時を早送りするような気がして、その時間の浪費に焦る。
はぁっ、と先生はため息をついた。
先生は英語担当で、母さんと歳の頃は同じくらいに見えた。僕より小さい子供が二人いると、いつか話していた。
横顔が疲れて見えた。母さんと被る。
「なにもね、小石川くんのせいじゃないのよ」
唐突に話は切り出された。
僕はその圧に少し押された。
「お母様が迎えにいらっしゃったの。だからちょっとお話ししたの。冗談半分だったの。『小石川くん、女子に人気なんですよ』って」
それは大変な地雷を踏んだものだ。
母さんはハルでさえ疑っているのに、先生の口ぶりではクラスの女の子何人かが少なくとも僕に気があるみたいだ。
母さんの顔色がみるみる青くなっていくのを目にした気がした。
雨は時々風に煽られて、ガラス窓をバラバラっと叩いた。
母さんはどうしているだろう?
ハンドルを握りしめて俯いているかもしれない。
アイドリングストップを守った車内で冷えているかもしれない。
どちらにしてもこの問題をクリアにしなければ。
「先生はご自分のお子さんが同じように言われたら、どう思いますか?」
割と卑怯な作戦だ。相手の良心を動かそうとする。
「わたしはうれしいわ。それだけ魅力的な子に育ったってことでしょう? 違うかな? 他人に認められるって素晴らしいことじゃない」
「うちの母さんはそうじゃないんです。上手く言えないけど、すごく感受性が高くて、いきなりいつもと違うことが起きることに慣れてないんです」
そう⋯⋯とまるで理解していない顔で担任は同情を示した。
「それじゃ、小石川くんも大変ね」
「そういうことはないです。ほら、今日みたいな日は迎えに来てくれるし、母さんは僕を大切にしてくれてるんで。友だちにもたまにうらやましがられます」
「そうなのね」
雨の降る音が僕の心を逸らせる。
こういう時の母さんをひとりにしておきたくない。
せめて、スミレちゃんに話ができれば母さんも落ち着くのに。
「そういうわけで、母さんが待ってるのでいいですか?」
「あ、待って」
担任は椅子から急に腰を上げた。
座っていた丸椅子が飛びそうになり、慌てて押さえつけた。
「長引かせたいわけじゃないの。先生も雨の日は早く帰りたいしね。あのね、菊池さんの今日の欠席のこと、なにか知ってる?」
頭の中が沸騰して蒸発しそうだった。
そんなことのために僕と母さんはこんな目に遭うのか?
まだ一日休んだだけだし、不登校でもあるまいし。
「なんのことなのかわかりません。風邪じゃないんですか? 最近、寒くなってきたし」
「一応、親御さんからは風邪って伺ってるんだけど、一部の女の子たちがね、昨日の放課後、昇降口でなにかあったみたいだって教えてくれて」
ああ、あの時の。
派手に泣いてたからなぁ。目立たないわけはない。
女の子たちはああいう時、共同生命体のようになる。
ミトコンドリアみたいに、薄い膜の中でひとつの生命体のような動きをする。
それを卑怯だとは思わないけど、今日は勘弁してほしかった。
「菊池さん、小石川くんのこと、好きなんだってね。もちろん中学生の範疇を越えなければ恋愛は自由よね。思春期には付き物だし。ただ、度を越すとね――」
「先生はどういうふうに聞いたのか知りませんが、僕から言うのもどうかと思うけど度を越してるのは菊池さんの方で、僕が何回断っても納得してくれないんです」
すごく嫌な気分だった。
他人の弱点を思い切り突いたような、そんな卑怯者になった気がした。
菊池さんには困らされてはいるけど、だからと言って彼女がどうなってもいいわけじゃないし、僕自身が巻き込まれてなければ多少の同情もしたかもしれない。
でも僕は彼女に何度も警告したし、それを無視して僕の領域に入ろうとしたのは彼女なわけで、それが許されて僕が詰問を受けるのは少し違うと感じた。
「そうなの? それは聞いてないわ」
「もし先生が知りたければ菊池さん本人に聞くべきじゃないですか? 不純異性交友しているわけじゃないし、先生が本人に頼まれてもないのに口を出すのはどうかなと――ごめんなさい、言い過ぎました。カッとしちゃって」
「そうよね、ごめんなさいね。菊池さんから相談を受けたわけでもないのに、こんなやり方、ないわね。気をつけるわ。ただ、高校受験が視野に入ってくる大切な時期だからどうしても神経過敏になっちゃって」
ごめんなさいね、と先生は繰り返した。
――本音を言うと、僕はこの担任教師を好きになれなかった。なにかと言うと、僕たちより少し幼いという自分の子供の話を引き合いに出したり、プライベートと公の場の線引きができていないところは僕を閉口させた。
先生の子供がズル休みしても、それは『お母さん』の時に心配することで、生徒たちに相談したらもう『先生』ではないと思っていた。
道徳の時間に自分の子供の話を引き合いに出すなんてどうかしてる、とずっと思っていた。
すると母さんが走ってきて「急な雨が降るかもしれないって。折り畳み、持って行って。それから雨になったら迎えに行くから、自転車は学校に預けて学校で母さんのこと、大人しく待ってるのよ」といつもの定型文を告げた。
大体母さんは心配性なので、ちらっとでも雨が降れば『お迎え』だ。
自転車で家まで十五分、かかるか、かからないかくらいの距離なのに、言うまでもなく過保護。
母さんは僕が女の子を連れて現れたらどうするつもりなんだろう?
それとも僕は一生独身を貫くタイプだと思ってるんだろうか?
わからない。
母さんは『なんでもあり』の読めない人だから。
英語の時間、今日やったところを残り時間にワークにまとめて提出、と言われ、変に高級なツルツルした紙の表面を、シャープペンシルの芯の先で引っ掻くように空欄を埋める。
ふざけてるヤツのところで先生は怒っていて、窓の外を覗き見ると、丁度雨の降り始めだった。
母さんの予報は今日は当たりだ。
後で自転車を預けるために担任に話さないといけない。
ポツポツと降り始めた雨はポタポタと大粒に代わり、雨はいっそう強くなり、こういう時は母さんのお迎えに本当に感謝する。
中にはレインウェアで帰っていく子もいるんだから。
そう言えば身の回りが最近にしては静かだと思ったら、菊池さんが休みだった。
寒くなってきたからなぁ、と思う。風邪には気を付けないと。受験生のハルにうつすわけにはいかない。
放課後、掃除が終わって帰ろうと昇降口に向かうと、昇降口手前の職員室前で母さんが待っていた。
何事かと思って、息を潜めて考える。
母さんはバッグを両手で握りしめて、職員室の中を見つめていた。まるで憎い仇でもいるかのように。
「どういうことですか?」
いつもの、ヒステリックな声が響く。スミレちゃんより少し高い母さんの声は遠くまでよく届く。
子供の頃、僕たちを呼ぶのは母さんの役目だった。
「どういうことですか? うちの陽晶に問題があるということですか?」
初耳だった。
なにかあったら母さんより僕に直接、先生は話を持ってくるはずだ。
先に母さんに話すなんて、イレギュラーだ。
「母さん」
僕は努めて冷静に呼んだ。振り返った母さんの顔は今にも泣きそうだった。
こういうのは本当に母さんには向いてないんだ。
メンタル強い他所のお母さんたちと一緒にしないであげてほしい。
「母さん、大丈夫だよ。僕が話をしてくるから、その間、車で待ってて。なにかあったらすぐ連絡するから、スマホが鳴るようにしてて」
母さんは頷くと、すみません、と担任に頭を下げた。
ウェーブのかかった長い髪はひとつに括られていたけど、雨に濡れてしっとりしていた。車からここまで走ってきたんだろう。
職員室の入り口前は僕と先生だけになった。
先生は入り口から手を伸ばしてなんらかの鍵を手にした。そして、行きましょう、と僕を促した。
相談室の扉が開かれ、先生はドアの看板を『相談中』に変えた。
沈黙。
雨の音しか聞こえない。
先生もどう出るのか考えているようで、喋らない。
沈黙は時を早送りするような気がして、その時間の浪費に焦る。
はぁっ、と先生はため息をついた。
先生は英語担当で、母さんと歳の頃は同じくらいに見えた。僕より小さい子供が二人いると、いつか話していた。
横顔が疲れて見えた。母さんと被る。
「なにもね、小石川くんのせいじゃないのよ」
唐突に話は切り出された。
僕はその圧に少し押された。
「お母様が迎えにいらっしゃったの。だからちょっとお話ししたの。冗談半分だったの。『小石川くん、女子に人気なんですよ』って」
それは大変な地雷を踏んだものだ。
母さんはハルでさえ疑っているのに、先生の口ぶりではクラスの女の子何人かが少なくとも僕に気があるみたいだ。
母さんの顔色がみるみる青くなっていくのを目にした気がした。
雨は時々風に煽られて、ガラス窓をバラバラっと叩いた。
母さんはどうしているだろう?
ハンドルを握りしめて俯いているかもしれない。
アイドリングストップを守った車内で冷えているかもしれない。
どちらにしてもこの問題をクリアにしなければ。
「先生はご自分のお子さんが同じように言われたら、どう思いますか?」
割と卑怯な作戦だ。相手の良心を動かそうとする。
「わたしはうれしいわ。それだけ魅力的な子に育ったってことでしょう? 違うかな? 他人に認められるって素晴らしいことじゃない」
「うちの母さんはそうじゃないんです。上手く言えないけど、すごく感受性が高くて、いきなりいつもと違うことが起きることに慣れてないんです」
そう⋯⋯とまるで理解していない顔で担任は同情を示した。
「それじゃ、小石川くんも大変ね」
「そういうことはないです。ほら、今日みたいな日は迎えに来てくれるし、母さんは僕を大切にしてくれてるんで。友だちにもたまにうらやましがられます」
「そうなのね」
雨の降る音が僕の心を逸らせる。
こういう時の母さんをひとりにしておきたくない。
せめて、スミレちゃんに話ができれば母さんも落ち着くのに。
「そういうわけで、母さんが待ってるのでいいですか?」
「あ、待って」
担任は椅子から急に腰を上げた。
座っていた丸椅子が飛びそうになり、慌てて押さえつけた。
「長引かせたいわけじゃないの。先生も雨の日は早く帰りたいしね。あのね、菊池さんの今日の欠席のこと、なにか知ってる?」
頭の中が沸騰して蒸発しそうだった。
そんなことのために僕と母さんはこんな目に遭うのか?
まだ一日休んだだけだし、不登校でもあるまいし。
「なんのことなのかわかりません。風邪じゃないんですか? 最近、寒くなってきたし」
「一応、親御さんからは風邪って伺ってるんだけど、一部の女の子たちがね、昨日の放課後、昇降口でなにかあったみたいだって教えてくれて」
ああ、あの時の。
派手に泣いてたからなぁ。目立たないわけはない。
女の子たちはああいう時、共同生命体のようになる。
ミトコンドリアみたいに、薄い膜の中でひとつの生命体のような動きをする。
それを卑怯だとは思わないけど、今日は勘弁してほしかった。
「菊池さん、小石川くんのこと、好きなんだってね。もちろん中学生の範疇を越えなければ恋愛は自由よね。思春期には付き物だし。ただ、度を越すとね――」
「先生はどういうふうに聞いたのか知りませんが、僕から言うのもどうかと思うけど度を越してるのは菊池さんの方で、僕が何回断っても納得してくれないんです」
すごく嫌な気分だった。
他人の弱点を思い切り突いたような、そんな卑怯者になった気がした。
菊池さんには困らされてはいるけど、だからと言って彼女がどうなってもいいわけじゃないし、僕自身が巻き込まれてなければ多少の同情もしたかもしれない。
でも僕は彼女に何度も警告したし、それを無視して僕の領域に入ろうとしたのは彼女なわけで、それが許されて僕が詰問を受けるのは少し違うと感じた。
「そうなの? それは聞いてないわ」
「もし先生が知りたければ菊池さん本人に聞くべきじゃないですか? 不純異性交友しているわけじゃないし、先生が本人に頼まれてもないのに口を出すのはどうかなと――ごめんなさい、言い過ぎました。カッとしちゃって」
「そうよね、ごめんなさいね。菊池さんから相談を受けたわけでもないのに、こんなやり方、ないわね。気をつけるわ。ただ、高校受験が視野に入ってくる大切な時期だからどうしても神経過敏になっちゃって」
ごめんなさいね、と先生は繰り返した。
――本音を言うと、僕はこの担任教師を好きになれなかった。なにかと言うと、僕たちより少し幼いという自分の子供の話を引き合いに出したり、プライベートと公の場の線引きができていないところは僕を閉口させた。
先生の子供がズル休みしても、それは『お母さん』の時に心配することで、生徒たちに相談したらもう『先生』ではないと思っていた。
道徳の時間に自分の子供の話を引き合いに出すなんてどうかしてる、とずっと思っていた。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
パパー!紳士服売り場にいた家族の男性は夫だった…子供を抱きかかえて幸せそう…なら、こちらも幸せになりましょう
白崎アイド
大衆娯楽
夫のシャツを買いに紳士服売り場で買い物をしていた私。
ネクタイも揃えてあげようと売り場へと向かえば、仲良く買い物をする男女の姿があった。
微笑ましく思うその姿を見ていると、振り向いた男性は夫だった…
心の落とし物
緋色刹那
ライト文芸
・完結済み(2024/10/12)。また書きたくなったら、番外編として投稿するかも
・第4回、第5回ライト文芸大賞にて奨励賞をいただきました!!✌︎('ω'✌︎ )✌︎('ω'✌︎ )
〈本作の楽しみ方〉
本作は読む喫茶店です。順に読んでもいいし、興味を持ったタイトルや季節から読んでもオッケーです。
知らない人、知らない設定が出てきて不安になるかもしれませんが、喫茶店の常連さんのようなものなので、雰囲気を楽しんでください(一応説明↓)。
〈あらすじ〉
〈心の落とし物〉はありませんか?
どこかに失くした物、ずっと探している人、過去の後悔、忘れていた夢。
あなたは忘れているつもりでも、心があなたの代わりに探し続けているかもしれません……。
喫茶店LAMP(ランプ)の店長、添野由良(そえのゆら)は、人の未練が具現化した幻〈心の落とし物(こころのおとしもの)〉と、それを探す生き霊〈探し人(さがしびと)〉に気づきやすい体質。
ある夏の日、由良は店の前を何度も通る男性に目を止め、声をかける。男性は数年前に移転した古本屋を探していて……。
懐かしくも切ない、過去の未練に魅せられる。
〈主人公と作中用語〉
・添野由良(そえのゆら)
洋燈町にある喫茶店LAMP(ランプ)の店長。〈心の落とし物〉や〈探し人〉に気づきやすい体質。
・〈心の落とし物(こころのおとしもの)〉
人の未練が具現化した幻。あるいは、未練そのもの。
・〈探し人(さがしびと)〉
〈心の落とし物〉を探す生き霊で、落とし主。当人に代わって、〈心の落とし物〉を探している。
・〈未練溜まり(みれんだまり)〉
忘れられた〈心の落とし物〉が行き着く場所。
・〈分け御霊(わけみたま)〉
生者の後悔や未練が物に宿り、具現化した者。込められた念が強ければ強いほど、人のように自由意志を持つ。いわゆる付喪神に近い。
『愛が揺れるお嬢さん妻』- かわいいひと -
設樂理沙
ライト文芸
♡~好きになった人はクールビューティーなお医者様~♡
やさしくなくて、そっけなくて。なのに時々やさしくて♡
――――― まただ、胸が締め付けられるような・・
そうか、この気持ちは恋しいってことなんだ ―――――
ヤブ医者で不愛想なアイッは年下のクールビューティー。
絶対仲良くなんてなれないって思っていたのに、
遠く遠く、限りなく遠い人だったのに、
わたしにだけ意地悪で・・なのに、
気がつけば、一番近くにいたYO。
幸せあふれる瞬間・・いつもそばで感じていたい
◇ ◇ ◇ ◇
💛画像はAI生成画像 自作
女男の世界
キョウキョウ
ライト文芸
仕事の帰りに通るいつもの道、いつもと同じ時間に歩いてると背後から何かの気配。気づいた時には脇腹を刺されて生涯を閉じてしまった佐藤優。
再び目を開いたとき、彼の身体は何故か若返っていた。学生時代に戻っていた。しかも、記憶にある世界とは違う、極端に男性が少なく女性が多い歪な世界。
男女比が異なる世界で違った常識、全く別の知識に四苦八苦する優。
彼は、この価値観の違うこの世界でどう生きていくだろうか。
※過去に小説家になろう等で公開していたものと同じ内容です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
桜月真澄
ライト文芸
朧咲夜最終話
+++
愛してる。誰よりもーー
でも、だからこそ……
さようなら。
2022.5.7~5.31
Sakuragi presents
人生負け組のスローライフ
雪那 由多
青春
バアちゃんが体調を悪くした!
俺は長男だからバアちゃんの面倒みなくては!!
ある日オヤジの叫びと共に突如引越しが決まって隣の家まで車で十分以上、ライフラインはあれどメインは湧水、ぼっとん便所に鍵のない家。
じゃあバアちゃんを頼むなと言って一人単身赴任で東京に帰るオヤジと新しいパート見つけたから実家から通うけど高校受験をすててまで来た俺に高校生なら一人でも大丈夫よね?と言って育児拒否をするオフクロ。
ほぼ病院生活となったバアちゃんが他界してから築百年以上の古民家で一人引きこもる俺の日常。
――――――――――――――――――――――
第12回ドリーム小説大賞 読者賞を頂きました!
皆様の応援ありがとうございます!
――――――――――――――――――――――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる