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~3家族と再会です、さぁ旦那様どうします?~
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さて、アリゼは五年の眠りから目覚めて二日目。色濃い一日を過ごしたことで、まだたった一日!? と思う面もあるが、一日は一日である。ある意味、超時間を有効活用したのではないかと思う。
アリゼの目覚めは、ランファより生家であるロンド公爵家へきちんと連絡が入れられており、本日の朝起きて、支度をランファに手伝ってもらう時、お昼にお父様とお母さまとお兄様が来ると言われた。ま、普通の反応だよなぁと思う。だがランファは超優しくなって、超頼もしい味方になったが、さて、家族はどう変わったのか。楽しみでもある。お兄様は結婚したんだろうなぁとかも思ったりする。私が幼い頃からお兄様はちゃんと婚約者がいたので、順当にいけば結婚して子ども生まれて、幸せなはず! だからちょっと遊ばせようと思って、あの薬を渡そうとして、こけて、今に至る訳だが、ワクワクが止まらない。
そして朝食を食べに行くのかと思いきや、ランファはアリゼの自室に朝食を運んできた。
「お嬢様、あのクソ野郎はお仕事が忙しく、朝食はもうとられて仕事へ出たそうですよ。ま、仕事に行くのは事実ですが、今は離れで朝食中ですけど」
「おー、楽しいじゃない! 確かに今は私が目覚めたばかりで気遣っているフリなんだろうけど、そうねぇ、ちょっと夕食には先手打っておこうか」
アリゼは、夕食ご一緒したいです、と完結に記した文をランファに託す。
「他のメイドは頼りになりませんので、私が執事に届けます。あの執事は味方とは言えませんが、きっとあのクソ野郎に不利になるような事はしませんので。今、あのクソ野郎の脅威はお嬢様のご機嫌を損ねる事ですから」
あの執事、とやらには会ったことはないが、恐らくグレイに忠誠心が高いのだろう。単純な馬鹿であれば、アリゼを敵とみなして、食事に毒を盛ったりするものだ。だが一日、たった一日で大分状況が面白いことに気が付いているアリゼとしては楽しい限りだ。
昨日は鏡を見た時に老けたなぁと思ったが、今日ランファに整えられて、容姿的にも悪くないんじゃないかと思えてきた。どうせならあのグレイに一泡吹かせたい。突き落とすだけじゃ、つまらない。この容姿はもっと磨けば光りそうだと、ちょっと他人事みたいに考えている。
「あぁああ! そう言えばランファ。私の薬たちや、調合道具ってどうなったの!」
「あの毎回抜け出しては作っていた薬ですか……。忘れていてほしかったですが、忘れるはずありませんね。持って来てはいませんよ。ですが、あの森に作っていた隠し小屋からはいじられていないと思いますよ。お嬢様が眠ってからというものの、旦那様も奥様も坊ちゃまも皆、沈んでおりましたから。お嬢様が目覚めると、部屋も掃除はされていますが、片付けはされていませんよ」
「っやったぁ……」
「本当、お屋敷はお嬢様が騒いでいないと静かで、どれほどお嬢様が煩かったのか思い知りました」
「……さっきからちょっとずつチクチク、嫌味入ってない?」
「変わられてないようでなによりですから」
「今から使い送ったら調合道具が持ってこれたり……」
「しませんよ? ここでも怪しい薬作る気満々なんですか? お嬢様が眠る前にぶちまけた薬でちょっと事件起きていますからね。ここでは言及しませんけど」
「あ、そういや薬ぶちまけたわ。え……物凄い気になるんだけど、ランファー」
「さぁ、私にはあの執事に文を届ける仕事が。お嬢様は大人しく食事されて、待っていてくださいまし」
バタン、と扉が閉められて、ちょっと昔のランファの影も見え始めて、嬉しかったりする。
やはり五年は大きい。見た目も変われば、立場も変わっている。多分私の学力は問題ないけど、五年の情勢とかは頭にいれなきゃねー、と思う。一応公爵令嬢として、最強、王族に嫁がせようとお父様はしていたみたいだから、幼い頃からある程度は叩き込まれている。
銀食器に変わった食事を食べつつ、朝は家族が来るまではちょっと勉強するかーと思った。
案外情勢やらなにやらは頭に入れていて損はない。むしろグレイを叩き落とすには、周囲も責めないといけない。でないと復活しそうだ。将を射るなら馬からいくべきだ。
「食事は美味だわぁ」
アリゼは食べながら幸せを噛みしめる。今の流行のお菓子なども気になる。知りたいことは山ほどだ。
食事を平らげる頃にはランファは戻って来て、スープ以外の固形物も完食して満足気なアリゼを見て、本当にお元気で何よりです、と呟いた。
まぁ五年も寝てれば心配かけるよなー、とアリゼとしては五年も経っている実感が、まだ欠けているのであまり感じないが、眠っている主人を連れて、敵陣に一人アリゼを守る為に、そして目覚めると信じて待っていたランファには長かっただろう。ランファにも何かしら感謝示さないとな、ともちょっと思った。
そこからロンド公爵家一行は予定どうり昼に到着した。応接間に到着後案内されたらしく、ランファ先導のもと応接へ向かうがちょっと緊張だ。改めて会うとなると、仕方がないと思いたい。
応接間に入ると、やはりちょっと老けたお父様、お母様、そしてハンサムになったお兄様がいた。三人とも入ってきたアリゼを見て、ちょっと止まったかと思えば、ソファにかけていたお母様は立ち上がって、そのままアリゼに駆け寄り抱きしめてきた。あぁ、相当心配かけたんだ。お母様の体は震えていて、目には涙が浮かんでいる。
「お久しぶり、お母様。そしてお父様も、お兄様も。会いに来てくれてありがとう」
素直に感謝の言葉が出た。
「何がお久しぶりなものですか! 五年も……五年も……」
「お前、アリゼは昨日目覚めたばかりだ。まだ状況ものみこめていないだろう。いいじゃないか。顔色もいい。何時までも立たせてばかりではいかんだろ。お前もアリゼも座りなさい。久しぶりの会話がしたいのだ」
「ふん。眠っているアリゼを嫁がせて、知らない場所で目が覚めて混乱したに違いないわ。あなたはアリゼに謝罪すべきね。でも確かに立っていてはダメね。座りましょう、アリゼ」
お母様はアリゼを放してくれ、お母様は元の位置に、アリゼは三人に対面する形で座った。
お父様とお母さまはあまり変わりないようで、ちょっと嬉しかった。
「久しぶりだな、アリゼ。お前も混乱しているだろう」
「昨日、ある程度ランファに聞いています。嫁いでグランゼル侯爵夫人になっている事も」
「すまない。グランゼル侯爵……当時は違ったのだが、彼の才能を開花させたかった。その時に圧倒的に足りていなかったのが身分や後ろ盾だったのだ。きっといい夫君になるはずだ。いきなり夫だと言われても、簡単に受け入れることは難しいかもしれん。だがグランゼル侯爵は良い方だ。気に入らなければ連絡をくれてもいい。突然だが、受け入れる努力だけしてほしい」
お父様には娘の了承も得ず、事業の為に眠っている娘を使った事を悔いている事が何と無しに伝わってきた。そして何よりアリゼが聞きたかった言葉。気に入らなければ連絡をくれてもいいそうだ! これは大収穫。正直、あのグレイを良い人だというにはお父様は見る目がない。いや、事業は成功しているから、事業者として見る目はあるのか。だが娘の伴侶としては最低でした、と最後、事を終えた後にちょっと嫌味でも言ってやろうと内心たくらむ。
うん、超楽しい場所に入れてくれたから結果感謝しているけど、眠っている娘使って事業を成功させるお父様には、少しお灸をすえても怒られないと思うのだ。お母様の表情が物語っている。
「なぁにが、受け入れる努力をしてくれ、ですか! そんなにうちはお金がなかったのですか!」
「お母様、落ち着いて。一応、受け入れる努力するつもりだから……」
「まぁアリゼ! あなた……無理してない? ダメよ。正直この人を止められなかった事……後悔してるのよ」
「大丈夫よ。ま、何とかならなかったら家に帰るから。ね、お母様」
「何時でも帰ってらっしゃい」
おぉ、お母様の了承まで得られて、帰る場所は問題なさそうだとアリゼは安心する。グレイ突き落とした後の事も考えとかないといけないからね! だって死ぬ気はないんだもの。
そして次、お兄様が口を開いた時に扉のノック音がし、傍にいたランファがすっと扉の近くで誰かを確かめに行く。
「……グランゼル侯爵様がお会いになりたいそうです」
ランファの言葉にアリゼはニヤリとする。
そりゃあアリゼがここで帰ったり、食事の毒事件を口にしたりしたら困るはずだから、何か手を打っては来るだろう、と思っていた。
旦那様の面の皮の厚さ、拝ませていただきましょうか。
アリゼの目覚めは、ランファより生家であるロンド公爵家へきちんと連絡が入れられており、本日の朝起きて、支度をランファに手伝ってもらう時、お昼にお父様とお母さまとお兄様が来ると言われた。ま、普通の反応だよなぁと思う。だがランファは超優しくなって、超頼もしい味方になったが、さて、家族はどう変わったのか。楽しみでもある。お兄様は結婚したんだろうなぁとかも思ったりする。私が幼い頃からお兄様はちゃんと婚約者がいたので、順当にいけば結婚して子ども生まれて、幸せなはず! だからちょっと遊ばせようと思って、あの薬を渡そうとして、こけて、今に至る訳だが、ワクワクが止まらない。
そして朝食を食べに行くのかと思いきや、ランファはアリゼの自室に朝食を運んできた。
「お嬢様、あのクソ野郎はお仕事が忙しく、朝食はもうとられて仕事へ出たそうですよ。ま、仕事に行くのは事実ですが、今は離れで朝食中ですけど」
「おー、楽しいじゃない! 確かに今は私が目覚めたばかりで気遣っているフリなんだろうけど、そうねぇ、ちょっと夕食には先手打っておこうか」
アリゼは、夕食ご一緒したいです、と完結に記した文をランファに託す。
「他のメイドは頼りになりませんので、私が執事に届けます。あの執事は味方とは言えませんが、きっとあのクソ野郎に不利になるような事はしませんので。今、あのクソ野郎の脅威はお嬢様のご機嫌を損ねる事ですから」
あの執事、とやらには会ったことはないが、恐らくグレイに忠誠心が高いのだろう。単純な馬鹿であれば、アリゼを敵とみなして、食事に毒を盛ったりするものだ。だが一日、たった一日で大分状況が面白いことに気が付いているアリゼとしては楽しい限りだ。
昨日は鏡を見た時に老けたなぁと思ったが、今日ランファに整えられて、容姿的にも悪くないんじゃないかと思えてきた。どうせならあのグレイに一泡吹かせたい。突き落とすだけじゃ、つまらない。この容姿はもっと磨けば光りそうだと、ちょっと他人事みたいに考えている。
「あぁああ! そう言えばランファ。私の薬たちや、調合道具ってどうなったの!」
「あの毎回抜け出しては作っていた薬ですか……。忘れていてほしかったですが、忘れるはずありませんね。持って来てはいませんよ。ですが、あの森に作っていた隠し小屋からはいじられていないと思いますよ。お嬢様が眠ってからというものの、旦那様も奥様も坊ちゃまも皆、沈んでおりましたから。お嬢様が目覚めると、部屋も掃除はされていますが、片付けはされていませんよ」
「っやったぁ……」
「本当、お屋敷はお嬢様が騒いでいないと静かで、どれほどお嬢様が煩かったのか思い知りました」
「……さっきからちょっとずつチクチク、嫌味入ってない?」
「変わられてないようでなによりですから」
「今から使い送ったら調合道具が持ってこれたり……」
「しませんよ? ここでも怪しい薬作る気満々なんですか? お嬢様が眠る前にぶちまけた薬でちょっと事件起きていますからね。ここでは言及しませんけど」
「あ、そういや薬ぶちまけたわ。え……物凄い気になるんだけど、ランファー」
「さぁ、私にはあの執事に文を届ける仕事が。お嬢様は大人しく食事されて、待っていてくださいまし」
バタン、と扉が閉められて、ちょっと昔のランファの影も見え始めて、嬉しかったりする。
やはり五年は大きい。見た目も変われば、立場も変わっている。多分私の学力は問題ないけど、五年の情勢とかは頭にいれなきゃねー、と思う。一応公爵令嬢として、最強、王族に嫁がせようとお父様はしていたみたいだから、幼い頃からある程度は叩き込まれている。
銀食器に変わった食事を食べつつ、朝は家族が来るまではちょっと勉強するかーと思った。
案外情勢やらなにやらは頭に入れていて損はない。むしろグレイを叩き落とすには、周囲も責めないといけない。でないと復活しそうだ。将を射るなら馬からいくべきだ。
「食事は美味だわぁ」
アリゼは食べながら幸せを噛みしめる。今の流行のお菓子なども気になる。知りたいことは山ほどだ。
食事を平らげる頃にはランファは戻って来て、スープ以外の固形物も完食して満足気なアリゼを見て、本当にお元気で何よりです、と呟いた。
まぁ五年も寝てれば心配かけるよなー、とアリゼとしては五年も経っている実感が、まだ欠けているのであまり感じないが、眠っている主人を連れて、敵陣に一人アリゼを守る為に、そして目覚めると信じて待っていたランファには長かっただろう。ランファにも何かしら感謝示さないとな、ともちょっと思った。
そこからロンド公爵家一行は予定どうり昼に到着した。応接間に到着後案内されたらしく、ランファ先導のもと応接へ向かうがちょっと緊張だ。改めて会うとなると、仕方がないと思いたい。
応接間に入ると、やはりちょっと老けたお父様、お母様、そしてハンサムになったお兄様がいた。三人とも入ってきたアリゼを見て、ちょっと止まったかと思えば、ソファにかけていたお母様は立ち上がって、そのままアリゼに駆け寄り抱きしめてきた。あぁ、相当心配かけたんだ。お母様の体は震えていて、目には涙が浮かんでいる。
「お久しぶり、お母様。そしてお父様も、お兄様も。会いに来てくれてありがとう」
素直に感謝の言葉が出た。
「何がお久しぶりなものですか! 五年も……五年も……」
「お前、アリゼは昨日目覚めたばかりだ。まだ状況ものみこめていないだろう。いいじゃないか。顔色もいい。何時までも立たせてばかりではいかんだろ。お前もアリゼも座りなさい。久しぶりの会話がしたいのだ」
「ふん。眠っているアリゼを嫁がせて、知らない場所で目が覚めて混乱したに違いないわ。あなたはアリゼに謝罪すべきね。でも確かに立っていてはダメね。座りましょう、アリゼ」
お母様はアリゼを放してくれ、お母様は元の位置に、アリゼは三人に対面する形で座った。
お父様とお母さまはあまり変わりないようで、ちょっと嬉しかった。
「久しぶりだな、アリゼ。お前も混乱しているだろう」
「昨日、ある程度ランファに聞いています。嫁いでグランゼル侯爵夫人になっている事も」
「すまない。グランゼル侯爵……当時は違ったのだが、彼の才能を開花させたかった。その時に圧倒的に足りていなかったのが身分や後ろ盾だったのだ。きっといい夫君になるはずだ。いきなり夫だと言われても、簡単に受け入れることは難しいかもしれん。だがグランゼル侯爵は良い方だ。気に入らなければ連絡をくれてもいい。突然だが、受け入れる努力だけしてほしい」
お父様には娘の了承も得ず、事業の為に眠っている娘を使った事を悔いている事が何と無しに伝わってきた。そして何よりアリゼが聞きたかった言葉。気に入らなければ連絡をくれてもいいそうだ! これは大収穫。正直、あのグレイを良い人だというにはお父様は見る目がない。いや、事業は成功しているから、事業者として見る目はあるのか。だが娘の伴侶としては最低でした、と最後、事を終えた後にちょっと嫌味でも言ってやろうと内心たくらむ。
うん、超楽しい場所に入れてくれたから結果感謝しているけど、眠っている娘使って事業を成功させるお父様には、少しお灸をすえても怒られないと思うのだ。お母様の表情が物語っている。
「なぁにが、受け入れる努力をしてくれ、ですか! そんなにうちはお金がなかったのですか!」
「お母様、落ち着いて。一応、受け入れる努力するつもりだから……」
「まぁアリゼ! あなた……無理してない? ダメよ。正直この人を止められなかった事……後悔してるのよ」
「大丈夫よ。ま、何とかならなかったら家に帰るから。ね、お母様」
「何時でも帰ってらっしゃい」
おぉ、お母様の了承まで得られて、帰る場所は問題なさそうだとアリゼは安心する。グレイ突き落とした後の事も考えとかないといけないからね! だって死ぬ気はないんだもの。
そして次、お兄様が口を開いた時に扉のノック音がし、傍にいたランファがすっと扉の近くで誰かを確かめに行く。
「……グランゼル侯爵様がお会いになりたいそうです」
ランファの言葉にアリゼはニヤリとする。
そりゃあアリゼがここで帰ったり、食事の毒事件を口にしたりしたら困るはずだから、何か手を打っては来るだろう、と思っていた。
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