8 / 17
第一章 サハル砂漠編
9 私自身の事
しおりを挟む
創造主の薬鯨はかなりのおしゃべりだった。
悪い奴ではなさそうだと感じた。
「あの、一つ質問なんですが、
どこかで鯨が死んだと聞いたのですが、ご存じですか?」
俺は尋ねてみた。
「そんなこととっくに知っとるわい。
それよりも、お主はもっと重要な事を聞かなくて良いのか?」
「重要な事?」
「お主自身についてじゃよ。
お主はこの世界では異質な者じゃ、そういう扱いを受けた記憶はないか?」
そういえば、思い当たる節が……
ない!?
俺はこれまで優しく接しられてきた記憶しかない、みんな良い人ばかりだった。
「すいません。そういう扱いを受けた記憶はありません」
俺は正直に答えた。
「そうか、ならお主は運が良い」
「あ……」
「どうした? やはり、思い当たる節があったかのう?」
「いえ、そういう事ではないのですが、白髪で瞳の青い少女に出会った事があります。
あれがどこなのか、はっきりとは覚えていませんが、確実に出会いました」
「ほぉう~… 白髪の瞳の青い少女…
知らぬな! まぁそれはあれじゃろ、なんというか、まぁただの出会いじゃ!」
えぇーーーーー!!
あれだけ言っといて、結局知らないのかよ!
っと突っ込みを入れたくなった。
だが他にも思い当たることを話そうと思い、俺は続けた。
「そうですか。あはは、ですよね~
他には、ミぜさんとアインに会いました。
ミーゼロッテさんは、金髪でとても活気のある人でした。
アインは、そうですね、巨人の斧アトラスという神器を持っていた少年でしたね」
「何!? ミぜに会ったのか、お主」
「あっ…はい…」
「おぉ、そうかそうか! それはめでたいのう~」
「何か良い事でもあったんですか?」
「まぁあれじゃ、言いにくいのじゃが、ミぜはわしの嫁じゃ」
「はぁ!? あの人が薬鯨の嫁!?
どういうことですか?」
驚いた。この世界では種族の壁すら超えて、結婚できるのか。
「まぁ会ったことは一度もないがな」
「はい? それって、どういう…?」
「あやつはわしの巫女じゃ、つまり、契約を結んだ張本人がミーゼロッテという訳じゃ」
「契約?」
「何だお主、契約の事も知らんのか。
契約は、それぞれの鯨に対する生贄として捧げられた人物と交わす約束事みたいなものじゃな。
その契約者は契約した鯨の加護を得る。
契約の儀式はそれぞれの国で行われるからのう、わしらはその儀式が終わってからじゃないと
気が付かないのじゃ。
なんか力が奪われた感じがして、嫌いなんじゃよ、あれ。
そして、わしの契約者の相手がミぜという訳じゃ」
終わってからじゃないと気が付かないなんて、
意外と鯨って鈍感なんだなと思う。
「なるほど……
そんなことが出来るんですね、教えてくださり、ありがとうございます」
俺はこの世界の契約という事を知った。
そして、ミぜが薬鯨の加護を契約によって得ていることも知った。
「そんなことより、さっきから巨人臭いと思うておったら、
巨人の斧アトラスと出会っておったのか。
あやつまだ生きておったんじゃな。
確か、何百年か前に、あやつ武具に封印されておったが、
今もあやつは武具の中におるのか?」
「あっ、僕は会ってはいないと思います。
はっきりとは覚えていませんが、アインは持っている斧の事をアトラスと言っていました。
神器とか言っていた気がします」
「あぁ! そうじゃそうじゃ、神器とかいう物があるんじゃったな。
それも一応契約の一種じゃぞ、どうやってするのか詳しくは知らぬが、
魔女の杖グローア・巨人の斧アトラス・精霊の槍エルフの三つじゃった気がするぞい」
「へー、そうなんですね。
ご丁寧にありがとうございます!」
俺はこの薬鯨からこの後も様々な事を教わった。
魔女の杖はとてもめんどくさく、創生術が使わせてもらえなくなることや、
精霊の槍は、四大精霊が宿っていて、四種の創生術が使えること。
他にも、古典術式をについても教えてもらった。
最後に、俺はもしかしたら鯨子シンガーの末裔かもしれないという事も言われた。
悪い奴ではなさそうだと感じた。
「あの、一つ質問なんですが、
どこかで鯨が死んだと聞いたのですが、ご存じですか?」
俺は尋ねてみた。
「そんなこととっくに知っとるわい。
それよりも、お主はもっと重要な事を聞かなくて良いのか?」
「重要な事?」
「お主自身についてじゃよ。
お主はこの世界では異質な者じゃ、そういう扱いを受けた記憶はないか?」
そういえば、思い当たる節が……
ない!?
俺はこれまで優しく接しられてきた記憶しかない、みんな良い人ばかりだった。
「すいません。そういう扱いを受けた記憶はありません」
俺は正直に答えた。
「そうか、ならお主は運が良い」
「あ……」
「どうした? やはり、思い当たる節があったかのう?」
「いえ、そういう事ではないのですが、白髪で瞳の青い少女に出会った事があります。
あれがどこなのか、はっきりとは覚えていませんが、確実に出会いました」
「ほぉう~… 白髪の瞳の青い少女…
知らぬな! まぁそれはあれじゃろ、なんというか、まぁただの出会いじゃ!」
えぇーーーーー!!
あれだけ言っといて、結局知らないのかよ!
っと突っ込みを入れたくなった。
だが他にも思い当たることを話そうと思い、俺は続けた。
「そうですか。あはは、ですよね~
他には、ミぜさんとアインに会いました。
ミーゼロッテさんは、金髪でとても活気のある人でした。
アインは、そうですね、巨人の斧アトラスという神器を持っていた少年でしたね」
「何!? ミぜに会ったのか、お主」
「あっ…はい…」
「おぉ、そうかそうか! それはめでたいのう~」
「何か良い事でもあったんですか?」
「まぁあれじゃ、言いにくいのじゃが、ミぜはわしの嫁じゃ」
「はぁ!? あの人が薬鯨の嫁!?
どういうことですか?」
驚いた。この世界では種族の壁すら超えて、結婚できるのか。
「まぁ会ったことは一度もないがな」
「はい? それって、どういう…?」
「あやつはわしの巫女じゃ、つまり、契約を結んだ張本人がミーゼロッテという訳じゃ」
「契約?」
「何だお主、契約の事も知らんのか。
契約は、それぞれの鯨に対する生贄として捧げられた人物と交わす約束事みたいなものじゃな。
その契約者は契約した鯨の加護を得る。
契約の儀式はそれぞれの国で行われるからのう、わしらはその儀式が終わってからじゃないと
気が付かないのじゃ。
なんか力が奪われた感じがして、嫌いなんじゃよ、あれ。
そして、わしの契約者の相手がミぜという訳じゃ」
終わってからじゃないと気が付かないなんて、
意外と鯨って鈍感なんだなと思う。
「なるほど……
そんなことが出来るんですね、教えてくださり、ありがとうございます」
俺はこの世界の契約という事を知った。
そして、ミぜが薬鯨の加護を契約によって得ていることも知った。
「そんなことより、さっきから巨人臭いと思うておったら、
巨人の斧アトラスと出会っておったのか。
あやつまだ生きておったんじゃな。
確か、何百年か前に、あやつ武具に封印されておったが、
今もあやつは武具の中におるのか?」
「あっ、僕は会ってはいないと思います。
はっきりとは覚えていませんが、アインは持っている斧の事をアトラスと言っていました。
神器とか言っていた気がします」
「あぁ! そうじゃそうじゃ、神器とかいう物があるんじゃったな。
それも一応契約の一種じゃぞ、どうやってするのか詳しくは知らぬが、
魔女の杖グローア・巨人の斧アトラス・精霊の槍エルフの三つじゃった気がするぞい」
「へー、そうなんですね。
ご丁寧にありがとうございます!」
俺はこの薬鯨からこの後も様々な事を教わった。
魔女の杖はとてもめんどくさく、創生術が使わせてもらえなくなることや、
精霊の槍は、四大精霊が宿っていて、四種の創生術が使えること。
他にも、古典術式をについても教えてもらった。
最後に、俺はもしかしたら鯨子シンガーの末裔かもしれないという事も言われた。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
男女比1:10。男子の立場が弱い学園で美少女たちをわからせるためにヒロインと手を組んで攻略を始めてみたんだけど…チョロいんなのはどうして?
悠
ファンタジー
貞操逆転世界に転生してきた日浦大晴(ひうらたいせい)の通う学園には"独特の校風"がある。
それは——男子は女子より立場が弱い
学園で一番立場が上なのは女子5人のメンバーからなる生徒会。
拾ってくれた九空鹿波(くそらかなみ)と手を組み、まずは生徒会を攻略しようとするが……。
「既に攻略済みの女の子をさらに落とすなんて……面白いじゃない」
協力者の鹿波だけは知っている。
大晴が既に女の子を"攻略済み"だと。
勝利200%ラブコメ!?
既に攻略済みの美少女を本気で''分からせ"たら……さて、どうなるんでしょうねぇ?
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
【R18】スライムにマッサージされて絶頂しまくる女の話
白木 白亜
ファンタジー
突如として異世界転移した日本の大学生、タツシ。
世界にとって致命的な抜け穴を見つけ、召喚士としてあっけなく魔王を倒してしまう。
その後、一緒に旅をしたスライムと共に、マッサージ店を開くことにした。卑猥な目的で。
裏があるとも知れず、王都一番の人気になるマッサージ店「スライム・リフレ」。スライムを巧みに操って体のツボを押し、角質を取り、リフレッシュもできる。
だがそこは三度の飯よりも少女が絶頂している瞬間を見るのが大好きなタツシが経営する店。
そんな店では、膣に媚薬100%の粘液を注入され、美少女たちが「気持ちよくなって」いる!!!
感想大歓迎です!
※1グロは一切ありません。登場人物が圧倒的な不幸になることも(たぶん)ありません。今日も王都は平和です。異種姦というよりは、スライムは主人公の補助ツールとして扱われます。そっち方面を期待していた方はすみません。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。
天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜
八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。
第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。
大和型三隻は沈没した……、と思われた。
だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。
大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。
祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。
※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる