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4.空気を読むことを覚えなさい
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“終わった⋯。私の玉の輿計画が今完全に終わったわ⋯”
ガクリと肩を落とした私に、
「⋯リジーというのは?お前はキャサリンだろう」
「だぁぁ~~~!!」
追い討ちのような言葉を不思議そうな顔で言われ、そんなガルシアの口を塞ぐべく、果物屋さんに置いてあった林檎を彼の口に捩じ込む。
「おじさん!やっぱ買うわこの林檎!!!」
「お、おぅ、取り込み中ならツケにしといても構わねぇぞ⋯?」
明らかにごちゃついている私と彼を見比べた店主が戸惑いながらそんな事を言ってくれるが。
「俺が払いますよ」
さっきまで涙を流して笑っていたとは思えないほどキリッとした表情でそっと店主の元へ向かうのはもちろんレイモンド様。
しかし、“さっすが!”なんて思わずきゅんとした私の目に飛び込んだのは――
「これで足りるかな」
「わあぁぁあっ!!?」
キラッと見えた金貨を隠すようにレイモンド様の手ごと握り隠す。
「ガルシアは口から林檎出さないように!」
「ん、んが、がが!?」
「おじさん、林檎のお金っ」
きょとんとしているレイモンド様を見なかった事にし、銅貨を1枚渡して二人を連れて市場から離れた私は周りに人がいない事を確認してからわざとらしいほど大きなため息を吐いた。
「⋯色々言いたいのですが」
「うん、なんだろう?」
「んが、ががっ」
「あんたはさっさと林檎出しなさい!やっぱ嘘、もったいないからそのまま食べなさい!!」
「ん、んぐ、ぐぐ⋯」
“こんな姿見られて私の玉の輿計画台無しよ!”
そして台無しになったならば我慢する必要はないって事で。
私に言われるがまま、シャリシャリと林檎を食べはじめたガルシアを横目にキッとレイモンド様を睨んだ私は、失礼な事を承知の上でビッとレイモンド様の前に人差し指を立てた。
「いいですか!?ここは平民御用達の市場なんです。どんだけ高いものでも銀貨、金貨なんて絶対出回らないんですよ!」
「えっ、そ、そうなの?」
「そ、う、な、ん、で、すぅ!!!でもって金貨なんて出した日には大騒ぎ間違いなし、変な奴も寄ってくるしで最悪です」
「その為に俺がいる!」
林檎を食べ終えたらしいガルシアが鼻息荒く参戦してくるが。
「髪色まで変えてるのはお忍びだからじゃないのぉ?護衛って主人の安全を守るだけぇ?楽しさとか心の健康は守らないんだぁ?」
「う⋯っ」
わざと挑発するようにそう言うと途端に口ごもる。
“私に口で勝てる訳ないじゃない、これでも社交界で生きる貴族令嬢なのよ”
口を塞ぐ対価として尊い林檎代金を犠牲にした私は、仕返しとばかりに内心べっと舌を出した。
かなり態度の悪い私に、いつこの護衛騎士が怒り出すかと様子を見ると⋯
「俺は⋯ダメな護衛だ⋯」
「ちょっとリジーちゃん!ウチの子苛めないでくれるかな!?このガタイで繊細なんだよ、多分」
「えぇえっ!?」
“こ、ここで凹むわけぇ!?”
想定外の反応に、流石の私も動揺した。
「え⋯っ、と、ちょ、今のは林檎の仕返しというか⋯、いや本音ではあるんだけどぉ!?でも凹ませるつもりはなくって⋯!」
「ぶ、ぶふ、くく⋯っ」
「レイモンド様は笑わないでくださいます!?庇うなら最後まで庇ってくださいよ!」
「主人に庇われるなんて、俺なんて⋯」
「はあぁ!?何めんどくさいこと言ってんのよ!とにかくあんたは空気を読みなさいッ!」
一瞬でカオスになったこの場に、八つ当たり兼親切で首を突っ込んだ事を死ぬほど後悔した。
「⋯で、話を戻すがいつからお前はリジーなんだ」
「愛称⋯は、アレクシス殿下が呼んでいたキャシーなんだよね?」
怪訝な顔をするガルシアと、どこか楽しそうなレイモンド様にそう聞かれた私は誤魔化す事を諦めた。
「⋯一応私、貴族令嬢なんですよ」
ポツリとそう話し出すと、そりゃそうだろ、といったような視線を感じて。
「けど、お金が無いんです、ほんっとうにないんですよ!貴族御用達のとことかね、行けないわけです!」
「ぅおっ!?」
「だからこっちの物価の安い地域で買い物するしかないんですけど、貴族令嬢だってバレたら色々困るからリジーっていうね?町娘装ってるってわけなんですぅ!」
段々勢いを増す私にたじたじのレイモンド様と、ピシッと固まったままのガルシア。
“⋯別に、本当の事だし引かれたって仕方ないわ”
そんな二人の様子を見て、私は少しいじけた気持ちになったのだが。
「⋯貴族令嬢だとバレたらまずいというのは、さっき殿下に言っていた『変な奴』のせいなのか?」
「え?」
固まっていたのは引いたからではなく、考え込んだからだったらしく。
「拐われたりするのか?」
「えぇ?そ、そうね、まぁ身代金とか私の家は払えないから危険は危険⋯かもね?」
「他には何が問題なんだ」
「え、何よ、そんなに興味持たれても困るんだけどぉ⋯。そ、そうね、他の貴族令嬢に私のこの姿がバレたら社交界に出れなくなる⋯とかかしら?」
物理的に死ぬか、社会的に死ぬか。
“まぁ、社会的に死んだら結婚相手が見つからなくて飢え死になんて可能性もなくはないけど”
私の話を聞いたガルシアは、再び何かを考え込んだあととんでもない事を言い出した。
「よし、俺がこの国にいる間はお前に稽古をつけてやる」
「⋯はぁ?」
「ぶはっ、えっ、ガル、結論それでいいの?あってる?」
「もちろんです!攻撃は最大の防御、誰に絡まれても拐わせなければ問題ありませんから」
名案だろう、と顔全体に貼り付けた得意気なガルシアに怒りを通り越して呆れも通り越して、笑いも困惑も通り越した私は一周回ってブチギレた。
「どこに物理的に戦う貴族令嬢がいんのよーーッッ!!!」
そしてそんな私の叫びも虚しく、市場で二人に会った翌日に私は王宮奥の庭園で何故か小振りなナイフを持たされていた。
「⋯ねぇ、あんた頭おかしいのよね?ネジ無くしちゃったのよね?」
「剣にネジはついていないと思うが⋯?」
冗談が通じず、心底不思議そうに私を見るガルシアにやたらと苛立つ。
“男なら、ここはせめて『この国にいる間は俺が守ろう』とかでしょぉ!?”
イライラしながらガルシアの方をチラッと見ると、彼は腕に何重にもレザーと布を巻いていて。
「⋯な、なにしてんのよ」
一瞬で嫌に予感がし思わず訊ねると、返ってきた答えはもちろんー⋯
「よし、俺の腕を斬れ!」
「なんでよっ!?」
「?ここは人払いもしているし誰に目撃される事もない。安心して斬ればいいぞ?」
「そうね、人目が無いことは素晴らしいわ、でもそうじゃないッ、そうじゃないのよッッ!」
絶妙に会話が繋がらないせいで頭がくらくらする。
そんな私にはお構いなしに、彼は平然と言葉を重ねた。
「いざという実戦で最も危険なのはどういう時かわかるか?」
「はぁ?あー⋯そうね、攻撃を外した時、とか?」
「惜しいが違う。攻撃を躊躇った時、だ」
文句を言おうと思ったのだが、ガルシアがあまりにも真剣な顔をしていると気付いた私は彼の言葉に耳を傾ける。
「どれだけいい武器を持っていても、使えなくては意味がないんだ。倒せとまでは言わん。隙を無くして逃げる隙を作れ」
それは令嬢に向けるには余りにも無機質なアドバイス。
しかし、私の為に紡がれた本気の心配でもあった。
「⋯お前はこの国の王妃になるんだろ?力はつけておくに越したことはないはずだ」
「あら、アレクとは結婚しないけど」
「⋯⋯⋯は?」
一応軽く訂正しておこうかな、くらいの気持ちで言った私の言葉に、さっきまでの真剣な顔をどこに捨ててしまったのか余りにも間抜けな顔を向けられ思わず吹き出してしまった。
「は?って、ちょ、真剣な雰囲気どこいったのよ、間抜けすぎないぃ?」
あはっと笑いながらそう聞くと、ハッとした顔をしたガルシアが思い切り詰めよってくる。
「だってお前、アレクシス殿下のパートナーとして⋯っ」
「私ちゃんと『友人』って言ったでしょお?」
「だが、相手は明らかにお前に気があるだろ!」
“それはまぁ、そうなんだけど⋯”
「どんなに愛されてても、愛人にしかなれない相手を選ぶほど私は落ちぶれてないって話よ」
アレクに言われた『公妾』発言は公式の場で、確かに言われた時彼らはまだこの国に来てはいなかったが――
「は、はぁぁあ!!?」
余りにも大袈裟に驚くガルシアにこっちが驚く。
「⋯何よ、私の噂くらい聞いたことあるでしょ?愛人だの節操無しだのなんだのってやつ⋯」
ガクリと肩を落とした私に、
「⋯リジーというのは?お前はキャサリンだろう」
「だぁぁ~~~!!」
追い討ちのような言葉を不思議そうな顔で言われ、そんなガルシアの口を塞ぐべく、果物屋さんに置いてあった林檎を彼の口に捩じ込む。
「おじさん!やっぱ買うわこの林檎!!!」
「お、おぅ、取り込み中ならツケにしといても構わねぇぞ⋯?」
明らかにごちゃついている私と彼を見比べた店主が戸惑いながらそんな事を言ってくれるが。
「俺が払いますよ」
さっきまで涙を流して笑っていたとは思えないほどキリッとした表情でそっと店主の元へ向かうのはもちろんレイモンド様。
しかし、“さっすが!”なんて思わずきゅんとした私の目に飛び込んだのは――
「これで足りるかな」
「わあぁぁあっ!!?」
キラッと見えた金貨を隠すようにレイモンド様の手ごと握り隠す。
「ガルシアは口から林檎出さないように!」
「ん、んが、がが!?」
「おじさん、林檎のお金っ」
きょとんとしているレイモンド様を見なかった事にし、銅貨を1枚渡して二人を連れて市場から離れた私は周りに人がいない事を確認してからわざとらしいほど大きなため息を吐いた。
「⋯色々言いたいのですが」
「うん、なんだろう?」
「んが、ががっ」
「あんたはさっさと林檎出しなさい!やっぱ嘘、もったいないからそのまま食べなさい!!」
「ん、んぐ、ぐぐ⋯」
“こんな姿見られて私の玉の輿計画台無しよ!”
そして台無しになったならば我慢する必要はないって事で。
私に言われるがまま、シャリシャリと林檎を食べはじめたガルシアを横目にキッとレイモンド様を睨んだ私は、失礼な事を承知の上でビッとレイモンド様の前に人差し指を立てた。
「いいですか!?ここは平民御用達の市場なんです。どんだけ高いものでも銀貨、金貨なんて絶対出回らないんですよ!」
「えっ、そ、そうなの?」
「そ、う、な、ん、で、すぅ!!!でもって金貨なんて出した日には大騒ぎ間違いなし、変な奴も寄ってくるしで最悪です」
「その為に俺がいる!」
林檎を食べ終えたらしいガルシアが鼻息荒く参戦してくるが。
「髪色まで変えてるのはお忍びだからじゃないのぉ?護衛って主人の安全を守るだけぇ?楽しさとか心の健康は守らないんだぁ?」
「う⋯っ」
わざと挑発するようにそう言うと途端に口ごもる。
“私に口で勝てる訳ないじゃない、これでも社交界で生きる貴族令嬢なのよ”
口を塞ぐ対価として尊い林檎代金を犠牲にした私は、仕返しとばかりに内心べっと舌を出した。
かなり態度の悪い私に、いつこの護衛騎士が怒り出すかと様子を見ると⋯
「俺は⋯ダメな護衛だ⋯」
「ちょっとリジーちゃん!ウチの子苛めないでくれるかな!?このガタイで繊細なんだよ、多分」
「えぇえっ!?」
“こ、ここで凹むわけぇ!?”
想定外の反応に、流石の私も動揺した。
「え⋯っ、と、ちょ、今のは林檎の仕返しというか⋯、いや本音ではあるんだけどぉ!?でも凹ませるつもりはなくって⋯!」
「ぶ、ぶふ、くく⋯っ」
「レイモンド様は笑わないでくださいます!?庇うなら最後まで庇ってくださいよ!」
「主人に庇われるなんて、俺なんて⋯」
「はあぁ!?何めんどくさいこと言ってんのよ!とにかくあんたは空気を読みなさいッ!」
一瞬でカオスになったこの場に、八つ当たり兼親切で首を突っ込んだ事を死ぬほど後悔した。
「⋯で、話を戻すがいつからお前はリジーなんだ」
「愛称⋯は、アレクシス殿下が呼んでいたキャシーなんだよね?」
怪訝な顔をするガルシアと、どこか楽しそうなレイモンド様にそう聞かれた私は誤魔化す事を諦めた。
「⋯一応私、貴族令嬢なんですよ」
ポツリとそう話し出すと、そりゃそうだろ、といったような視線を感じて。
「けど、お金が無いんです、ほんっとうにないんですよ!貴族御用達のとことかね、行けないわけです!」
「ぅおっ!?」
「だからこっちの物価の安い地域で買い物するしかないんですけど、貴族令嬢だってバレたら色々困るからリジーっていうね?町娘装ってるってわけなんですぅ!」
段々勢いを増す私にたじたじのレイモンド様と、ピシッと固まったままのガルシア。
“⋯別に、本当の事だし引かれたって仕方ないわ”
そんな二人の様子を見て、私は少しいじけた気持ちになったのだが。
「⋯貴族令嬢だとバレたらまずいというのは、さっき殿下に言っていた『変な奴』のせいなのか?」
「え?」
固まっていたのは引いたからではなく、考え込んだからだったらしく。
「拐われたりするのか?」
「えぇ?そ、そうね、まぁ身代金とか私の家は払えないから危険は危険⋯かもね?」
「他には何が問題なんだ」
「え、何よ、そんなに興味持たれても困るんだけどぉ⋯。そ、そうね、他の貴族令嬢に私のこの姿がバレたら社交界に出れなくなる⋯とかかしら?」
物理的に死ぬか、社会的に死ぬか。
“まぁ、社会的に死んだら結婚相手が見つからなくて飢え死になんて可能性もなくはないけど”
私の話を聞いたガルシアは、再び何かを考え込んだあととんでもない事を言い出した。
「よし、俺がこの国にいる間はお前に稽古をつけてやる」
「⋯はぁ?」
「ぶはっ、えっ、ガル、結論それでいいの?あってる?」
「もちろんです!攻撃は最大の防御、誰に絡まれても拐わせなければ問題ありませんから」
名案だろう、と顔全体に貼り付けた得意気なガルシアに怒りを通り越して呆れも通り越して、笑いも困惑も通り越した私は一周回ってブチギレた。
「どこに物理的に戦う貴族令嬢がいんのよーーッッ!!!」
そしてそんな私の叫びも虚しく、市場で二人に会った翌日に私は王宮奥の庭園で何故か小振りなナイフを持たされていた。
「⋯ねぇ、あんた頭おかしいのよね?ネジ無くしちゃったのよね?」
「剣にネジはついていないと思うが⋯?」
冗談が通じず、心底不思議そうに私を見るガルシアにやたらと苛立つ。
“男なら、ここはせめて『この国にいる間は俺が守ろう』とかでしょぉ!?”
イライラしながらガルシアの方をチラッと見ると、彼は腕に何重にもレザーと布を巻いていて。
「⋯な、なにしてんのよ」
一瞬で嫌に予感がし思わず訊ねると、返ってきた答えはもちろんー⋯
「よし、俺の腕を斬れ!」
「なんでよっ!?」
「?ここは人払いもしているし誰に目撃される事もない。安心して斬ればいいぞ?」
「そうね、人目が無いことは素晴らしいわ、でもそうじゃないッ、そうじゃないのよッッ!」
絶妙に会話が繋がらないせいで頭がくらくらする。
そんな私にはお構いなしに、彼は平然と言葉を重ねた。
「いざという実戦で最も危険なのはどういう時かわかるか?」
「はぁ?あー⋯そうね、攻撃を外した時、とか?」
「惜しいが違う。攻撃を躊躇った時、だ」
文句を言おうと思ったのだが、ガルシアがあまりにも真剣な顔をしていると気付いた私は彼の言葉に耳を傾ける。
「どれだけいい武器を持っていても、使えなくては意味がないんだ。倒せとまでは言わん。隙を無くして逃げる隙を作れ」
それは令嬢に向けるには余りにも無機質なアドバイス。
しかし、私の為に紡がれた本気の心配でもあった。
「⋯お前はこの国の王妃になるんだろ?力はつけておくに越したことはないはずだ」
「あら、アレクとは結婚しないけど」
「⋯⋯⋯は?」
一応軽く訂正しておこうかな、くらいの気持ちで言った私の言葉に、さっきまでの真剣な顔をどこに捨ててしまったのか余りにも間抜けな顔を向けられ思わず吹き出してしまった。
「は?って、ちょ、真剣な雰囲気どこいったのよ、間抜けすぎないぃ?」
あはっと笑いながらそう聞くと、ハッとした顔をしたガルシアが思い切り詰めよってくる。
「だってお前、アレクシス殿下のパートナーとして⋯っ」
「私ちゃんと『友人』って言ったでしょお?」
「だが、相手は明らかにお前に気があるだろ!」
“それはまぁ、そうなんだけど⋯”
「どんなに愛されてても、愛人にしかなれない相手を選ぶほど私は落ちぶれてないって話よ」
アレクに言われた『公妾』発言は公式の場で、確かに言われた時彼らはまだこの国に来てはいなかったが――
「は、はぁぁあ!!?」
余りにも大袈裟に驚くガルシアにこっちが驚く。
「⋯何よ、私の噂くらい聞いたことあるでしょ?愛人だの節操無しだのなんだのってやつ⋯」
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