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メインルート
12.二兎追うものは一兎も得ずって、それこの国にはない言葉
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「あ、あの、私目立ちすぎませんか⋯?」
「そんなことはないわ、だって私の付き人として参加するんですもの、これくらいは当然よ!」
なんて言いながらアリスの横から鏡を覗き、しっかりと頷く。
“ぶっちゃけこんな付き人あり得ないけど、今日の主役はアリスなんだからこれくらいいいわよね?”
この国ではエスコートとは別に同性の付き人を連れて夜会に参加する事は珍しくない。
特に高位貴族ならば尚更だ。
それはエスコート相手が側を離れても問題が起こらないようにする為で、だからこそ“なるべく地味な目立たない”格好で側に仕えるものなのだが。
「で、でもこの宝飾品、私の一年間のお給料でも絶対買えませんよね⋯?というか付き人が宝飾品までつけるなんて聞いたことないんですが⋯」
「いいのよ!だって私は公爵令嬢だもの!」
「えぇ⋯?そ、それにこのドレスだってこんなにレースがついてるんですが⋯」
「いいのよ!だって私は公爵令嬢なのよ!?」
「そりゃセリ様はそうでも私はただのメイドで⋯」
「いーいーの!だって貴女は公爵令嬢の付き人なんだから!」
「え、えぇえ⋯?」
どこからどう見ても招待されたどこぞの令嬢スタイルのアリスはただひたすら戸惑っていたものの、私はその完成度に大満足し、“完璧だわ、可愛いわ⋯!!これでサクッと殿下のハートを鷲掴んでくるのよ!”なんて内心ほくそ笑んでいた。
やっぱり付き人がこの服装はおかしいですよ!と無駄な抵抗を試みるアリスに貴族令嬢の武器である『優雅な微笑み』で黙らせつつ私達が会場に入ると、やはり私達はそれなりに注目を浴びたものの⋯
にこりと微笑むと周りがサッと目を逸らす。
貴族令嬢の微笑みは、いわば威嚇なのである。
そんなこんなで会場に着いた私達。
“まずは物理的な距離を縮めなくっちゃ!”
「行くわよ!」のかけ声と共に、しっかりとアリスの手を握り私は歩きだした。
進む先はもちろん一際人だかりの多い場所⋯つまりは、ヴァレリー殿下の側である。
「あのっ、フローチェ公爵令嬢、本日もとても素敵で⋯」
「あら、ありがとう。貴女もその淡いグリーンのドレスがとても似合っておりますわ」
「セシリス様、よろしければこちらでお話を⋯」
「まぁ、素敵なお誘い嬉しいわ!是非後程」
向けられる会話をスルーし、人混みはアリスとダンスを踊るようにすり抜ける。
“公爵令嬢として厳しく躾られた華麗な足さばきをご覧なさいな!”
これがランナーズハイならぬダンシングハイなのかと思うほど私のテンションが高かったのは仕方がないと思う。
何故なら私は今日この場で、運命を決める“イベント”を起こし、そして運命から逃れる為“イベント”を起こさないようにしなくてはならないのだ。
緊張でおかしくなるのも当然で⋯
“なんだか目立っちゃったような気がするけど、そもそも殿下に『見て』貰わなくちゃいけないんだからある意味これで正解よね”
なんて開き直りつつ、殿下のすぐ近くまで来れたことにまずは安堵する。
安堵ついでに、殿下の側に仕えている自身の婚約者の様子をチラッと窺ったのだが。
「⋯⋯⋯ふ」
“⋯⋯⋯!?”
瞳孔が開ききり、こんなに明るい照明の下にいるのにも関わらず全く瞳に光のない口元だけで作った笑みにゾクッとする。
“え⋯、ちょ、私何かやらかしたかしら⋯!?”
なんて焦り自分の行動を思い返してみるが心当たりなんてなくて。
しかし痛いほど感じる冷気もとい視線は勘違いではないようではあるのだが。
“ーーいっ、今はまず生存が先よ!”
という、相変わらずの問題先送り理論を展開しクルッとアリスの方に向き直りつつさり気なくレオに背中を向けた。
「さぁ、アリス、ここからは貴女の出番よっ」
「へっ!?わ、私ですかぁ!?」
混乱しつつも、何をすればと指示を求めるアリスを横目に私はそっとワインを手に取り。
“メインルートでは、嫌がらせでドレスをワインで汚されるところからイベントが始まると書いてあったわ”
そしてその事に気付いた殿下が、アリスを気遣い新しいドレスを用意してくれるのだ。
“洗濯場でも出会っていないこの世界は、現状メインルートであるとは言えない⋯”
だからこそ無理やりにでもメインルートのイベントを起こすべく、私は今から『ヒロインに嫌がらせでワインをかけなくてはいけない』のだー⋯、ふとそこまで考え、ザァッと一気に血の気が引いた。
「な⋯にを、考えているのかしら、私ってば⋯」
「セリ様?あっ、私が毒味致しましょうか?」
「こんなの、やっぱり私が悪役じゃない⋯」
「セリ様⋯?」
きょとんとこちらを見つめるアリスからよたよたと後ずさるように離れる。
“なんで、私何を⋯?これがまさか予言書の強制力⋯?”
行動の真意は別だとしても、このワインをかけたら私が紛れもなく『悪役令嬢』だ。
“もし私が目の前でヒロインに嫌がらせをしたら、レオはどう思うのかしら⋯”
行為を怒る?それとも幻滅するかしら⋯
ドクンドクンと血が巡る音が耳に響く。
それは破滅へのカウントダウンのように聞こえ、目の前が何も見えなくなった。
ーーー⋯物理的にも。
「⋯え?」
「セリ、大丈夫ですか?」
「レ⋯、オ?」
「はい」
気付けば体を支えるように抱き締められていて。
さっきみた目が全然笑っていない顔とは違う、安心させようと向けられる笑顔を向けられ、夜会だと言うことなんて忘れて思わず涙が滲みそうになる。
そんな私の頭をそっと撫でたレオは、私の手からそっとワイングラスを優しく奪って。
「ーーこれ、かければいいんですか?」
「えっ」
「ていうかかけましょう。汚れたドレスを嘲笑って会場から退場させるべきですね」
「ちょ、ちょっとレオ⋯!?」
「気に入らなかったんですよね、セリと手を繋いで僕に見せつけてきて」
「いや、手⋯は確かに繋いでいたけど、はぐれない為って言うか⋯っ!」
「⋯⋯あ、これが前あの女が言ってたマウントってやつか⋯?斬る」
「斬らないでっ!?」
ひぃぃ!と一気に冷や汗をかき、先程までとは違った意味で目の前が真っ暗になる。
“さすが悪役令息、って片付けちゃダメなやつよね⋯!?”
また瞳孔から光を失い、しかし口元は満面の笑みでヒロインに向かおうとするレオの腕に必死にしがみつき全力で止めた。
“ここでワインをかけさせる訳にはいかないわ、だってレオってば⋯!”
予言書通り、完ッッッ全に嫌がらせ目的なんだもの!!!
レオの名前を必死に呼びつつなんとかしなくては、と私の背中を汗が伝った⋯そんな時だった。
ドン!と大きな音と、ガチャンとグラスが割れる音がその場に響く。
ハッとして音の方に顔を向けると、ふらりとした私の元に駆け寄ろうとしてくれたアリスと、エメラルドのような緑の髪に黒に近い焦げ茶の瞳を持った現宰相の息子、レフ・リーサンネ様が運悪くぶつかってしまったようで⋯
「あ、アリス大丈夫!?貴女ドレスにワインが⋯っ」
慌てて声をかけ、自分の発した言葉に驚いた。
「ヒロインのドレスに、ワインが⋯?」
それは予言されしイベントであり、私が望んだ光景で。
「レオ⋯は、ワインちゃんと持ってるわね」
「追い撃ちでかけます?」
「絶対にやめて」
楽しそうに笑ってそうな気がしたが、レオを視界に入れたら負けだと思いヒロインのその後の光景に目をこらす。
“というか、レフ様も予言書に載ってたわよね⋯。一メイドから王太子妃を目指させるより、次期宰相様の妻の方が現実味あったかしら”
と一瞬頭を過り、小さく息を吐く。
私が今目指してるのは『メインルート』よ。
そう思い直し、祈るような気持ちで殿下の行動を見守った。
“もしルートが変更出来ていたのだとしたら⋯!”
この後起こるのは、汚れたドレスのアリスに手を差しのべて⋯
「君がすべきはまず着替えだよ」
「ッ!!」
殿下の言葉に息を呑む。
「すぐに代わりのドレスを用意するよ」
『ーー汚れたドレスの代わりに、と殿下が用意してくださったのはまるでお姫様になったかと思うほど綺麗なドレスだったわ』
これは、この流れは⋯っ!
「まさしくメインルートの通りだわ⋯!後は頷いたアリスが殿下の用意してくださったドレスを着て二人きりの夜会を⋯っ」
なんて興奮した私の耳に飛び込んできたアリスの返事は。
「あ、結構です」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯へ?」
さっくりとした、お断りだった。
「だって私、セリ様にもう1着ドレスを買っていただいたもの!まるでお姫様になったかと思うほどの綺麗なドレスなんだからっ」
“よ、よ、予備なんてっ、買うんじゃなかったぁぁあ!!”
本日三度目の立ちくらみを起こしたが、さらっと片腕でレオに支えられ“わぁ、さすが騎士様”なんて私は現実逃避するのだった。
「そんなことはないわ、だって私の付き人として参加するんですもの、これくらいは当然よ!」
なんて言いながらアリスの横から鏡を覗き、しっかりと頷く。
“ぶっちゃけこんな付き人あり得ないけど、今日の主役はアリスなんだからこれくらいいいわよね?”
この国ではエスコートとは別に同性の付き人を連れて夜会に参加する事は珍しくない。
特に高位貴族ならば尚更だ。
それはエスコート相手が側を離れても問題が起こらないようにする為で、だからこそ“なるべく地味な目立たない”格好で側に仕えるものなのだが。
「で、でもこの宝飾品、私の一年間のお給料でも絶対買えませんよね⋯?というか付き人が宝飾品までつけるなんて聞いたことないんですが⋯」
「いいのよ!だって私は公爵令嬢だもの!」
「えぇ⋯?そ、それにこのドレスだってこんなにレースがついてるんですが⋯」
「いいのよ!だって私は公爵令嬢なのよ!?」
「そりゃセリ様はそうでも私はただのメイドで⋯」
「いーいーの!だって貴女は公爵令嬢の付き人なんだから!」
「え、えぇえ⋯?」
どこからどう見ても招待されたどこぞの令嬢スタイルのアリスはただひたすら戸惑っていたものの、私はその完成度に大満足し、“完璧だわ、可愛いわ⋯!!これでサクッと殿下のハートを鷲掴んでくるのよ!”なんて内心ほくそ笑んでいた。
やっぱり付き人がこの服装はおかしいですよ!と無駄な抵抗を試みるアリスに貴族令嬢の武器である『優雅な微笑み』で黙らせつつ私達が会場に入ると、やはり私達はそれなりに注目を浴びたものの⋯
にこりと微笑むと周りがサッと目を逸らす。
貴族令嬢の微笑みは、いわば威嚇なのである。
そんなこんなで会場に着いた私達。
“まずは物理的な距離を縮めなくっちゃ!”
「行くわよ!」のかけ声と共に、しっかりとアリスの手を握り私は歩きだした。
進む先はもちろん一際人だかりの多い場所⋯つまりは、ヴァレリー殿下の側である。
「あのっ、フローチェ公爵令嬢、本日もとても素敵で⋯」
「あら、ありがとう。貴女もその淡いグリーンのドレスがとても似合っておりますわ」
「セシリス様、よろしければこちらでお話を⋯」
「まぁ、素敵なお誘い嬉しいわ!是非後程」
向けられる会話をスルーし、人混みはアリスとダンスを踊るようにすり抜ける。
“公爵令嬢として厳しく躾られた華麗な足さばきをご覧なさいな!”
これがランナーズハイならぬダンシングハイなのかと思うほど私のテンションが高かったのは仕方がないと思う。
何故なら私は今日この場で、運命を決める“イベント”を起こし、そして運命から逃れる為“イベント”を起こさないようにしなくてはならないのだ。
緊張でおかしくなるのも当然で⋯
“なんだか目立っちゃったような気がするけど、そもそも殿下に『見て』貰わなくちゃいけないんだからある意味これで正解よね”
なんて開き直りつつ、殿下のすぐ近くまで来れたことにまずは安堵する。
安堵ついでに、殿下の側に仕えている自身の婚約者の様子をチラッと窺ったのだが。
「⋯⋯⋯ふ」
“⋯⋯⋯!?”
瞳孔が開ききり、こんなに明るい照明の下にいるのにも関わらず全く瞳に光のない口元だけで作った笑みにゾクッとする。
“え⋯、ちょ、私何かやらかしたかしら⋯!?”
なんて焦り自分の行動を思い返してみるが心当たりなんてなくて。
しかし痛いほど感じる冷気もとい視線は勘違いではないようではあるのだが。
“ーーいっ、今はまず生存が先よ!”
という、相変わらずの問題先送り理論を展開しクルッとアリスの方に向き直りつつさり気なくレオに背中を向けた。
「さぁ、アリス、ここからは貴女の出番よっ」
「へっ!?わ、私ですかぁ!?」
混乱しつつも、何をすればと指示を求めるアリスを横目に私はそっとワインを手に取り。
“メインルートでは、嫌がらせでドレスをワインで汚されるところからイベントが始まると書いてあったわ”
そしてその事に気付いた殿下が、アリスを気遣い新しいドレスを用意してくれるのだ。
“洗濯場でも出会っていないこの世界は、現状メインルートであるとは言えない⋯”
だからこそ無理やりにでもメインルートのイベントを起こすべく、私は今から『ヒロインに嫌がらせでワインをかけなくてはいけない』のだー⋯、ふとそこまで考え、ザァッと一気に血の気が引いた。
「な⋯にを、考えているのかしら、私ってば⋯」
「セリ様?あっ、私が毒味致しましょうか?」
「こんなの、やっぱり私が悪役じゃない⋯」
「セリ様⋯?」
きょとんとこちらを見つめるアリスからよたよたと後ずさるように離れる。
“なんで、私何を⋯?これがまさか予言書の強制力⋯?”
行動の真意は別だとしても、このワインをかけたら私が紛れもなく『悪役令嬢』だ。
“もし私が目の前でヒロインに嫌がらせをしたら、レオはどう思うのかしら⋯”
行為を怒る?それとも幻滅するかしら⋯
ドクンドクンと血が巡る音が耳に響く。
それは破滅へのカウントダウンのように聞こえ、目の前が何も見えなくなった。
ーーー⋯物理的にも。
「⋯え?」
「セリ、大丈夫ですか?」
「レ⋯、オ?」
「はい」
気付けば体を支えるように抱き締められていて。
さっきみた目が全然笑っていない顔とは違う、安心させようと向けられる笑顔を向けられ、夜会だと言うことなんて忘れて思わず涙が滲みそうになる。
そんな私の頭をそっと撫でたレオは、私の手からそっとワイングラスを優しく奪って。
「ーーこれ、かければいいんですか?」
「えっ」
「ていうかかけましょう。汚れたドレスを嘲笑って会場から退場させるべきですね」
「ちょ、ちょっとレオ⋯!?」
「気に入らなかったんですよね、セリと手を繋いで僕に見せつけてきて」
「いや、手⋯は確かに繋いでいたけど、はぐれない為って言うか⋯っ!」
「⋯⋯あ、これが前あの女が言ってたマウントってやつか⋯?斬る」
「斬らないでっ!?」
ひぃぃ!と一気に冷や汗をかき、先程までとは違った意味で目の前が真っ暗になる。
“さすが悪役令息、って片付けちゃダメなやつよね⋯!?”
また瞳孔から光を失い、しかし口元は満面の笑みでヒロインに向かおうとするレオの腕に必死にしがみつき全力で止めた。
“ここでワインをかけさせる訳にはいかないわ、だってレオってば⋯!”
予言書通り、完ッッッ全に嫌がらせ目的なんだもの!!!
レオの名前を必死に呼びつつなんとかしなくては、と私の背中を汗が伝った⋯そんな時だった。
ドン!と大きな音と、ガチャンとグラスが割れる音がその場に響く。
ハッとして音の方に顔を向けると、ふらりとした私の元に駆け寄ろうとしてくれたアリスと、エメラルドのような緑の髪に黒に近い焦げ茶の瞳を持った現宰相の息子、レフ・リーサンネ様が運悪くぶつかってしまったようで⋯
「あ、アリス大丈夫!?貴女ドレスにワインが⋯っ」
慌てて声をかけ、自分の発した言葉に驚いた。
「ヒロインのドレスに、ワインが⋯?」
それは予言されしイベントであり、私が望んだ光景で。
「レオ⋯は、ワインちゃんと持ってるわね」
「追い撃ちでかけます?」
「絶対にやめて」
楽しそうに笑ってそうな気がしたが、レオを視界に入れたら負けだと思いヒロインのその後の光景に目をこらす。
“というか、レフ様も予言書に載ってたわよね⋯。一メイドから王太子妃を目指させるより、次期宰相様の妻の方が現実味あったかしら”
と一瞬頭を過り、小さく息を吐く。
私が今目指してるのは『メインルート』よ。
そう思い直し、祈るような気持ちで殿下の行動を見守った。
“もしルートが変更出来ていたのだとしたら⋯!”
この後起こるのは、汚れたドレスのアリスに手を差しのべて⋯
「君がすべきはまず着替えだよ」
「ッ!!」
殿下の言葉に息を呑む。
「すぐに代わりのドレスを用意するよ」
『ーー汚れたドレスの代わりに、と殿下が用意してくださったのはまるでお姫様になったかと思うほど綺麗なドレスだったわ』
これは、この流れは⋯っ!
「まさしくメインルートの通りだわ⋯!後は頷いたアリスが殿下の用意してくださったドレスを着て二人きりの夜会を⋯っ」
なんて興奮した私の耳に飛び込んできたアリスの返事は。
「あ、結構です」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯へ?」
さっくりとした、お断りだった。
「だって私、セリ様にもう1着ドレスを買っていただいたもの!まるでお姫様になったかと思うほどの綺麗なドレスなんだからっ」
“よ、よ、予備なんてっ、買うんじゃなかったぁぁあ!!”
本日三度目の立ちくらみを起こしたが、さらっと片腕でレオに支えられ“わぁ、さすが騎士様”なんて私は現実逃避するのだった。
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