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2.バレていいギリギリのライン
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「よ、要改良だわ……」
そんな翌日。
私は全身の怠さと下腹部の痛みで覚束ない足取りでなんとか研究室へと向かおうと足を進める。
(スイッチがオフ出来ないなんて思わなかった)
まさかのオフ機能を作り忘れたのである。
そのせいでディルドに込めた魔力が切れるまで永遠とナカを突かれ続けた私はまさに満身創痍だった。
流石に休むべきかとも思ったが、自作の玩具で遊んで仕事を休むという失態はあまりにも酷い。
令嬢として、いや大人としてあり得ないだろう。
そう思い、壁に捕まりながら一生懸命歩いていた時だった。
「フラヴィ姉様?」
「ぱ、パトリス!?」
様子のおかしい私に気付いたのか、少し青ざめながら私の元へ駆けてきたのは愛する義弟であり昨日私を容赦なく貫いたおちんちんの大元でもあるパトリスだった。
「どうしたの、体調が悪い? お医者様を呼ぼうか」
「だ、大丈夫よ。全然平気!」
義弟の玩具で破瓜したことがバレたらどうしようかと冷や汗を滲ませながら慌てて顔を左右に振る。
だがそんな私の様子を怪訝そうに見たパトリスは、私に一歩近付いた。
「全然大丈夫には見えません。足を怪我した?」
「い、いいえ」
「ではどこですか」
(というか怪我じゃないし)
確かに出血はしたが怪我じゃない。
滲んだ冷や汗が頬を伝う。まずい。本格的に尋問をされそうな予感がする。
「お腹が痛い……とは少し違いそうですね。ですが歩き方がおかしい。……まさか」
「ひいぃっ」
彼の碧眼が細められじとっとした視線を向けられる。
まるで地を這うような声色になり、私は一気に青ざめた。
ダメだ。これはダメだ。納得する答えを聞くまで言わせるやつだ。
だがパトリスのディルドを使って楽しんだなんて言えるはずがない。しかし嘘は厳しそうだ。
ならば言えるのはどこまでだ?
ごくりと唾を呑む。
また一歩私を壁側へと追い詰めるようにパトリスが近付く。
ゆっくり考える時間はなさそうだった。
取捨選択するしかない。
絶対言えないのはパトリスのディルドを作ったこと、そしてそれを使ったことだ。
この際言ってしまってもいいのは私がもう処女ではないことだ。恋人がいれば推奨はされないが、おかしくもない。問題は私に恋人がいないことだが――だが、私はもう二十四。そんなこともあり得る。
そんな結論を脳内で弾き出し、私は勢いに任せパトリスを見上げる。
「純潔を捧げたの」
(相手は貴方のディルドだけど)
内心でそんな言葉を付け足しながらハッキリとそう告げると、彼の瞳が驚愕に見開かれた。
「な、嘘だ……、まさか、相手は?」
「相手は……言えない、わ」
(だって貴方のディルドだし)
フイッと顔を反らしそう答える。
パトリスが息を呑んだことに気付いた。
どうやらショックを受けているらしい。
「そいつのことを、愛してる……んですか」
「愛してるわ」
(勝手にディルドを作るくらいには愛してる)
あまりに背徳的過ぎて言えなかったけれど、間違いないその気持ちを断言した。
一瞬パトリスがふらつくが、すぐにもう一度真っ直ぐ私の前に立った。
「だがそいつは、ハジメテのフラヴィ姉様がそんな歩き方になるまで無茶させたんだろう」
「それは……、私が、悪いのよ。朝まで止まらなかったし」
(入れるスイッチは付けてたのに止めるスイッチを付け忘れていたんだもの)
完全に私の失態。だが私のその回答をどう受け取ったのか、パトリスはより一層顔色を悪くした。
「痛みを軽減する魔法薬も使わず、朝まで? そんな男のどこがいいんですか」
「どこって……おちんちん、かしら」
「おち……ッ!?」
「あっ、ちがっ」
(しまった、つい!)
ディルドの良いところなんて、それがおちんちんであるということ以外ないだろう。
そんなことを考え思わずポロッと本音を漏らした私に、とうとう目眩でまともに立てなくなってしまったのか両手で顔を覆ったパトリスが壁にもたれて動かなくなってしまった。
姉弟になる前から可愛がり面倒を見ていたからか、少々シスコン気味に育ったパトリスだ。
私の発言は相当ショックだったのだろう。
(ごめんなさい、パトリス)
だが弁解し、真実がバレるよりマシだと判断した私はその隙にこっそりと逃げるようにその場を去った。
そんな翌日。
私は全身の怠さと下腹部の痛みで覚束ない足取りでなんとか研究室へと向かおうと足を進める。
(スイッチがオフ出来ないなんて思わなかった)
まさかのオフ機能を作り忘れたのである。
そのせいでディルドに込めた魔力が切れるまで永遠とナカを突かれ続けた私はまさに満身創痍だった。
流石に休むべきかとも思ったが、自作の玩具で遊んで仕事を休むという失態はあまりにも酷い。
令嬢として、いや大人としてあり得ないだろう。
そう思い、壁に捕まりながら一生懸命歩いていた時だった。
「フラヴィ姉様?」
「ぱ、パトリス!?」
様子のおかしい私に気付いたのか、少し青ざめながら私の元へ駆けてきたのは愛する義弟であり昨日私を容赦なく貫いたおちんちんの大元でもあるパトリスだった。
「どうしたの、体調が悪い? お医者様を呼ぼうか」
「だ、大丈夫よ。全然平気!」
義弟の玩具で破瓜したことがバレたらどうしようかと冷や汗を滲ませながら慌てて顔を左右に振る。
だがそんな私の様子を怪訝そうに見たパトリスは、私に一歩近付いた。
「全然大丈夫には見えません。足を怪我した?」
「い、いいえ」
「ではどこですか」
(というか怪我じゃないし)
確かに出血はしたが怪我じゃない。
滲んだ冷や汗が頬を伝う。まずい。本格的に尋問をされそうな予感がする。
「お腹が痛い……とは少し違いそうですね。ですが歩き方がおかしい。……まさか」
「ひいぃっ」
彼の碧眼が細められじとっとした視線を向けられる。
まるで地を這うような声色になり、私は一気に青ざめた。
ダメだ。これはダメだ。納得する答えを聞くまで言わせるやつだ。
だがパトリスのディルドを使って楽しんだなんて言えるはずがない。しかし嘘は厳しそうだ。
ならば言えるのはどこまでだ?
ごくりと唾を呑む。
また一歩私を壁側へと追い詰めるようにパトリスが近付く。
ゆっくり考える時間はなさそうだった。
取捨選択するしかない。
絶対言えないのはパトリスのディルドを作ったこと、そしてそれを使ったことだ。
この際言ってしまってもいいのは私がもう処女ではないことだ。恋人がいれば推奨はされないが、おかしくもない。問題は私に恋人がいないことだが――だが、私はもう二十四。そんなこともあり得る。
そんな結論を脳内で弾き出し、私は勢いに任せパトリスを見上げる。
「純潔を捧げたの」
(相手は貴方のディルドだけど)
内心でそんな言葉を付け足しながらハッキリとそう告げると、彼の瞳が驚愕に見開かれた。
「な、嘘だ……、まさか、相手は?」
「相手は……言えない、わ」
(だって貴方のディルドだし)
フイッと顔を反らしそう答える。
パトリスが息を呑んだことに気付いた。
どうやらショックを受けているらしい。
「そいつのことを、愛してる……んですか」
「愛してるわ」
(勝手にディルドを作るくらいには愛してる)
あまりに背徳的過ぎて言えなかったけれど、間違いないその気持ちを断言した。
一瞬パトリスがふらつくが、すぐにもう一度真っ直ぐ私の前に立った。
「だがそいつは、ハジメテのフラヴィ姉様がそんな歩き方になるまで無茶させたんだろう」
「それは……、私が、悪いのよ。朝まで止まらなかったし」
(入れるスイッチは付けてたのに止めるスイッチを付け忘れていたんだもの)
完全に私の失態。だが私のその回答をどう受け取ったのか、パトリスはより一層顔色を悪くした。
「痛みを軽減する魔法薬も使わず、朝まで? そんな男のどこがいいんですか」
「どこって……おちんちん、かしら」
「おち……ッ!?」
「あっ、ちがっ」
(しまった、つい!)
ディルドの良いところなんて、それがおちんちんであるということ以外ないだろう。
そんなことを考え思わずポロッと本音を漏らした私に、とうとう目眩でまともに立てなくなってしまったのか両手で顔を覆ったパトリスが壁にもたれて動かなくなってしまった。
姉弟になる前から可愛がり面倒を見ていたからか、少々シスコン気味に育ったパトリスだ。
私の発言は相当ショックだったのだろう。
(ごめんなさい、パトリス)
だが弁解し、真実がバレるよりマシだと判断した私はその隙にこっそりと逃げるようにその場を去った。
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