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2.エロぱんつは履いて貰う物であって自分で履くのは何かチガウ
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「あぁ~~~」
「なんだよ浩太、お疲れか?」
朝一の講義に出るためなんとか来たのだが、昨日のエロぱんつ事件で完全に寝不足になっていた俺は教室につくなり机に突っ伏す。
"つか、寝れる訳ねぇだろ⋯!?よく知らん男に変態ぱんつ見られてフェラされて脅されて⋯っ"
あの後ちょっとした隙をついて逃げ出した俺は、なんとかご褒美とお仕置きを免れた訳だが⋯
「名前バレてるってことはどっかで会ってんだよな⋯」
広い大学構内で偶然遭遇する可能性は低いが向こうは俺を認識しているわけで。
「どこで会ったかさえ思い出せれば対策取れるのになぁ」
「何の対策?」
突っ伏している俺の横にどさりと鞄が置かれ、誰かが隣に座る。
そこに座っているのはもちろん⋯
「かっ、嘉川!?」
「朝から望月は元気だな」
涼しい顔をした嘉川が、堂々と俺の隣を占拠していた。
「あれ、お前ら仲良かったっけ?」
「あー⋯」
不思議そうに聞いてくる青山。
"つか、青山もこいつ知ってんのか⋯?"
もしそうなら詳しく聞きたいところなのだが、本人の前でアレコレ確認出来るはずもなく⋯
その視線に気まずさを覚えた俺がチラッと嘉川の様子を窺うと、「それなりに、かな?」と言いながら意味深に舌をチラ見せして来て。
"昨日、あの舌でー⋯"
合意ではなかったとはいえ、それでも与えられた快感を思い出し思わずごくりと唾を呑み込む。
そんな俺の様子を可笑しそうに眺めた嘉川は、俺をじっと見ながらスマホを取り出した。
「ッ!?」
もしや昨日の、写真にでも撮られてたのか!?なんて焦った俺は、画面を覆うように嘉川のスマホを鷲掴みして⋯
「浩太何してんの?」
「え?えぇっと⋯!」
「俺と連絡先交換しようとしてたんだよな」
「ぅえっ!?」
怪訝そうな顔をしている青山の視線を後頭部に感じながら、白々しく嘘を吐く嘉川を見る。
「な?」
「⋯そ、うだった⋯かも⋯」
あは、あはは、と乾いた笑いしか出ない。
そんな俺にはお構い無しで、気付けば俺のスマホには何を考えているのかサッパリわからない嘉川の連絡先が登録されていた。
"いや、まじでいらねぇ⋯"
「少なくとも俺からは使わねぇな」
なんて思っていた俺、どこ行った。
「出ろって馬鹿⋯っ!!」
コール音だけ鳴り続ける通話を切り、すぐさま再度掛け直す。
そんな事を繰り返し早14回ーー⋯
『ちす』
『ちすちーっす!じゃねぇわ馬鹿!!おまっ、これ!俺の鞄に⋯っ、おま!?』
焦りすぎて支離滅裂だったせいか、嘉川が返事もせずにブチッと電話を切って。
「あんのくそったれ!!」
「誰がだよ」
「ぎゅあっ!?」
ぽん、と肩を叩かれひゅっと息を呑む。
「お、おま、おま⋯っ!!」
「あー、とりあえず俺からのプレゼント受け取ったみたいだな」
「あれ⋯っ!俺の鞄に入ってたやつ、やっぱお前か!?」
嘉川と隣同士で受けた授業は、残念ながら前日の寝不足がたたり気付けば完全に寝てしまっていた。
青山に起こされた時は既に授業が終わり暫く時間がたった後で、その頃にはもう嘉川はいなかった、のだが⋯
何故か俺の鞄に見知らぬぱんつが裸で入っていた。
ーー袋などに入れることなく、そのまま。
"せめて見えねぇように紙袋とかに入れろよ!"
なんて考え、そもそも入れんなよ、という結論にたどり着く。
「人が寝てるのをいいことに⋯っ!」
苛立ちを隠すことなく悠々と立っている嘉川に突っかかるが、俺の様子なんて気にも止めない嘉川は。
「ちゃんと望月好みのやつだっただろ?」
なんて、しれっと言い放った。
"俺の好みだぁ?"
確かに全面黒レースで作られ、隠しているのに透けて見えてしまうという背徳的な作りはエロくて最高だと思う。
そんなえっちなお姉様に憧れない男はいないだろう。
そしてもちろんえっちなぱんつだって男なら大好きだ。
それはもちろん⋯
「男物じゃ、なかったらな⋯!!」
彼女のいない俺にだって、例えばこのぱんつが女物だと言うならシコるという使い道があったのかもしれないが⋯
"男物のエロぱんつの需要はどこなんだよ⋯ッ!?"
「へぇ、女物のが良かったのか。まぁ確かに最初からはみ出てるのを見るのもそれはそれでいいか」
なんて言いながら嘉川の視線が俺の股間に集まりーー⋯
「いや、履かねぇよ!?これが女物だったとしてもそういう使い方するならいらんわ!」
「そういうって、どういう?」
「だから女物のぱんつなんか履かねぇっつってんだよ!」
まじでこいつ何言ってんだ、なんて思った俺は苛立ちを隠す気などさらさらなくて。
精一杯目に力を入れて嘉川を睨むと、相変わらずどこか楽しそうな瞳と目が合った。
「安心しろ、それは男物だから」
「それは安心材料じゃねんだよなぁ!!」
しれっと言われるその言葉に脱力する。
わざとらしくかなり大きいため息を吐いた俺は、会話は無意味と判断しそのまま黒レースのエロぱんつを一応人が来てもいいように拳の中に収めて嘉川に差し出した。
「返す」
「なに?」
「だからこのぱんつ返すってば!」
"絶対わかって言ってんだろ!?"
苛立ちつつも、ここで引くわけにはいかない俺はそのまま拳を突き出していて。
「せっかくのプレゼントを返されると、俺悲しくて昨日の事ごと誰かに言っちゃうかもなぁ」
「なっ!?また脅すのか!?」
くっそ!と焦る俺だったのだが、ふとあることに気が付いた。
"てか、こいつの脅しの材料って証拠なくね?"
嘉川が誰に何を話そうと、こっちも平然としていれば愚痴られた相手にとってはどちらが真実なのかはわからないはずだ。
教室では写真でも撮られてたのかと思ったが、結局証拠写真など見せられず連絡先を交換しただけでカメラのシャッター音なども聞こえなかったし⋯
「つか、望月が持ってんの本当に俺がプレゼントしたぱんつか?」
「へ?」
「だから、それ。そんな握り込まれてたらわかんねぇだろ」
「な⋯っ、つ、つかこうやって隠してんの、お前が裸で突っ込むからだろ!」
「裸で突っ込むとかエロいこと言うなよ、せめてぱんつ履けば?」
「比喩表現って言葉知ってますかぁっ!?」
どうしても俺にこのぱんつを履かせたいらしい嘉川の、絶対受け取らないという姿勢に頭が痛くなる。
"頼むから早く受け取れよ⋯!"
こんなものを一秒でも自分の鞄に入れておきたくない俺は、握り込まれた拳を渋々広げ嘉川に見せつけた。
「⋯ほら、お前のぱんつだろ!返すからまじで受け取れよ!」
そんな俺の耳に聞こえたのは、カシャッというシャッター音で。
「は⋯?」
「いやぁ、構内でこんなエロいぱんつを見せつけてくれるとかお前⋯本当に⋯くくっ」
「なっ、ば⋯っ!消せっ、今すぐ今の消せって!」
「そうだな、俺のお願い聞いてくれたら⋯?」
「は、はぁあっ!?」
"最悪だ、最悪だ最悪だ!!"
経緯はどうであれ、写真に写った俺は完全に変態だ。
"よりにもよって構内で!黒レースの!男物の!ぱんつを!!"
そしてそのぱんつを見せつけるべく持っているのは俺。
写真の中で見せかけだけだがド変態として君臨してしまった、俺。
「あぁあ⋯っ!!」
苛立っていたとはいえ、あんなにわかりやすい誘導にころっと騙された自分にショックを受けた俺は頭を抱えてしゃがみ込む。
「おいおい、頭に被って欲しいんじゃなくて、履いて欲しいんだがな?」
相変わらずくっくと笑いながら俺の前にしゃがんだ嘉川の顔面に向かって俺はぱんつを投げつけた。
「ーー履かない」
じわりと瞳が潤むのを無視して嘉川を睨む。
「履いたら履いたでその写真撮られるんだろ。脅されても絶対履かねぇからな!」
履いた写真と持ってる写真ならばいくらか持ってる方がマシだと判断した俺は全力でそう主張する。
そんな俺をじっと見ていた嘉川はーー⋯
「履かなくていいから、俺とデートしてよ」
なんて、新しい脅しを俺に仕掛けるのだった。
「なんだよ浩太、お疲れか?」
朝一の講義に出るためなんとか来たのだが、昨日のエロぱんつ事件で完全に寝不足になっていた俺は教室につくなり机に突っ伏す。
"つか、寝れる訳ねぇだろ⋯!?よく知らん男に変態ぱんつ見られてフェラされて脅されて⋯っ"
あの後ちょっとした隙をついて逃げ出した俺は、なんとかご褒美とお仕置きを免れた訳だが⋯
「名前バレてるってことはどっかで会ってんだよな⋯」
広い大学構内で偶然遭遇する可能性は低いが向こうは俺を認識しているわけで。
「どこで会ったかさえ思い出せれば対策取れるのになぁ」
「何の対策?」
突っ伏している俺の横にどさりと鞄が置かれ、誰かが隣に座る。
そこに座っているのはもちろん⋯
「かっ、嘉川!?」
「朝から望月は元気だな」
涼しい顔をした嘉川が、堂々と俺の隣を占拠していた。
「あれ、お前ら仲良かったっけ?」
「あー⋯」
不思議そうに聞いてくる青山。
"つか、青山もこいつ知ってんのか⋯?"
もしそうなら詳しく聞きたいところなのだが、本人の前でアレコレ確認出来るはずもなく⋯
その視線に気まずさを覚えた俺がチラッと嘉川の様子を窺うと、「それなりに、かな?」と言いながら意味深に舌をチラ見せして来て。
"昨日、あの舌でー⋯"
合意ではなかったとはいえ、それでも与えられた快感を思い出し思わずごくりと唾を呑み込む。
そんな俺の様子を可笑しそうに眺めた嘉川は、俺をじっと見ながらスマホを取り出した。
「ッ!?」
もしや昨日の、写真にでも撮られてたのか!?なんて焦った俺は、画面を覆うように嘉川のスマホを鷲掴みして⋯
「浩太何してんの?」
「え?えぇっと⋯!」
「俺と連絡先交換しようとしてたんだよな」
「ぅえっ!?」
怪訝そうな顔をしている青山の視線を後頭部に感じながら、白々しく嘘を吐く嘉川を見る。
「な?」
「⋯そ、うだった⋯かも⋯」
あは、あはは、と乾いた笑いしか出ない。
そんな俺にはお構い無しで、気付けば俺のスマホには何を考えているのかサッパリわからない嘉川の連絡先が登録されていた。
"いや、まじでいらねぇ⋯"
「少なくとも俺からは使わねぇな」
なんて思っていた俺、どこ行った。
「出ろって馬鹿⋯っ!!」
コール音だけ鳴り続ける通話を切り、すぐさま再度掛け直す。
そんな事を繰り返し早14回ーー⋯
『ちす』
『ちすちーっす!じゃねぇわ馬鹿!!おまっ、これ!俺の鞄に⋯っ、おま!?』
焦りすぎて支離滅裂だったせいか、嘉川が返事もせずにブチッと電話を切って。
「あんのくそったれ!!」
「誰がだよ」
「ぎゅあっ!?」
ぽん、と肩を叩かれひゅっと息を呑む。
「お、おま、おま⋯っ!!」
「あー、とりあえず俺からのプレゼント受け取ったみたいだな」
「あれ⋯っ!俺の鞄に入ってたやつ、やっぱお前か!?」
嘉川と隣同士で受けた授業は、残念ながら前日の寝不足がたたり気付けば完全に寝てしまっていた。
青山に起こされた時は既に授業が終わり暫く時間がたった後で、その頃にはもう嘉川はいなかった、のだが⋯
何故か俺の鞄に見知らぬぱんつが裸で入っていた。
ーー袋などに入れることなく、そのまま。
"せめて見えねぇように紙袋とかに入れろよ!"
なんて考え、そもそも入れんなよ、という結論にたどり着く。
「人が寝てるのをいいことに⋯っ!」
苛立ちを隠すことなく悠々と立っている嘉川に突っかかるが、俺の様子なんて気にも止めない嘉川は。
「ちゃんと望月好みのやつだっただろ?」
なんて、しれっと言い放った。
"俺の好みだぁ?"
確かに全面黒レースで作られ、隠しているのに透けて見えてしまうという背徳的な作りはエロくて最高だと思う。
そんなえっちなお姉様に憧れない男はいないだろう。
そしてもちろんえっちなぱんつだって男なら大好きだ。
それはもちろん⋯
「男物じゃ、なかったらな⋯!!」
彼女のいない俺にだって、例えばこのぱんつが女物だと言うならシコるという使い道があったのかもしれないが⋯
"男物のエロぱんつの需要はどこなんだよ⋯ッ!?"
「へぇ、女物のが良かったのか。まぁ確かに最初からはみ出てるのを見るのもそれはそれでいいか」
なんて言いながら嘉川の視線が俺の股間に集まりーー⋯
「いや、履かねぇよ!?これが女物だったとしてもそういう使い方するならいらんわ!」
「そういうって、どういう?」
「だから女物のぱんつなんか履かねぇっつってんだよ!」
まじでこいつ何言ってんだ、なんて思った俺は苛立ちを隠す気などさらさらなくて。
精一杯目に力を入れて嘉川を睨むと、相変わらずどこか楽しそうな瞳と目が合った。
「安心しろ、それは男物だから」
「それは安心材料じゃねんだよなぁ!!」
しれっと言われるその言葉に脱力する。
わざとらしくかなり大きいため息を吐いた俺は、会話は無意味と判断しそのまま黒レースのエロぱんつを一応人が来てもいいように拳の中に収めて嘉川に差し出した。
「返す」
「なに?」
「だからこのぱんつ返すってば!」
"絶対わかって言ってんだろ!?"
苛立ちつつも、ここで引くわけにはいかない俺はそのまま拳を突き出していて。
「せっかくのプレゼントを返されると、俺悲しくて昨日の事ごと誰かに言っちゃうかもなぁ」
「なっ!?また脅すのか!?」
くっそ!と焦る俺だったのだが、ふとあることに気が付いた。
"てか、こいつの脅しの材料って証拠なくね?"
嘉川が誰に何を話そうと、こっちも平然としていれば愚痴られた相手にとってはどちらが真実なのかはわからないはずだ。
教室では写真でも撮られてたのかと思ったが、結局証拠写真など見せられず連絡先を交換しただけでカメラのシャッター音なども聞こえなかったし⋯
「つか、望月が持ってんの本当に俺がプレゼントしたぱんつか?」
「へ?」
「だから、それ。そんな握り込まれてたらわかんねぇだろ」
「な⋯っ、つ、つかこうやって隠してんの、お前が裸で突っ込むからだろ!」
「裸で突っ込むとかエロいこと言うなよ、せめてぱんつ履けば?」
「比喩表現って言葉知ってますかぁっ!?」
どうしても俺にこのぱんつを履かせたいらしい嘉川の、絶対受け取らないという姿勢に頭が痛くなる。
"頼むから早く受け取れよ⋯!"
こんなものを一秒でも自分の鞄に入れておきたくない俺は、握り込まれた拳を渋々広げ嘉川に見せつけた。
「⋯ほら、お前のぱんつだろ!返すからまじで受け取れよ!」
そんな俺の耳に聞こえたのは、カシャッというシャッター音で。
「は⋯?」
「いやぁ、構内でこんなエロいぱんつを見せつけてくれるとかお前⋯本当に⋯くくっ」
「なっ、ば⋯っ!消せっ、今すぐ今の消せって!」
「そうだな、俺のお願い聞いてくれたら⋯?」
「は、はぁあっ!?」
"最悪だ、最悪だ最悪だ!!"
経緯はどうであれ、写真に写った俺は完全に変態だ。
"よりにもよって構内で!黒レースの!男物の!ぱんつを!!"
そしてそのぱんつを見せつけるべく持っているのは俺。
写真の中で見せかけだけだがド変態として君臨してしまった、俺。
「あぁあ⋯っ!!」
苛立っていたとはいえ、あんなにわかりやすい誘導にころっと騙された自分にショックを受けた俺は頭を抱えてしゃがみ込む。
「おいおい、頭に被って欲しいんじゃなくて、履いて欲しいんだがな?」
相変わらずくっくと笑いながら俺の前にしゃがんだ嘉川の顔面に向かって俺はぱんつを投げつけた。
「ーー履かない」
じわりと瞳が潤むのを無視して嘉川を睨む。
「履いたら履いたでその写真撮られるんだろ。脅されても絶対履かねぇからな!」
履いた写真と持ってる写真ならばいくらか持ってる方がマシだと判断した俺は全力でそう主張する。
そんな俺をじっと見ていた嘉川はーー⋯
「履かなくていいから、俺とデートしてよ」
なんて、新しい脅しを俺に仕掛けるのだった。
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