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最終話:その、結末
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まるでここが現実世界ではないような錯覚に陥り呆然としていると、ナカに挿入ったまま私の体がぐりんと回転させられた。
「あっ、え?」
「ほら、こうするとまた別のところを抉ってあげられるからね」
「だ、だめっ、またイッたからっ、イッたばかりだからぁ……!」
必死に訴えるが私の言葉を無視し、うつ伏せにさせられ後ろからのしかかるように覆いかぶさるシル様。
彼の体重が重く、だがその重さと背中に触れる少ししっとりとした肌と熱が心地いい。
「し、シル様……、ひっ♡」
そっと彼の様子を窺おうと後ろを振り向こうとした私だったが、突然彼がその体重を使ってばちゅんと貫いた。
「あ、――っ!」
「どう? ほら、感じる?」
「あっ♡ あっ♡ あっ♡」
ぱんぱんと肌同士がぶつかり合う音と私の嬌声が部屋に響く。
さっきまで突かれていた場所とは全然違う場所に彼のが当たり、イッたばかりだというのにすぐにまた私を絶頂へ誘った。
それと同時に彼のモノがナカでピクッと動いたことに気付く。
「ね、全部受け止めてくれるよね?」
「だめ、だめなのっ♡ ぴゅっぴゅしないれぇっ♡♡」
「く、出すよ、マリアナに全部注ぐから」
「や、やらっ、ナカに出しちゃ……ひゃあんっ♡」
そしてそのままびゅくりと彼のモノが私のナカで震え、熱いものが私の奥にじわりと広がった。
「あ、あ……っ」
“出された!”
子種が注がれたことに気付いた私から一気に血の気が引く。
もしこれで彼の子を身ごもってしまったら、この後運よく逃げられたとしてもどこまでも追われるだろう。
そして邪魔になったら必ず消される。
運よく子供は助かっても、私だけは確実に消されてしまうだろう。
“このゲームの悪役令嬢は修道院送りで終わるはずだったのに!”
びくんびくんと痙攣するように震える私の体になんとか力を入れ、彼の下から這い出ようと試みるがすぐに彼の両手が私の両手を押さえつけ動きを封じられる。
「ねぇ、逃げられないってまだわからないの」
想像よりずっと低い声が耳元で囁き、ぞわりと寒気がした。
「本当にもう殺してしまおうか」
「や、やだ、私は、修道院に……」
「マリアナが修道院に? それこそあり得ないよ、だって君はもう僕の腕の中から出られないから」
がじがじと耳を甘噛みされる。
怖いのに、寒気もするのに、まずいことだってわかっているのに、それと同時に彼の腕の中に捕らわれているのが自分だと思うと僅かな喜びが胸の奥で揺らめいた。
“私、おかしいわ”
誰からの愛も望んでこなかった。
両親は私を政治の道具としか思っておらず、唯一の味方になるはずの婚約者は将来私ではない人を選ぶ人だった。
前世の記憶も、僅かな既視感でこのゲームのことを思い出しただけで自分の名前すらわからず、誰かを愛したのか愛されていたのかすら思い出せない。
“こんなヤンデレの男なんて事故物件だってわかっているのに”
「あぁ、もしかして僕がマリアナを殺すと思っているの? 違うよ、さっきも言ったでしょ。マリアナが怖がる他の人間を全員殺してあげるって」
「ど、して」
「だって僕の運命の相手はマリアナだし、マリアナにも僕以外の運命の相手なんていらないでしょう?」
彼の下から這い出ようとしていた私は、もがくのを止めてそっと彼を振り返る。
見上げた先にいた彼の目は、相変わらず光を宿さずじっと私を見下ろしていたけれど、どこか不安そうにも揺れていた。
「シル様?」
「今だけじゃ嫌だよ、この先もずっと僕だけを見ていてよ」
ずるりと膣から彼のモノが引き抜かれると、ぱたぱたと蜜壺から零れるように彼の精液がシーツに垂れる。
じわりとシミを作るそのシーツが、何故か彼の涙みたいに見えて私は手を伸ばしていた。
「あ、苦い……」
どうしてだかはわからない。
そっとシーツに垂れた彼の精液を指で掬った私は自然とそれをペロリと舐めると、そんな私の仕草をぽかんとした顔でシル様が見つめる。
「なんで、君は嫌がっていたんじゃ」
嫌だった。こんなに重くて、監禁を匂わせて、一方的な愛を押し付けてくるくせにどこかにいるヒロインが本命の男なんて。
“でも、そのヒロインは逃げてしまったのよね”
そう。彼は捨てられてしまったのだ。
今彼には私しかおらず、そして彼の執着も私に向けられている。
「私が望んだら、本当にみんな消してくれるの?」
「マリアナが望むなら」
「じゃあ、私が望んだら……私だけを、愛してくれる?」
私のその質問を聞いたシル様は一瞬きょとんとし、そして困ったように微笑んだ。
「もうとっくに君だけを愛してるんだけど、まだ知らなかったのかな? 俺のお姫様は」
彼のその言葉が私の心に沁み込み、先ほどのシーツにできたシミのように私の心をじわりと染める。
「……誰も消さなくていい、だから私を、私だけをこれからも愛して」
「あぁ。もちろん」
どうせもう逃げられないのだ。
私のナカには彼の子種が注がれてしまったし、彼が今見ているのも私らしい。
“自ら逃げたヒロインが舞い戻ってくることは怖いけれど――”
だが、すべての強制力を振り切ってまで逃げたのなら戻ってこないだろう。
もしかしたら他のキャラが推しだったのかもしれない。
“そうだったらいいのに”
だがそのことを知る術は私にはもう残っていなかった。
私に出来るのは、彼の腕の中でそう願うことだけ。
それならば、もう囚われてもいいのかもしれない。
彼のこの甘い甘い、愛の檻に――……
「あっ、え?」
「ほら、こうするとまた別のところを抉ってあげられるからね」
「だ、だめっ、またイッたからっ、イッたばかりだからぁ……!」
必死に訴えるが私の言葉を無視し、うつ伏せにさせられ後ろからのしかかるように覆いかぶさるシル様。
彼の体重が重く、だがその重さと背中に触れる少ししっとりとした肌と熱が心地いい。
「し、シル様……、ひっ♡」
そっと彼の様子を窺おうと後ろを振り向こうとした私だったが、突然彼がその体重を使ってばちゅんと貫いた。
「あ、――っ!」
「どう? ほら、感じる?」
「あっ♡ あっ♡ あっ♡」
ぱんぱんと肌同士がぶつかり合う音と私の嬌声が部屋に響く。
さっきまで突かれていた場所とは全然違う場所に彼のが当たり、イッたばかりだというのにすぐにまた私を絶頂へ誘った。
それと同時に彼のモノがナカでピクッと動いたことに気付く。
「ね、全部受け止めてくれるよね?」
「だめ、だめなのっ♡ ぴゅっぴゅしないれぇっ♡♡」
「く、出すよ、マリアナに全部注ぐから」
「や、やらっ、ナカに出しちゃ……ひゃあんっ♡」
そしてそのままびゅくりと彼のモノが私のナカで震え、熱いものが私の奥にじわりと広がった。
「あ、あ……っ」
“出された!”
子種が注がれたことに気付いた私から一気に血の気が引く。
もしこれで彼の子を身ごもってしまったら、この後運よく逃げられたとしてもどこまでも追われるだろう。
そして邪魔になったら必ず消される。
運よく子供は助かっても、私だけは確実に消されてしまうだろう。
“このゲームの悪役令嬢は修道院送りで終わるはずだったのに!”
びくんびくんと痙攣するように震える私の体になんとか力を入れ、彼の下から這い出ようと試みるがすぐに彼の両手が私の両手を押さえつけ動きを封じられる。
「ねぇ、逃げられないってまだわからないの」
想像よりずっと低い声が耳元で囁き、ぞわりと寒気がした。
「本当にもう殺してしまおうか」
「や、やだ、私は、修道院に……」
「マリアナが修道院に? それこそあり得ないよ、だって君はもう僕の腕の中から出られないから」
がじがじと耳を甘噛みされる。
怖いのに、寒気もするのに、まずいことだってわかっているのに、それと同時に彼の腕の中に捕らわれているのが自分だと思うと僅かな喜びが胸の奥で揺らめいた。
“私、おかしいわ”
誰からの愛も望んでこなかった。
両親は私を政治の道具としか思っておらず、唯一の味方になるはずの婚約者は将来私ではない人を選ぶ人だった。
前世の記憶も、僅かな既視感でこのゲームのことを思い出しただけで自分の名前すらわからず、誰かを愛したのか愛されていたのかすら思い出せない。
“こんなヤンデレの男なんて事故物件だってわかっているのに”
「あぁ、もしかして僕がマリアナを殺すと思っているの? 違うよ、さっきも言ったでしょ。マリアナが怖がる他の人間を全員殺してあげるって」
「ど、して」
「だって僕の運命の相手はマリアナだし、マリアナにも僕以外の運命の相手なんていらないでしょう?」
彼の下から這い出ようとしていた私は、もがくのを止めてそっと彼を振り返る。
見上げた先にいた彼の目は、相変わらず光を宿さずじっと私を見下ろしていたけれど、どこか不安そうにも揺れていた。
「シル様?」
「今だけじゃ嫌だよ、この先もずっと僕だけを見ていてよ」
ずるりと膣から彼のモノが引き抜かれると、ぱたぱたと蜜壺から零れるように彼の精液がシーツに垂れる。
じわりとシミを作るそのシーツが、何故か彼の涙みたいに見えて私は手を伸ばしていた。
「あ、苦い……」
どうしてだかはわからない。
そっとシーツに垂れた彼の精液を指で掬った私は自然とそれをペロリと舐めると、そんな私の仕草をぽかんとした顔でシル様が見つめる。
「なんで、君は嫌がっていたんじゃ」
嫌だった。こんなに重くて、監禁を匂わせて、一方的な愛を押し付けてくるくせにどこかにいるヒロインが本命の男なんて。
“でも、そのヒロインは逃げてしまったのよね”
そう。彼は捨てられてしまったのだ。
今彼には私しかおらず、そして彼の執着も私に向けられている。
「私が望んだら、本当にみんな消してくれるの?」
「マリアナが望むなら」
「じゃあ、私が望んだら……私だけを、愛してくれる?」
私のその質問を聞いたシル様は一瞬きょとんとし、そして困ったように微笑んだ。
「もうとっくに君だけを愛してるんだけど、まだ知らなかったのかな? 俺のお姫様は」
彼のその言葉が私の心に沁み込み、先ほどのシーツにできたシミのように私の心をじわりと染める。
「……誰も消さなくていい、だから私を、私だけをこれからも愛して」
「あぁ。もちろん」
どうせもう逃げられないのだ。
私のナカには彼の子種が注がれてしまったし、彼が今見ているのも私らしい。
“自ら逃げたヒロインが舞い戻ってくることは怖いけれど――”
だが、すべての強制力を振り切ってまで逃げたのなら戻ってこないだろう。
もしかしたら他のキャラが推しだったのかもしれない。
“そうだったらいいのに”
だがそのことを知る術は私にはもう残っていなかった。
私に出来るのは、彼の腕の中でそう願うことだけ。
それならば、もう囚われてもいいのかもしれない。
彼のこの甘い甘い、愛の檻に――……
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