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3.その気持ちが今に繋がるなら良しとする
しおりを挟む「···········は?」
「···········え?」
さっきまでの甘い空気が一気に消え、二人は青ざめる。
「······い、ずみ、これは、その」
「待っ、大和、その、これは」
まるでフラッシュバックするかのように、殴り合った小学生時代、顔を合わせれば怒鳴り合った中学時代、目も合わせないように苛立ち続けた高校時代、先輩達を半泣きにさせながら過ごしたサークル活動も全て思い出して。
「と、とりあえず抜いて···?」
青ざめたままそう呟くと、ハッとした大和はこくこく頷き、ゆっくり腰を引く。
「ひ、ひゃあぁんっ」
「ーーーーッッ!?ごめん!」
挿れられるより抜かれる時の方がナカを抉られ快感があるなんて知らなかったいずみは、そのゆっくりとした動きに思わず声を上げて。
ビクッとした大和は何を思ったのかまた奥まで挿れてきて。
「ひっ、いたぁっ」
「うわっ、ごめ、そんなつもりじゃっ」
挿れられると破瓜の痛みがまだ強く、思わず大和にしがみついてしまう。
「い、いずみ落ち着け、だ、大丈夫だからっ」
「やぁぁ、ばかぁっ!ぬ、抜いてって言ったのにぃっ」
「ぬ、抜く、抜くから落ち着けっ」
そしてまたゆっくり大和が動く気配を感じ、そのゆっくりした動きが痛みより快感を呼ぶ。
「あぁんっ、まっ、やっぱり抜かな、抜かないでぇっ」
「うえぇっ、ちょ、待っ、俺どうしたらっ」
明らかにオロオロしてる大和を見て、少し落ち着いてきたいずみがふとあることに気付く。
「····あの、大和、も記憶戻ってる?」
「··········おぅ、表情から察するにいずみもだよな?」
「記憶が戻ってる、のに、なんで萎えない···の?」
「ッ!」
青ざめていた大和が一気にまた赤くなる。
「お、お前だって濡れたままだけど」
そう言われ私も一気にまた赤くなる。
「お、女の子はそんなにすぐ乾いたりしないのよ!余韻だってあるしっ」
「よ、余韻···っ」
そう繰り返され、ものすごく恥ずかしい事を口走ったような気持ちになり焦る。
「で、でも男は違うでしょっ!な、萎えなさいよっ!」
「な、萎えなさいとか言われてすぐ萎えれたらこっちだって苦労しねぇわっ!」
とにかく抜けばいいんだろ、といずみの腰をしっかり押さえた大和に焦ったのはいずみで。
「や、待って待って待って!大和ので擦られるの気持ちいいからやなのっ!」
「な、おま、それはっ、だからっ、煽んなって···!」
「やぁぁ!ナカでおっきくなったぁっ!?」
「やめ、も、勘弁してくれほんとっ」
自分の口から出た言葉に焦り、でも大和に動かれて恥ずかしい声が出るのが怖くて。
どんどん涙目になって大和を見つめるしか出来なくて。
「~~~ッ、くそっ、俺が萎えないのはっ、ずっといずみが好きだったからだバカッ!」
「ーーっは、んんっ!?」
そのまま無理やり口内に大和の舌が入ってくる。
記憶が戻り、付き合ってると思って何度もしたキスのどれとも違う、全て思い出した仲の悪い幼馴染み同士のキスなのに気持ちよくて。
「や、まと···っ」
大和の舌に自分の舌を絡めると、大和も激しく絡めてくる。
「ん、んんっ」
キスを繰り返し、唾液が一筋唇から零れ、それすらも逃がさないというように大和に舐められる。
そんな大和のキスが気持ちよくて、もっとして欲しくて。
「いずみ、締まった」
「ば、ばか!そんなこと言わないでよっ」
「挿れてるだけなのに気持ちいい、けど」
苦しそうに小さく息を吐く大和の様子に気付き、動きたいのに我慢してくれている事を思い知る。
「う、動いて、いい···わよ」
ビクッとした大和のソコは明らかに質量を増して。
「ちょ、大きくしていいとは言ってないんだけどっ」
「無茶言うなよ!くそ、可愛すぎるんだって···」
ぎゅうっと抱き締められ、首もとに顔を埋められると触れ合った大和の胸が自分の心臓と同じくらい強く鼓動しているのを感じて。
ーーー大和も、凄いドキドキしてる···
「いつから、す、好きだったの?」
「······ずっと。お前は俺の事弟みたいに思ってたみたいだけどな」
初めて喧嘩した時の事を言われたと気付き、そしてその時からずっとなのだと実感した。
「忘れてたくせに···」
「結局また好きになっちまったけどな」
そう自重気味に言われ、その言葉が胸を締め付ける。
記憶を失くしたこの2ヶ月は本当に楽しくて。
本当に幸せで。
「私も、好きになっちゃったわよ···」
「い、ずみ?」
「動くの!?動かないの!?」
「う、動きます!」
ムードなんて何にもなくなってしまったが、その代わりに失くしていた時間を取り戻すように向き合って。
「や、優しくして···?」
「だ、だからも···煽んな····っ、努力は、するけど···っ」
ゆっくり抽挿を始めた大和に、浅く呼吸ししがみつく。
「ね、おねが、好きって、言って···っ」
「好きだいずみ、ずっと、記憶ないときも結局ずっと好きだったっ」
「あ、はぁん、わた、私も···っ」
くそ、と苦しそうに呟いた大和はグリッと奥を押し広げてきて。
「いずみ、俺、もう···っ」
「んん、大和っ、大和ぉっ」
ナカでビクビクしたのを感じ、その余韻に浸るようにのしっと覆い被さられ、二人して浅い呼吸を整えた。
いそいそと服を着て、でも体がダルくてベッドにまた横になる。
そんないずみに水を持ってきてくれた大和はわざわざペットボトルの蓋を開けて渡してくれて。
ーーーそういうとこがズルいよなぁ、となんだか少し悔しく感じるのはずっと喧嘩ばかりだったからなのか。
「いずみの事好きって言ったの、本気だから」
「っ!」
ベッドを背もたれに床に座った大和にそう告げられ動揺する。
「責任取るって言ったら取らせてくれる?」
そう不安気に声をかけてくるのは、ずっといがみ合っていたからだろう。
「どんな責任取ってくれるの?」
「大切に、します」
その言い方がなんだか可愛くて。
そしてこの2ヶ月ずっと一緒にいて、心を寄せていたのも事実だから。
「よろしくお願いします」
そう答えると、ずっと見れなかった、でもこの2ヶ月間何度も見た大和の笑顔が返ってきて、記憶のなかった時間も本当の時間だったと強く感じたのだった。
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