11 / 20
本編
10.ぶりっ子に騙される、そんな心理
しおりを挟む「え? 何やそれ。もしかして、彼氏にやられたん?」
「大した事ないんです。彼、カッとなると周りが見えなくなっちゃって。腕掴まれて、たまたまテーブルの角にぶつけて。でもその後ちゃんと謝ってくれて、私の事手当してくれたんです」
「はぁ?」
莉奈は捲っていた服を元に戻した。
「他の男の事、ニコニコしながら話すなって怒られて。彼氏、今年に入ってから、大学やバイトで忙しくてストレス溜まってるみたいで。私も気を付けてはいるんですけど、どうやったら彼氏の機嫌を損ねずに付き合って行けるのかなーって思って、ちょっと悩んじゃって」
「そういう怪我って、これが初めてなん?」
莉奈は笑ったまま何も言わなかったから、察した。
たまたまぶつけたって言ってるけど、これってDVってやつ?
暴力振る側は、だいたいあとから優しくなってもうしないと言うから、振るわれた方はそれを信じて何度されても許してしまうとネットに書いてあった。
俺は目を細めて莉奈を見る。
「……その彼氏、莉奈のスマホチェックとかしとるんやないやろうな?」
「してますよ! なんで分かるんですか?」
俺は無言でアイスコーヒーを啜ってからはっきりと告げた。
「あんなぁ莉奈。そんな彼氏もう別れた方がええで?」
莉奈はそれを聞いた途端、目を見開いて反論した。
「えっ! な、なんでですか。私凄く好きなんですよ、彼氏の事! たまにキレちゃうのは嫌だなって思う時もありますけど、それ以外は本当に優しくていい人なんですよ! どうやって気を付けていったらいいかのアドバイスをくださいよ」
「気を付けるも何も、いくら恋人でも人のスマホチェックなんかせーへんで? それにそんな怪我、今回が初めてやないんやろ? そんなんおかしいで。気に入らん事あるからって暴力振るう男なんて、ろくな男じゃあらへんよ……」
「ゆきちゃんを悪く言わないでください!」
莉奈がテーブルを叩くと、その場にいた莉奈以外の人は全員息を呑んだ。
莉奈はハッとして、恥ずかしそうに背中を丸めてストローに口を付けていた。
「大した事ないんです。彼、カッとなると周りが見えなくなっちゃって。腕掴まれて、たまたまテーブルの角にぶつけて。でもその後ちゃんと謝ってくれて、私の事手当してくれたんです」
「はぁ?」
莉奈は捲っていた服を元に戻した。
「他の男の事、ニコニコしながら話すなって怒られて。彼氏、今年に入ってから、大学やバイトで忙しくてストレス溜まってるみたいで。私も気を付けてはいるんですけど、どうやったら彼氏の機嫌を損ねずに付き合って行けるのかなーって思って、ちょっと悩んじゃって」
「そういう怪我って、これが初めてなん?」
莉奈は笑ったまま何も言わなかったから、察した。
たまたまぶつけたって言ってるけど、これってDVってやつ?
暴力振る側は、だいたいあとから優しくなってもうしないと言うから、振るわれた方はそれを信じて何度されても許してしまうとネットに書いてあった。
俺は目を細めて莉奈を見る。
「……その彼氏、莉奈のスマホチェックとかしとるんやないやろうな?」
「してますよ! なんで分かるんですか?」
俺は無言でアイスコーヒーを啜ってからはっきりと告げた。
「あんなぁ莉奈。そんな彼氏もう別れた方がええで?」
莉奈はそれを聞いた途端、目を見開いて反論した。
「えっ! な、なんでですか。私凄く好きなんですよ、彼氏の事! たまにキレちゃうのは嫌だなって思う時もありますけど、それ以外は本当に優しくていい人なんですよ! どうやって気を付けていったらいいかのアドバイスをくださいよ」
「気を付けるも何も、いくら恋人でも人のスマホチェックなんかせーへんで? それにそんな怪我、今回が初めてやないんやろ? そんなんおかしいで。気に入らん事あるからって暴力振るう男なんて、ろくな男じゃあらへんよ……」
「ゆきちゃんを悪く言わないでください!」
莉奈がテーブルを叩くと、その場にいた莉奈以外の人は全員息を呑んだ。
莉奈はハッとして、恥ずかしそうに背中を丸めてストローに口を付けていた。
0
お気に入りに追加
39
あなたにおすすめの小説
誘惑の延長線上、君を囲う。
桜井 響華
恋愛
私と貴方の間には
"恋"も"愛"も存在しない。
高校の同級生が上司となって
私の前に現れただけの話。
.。.:✽・゚+.。.:✽・゚+.。.:✽・゚+.。.:✽・゚
Иatural+ 企画開発部部長
日下部 郁弥(30)
×
転職したてのエリアマネージャー
佐藤 琴葉(30)
.。.:✽・゚+.。.:✽・゚+.。.:✽・゚+.。.:✽・゚
偶然にもバーカウンターで泥酔寸前の
貴方を見つけて…
高校時代の面影がない私は…
弱っていそうな貴方を誘惑した。
:
:
♡o。+..:*
:
「本当は大好きだった……」
───そんな気持ちを隠したままに
欲に溺れ、お互いの隙間を埋める。
【誘惑の延長線上、君を囲う。】
あまやかしても、いいですか?
藤川巴/智江千佳子
恋愛
結婚相手は会社の王子様。
「俺ね、ダメなんだ」
「あーもう、キスしたい」
「それこそだめです」
甘々(しすぎる)男子×冷静(に見えるだけ)女子の
契約結婚生活とはこれいかに。
恋とキスは背伸びして
葉月 まい
恋愛
結城 美怜(24歳)…身長160㎝、平社員
成瀬 隼斗(33歳)…身長182㎝、本部長
年齢差 9歳
身長差 22㎝
役職 雲泥の差
この違い、恋愛には大きな壁?
そして同期の卓の存在
異性の親友は成立する?
数々の壁を乗り越え、結ばれるまでの
二人の恋の物語
シンデレラは王子様と離婚することになりました。
及川 桜
恋愛
シンデレラは王子様と結婚して幸せになり・・・
なりませんでした!!
【現代版 シンデレラストーリー】
貧乏OLは、ひょんなことから会社の社長と出会い結婚することになりました。
はたから見れば、王子様に見初められたシンデレラストーリー。
しかしながら、その実態は?
離婚前提の結婚生活。
果たして、シンデレラは無事に王子様と離婚できるのでしょうか。
元カノと復縁する方法
なとみ
恋愛
「別れよっか」
同棲して1年ちょっとの榛名旭(はるな あさひ)に、ある日別れを告げられた無自覚男の瀬戸口颯(せとぐち そう)。
会社の同僚でもある二人の付き合いは、突然終わりを迎える。
自分の気持ちを振り返りながら、復縁に向けて頑張るお話。
表紙はまるぶち銀河様からの頂き物です。素敵です!
クリスマスに咲くバラ
篠原怜
恋愛
亜美は29歳。クリスマスを目前にしてファッションモデルの仕事を引退した。亜美には貴大という婚約者がいるのだが今のところ結婚はの予定はない。彼は実業家の御曹司で、年下だけど頼りになる人。だけど亜美には結婚に踏み切れない複雑な事情があって……。■2012年に著者のサイトで公開したものの再掲です。

社長室の蜜月
ゆる
恋愛
内容紹介:
若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。
一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。
仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。
二人の甘い夜は終わらない
藤谷藍
恋愛
*この作品の書籍化がアルファポリス社で現在進んでおります。正式に決定しますと6月13日にこの作品をウェブから引き下げとなりますので、よろしくご了承下さい*
年齢=恋人いない歴28年。多忙な花乃は、昔キッパリ振られているのに、初恋の彼がずっと忘れられない。いまだに彼を想い続けているそんな誕生日の夜、彼に面影がそっくりな男性と出会い、夢心地のまま酔った勢いで幸せな一夜を共に––––、なのに、初めての朝チュンでパニックになり、逃げ出してしまった。甘酸っぱい思い出のファーストラブ。幻の夢のようなセカンドラブ。優しい彼には逢うたびに心を持っていかれる。今も昔も、過剰なほど甘やかされるけど、この歳になって相変わらずな子供扱いも! そして極甘で強引な彼のペースに、花乃はみるみる絡め取られて……⁈ ちょっぴり個性派、花乃の初恋胸キュンラブです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる